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Zな彼女とネクロマンサーの僕  作者: キノコ二等兵
レッドフィールド編
127/194

二重同調

「(負けた・・・・・・)」


司の全神経がそう判断した。エンジンを切った車のように動きを止め、ただ殺されるのを待つだけだった。


「(ごめんなレッドフィールド・・・モモ、クルミ・・・)」


フェイカーのとどめが司に決まるところで何かが槍で防いだあと何処かへと吹き飛んだ。


「・・・・・・!」


「・・・カオちゃん!?」


吹き飛んだ何かはまた司の前に飛ぶと、チェンちゃんとともにフェイカーの前に立ち塞がった。


「レッドフィールドの化け物か!」


盾を構えてつつ誘導ミサイルをばら撒く。


「もうだめなんだよ。2人とも・・・俺に構わず逃げてくれ」


カオちゃんとチェンちゃんは唸ると手に持った槍と鎖を回転させて全てを迎撃した。


「2人とも・・・・・・」


チェンちゃんは振り向くと自身を指差し何かを伝える。


「出来るか・・・?ブックスもない状態で・・・」


やるしかない!そうチェンちゃんは言ったように感じた司だったが、諦めた心を元に戻すのは難しいものだった。


「チャッ!」


鎖で司の頬を叩く。驚いて諦めていた心が揺らぐ。


「痛っ・・・!」


それでも司は動かない。しびれを切らしたチェンちゃんは司の首を締め上げた。


「がっ・・・・・・!」


司の頭から空気が抜けていき。視界が歪んでいく。


「がっっきゃぐうッッ!!!!!」


司の荒療治を行なっている間、カオちゃんは摑みかかるようにフェイカーの攻撃を迎撃していた。それを見てもまだ動かないのかという感情がチェンちゃんの鎖を通っていく。


「・・・・・・ぎゅく!」


鎖の圧迫で血が滲み出る。これ以上締めるとダメだというところで鎖を緩める。


「がっく!・・・・・・はぁはぁはぁはぁ・・・・ごめんチェンちゃん。やってやる・・・頭がスッキリした」


喉の血を呑み込み口を開いて意識をまとめる。


「二体の悪魔今ここに列をなす!同調契約!来い!混沌幻魔カオスデビルっ!」



司の詠唱を止めるべくフェイカーから大量の光弾が司に降り注いだ。


蒸気と衝撃で煙が上がる。手応えのない状況だったため、フェイカーは盾の光弾を放ちつつ小機関銃の弾倉を入れ替える。


煙が薄れていくことにつれて手足を鎖で繋がれている悪魔が姿を現した。見た目はレッドフィールドの呼び出した使い魔に酷似していた。


「がっぐっ・・・・・・!」


出力に身体が耐えられず血を吐き出す。口だけでなくまるで右目に溢れる涙のように血が溜まっていく。


「ぐっ・・・・・・はぁはぁ・・・」


フラつきながら何とかフェイカーへと視線を向けると、呼び出した使い魔へと指示を出す。


使い魔の槍とフェイカーの小機関銃から吐き出される光の刃がぶつかり合うと即座に次の一手が繰り出される。


司はその攻撃に参加出来れば確実に有利な状況になるだろうが、使い魔を動かすだけで本人への負荷は激しさを増していく。


使い魔が腕を1つ動かす。左膝の肉が破裂する。フェイカーの攻撃を弾く。背骨が変形し皮膚を突き破る。


身体の悲鳴は激しさを増していくが、使い魔の攻撃が終わるまで止まらない。


使い魔の槍が限界を迎えて分割され、そのまま身体を引き裂く。


傷は即座に修復を始めていたものの、フェイカーを止めるには間に合わない。


フェイカーの最後の一撃が司へと振り下ろされる。


しかし、それが届くことはなく逆にフェイカーは距離を取っていた。


「裏切ったのか・・・!?女ぁぁぁあああ!!!」


司を救ったのは、右腕を失ったはずの瞳であり、そして移植された右腕を使い矢をフェイカーへと放っていた。


「あなたには救われた・・・!今でも感謝しています。ですけれど、私は瞳である以上司くんに返さなきゃいけないんです!」


「(今しかない!)同調契約(シンクロフォーム)!!!!!」


修復途中の使い魔を身に宿すと、槍を握り噴き出る血飛沫にも目もくれずにフェイカーへの距離を詰める。


矢に意識を持っていかれていたフェイカーであったが、近距離で起きていることの把握が出来ないわけではない。


小機関銃から大量の弾が放たれる。司は避けることもせずに突貫をかける。


血に染まっただけなのかわからないが右目が赤くなり、逆に左目はギャップを感じる程の、そうそれはまるで蒼穹と言っていいほどの青い色に変化した状態で、フェイカーの腹部へと槍を吸い込ませた。


「があああああああ!!!!!!」


「んんんんんんんん!!!!!」


雄叫びにも似た2人の声は2度目の槍刺しを持って終了した。



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