海へ行こう3
「んみゃあああああああああ」
バナナボートに乗っていた2人だがレッドフィールドの操作に耐えられずに木下は空へと飛び上がる。
「空って青いんだなぁ・・・・・・」
高速で回転したまま海へと墜落し、何度か跳ねると水の中へと沈んでいく。
「キノくんはここまで、これ以上はついていけないようで」
「にゃにゃにゃにゃにゃ—————————」
レッドフィールドは波を作りニアが落ちるようにするものの、しっかりと歯を食いしばって耐え続ける。
「ん。中々やるじゃないさね。ボクはもっと出すぞー!」
ハンドルを大きく捻り更に加速していく。ニアは余裕がなくなったようで声にならない音になる。
「もうひとりのボクならもっと耐えられるよー」
「——————んにゃ!」
負けてないと言わんばかりに、ニアは先の持ち手に触れられるよう歯を食いしばって進んでいく。
レッドフィールドの起こす波が何度もバナナボートとニアを打ち上げるが、それをタイミング良く動くことで吹き飛ばされることを防いでいく。
「相棒さぁ・・・・・・」
砂浜では呆れてものも言えない司が溜息を吐く。
「楽しそうで何よりじゃない?」
「まあそうなんだけどさ」
相変わらず砂風呂に入ったまま瞳と話していると、レッドフィールドの位置から大体十数メートル先の地点から艦砲が水に落ちた時のような水しぶきが上がった。
「んにゃ?」
危険を感じたレッドフィールドはバナナボートのそばに停めると後ろに乗るよう指示を出し、その場を離れる。
「もうひとりのボク聞こえるかい?そっちからも見えると思うけど、カオちゃんたちを先行偵察に出来るかい?」
砂に埋もれたままの司は分かっていると返事をしながら、カオちゃんたちに声を上げる。
砂城を作っていたふたりは司の命令を受けるとそれを切り上げて海の上を移動して水しぶき付近で水中に移動する。
「俺も行くから瞳さん砂剥がすの手伝ってくれ」
「松長君が来るまで待ったら?」
「レッドたちが位置的に厳しい。浜にたどり着くまで迎撃する。
「主任。私が先行します」
「すまん!」
ふたりで砂を剥がしている間に海に投げ飛ばされていた木下は海へと潜る。
水の中では戦車サイズの蟹のような姿をした生物がまるでバイクのように縦横無尽に移動していた。
「ぶぶー!!!!!」
こりゃダメだと木下の元へ移動したふたりを敵と判断したのか、蟹は高速で木下へと近づく。
「(挙動からしてBOW・・・・・・?)」
木下はふたりを水上に向かって投げると身体を丸めて防御体制をとり蟹との衝突に備える。
水上に上がったふたりを見て水上バイクから飛び降りて海へと潜るのに合わせて、司も砂を剥ぎ終えたようで、身体の砂を適当に流してから海へと向かう。
「(レッド!蟹の方のヘイト向け頼む。俺はキノを)」
『わかってる』
小型酸素ボンベを取り付けると、司は木下が場所の場所へと泳いでいく。
衝突の衝撃で意識を失ったようでゆっくりと落ちていく。
「(キノ・・・・・・上がれそうにないな)」
司は巨大人工浮島の起動エレベーターの場所へ向かう。
『どこ行くの!?』
「(上がれるほど俺の機動力がない。それにどうしてもいちどは敵の視界内に入るからどう頑張ってもキノの二の舞になる!なら柱のところにあるドアから入った方がいい)」
『・・・・・・分かった。トリシュはボクが使うけどいいね』
「(ああ)」
司は背中に背負ったトリシューラをレッドフィールドへと投げつけると、そのまま柱へと向かい侵入した。