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Zな彼女とネクロマンサーの僕  作者: キノコ二等兵
レッドフィールド編
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巨大人工浮島《ギガフロート》2

巨大人工浮島(ギガフロート)は現在世界中の大陸にちなんで名前を付けられている。


ユーラシアのみはその大きさから大陸ではなく地域で分けられているため、大型の物だけで6つ建造されている。そしてこれは海のみでの話だ。


これに加えて空と圏外圏を含めれば十数基建造されており、それの領海や領空を増やす為の小型のものもある。


しかし国際的には巨大人工浮島(ギガフロート)は国家としては認められていない。それば全てが人口物で建造されているからだ。


ここで政治的な話をして変わるわけでもない。この程度で辞めておこう。


そして司の来ている場所は大型巨大人工浮島(ギガフロート)のアジア・シーフロートだ。ここで司は日々1人働いていると言うわけだ。


好きなことも出来ずただ日々を堕落しているある日、司をこのような境遇にした松長の上層部に呼ばれた。


設計図の変更点についての詳しい説明のようだ。


司はブルーカット仕様の伊達眼鏡を付けてプロジェクターに映された設計図に対して説明をしていく。


「特に必要のないと思ったのはこの腕部の隙間ですね。何ですかアンカーナイフって。複合兵装は便利ではありますが、整備性は悪いし、隙間に取り付けるからアンカーとしても最大距離が短くて、アンカーとしての効果が薄いです。それをするぐらいならオプションで追加の方が飛距離も整備性も高いと思いますよ」


「ふうむ・・・良いところもレッドフィールド氏は書いていたなあれは?」


タブレットのないの設計図を捲りそれを映す。


「拡張性に関しては目を見張るものがあると思います。自分も同じようなものを作成していたことがあったのですが、このオプションのテールブースターは360度回転出来て、身体の向きはそのままに反転出来るのは非常に良いと思います。あとこの背中の懸架部分、現状の兵器全てを取り付けることが可能なのは高得点です。これのおかげで武器を外せばそのまま作業にも転用出来る程いいものだと思います」


「そうか・・・・・・レッドフィールド氏、今日まで休みなく働いてもらって感謝する。折角巨大人工浮島(ギガフロート)に来たのだ。少し遊んで行け。1週間後別の仕事と派遣員を追加する。1人はさみしいものな」


内心ではやったぜ。と思いつつ表情には出さずにただあくまでも冷静にありがとうございます。と言うと、資料をまとめて会議室を後にした。


なかではすぐには解散せず先ほどの資料を上層部は覗いていた。


両目を髪の毛で隠す黒髪の男は口を開く。


「こいつ、能力者用の設計図も用意していたようだな」


『設計者の思いでアンカーナイフ用の空間を空けているのならそこに能力の出力を上げる薬剤とかでもいいと思います』と殴り書きの形で書かれていた。


「否定しつつも、残す場合の利用方法も一応考えてる。流石はレッドフィールド女史だな」


「なんだぁ・・・?あれが女に見えんのか?おめえの目腐ってんじゃね?」


アルビノの少年がそうたずねると、腰まで伸びた髪を持つ少女が機械的に答える。


「中の人の事だ。ステルス系実験の賜物だな」


「フェラかフェルかよく分からんが、旧世紀にあったと言われている実験とこれに何の関係があんだよ?」


「私は知らん。私の出来ることは鎖を出すだけだからな」


「はいはいいつもの『私難しいこといっぱい知ってますよ』アピールかよ。説明できるようになってから言えってんだ」


「そんな奴に劣る頭しか持たんお前には言われたくないな。自称ランク5君」


「てめぇ!表出ろ!」


アルビノの少年は怒り心頭とばかりに顔を赤くして扉に指を指しつつ、少女を睨みつける。


「いいだろう。またいつものように痛めつけてやる」


売り言葉に買い言葉。2人は互いに睨み合い席を立ち上がる。そんな中、顔を隠した少年が心底面倒くさそうに口を開く。


「何んでそうお前らはいつもいつも喧嘩ばかり。そんな元気はベッドの上でやってくれ」


「クロ・・・それは下品じゃないか?」


店長(みせなが)俺はここで暴れんなって言っただけだ」


「いや、今の言葉のどこにそんなんあるのさね」


「それはお前に読解力がないだけだろ」


「そうかも・・・んなわけあるかぁ!」


顔を隠した少年———クロは僅かに見える口元に笑みを浮かべてその反応を楽しんでいた。


「はあ・・・話は変わるが例の人物の調査は進んでいるか?」


店長の一言に全員の表情が硬くなり遊びの一切ないものへと変わった。


アルビノの少年は手を上げて答える。


「現在把握出来ているのは、そいつが異世界にいたシフィルって事だ」


「戦争後行方をくらませていた奴が今になって現れた?」


「普通に観光かもしれんぞ。友好国とまではいかなくとも、国交があるのならこちらに渡航して来てもおかしくはない」


「だが仕事をしていると言う情報もあるにはあるんだよな」


「へえ。どんなのだ?」


「少女の護衛とかなんとか。さっすが百合騎士の2つ名は伊達じゃないねえ」


「随分と可愛らしい2つ名だな」


「俺がつけたわけじゃねえし、戦争中に見たやつらがって話だ」


アルビノの少年これ以上は知るかよと首を横に振りながら答えた。


そんな中、ノック音が鳴り全員の意識がそちらにいく。


「葱元さんに時間なのでと・・・」


「まじそんな時間か・・・んじゃ俺仕事に行くわ」


アルビノの少年は立ち上がると手を振り部屋を出て行く。


3人も特に話すこともないのか、3人では意味ないのか各々外へと出ていく。


最後に外へと向かった店長は空調機の方を向くと、呟くように声を出した。


「1つの製品だけで不必要だと言って切りはしない。そこは安心してくれ」


そう言い残し部屋を後にした。


誰もいなくなった部屋の空調機がガタガタと揺れると、そこからカオちゃんが現れて僅かに声を出すと、片手に持った携帯と共に姿を消す。


携帯先は司———レッドフィールドの方だったようで、レッドフィールドは店長の所有するビル内の食堂でそれを見聞きしながら、こちらの行動を読んでいたことに冷や汗を掻いていた。


「(流石巨大人工浮島(ギガフロート)のトップ立てるお方だ。こんな小細工簡単にバレるな)」


携帯をポケットにしまうと、買っていたコーヒーを飲み干して、外へと出て行った。



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