終幕3
高い場所から落ちたからだろうか?それともただアドレナリンが大量に出ているからか?痛みを感覚を感じない。致命傷は負わずに済んだもののダメージがないわけではない。血は大量に抜けて貧血の症状が現れ始めていた。
そんな状態を少しでも良い方向に持っていこうと声にならない音をこぼすように呟く。
「落ちどころが・・・良かった・・・」
なんとか身体が動かせるようになると、近くの壁を支えに膝を震わせながら立ち上がる。
「ちくしょ・・・何でいつもやつらは恩人を奪うんだ・・・」
抉られた場所からの出血は収まっていたものの、穴は空いたままで感染症にかかってしまうのも時間の問題だった。
「どうせ帰れないんだ・・・最後までみんな戦うだろうし、元々勝つまで帰れない作戦だった」
戦闘痕が至る所にあり当然死体もいくつか散らばっていた。
死体が持っていた突撃銃を拾い上げ弾倉を確認する。
「弾は・・・あるか。同じ目に合わせて・・・」
ベルトを巻きつけて追加の弾倉をまとめると移動を始めた。
銃声は止み戦闘は終わりを迎え始めていた。フェイカー及び主要人物が死亡し、人質さえいない状況かつアウェイ環境だ。投降するのも無理はない。生き残った数名はマツナガの会社員に輸送されていく。
「そんなことどうでもいい・・・レッドフィールドはどこだ」
自身と同じような負傷者はごまんといる。出血による肌は白くなり、遠目では認識出来るものではなかった。それに加えて携行武器まで同じものとなれば気づけないのも無理はない。
「・・・・・・!見つけたぁ・・・・・・」
思わず笑みが溢れる。その視線の先にいたのは,司とそれを運ぶ雷電だった。
右腕は損失しているため肩担ぎが左側になっており右側がガラ空きになっている。
銃口が司へと向けられる。近くの兵が銃口先を認識しきる前に銃弾は司へと放たれた。
その銃弾が届く前に発砲者は銃声を聞いた者たちによって蜂の巣に変えられた。
撃たれた人間———ネオスリーが最後に見た景色は確かに司が地面に倒れる所であった。
・・・・・・しかしそれはネオスリーが見た希望的景色であり,未来であった。