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Zな彼女とネクロマンサーの僕  作者: キノコ二等兵
レッドフィールド編
131/194

全ての終わり

 会社内の医療ベッドの上で司は3本指で構成された義手を理由もなく眺めていた。


「最低だ・・・・・・俺って」


 腕がなくなった方が何も感じずにいられて疲れることもないと。まるで誰かと共にいることを好ましく思っていなかったと感じてしまう。


「いいじゃねえか。ストレスのない生活久しぶりだろ?」


「確かにそうだけどさ・・・・・・ってまっちゃんに言うことじゃないな。わり」


「ストレス溜まることはあるが、嫌な訳じゃない。司のケースは根本的に違う。常時よく分からない理由での殺意が滲み出でくるなんてキツイったらありゃしない」


 義手は神経が繋がっておらずただ引っ掛けるような棒に近いものだ。腕と呼べるような代物ではない。


「すまないな。オーダーメイド製品だからすぐには用意出来なくて」


 司は気にするなと無傷の左手で親指を突き立てる。


「あの後どうなった?」


「1人1人に尋問はしてるが結果はゼロ。主要メンバーも全滅してるしこりゃどうしようもないな・・・」


「そうでっか。会長グループへの言い訳どうすっかねえ?」


「もう1人のお前が資料をまとめてる。きっとフェイカーを誑かした主犯は見つかるって。俺たちはただ上層部に報告することだけ考えればいいだろ」


 司はせやなとうなづくと、近くの杖に手を伸ばしてそれを支えにベッドから立ち上がる。


「善は急げ・・・・・・善ではないけどさ、出来ることは早く済ませた方がいいし、巨大人工浮島(ギガフロート)に上がりましょうや」


 左足の機能がおぼつかない。側からみると奇妙に見えるだろう。幸いここは知人しかいないため目立つことはなかった。


 すれ違う様に木下と顔を合わせると木下は司に呟いた。


「主任。その様なお身体で・・・・・・?」


「ここで俺が行かなかったら今回あったことが本当がどうか証拠を見せられないだろ?証拠は多くあった方がいいし。それに」


 司は自身の背後を指差すと巨大人工浮島(ギガフロート)で見張っていた兵士数人が隠れる様に追ってきていた。


「なるほど・・・・・・」


「自分に関わる事だろうから変なことはしてこないだろうし、まあ安心しろって。な?」


 そう言うと木下の肩をポンと叩いて松長を追っていく。


 当然背後から来ている兵士たちも木下に頭を下げながら抜けていく。


 社員出入り口でレッドフィールドが1人立っていた。資料はまとめることが出来たようだが、その手には何もなかった。


「マツナガ、資料の方はもう送ったから。キミにはこれを」


 スティック状の媒体を松長に投げ渡す。それを挟むように捕まえるとすぐに自身のバッグに納める。


レッドフィールド(お前さん)は行かないのか?」


「目立った怪我はないしね。それに今もう1人のボクに入るスペースがないし」


「む?それってどう言う意味?」


「体力がないってこと。今もう1人のボクに戻ったら殺意に耐えれずに自決しちゃうかもしれないし」


「まじか・・・・・・」


「だからもう1人のボクが上にいる間は妹たちと一緒に居てあげるよ!」


「ああー逆の方がいいなぁ!」


 怪我人は司の方なので変わることは出来ない。司は渋い顔つきで巨大人工浮島(ギガフロート)に上がって行った。

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巨大人工浮島(ギガフロート)に着き上層部にのいる施設へと移動する。


「俺が行った場所とことは違うなぁ・・・・・・」


「フェイカーを送り込んだ組織が健在だ。反能力者(イコール)反政府な訳だし向こうも攻撃を受けるわけにはいかないだろ?」


「それなら通話で良いと思うんだけどねえ。まあまっちゃんに不利益になるような事は俺はしないよ」


 司のつけている義手が珍しい———いや奇怪な目でチラリと見てはその場を離れていく。本人もあまりその視線はあまり良いものではなく、義手を取り外そうとする。


 外そうとする司の左手を掴むと首を横に振る。


「お前が気にする事じゃない。もしお前を見る以上のことをしたら俺がどうにかするから」


「それなら我慢するけど・・・・・・」


 左手を義手から離して堂々とまではいかないものの、意識を腕に向けないようにしながら巨大人工浮島(ギガフロート)に入り、すぐに目的地へと向かう。


 目的地の場所はテナントがひしめきあう高層ビルで、見た目は松長が運営しているものと類似している。


「まあビルなんて似ているのは当たり前か」


「兵器だって同じものをいっぱい作った方がいいだろ?それと一緒よ、特に俺のはグループのものだしな」


 松長は社員証を事務員に見せると、左奥のエレベーターが開く。


「あれに乗れってさ」


「行ける階がものによって違うタイプか。結構面倒なやつだよねぇこれ」


「防衛面気にしてんだろ。知らんが」


「ほんと」


 松長と司は乗り込むとアトラクションのように斜めに移動したり下に降りたりするエレベーターに耐えながら目的の階へと上がった。

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