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Zな彼女とネクロマンサーの僕  作者: キノコ二等兵
レッドフィールド編
100/194

司とゼロワン3

時間はゼロワンが壁に叩きつけられた時まで遡る。これほど短いのだから遡るというのは些か違和感を覚える。時まで戻るとしよう。


それ以前から多分司の意識は出ていたのだろうが、気配が感じるだけで司自身もまだ起きてはいなかったと考えられる。


「(戦い方・・・教えなきゃよかった・・・私の上限はゼロスリーと比べて低い。教えていなければこんなに圧倒されることも無かったろうに・・・ははっ、ほんとお人好しだなぁ・・・)」


瓦礫とともに地面へと倒れこむと喉に詰まった血を吐き出すことも出来ず、かといって動けば今度こそ殺される状況だった。


——————声が聞こえた。


微かで力ないものだったが、それが聞こえるように意識を集める。


『お・・・人を・・・た俺!う・・・なら・・・やる』


少年の声が聞こえた。これがゼロツーが反応していた少年の事だろうか。記憶として持っていてもそれはゼロワン自身の記憶でもあり、男が、少年がいるという感覚は無かった。


そういう話があるから、それに合わせていただけだ。一人称がころころ変わっていたのもその為だ。女性に対する殺意はゼロワン自身もよくは知らず、ただ憎しみを感じていただけで。


胸ぐらを掴まれるような感覚が襲う。実際は掴まれてはおらず、そのようなイメージがあるだけだ。


「くっ・・・」


「あれだけのことが出来るんだろ?なんであいつぐらいに苦戦する!ゼロツーに対して出来たんじゃないのか!」


「そう毎回毎回出来るわけないでしょ。特にあの時は身体の調子が良かったんだ。今とは違う」


少年は左腕だけで胸ぐらから首へと変えて強く締める。しかし見た目が強く締めているように見えているだけで、実際は触れている程度のものでしかなかった。


「俺にこんな殺意を与えておいて——————」


ゼロワンは少年と同じように左腕だけを使って腕を払いのけると、強めの口調で非難する。


「君が極端に弱いくせにでしゃばるからだ!それに殺意のことは知らない。君自身の奥底にあった感情なんじゃないの?」


その瞬間2人は互いに苦悶の表情を浮かべて膝を付き腹部を抑える。


現実でゼロスリーの攻撃を受けたからだろう。


「・・・もう1人の俺。手を貸せ」


「未来を読む上実力でも負けてるんだ。どう頑張っても」


「ギリギリまで突っ込んでくれれば、あとは俺がやる」


ゼロワンは諦めた目をしているのに対して、少年はまだ諦めていなかった。


「未来が読めるっていう事実が分かればやれる・・・やれないこともない、かな」


「・・・・・・分かったよ。近くなったら君を表に出せばいいんだね?」


「出すまでは必要ない。腕だけ使えるようにしてくれればいい。勿論、お前もやるんだ」


「あっなるほど・・・・・・」


「俺が分かってるんだから、お前にもわかると思ったよ。奴に一泡吹かせてやろうぜ?もう1人の俺」


ゼロワンの意識が現実へと引き戻される。痛みはあるが動けないわけではない。やれる。


ゼロワンはゼロスリーへと走り込み2つの凶器で攻撃を仕掛ける。当然、その先が見えているゼロスリーは当たる場所に小太刀を置き、弾く体勢だ。


『俺を少し出せ!』


ゼロワンを誰かが引っ張るような、別の腕があるような感覚が生まれたと同時に、攻撃を放った。


僅かなズレしかなかった為決まりはしなかったが、精神的な攻撃は出来た。


そうだここからが逆転の鍵だ。

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