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Zな彼女とネクロマンサーの僕  作者: キノコ二等兵
レッドフィールド編
133/194

すべての終わり3

 会話を終えて部屋を後にする2人だが、すぐには帰宅に向かわず拘置所に向かう。


 拘置所では店長との会話に出てきた監視員らしき人物が立っていた。


 2人はその人物に近づくと監視員らしき人物は驚いた表情を浮かべて手を振る。


「おいっすー」


「お、おいっすー?」


 司はその相手が誰かサングラスでよく分からないまま、相手の言葉のままを返す。


「スネークさんが巨大人工浮島(ギガフロート)側の監視員を何故やられてるんです?」


「見慣れてるほうが彼らも信用出来るだろうって事らしいね。追加給与もあるし問題ないけどね」


「なるほど。これから下に連れていくので、護衛お願いしますよ」


「りょーかい。じゃあどうぞってね」


 スネークは独房への扉の鍵を開けると2人を中へと進ませる。松長は特に気にすることもなく、まるでペットショップで動物を探すように1人1人を見通していく。


 それに比べて司はバツの悪そうに入った所で落ち着きなく動いている。


「相手を下に見るのが嫌なのはわかるけど、こっちも仕事なんだ。1人になるようなことはしないでもらえるかな?」


 スネークの言うことは確かだ。いくら政府機関内であるとはいえどこに残党がいるか分かったもんじゃない。


 分かってはいるのだが、彼らから向けられる殺意と敵意が司には耐えられない。


 1人になるわけにもいかず、司は独房への視線を向けずに床のタイルのシミを数えるように松長とスネークの後を渋々追う。


 資料を覗きながら独房を調べていくと、最奥の扉の前で足を止めた。


「スネークさん、鍵を」


 スネークは扉を開けると中の兵士がそれを待っていたと言わんばかりに松長へ拳を飛ばす。


「外が見えない状態から即座に攻撃か・・・・・・」


 兵士の攻撃を軽々と流すと、無理だと判断したのか、スネークを無視して司の首を絞めながら2人から距離を取る。


 だがそれを見越していた松長は即座にその距離を詰めると、兵士の頭を掴んで床のタイルに叩きつける。


「その上俺を無理だと判断するとスネークさんではなく負傷気味の司を狙いつつ距離を離す行動・・・・・・。中々じゃないか。ここじゃなければいいところ行けただろうな」


「くっ・・・・・・」


「殺しはしないさ。わざわざ上と交渉したんだからな」


「どうせ道具としか見るつもりないだろう」


「そう思うならそうなんだろうな。お前の中ではな」


「同情されるほど落ちぶれてはいない。殺せ」


「死にたいなら舌を自分で噛みゃあいい。結局お前は死にたいと言いながら、実際は死ぬ気なんて微塵もないだろ?」


「ゲホッゲホッ・・・・・・まっちゃん言い過ぎだ。それが目的でそいつを出したわけじゃない」


 司は絞められた首を触りながら松長を注意する。


「こんなのは言い過ぎには入らないさ」


「・・・・・・何が目的だ?」


「半年間猶予を貰った。その間に君たちを反政府活動以外のことを教えてやる。ずっと差別されてきた人達に、普通の生活を楽しむ時間をあげるのが目的だ。当然何も変わらなければ排除も仕方ないけどな」


「能力者さえいなければ、差別なんて自然と消えるだろうが」


「そう言う考え方を変えてやるって言うんだよ。過去を忘れろとは言わないけど、武器に触れない道を作ってやりたいんだよ」


「半年間は従順に過ごしてその後また行動を起こすかもしれなくてもか?」


「最悪記憶ロンダリングがある。君の人格をリセットすることだって出来るんだぜ?けどしない。それは変われると司は信じてるからさ」


 兵士はその場で数秒ほどの沈黙の後、口をもう1度開く。


「非能力者が差別されない状況なんて作れるのか?」


「俺んところはほぼ全てが非能力者だぜ?それなのにアットホームな職場だ」


「まっちゃん会話中悪いんだけど、アットホームな職場はブラックが使う言葉・・・・・・」


「・・・・・・多少ブラックな点もあるが、少なくとも戦い以外の道を作ることが出来る仕事であることは保証するぜ」


「・・・・・・・・・・・・分かった。我々非能力者が差別されない状況がそこにあるのなら、それを信じてみよう」


 松長は押さえつけた兵士を解放すると、手続きの為1度独房へと戻す。


「ふう——————まずは1人目だな。次は司お前がやってみろ。当然サポートはするからさ」


 まだ勧誘しなければいけない人間は数十人といる。一々1人ずつやっていても拉致が開かない。だが、それでもやっていかないといけない。適当なこと言って責任を松長だけに押し付けるわけにもいかないと、司は緊張で震えながら、別の扉を開けて交渉を始めた。

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