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Zな彼女とネクロマンサーの僕  作者: キノコ二等兵
巨大人工浮島《ギガフロート》編
153/194

海のBOW3

 通路に戻り再び彼らと話せる状況になるまで、司たちはロックの掛かった扉をもう一度確かめていた。


「時間潰しにゃなるだろ。しかしこんなところにずっといたんなら、前に会ってたりするもんだと思うんだけどなぁ」


 いくつかのコードを入力しては失敗して扉を開けることに苦戦している木下はため息を吐く。


「主任が前回使用したのは北側でここは南側ですから異なるのは当然でしょう。階段で降りている時も時折扉があった筈です」


「うーむ・・・・・・覚えてない」


 追われている状況で周りに意識を向けることは難しい。そこを注意することは危険な状況でも全てを記憶しろと言っているのと同じだ。


「どっちにしろこの場所からじゃ前に通った場所にゃ行けないし、それ以前に喪失した階段が治ってるかも分からないから考えない方がいいだろ」


「非正規戦闘ですからね。会長(かいなが)グループも上手い理由付けが出来ていなければ、難しいと思います」


 海と繋ぐ場所以外はやはり硬く閉ざされていて、蹴っても蛮刀を使っても精々傷が付くだけだった。


「いやはや丈夫なこって」


「能力者の暴走の際に閉じ込めることが出来るように、という形でしょうか?しかし、巨大人工浮島(ギガフロート)のよう使うパスワードが軒並みダメなのはやはりかけたのが彼らだったりするんでしょうか?」


「わざわざそういうことをするなら、つまりはこの先にはそういうものがある。ということでもあるんじゃないか?」


 何か出来ることもなく男たちのいる場所を繋ぐ扉の前で待っていると指揮官の男が扉を開けて2人を中に入れる。


「少なくとも外に出るまでは協力するというのが我々の総意だ。そちらは?」


「ここの環境及び状況をまともに知らないんです。俺たちからすればありがたい。よろしくお願いします。信頼の証として俺の名を言わせて下さい」


 手を差し出しながら司は自分の名前を伝えると、男たちはざわめく様な反応を示す。


「レッドフィールドか・・・・・・帰還なされていたのですな」


「ん?あなた方レッドフィールドを知っているんですか?」


「知っているも何も彼女を知らない人間は巨大人工浮島(ギガフロート)にはいないほど有名な人間だ」


「そうなんですね。俺のいた場所ではそんなことはなかったので」


「ならばこれからは名乗るのは注意した方がいい。その右腕のように失いたくないならば。スコッチだよろしく頼む」


 ふたりは握手を交わすと信頼の意思を示す為指揮官は部下に銃器を司と木下に渡す。


「早速だが手を貸してもらう。ついてきてくれ」


「木下は残させてもいいですか?」


「それは構わん。おおまかなことに従ってくれるのなら構わないさ」


「というわけだキノ。頼むぜ」


 この場に木下を残して司と指揮官は奥へと進んでいく。


 奥の扉を開くとボーリング場のようなただ広い廊下があった。


 明かりは指揮官と司が手に持つ物だけのため途切れ途切れにはなってしまうが、匂いで想像することが出来る程酷い有り様だった。


「弔ってやりたいのは山々なんだが、ここにもBOWが徘徊していてな。意識を死体に向けている間に狙われミイラ取りがミイラになる状態は避けたい」


「もうそんな長い時間戦い続けてるんですね・・・・・・」


「哀れむことはやめてくれ。そんなことしても彼らにはなんの慰めにもならないから」


 広い道を進んでいくと今度は防護扉に塞がれていた。


「この先に我々の目標がいる。ある一定の場所に隔離出来れば、その間は気にしなくていいからね。その分多くの犠牲を払ったが」


「もしかしてこの周りの人達は」


「俺の無能な作戦について来てくれた者たちだ。その為にもいつかはこいつを処理すると誓ったんだ。悪いが君たちを上に帰すためにもしっかりと手を貸して貰うぞ」


 指揮官の顔はその暗さで見ることは出来なかったが、それでも司には理解できた。その誓いの重さを。

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