表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バーチャルwar  作者: ムーンライズ
8/34

料亭こまち

 長官室


「情報部高橋少佐であります!」

 高橋は敬礼をし菊地は答礼する。


「大変遅くなってしまいましたが先日の案件の

 ご報告に参りました」

 案件とはレーダー技術に関する事であった


「ガルーナ帝国におきましてもレーダー技術は

 超極秘扱いのようで中々情報を得られなかった

 のですが、先程ユカラシア国に潜入している

 諜報員からの情報でガルーナ帝国のレーダー技術

 の基礎を創った人物らしく、名前はオリバー、

 現在はユカラシア国でガルーナ軍により監禁

 されているようで妻と子供が一人おりますが

 オリバーとは別の場所で同じく監禁されている

 ようです」

 

「監禁場所は分かっているのか?」

 菊地の質問に高橋少佐が地図を広げながら

 指を差し答えた。


「ハッ!ここのタサラの街にある学校に居る

 模様です」

 

 タサラの街は海岸線に面しており、幸いにも

 日本側に面していた。

 菊地は地図を眺めながら言った


「とうだろう?少人数で行って助け出せない

 かな?」

 小野と高橋は顔を見合わせて驚いていたが

 菊地はかまわず可能性を探る。


「小野少佐!海軍には飛行艇があったよな?」


「ハッ!二式飛行艇がございますが」


「飛行距離はどれくらい飛べる?」

 菊地の質問に小野は答えていく

「約五千だと記憶しております」


「我が軍の最前線基地は何処だ?」


 小野は地図を見ながら答えた

「ここのリング島であります、ここには

 第六水雷戦隊の前線基地基地があり

 軽巡一隻と駆逐艦四隻が配備されております」


 菊地は考えた、レーダーが無ければいくら

 機動部隊を造ったところで優位に戦えない

 レーダー技術は必要だ。

「小野少佐、この海域に駆逐艦を待機させ

 海上で二式飛行艇に補給させれば燃料は

 問題ないよな?」


「ハッ!可能であると思われます」


「海軍には陸戦をやれる奴はいるのか?」


「ハッ!海軍陸戦隊がありますので腕の良い奴を

 選抜し二班か三班編成しましょう。

 二式飛行艇も不測の事態を考え二機ないし

 三機を投入し万全の体制で望みましょう」


 いつの間にか小野が乗り気になっている姿を

 見て菊地と高橋がニヤリと笑った。

 それに気づいたのか小野は顔を赤くして

 照れていて。


「では作戦の詰めは小野少佐と高橋少佐に

 任せる、私もこの作戦に参加する」


 それを聞いた小野と高橋は散々止めたが

 説得しきれず最終的には高橋も一緒に参加する

 方向で決まった。

 作戦決行は三日後と定められた。

 おおかた話しが一段落つくと高橋がもう一つ

 報告した、それはラーズ島沖海戦の

 戦果報告の話しであった…

 また時を同じく料亭「こまち」で密談する

 二人の姿があった。


 料亭  こまち


「これが今し方入手致しました新造艦と改修艦の

 資料であります」


「菊地めちょろちょろしをって、奴は本当に

 航空機で戦艦と戦おうとしておるのか?

 面白い奴だ」


「ハッ!その資料によりますと戦艦の建造は

 書かれておりません」


「それではこちらの好都合ではないか」


「ハッ!どういたしますか?この事を本国に

 連絡致しますか?」


「いやしなくて宜しい、戦争が始まってから

 諜報部が活発になっている。

 無駄な通信は控えた方がいいだろう。

 むしろこの事を明日の会議で上手く使えば

 内部分裂を有り得るかもしれんな。

 それよりも例の作戦について本国から

 何か言ってきたか?」


「ハッ!当初の作戦通り決行との事で日時を

 厳守せよとの事であります」


「よし!分かった、今から楽しみだな

 奴らの驚く顔を見れないのは残念だが

 仕方ないか。

 横の連絡をしっかりとり、事に当たってくれ」


「ハッ!」



 翌日  会議室


 今日の会議はラーズ島に孤立している民間人と

 駐屯している海軍陸戦隊の現状報告と以後の

 対応策が議題であった。

 いつものように作戦部の山形少佐が始めようと

 すると副長官の梅田中将が先に話し始めた。


「ちょっと先に宜しいですかな?長官、昨日

 造船会社の各社を呼び出し新造艦の発注を

 我々に一言も無くしたと言うのは本当

 でしょうか?」

 会議室がざわついた、会議室には副長官と参謀

 砲術参謀長といった各科の参謀長が列席して

 いる。各参謀長は補佐として参謀が付いている。

 ちなみに小野少佐は長官付の参謀長である。

 長官だけは参謀長と参謀が二人付くが参謀の

 席は空いている。

 梅田中将は周りがざわついていても話しを

 続けた


「発注が戦艦で急を要するからと言うのであれば

 まだしも、何ですか!航空母艦とは?防空艦

 とは?長官は航空機でガルーナ艦隊と戦う

 おつもりですか?航空機で戦艦を沈める

 おつもりですか?そこの小野少佐に何を

 吹き込まれたのか知りませんが即刻発注を

 止めて戦艦を建造して頂きたい」


 会議室に集まる面々は梅田中将の話に相槌

 をうって同調している。会議室の中には

 菊地と小野の味方をする者は居なかった

 言われっぱなしの菊地が口を開く。


「今、梅田中将が言ったのは全て事実です。

 無断で発注したのは、今のこの会議室の雰囲気

 でわかるように航空機の可能性を理解しよう

 ともしない人達に説明しても時間の無駄でしょう

 私は戦艦の時代は航空機と航空母艦をもって

 過去の物になると信じています。いやもう結果

 がわかっていると言っても過言ではない。

 私が長官であり続ける間はもう戦艦の建造は

 あり得ないでしょう。

 梅田中将は航空機で戦艦を沈められるのか?

 と聞きますが、議論したところで平行線は必死

 それならばどうでしょうか?

 一度黙って私のやりたいようにやらせて頂け

 ませんかね?私は指揮官第一線主義ですので

 作戦には先陣を切ってたたかいます。

 失敗すれば自ずと私は居なくなります。

 その時はまた梅田中将達が仰られる大鑑巨砲

 に戻れば宜しいでしょう。

 なんなら中央艦隊の指揮権を梅田中将に譲っても

 構いません、司令長官の席は譲れませんが

 私はこれより独立艦隊を編成する予定でいますし

 何より私は砲雷戦に詳しく有りませんので

 戦艦群の指揮官は無理でしょう」

 

 その後、話しは平行線を辿ったが菊地が提案

 した内容で話しはついた。

 中央艦隊の指揮権だけは梅田中将が握る事で。

 話しは大きく逸れてしまったが本題であった

 ラーズ島の件は現時点では艦砲射撃により

 精製所や貯蔵タンク、飛行場は壊滅的被害を

 受けるも人的被害はさほど無く艦砲射撃も

 一度きりでその後は海上封鎖をしていると

 言うことなので必要物資を空中から投下

 して少しの間凌ぐ方向で話しはまとまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ