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Zな彼女とネクロマンサーの僕  作者: キノコ二等兵
巨大人工浮島《ギガフロート》編
163/194

荒ぶる魂2

「馬鹿かよ!物理が俺に通る訳ないだろ!」


 絶対領域が展開されレッドフィールドの姿をした司の右腕は弾かれる——————はずだった。


 いや、たしかに弾かれてはいる。その肥大化した右腕は質量が大きいせいか、腕が決まった軌道を描かないだけで前には進んでいた。


「んな!?」


 ありえない光景に思わず一歩だけ後退りをしてしまう。そんな自身の行動に怒りを覚えた男は絶対領域の範囲を広げ右腕以外もその領域へと取り込もうとする。


 こうなれば下がらざるを得ない。司はタタッとステップを踏みシフィルの横につく。


「司くん・・・・・・」


「奴の仲間は俺の妹に手を掛けかけた。奴自身が行なっていないにせよ奴の仲間なら責任はこいつにもある。だからぶっ潰す」


「低ランクが最強の俺をぶっ潰すだぁ?貴様は今寝てるのか?寝てるからそんな事言ってるのか?」


「そうか?さっきこのでかい腕如きに絶対領域を突破されかけてたが?」


「低ランクに全力を出すわけねえだろ。寝てるから頭も沸いてるみたいだなぁ。レッドフィールド」


「シフィル」


「言いたいことは分かってる。次は決めれるよ。君のおかげでね」


 シフィルの回答を行動の基準に2人は攻撃の構えを取る。


 司はいつでも飛び掛かれるように少し屈み、シフィルは溶けかけている剣を持つ左腕を上げる。


 ふたりの行動は普通の人ならばとち狂った行動にしか見えない。


 攻撃を受ける為に司が前衛を行いシフィルはその背後に付く。


「そんな急拵えの対策でどうなる!俺をランク6を舐めるなぁ!」


 両腕を広げ無数の光線を司ではなくシフィルに目掛けて放つ。


「シフィル!」


「ああ!」


 司にアンカーを巻き付けて自身の位置と司の位置を入れ替えることで全ての光線を腕で薙ぎ払った。


 入れ替わった時の勢いをそのまま移動として使い距離を詰めていく。


「絶対領域を突破する方法などないことを理解してるだろうが!」


 シフィルの身体が広げられた絶対領域に足を踏み入れると、自動的にシフィルへ攻撃が行われる。


 しかしシフィルの身体に異変はなくただシフィルが近づいてくるだけだった。


「俺の絶対領域がこんな簡単に・・・・・・!」


「システムさえ理解出来れば対処は可能さ。それにねエギル。君の能力は本来は攻撃が主だ。つまりはどういう事か分かるかい?」


「うるせえ!俺様を舐めやがって!何が伝説の傭兵だ!この最高ランクと言われる俺様が負けるわけがないんだっ!」


 腕からではなく身体の至る所かシフィルへと目掛けて光線が放たれる。


「君の手札は見切ったよ・・・・・・高ランクならもっと用意してから来るんだったね」


 シフィルの姿が消える。光線の先には肥大化した右腕を構えた司が立っており、今まで通り光線を粉砕する。


 それに合わせて男の背部をナイフで切り裂くシフィルが立っていた。


「もっと実戦経験を積むがいいさ。積めば次は勝てるさ」


 ナイフを袖に納めると司の元へと戻り互いに手を叩き合った。


「君のおかげで対抗策が浮かんだよ。一つ仮だね」


「防御しかあんたのためにはなってないさ。あとは———こいつを殺るだけだ」


「救出出来たんでしょ?殺す必要は・・・・・・」


「エゴでこの場に来たんだ。最後までエゴを通させてくれ」


 シフィルは四幻神の男に近づきトドメを刺そうとする司の右腕を掴む。


「止めるなっ・・・・・・!」


「君を人殺しにさせる訳にはいかない」


「もう俺の手は人殺しの手だよ!」


「必要な殺害は否定しない。でも今君のやろうとしていることは不必要な行為だ」


「必要とか不必要とかは俺自身が決めることであってお前が決めることじゃないだろうが!」


「ならボクは君を止めるよ———」


 その言葉を最後にシフィルはナイフ司の腰に当て電流を流した。


 不意打ちに近いこと、無茶に近い同調状態だったこともあり、痛みを感じる間もないまま、司の身体は四幻神の男と同じように倒れ込んだ。


 そんな時にまるで戦いが終わるのを待っていたと言わんばかりに昔司達の試作品同士の戦いを見ていた人間が現れた。


「彼の息抜きに付き合ってくれて助かる。シフィルニア」


「普通に依頼してくれればこんな面倒なことにならなくて済んだと思うんですけど・・・・・・次はこういう方法は取らないで。ヤミ」


「承知しているさ。今回の被害者にはそれなりの補償は行う」


「そうして貰わないね。後念のために言っておくけど、この子多分自分の手でエギルを潰さない限りもう一度攻撃を仕掛けてくるだろうから。まっ、そうならないようにどうにかしてみるよ」


 ふたりは互いに拾い上げると後から来た方は鎖でその場を去り、シフィルはただ背負ってその場所を去った。

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