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Zな彼女とネクロマンサーの僕  作者: キノコ二等兵
巨大人工浮島《ギガフロート》編
162/194

荒ぶる魂

「(またやってしまった・・・・・・トリシュや瞳、いくら問題のある人間だったとはいえ、ただ感情の2文字で、エゴで殺してしまった)」


 何もかもから逃げたくなりちょうど足を引っ掛けたのもありそのままアルマジロのように丸くなりながら滑り転がる。


「(結局殺しているのは俺自身だ。別の人格がやったのかもしれないが、それを生み出したのは俺自身だ。責任転嫁をする為の・・・・・・)」


 もしかしたら本当にレッドフィールドかもしれないが、どこをどう調べてもあの女については数年前に死亡しているという結果が出ている。


 他人の空似の筈だが声のトーンも含めて本当に似ているからこそそれらの言葉が出るのだろうと思われる。


「俺は俺だ!あいつじゃない。一緒くたにするなっ!」


 司は誰もいない空間に刃を展開したディスクを振り回す。


「俺は・・・・・・俺はっ!」


———妹達を傷つけた人を許してもいいんだ———


 今は完全に収まっているはずなのにあの女の声がする。


「許す訳がないだろ」


———じゃあ私は君の思う通りに動いた訳だ———


「ああそうだよ!」


———ならやることは分かってるよね?———


 司の背中から抱き締めるように貼り付くと、顎に触れて頭を上げさせる。


「がっ、ああああ・・・・・・」


 司の中に化け物が入って行く。「君はただ私に責任を押し付ければいいんだ」そう言わんばかりに、心の重みが薄れていく。


「あああ・・・・・・」


 右半身が化け物に乗っ取られる。視界が左側だけになり感覚も左半身だけになる。


「嫌なことしてあげるんだから、君は逃げちゃいなよ。さっきみたいに私が悪いって責任転嫁すればいいのだし」


「逃げても罪悪感に飲まれる。そうなるぐらいなら!」


 まだ動かすことの出来る左腕を右腕のディスクのカードに触れてカードを一枚引く。


「この子ひとりじゃ・・・・・・」


「復讐なんて出来ないよね?だから」


「ならもう一枚!」


 引こうとディスクに手を伸ばすが右腕は引かせまいと腕の左腕では届かない場所まで腕を横に伸ばす。


「私なら確実に復讐できるのにどうして!?」


「言っただろうが!結局罪悪感に飲まれるぐらいなら俺自身の手で下すまでだ。お前は———」


 支配権を奪われていたはずの右腕がプルプルと震えながらゆっくりと左腕に近づいていく。


「私に責任転嫁すれば君は妹の元へ帰れる。けど手を出してしまったら今度こそ帰れなくなっちゃうよ!?」


「それでも俺は!」


 ディスクのカード入れに触れる。


「だめだ!」


「俺自身の意思として妹に手を出したやつをぶちのめす!」


 相手のしたいことをさせないように互いに反発しあっていたせいか、司の耳から血が流れ出していた。


 痛みに反応したのは化け物の方で、司はそれに合わせてカードを引き抜いた。


————————————————————————————————————————————————————————


 司が自身の殺意と闘っている頃、シフィルは相手の圧倒的な防御力に苦戦を強いられていた。


「伝説と呼ばれる割には弱いなっ。戦争はこんな弱いやつしかいなかったかぁ?」


「言ってくれるね。・・・・・・敵味方関わらずあの戦いを生き残った戦士達への冒涜は絶対に許さない」


「はっ!詰めることもまともに出来ていない癖に絶対に許さないだぁ。あぎゃぎゃぎゃ!何度でも言ってやるさ。あの戦争はお遊びだったんだよ!」


「(絶対領域・・・・・・その名に相応しい防御力という訳だけど、そちらに振りすぎて僕の速度には追いついてない。武器の許可書を貰っておくべきだったよ)」


 時折光弾がシフィルへの飛んでくるが、難なく回避してしまう為結果として決め手に欠けたまま時間が流れていく。


「ああ!もうめんどくせえ一気に片をつける!」


 両腕を高々と振り上げると手のひらに太陽のように眩しい光の光線をシフィルへと放つ。


「ヒャハハハ!!!!!踊れ傭兵!死のダンスをなぁ!」


「言われた通り踊ってあげるよ」


 何発かの光線を回避しながら少しずつ近づいていく。一定距離まで近づくとナイフを右手で握りそこからビールの剣を左下から振り上げる。


 しかし光の刃は絶対領域に阻まれ再び互いの攻撃は決め手になることはなかった。


「片をつけるんじゃないのかい?君の全力を見せてくれ」


「準備は出来てんだよなぁ!終わりじゃああ!」


 右腰側に両腕を合わせると素早く前方へと突き出すと3階建てのビルほどの大きさの光線がシフィルの前へと襲いかかった。


「これが本命だ!さあどうする!」


 シフィルはナイフを収めながら実体剣を足から抜き取ると、それを突き出して光線を拡散させ始めた。


 しかし熱量には勝てず少しずつ剣が溶けていく。


「(ここで作った武器の性能はこれぐらいか・・・・・・ちょっと厳しいな)」


「キャハハハハ!!!!!お前に勝ち目はねえ!」


 剣の長さが半分ほどなった所でシフィルの前にひとりの女性が割り込むように入り込むと拡散場所が女性の突き出した右腕前に変わっていった。


「シフィル・・・・・・」


「ど、どうしてこっちに来たのさ」


「俺の妹を傷つけたこいつを許す訳には行かねえんだよ!」


「レッドフィールドだと!?貴様会長(かいなが)グループを裏切るつもりか!」


「裏切る?先に裏切ったのはテメエだろうが!これは巨大人工浮島(ギガフロート)とか会長(かいなが)グループとかみたいな大きな話じゃねえ!ただの私怨だ。俺は俺自身の殺意とエゴでテメエに妹へ土下座させるんだよ!」


 そう言い切り女性はその首謀者へと肥大化右腕で殴りかかった。

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