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Zな彼女とネクロマンサーの僕  作者: キノコ二等兵
巨大人工浮島《ギガフロート》編
156/194

海のBOW6

 弾丸はカキンカキンとその硬い身体を貫くことはなく、反射した弾丸が司を掠めてしまう始末だった。


「(どうすりゃいい!?ハチとかなら簡単に突破出来るんだろうけど、俺にゃ無理だ。だが生物である以上突破手段があるはずだ)」


 それを見つける為に狭い空間ながらも司はBOWへ発砲を続ける。


 指揮官たちも司への負担を減らす為に微弱ながらも銃弾による援護を続ける。


「(蟹は水中で高速で動くことは出来る・・・・・・けどそれは一定方向だ。それに脚は人間と同じで外側には開けない。だとするなら!)」


 物は試しだというかのように、左前脚の関節部裏側を目掛けて銃弾を撃ち込む。いつもならどこかへ飛んでいく銃弾が狙った場所に当たらなかった分以外の反射は見られなかった。


「(生物兵器である以上既存の法則には逆らえない。ならキノが来るまでの時間は稼げる!)」


「隊長さん!脚の関節部に集中して貰えますか!」


「この位置からは無理だ!だがなんとかする!」


 硬い骨格は外側にある以上上にいる指揮官の言う通り狙うことは無理だろう。


 そう言いながらも部下のひとりが持っていた狙撃銃の弾倉を入れ替えたものを構えて撃ち込んだ。


 火力を維持する為に風圧を発生させるほどの弾速のある弾は、司がちまちまと削っていた左前脚に直撃し本体と脚を隔てた。


「ガァアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」


 その声だけで相手に苦痛を与える程のつんざく叫び声を上げると、BOWは司を無視して上まで登ろうとする。


「っ・・・・・・行かせるわけには」


 その時何か棒状の物が司の足にコツンと触れる。


「な、なんだ?」


 揺れる水のせいでどんな物かまでは確認出来ずにいたが、それを持ち上げるとそれは海から脱出する際に使用する予定だった水中銃の弾だった。


「今俺の持つ武器の中では使えれば最大火力だ・・・・・・使うしかない」


 BOWへの対応の為に身体には負荷が掛かっている。この状態で新たな武器製造はもうこの先まともに動くことを捨てるようなものだった。


「なら、今持ってる武器をベースに製造してしまえばいい。そうすれば負荷は軽減出来る」


 右手の銃と左手に蛮刀を重ね合わせて長銃身の狙撃銃を作り上げる。


 設計図もなしに作った為信頼性には欠けるし耐久性も信用ならないが、今出来るのはこれしかない。


 水中銃の弾を詰めて中央脚部へと狙いを定める。足元を流れる水は更に勢いを増して司の足を取る。


 そんな状況でも外すわけにはいかない。水に耐える為に追加で流れてきた弾を地面に突き刺してそれと足を固定する。


 流れる可能性が小さくなった所で再び狙いを定め息を止める。


「・・・・・・いける」


 弾は登っていたBOWの身体を貫き元いた場所に突き落とす。


 落ちてきた衝撃で荒ぶった水が固定していた身体を押し出して壁に叩きつける。


 壁に叩きつけられ身体の空気を吐き出されたのに合わせ水が口に入ってしまい思考が止まる。


 司が動けなくなっている間BOWは大幅な損傷によりその姿を変形させていく。


 頭部が開きそこから現れたのは人型の上半身で、脚部も変形が入り蜘蛛のような脚に変わっていく。


「まるでアラクネーのようだ」


 振動で脚を挫いていた部下を起こしながら指揮官は呟く。


 何とか呼吸が出来る様になった時には変形を終えており、その視線は自身の命を奪おうとする司へと向けられていた。


 もう武器に変わるものはない。先程の水で手持ちの武器は完全になくなってしまった。


「くっそ・・・・・・キノ、早く来てくれ」


 BOWの爪が大きく振り上げられる。跳ねるように回避はしたものの水のせいで回避しきれず振り下ろされた爪に右腕が持っていかれた。


「(義手で助かったとはいえ痛覚がないわけじゃないんだけどな!)」


 もう一度爪が振り上げられる。次の回避は行うものの間に合わない。やばいと感じた所でBOWの人型の場所が爆風で揺れてその爪の振り下ろされる場所が変わったことで回避に成功した.


「主任!遅くなりました!これを使って下さい!」


 剣が取り付けられた義手が目の前に突き落とされる。


「(これはオリジナルの・・・・・・!?)」


 考える時間はない。司はそれを即座に右腕に取り付ける。


———身体との接触・・・・・・固定確認。機動開始———


 剣の部分がくるりと周り、手首のあたりにカードを入れる基部が現れる。


「それを使えば負荷なく出せる筈です!」


 司は即座に上の部分に触れて引き抜く。


「新たな使い魔・・・・・・!?」


 そのカードに描かれた姿は燃え盛るカオちゃんのような姿だった。


「・・・・・・こい!フーちゃん!」


 剣の上にカードを置くと現れたのは燃えるマントを着た新たな使い魔だった。


「更にこれを使って下さい!構造把握用のカードです!」


 追加で投げ渡されたカードを受け取ると同じように剣に取り付ける。


「はぁはぁ・・・・・・さあ最終ラウンドだ!」


 司は新たな使い魔と共にBOWへと飛びかかった。

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