伝説の傭兵
「みぅあみぅあみゃ・・・・・・寝み寝み寝ミントン」
「師匠夜遅くまでキノとお仕事してにゃもんねー」
巨大人工浮島の学校に転校した司たちは食堂で昼食を取っていた。
「塩系の料理が多いから自然と血糖値が上がるの怖いよー」
「カオルのやつはそれ以外のメニューがあるんだから、それ以外を選べばいいのでは?」
「まっちゃんは好きな食べ物あったらそれ沢山食べたくない?」
「身体のことを考えるなら我慢はする」
「まっちゃんみたいに僕は我慢強くないんでねー」
巨大人工浮島では能力の有無、そしてその能力の性能により差が存在する。
その結果がエヴィルたちのような存在を生み、最悪フェイカーたちのような反体制派の人間を生み出していた。
運良く司たちは能力の評価が悪くなく差別されるほどのものではなかった。
「ムギャー!」
「チャー!」
カオちゃんとチェンちゃんは突然姿を現すと、近くのテーブルから割り箸を取り司の皿に手を付ける。
「んなっ!これは俺のじゃい!家で作った弁当食べなさいって言ってるでしょうが!」
「ツメーイャー!」
「冷えにぇるかにゃいにゃって」
「そう言って先週もだったんだよなぁ。しゃあねえ俺が弁当食うからふたりはそれ食ってろ。お代わりはなしな」
ふたりは喜びの舞を踊ると司の皿を奪って手をつけ目にも止まらぬ早さで皿を空にする。
司はそれを子を見る親のように眺めていると、賑わっている食堂が静まりかえる。
「お前っ!譲れって言ってんだから譲れよ!」
「待てばいいでしょう。待つことできないんですか?」
「んだと!ランク0が!」
生徒たちはまたかと無視してそこ場を去っていくとその場には同じ容姿をした男子生徒ふたりと腰まで届きそうな髪を持った少女だけが残った。
「皆さんが空けてくれたじゃないですか。座ってどうぞ」
「きっ!・・・・・・決闘だ!放課後校庭に来やがれ!」
少女は無視して食べ終えると食器を持ってその場を去っていく。
当然男子生徒はその態度が気に食わず、少女の肩を掴み顔を自分の方へ向かせるとその頬に拳を入れ込んだ。
少女は食器から手を離してしまい、服に入っていた汁物が飛びかかる。
「受けないとは言ってないでしょうが。変に答えたら無能力者がって言うだろうから、頷いたつもりだったんだけどなぁ」
落とした食器を片付けると、少女は男子生徒に顔だけを向けて言葉を放つ。
「これでもボクは我慢弱くてね。敵意を向けられたら返さずにはいられないんだ。今度ははっきり言う。その布告受けて立つ」
そう言い切ると食堂を後にした。男子生徒たちは取り巻きに昼食を用意させると、機嫌が戻らないまま食べ始めた。
「にぇ師匠。教室で食べにょ」
気分が悪くなり、空気も悪いこの場所では喉も通らない。
カオちゃんたちの食事も終えたところで、司たちは教室へと戻る。
そして放課後、男子生徒と少女は校庭で再び相対していた。
「ランク0のくせに逃げなかったことは褒めてやる」
「あれだけのことを言ったんだ。ちゃんと受けないとね」
「逃げなかったことを後悔させてやる。システム起動!」
「人が死なないで実戦を経験出来るこのシステム、ほんと便利だね。決闘システム起動」
校庭がシステム内に包まれると同時に森林が生茂り男子生徒と少女の姿は森の中へと消えていった。