ドッペルゲンガー2
数日後、監視員の男が司の事務所へ足を運んだ。
「まだ仕事は休みでよかったんじゃなかったか?」
「今回は仕事じゃない。ただ話に来ただけだ。ここ最近お前の家の前で1人の人間が家を覗いている」
司はパーカーを着て男性状態で男と話をしていた。
「目的は・・・分からないよな。分かってるならただ話に来たっていう言い方しないもんな」
「そういうことだな。排除も考えたが殺気を別方向から感じたのと排除先の人間はこちらに見向きもせずずっとそちらを見ていた」
「俺が目的と」
「多分な。警戒をしておけという事が言いたかっただけだ」
そういうと立ち上がり事務所を後にする男を事務所一階の窓から司は見ていた。
「俺がここにいるってわかってるのは、巨大人工浮島とまっちゃんたちだけだ。だから他の人だったらまず出る気は無いけど・・・」
司が記憶をたどっているところで何かが窓ガラスを破り司を巻き込んだ。
「がっ・・・・・・!?な、なにが・・・?」
『殺気・・・!もう1人のボク!敵だ!早く立ち上がって!』
「ほ、方向は・・・?」
『いいから!』
なにか———司は認識出来ていなかったが人のようだ———を押し退けて事務所の奥へと走り込む。
「っくそが・・・何だよ・・・」
拳銃を取り出して弾倉をポケットに入れつつ反射板で窓ガラスの方を覗く。
「俺が下がったのは物を投げつけた時点で分かってるだろうな」
『監視の人たちはなにしてるんだろうね・・・どうせ攻撃してくるんだから外に出る?』
「分かって言ってるだろ?」
『あれま、気づけるようになったんだ』
「注意受けてるしな。攻撃を仕掛けたんだから逃亡を防ぐために全方位を囲んでそうだ」
『じゃあ突っ込む?』
レッドフィールドのトチ狂った言葉に笑ってしまう。しかし確実に敵がいるというのが分かっている窓ガラスが1番安全と判断して机から身体を出す。
攻撃はなく静かだった。出た瞬間狙われるのだから、カオちゃんとチェンちゃんと共に一気に距離を詰めて外へと飛び出す。
「後方警戒!」
「チェッ!」「ギャオ!」
着地の瞬間熱が足を襲い悲鳴が漏れる。
だがこれ位は予想済みなので痛みに耐えながら道へと走り出して監視達へと向かう。
狙撃はどこからされたんだと全方位を見渡すが分からない。銃声がなかったところから消音器だろうか?
「レッドフィールド、攻撃が何かわかるか?」
『熱光線だと思うけど、あれだけ小さい穴だとサブマシンガンかな?そんなサイズで撃つんだったら結構近くにいそうだけど・・・』
「熱光線・・・ビームみたいなのか?」
レッドフィールドとの会話をしている司の前にゼロツーが現れる。
「ぜ、ゼロツー?何で!?」
「僕もいるよー」
背後にゼロスリーが現れる。通れる道が塞がれてしまった。
「何でお前らが・・・もう俺たちが殺しあう理由はないだろ」
「あなたになくても私たちにはある。さあ司君その身体を貰うよ」
右手の方向から死んだはずの少女が飛び降りてきた。そう。もういないはずの瞳だった。