表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Zな彼女とネクロマンサーの僕  作者: キノコ二等兵
レッドフィールド編
103/194

会社へ

「主任それ以上は来ないでください!気持ちはわかりますが、今争うわけには!」


「うるせえお前は黙ってろ。今回の誘拐、まっちゃん・・・マツナガが仕組んだんだろ?ボスに俺が瞳さんを助けられなかったことを伝えて、そして詳細は無しでな」


「そんなことあの人がするわけがないでしょう!」


「ちょっとイタズラにしては過ぎたな」


「師匠!今にゃら!」


「ニア・・・今の俺は妹が最優先だ。敵対するなら容赦はしない。殺意を使えばお前と戦える」


妹たちをゼロツーに送ってもらい、司はどこからともなく現れた雷電と合流後、会社へ到着した。


「俺がキレてんのは俺を吹っ切れさせる為だとはいえ、妹たちを使ったことだ。結果的にこの殺意を抑え込めるようになったけど、妹たちが危険な目にあったのは確かだ」


一歩前に踏み出す。2人の警戒は強くなる。


「あいつらが望んで協力したとしても、頭の中では理解できても、ここまでは納得いかないんだよ。そして瞳さんだ」


「師匠!」


「うるせえ!トリシュや自称オリジナル、そして敵対した人たちをあれだけ殺してなんとか助けた瞳さんを右手に移植しやがって」


「そうしなければ主任は———」


「義手でも良かった。生活に支障はあるだろうけど、それだって慣れたらいける。他人の移植は怖いんだよ。分かるか?知らない記憶がいつのまにか元々持っていた記憶になる感覚が。あの包帯は実際には俺から殺意を目立たなくさせるのは二の次で、実際はその精神汚染を防ぐのが目的だろ?」


ニアは特に知らないようで首を傾げていたが、木下は表情を一切変えずただこちらを見ていた。


「主任———もう一度言います。今日のところはお引き取りを」


「1発殴らせてくれればいい。頼む」


木下たちは動かない。司と同じ頑固なようだ。司の足は止まり2人は見つめ合う。


『通せ。司が言うことも理解出来る』


近くのスピーカーから松長の声が聞こえた。しかしその声は機械のようだった。


「まっちゃんが呼んだんだ。良いだろ?」


「・・・通しはします。ですが私を側に置かせて貰いますよ。仲違いは見たくありませんから」


「ニアも〜」


「そういやカオルは?」


そう呟くと、またスピーカーから声が聞こえた。


『木下さんがいないから僕が働いてる。用事が終わったら一度こっちにも顔だしてね』


カオルは来ないようだ。松長のいる部屋に入るとニアと木下を外に出るよう手で合図を送る。


「社長」


「いいんだ。司がそう言うことすると思うか?」


「キノでにょ?ニアは師匠信じてる」


「・・・・・・」


渋々部屋を出て2人になった。司は一度深呼吸をしてから口を開く。


「何で瞳さんを使った?それだけじゃない。なぜ移植したんだ」


「瞳が望んだんだ。「どっちにしろ私は死ぬ。赤街君もこのままでは・・・」って。実際お前は危険な状態だった。2人死ぬのと1人だけ死ぬ。どちらを取るかと言われればこうもなる」


「他の手段だってあった!」


「義手などのことか?作成する時間はなかったし仮に作れたとしても、間に合わん。それにな今までも言ってるが反論するなら代わりの代案を出せと言ってるんだ」


「・・・くっ」


「それにもしあのまま瞳を延命治療をしてみろ。ただ生きているだけだ。動くことも出来ないし、ただただ点滴を使って生きているだけだ」


「でも・・・・・・それじゃ俺の行動は・・・・・・全部無駄に終わったってことじゃないか」


がくんと膝を崩して倒れこむ。肩を震わせてながら涙を流す。


「あいつに・・・っオリジナルに任せておけば死ぬことはなかった!全部空回りだよ」


「司・・・」


倒れこむ司の肩をポンポンと叩いて落ち着かせる。


「もういいや・・・良かれと思って人を殺すくらいなら・・・もう1人の俺に返すよ」


「?どういう意味だ?」


「まっちゃんごめん。もう俺疲れた」


それを最後に機械のように身体が動きを止めた。


「司・・・おい!戻ってこい!」


「・・・うるさいな」


司は心底面倒くさいと顔に出しながらまっちゃんの腕を払い、壁に寄りかかる。


「一瞬寝るのだっていいじゃねえか」


「あ、ああ・・・そうだな。すまない」


違う。これは司の真似をしてるだけだ。同じ顔でも同じ状況でもそんな表情はしない。松長の心がそう叫ぶ。


「話すことは取り敢えず終わりだ。これ以上話したって瞳さんが戻るわけじゃないからな」


「すまん待ってくれ。ひとつだけあるんだ」


「なんだよ。俺は仕事をしなくちゃならないんだが?今までの分を取り戻すためにな」


唾を飲み込み息を吐き出して司へと伝える。


「お前はこれから巨大人工浮島(ギガフロート)に行ってもらう」


今の司は見た目は司だが別人だ。本部からの指令とは言えどう答えるかはなんとなく察しはつく。俺の知ってる司なら妹たちを見れなくなるからパスという筈。


「了解・・・こちら司、行かせてもらうぜ。妹たちと別れるのは嫌だが、完全に殺意が消えてる訳じゃないからな。それに上の命令となると行かないとトリシュや瞳さんみたいになるかもしれないから」


司は感覚を切っている筈の右手で扉のボタンを押すと挨拶もそこそこに部屋を出て部下たちに頭を下げた。


「今まで迷惑かけたなお前ら。これから手伝えそうだ」


扉が閉まると松長は引き出しを開けて写真を見る。


「司・・・・・・すまない」


写真を戻すと別の引き出しを開き何かの資料を出し、ペンを片手に資料に書き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ