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バーチャルwar  作者: ムーンライズ
11/34

オリバー作戦3 

 中尉の指示で一個分隊六名が格納庫に向かって

 走って行った。分隊長のビズリ軍曹は足元が

 おぼつかないながらも先頭を進んで走るが

 アルコールのせいで息が続かない。

 振り返り部下の様子を見ると同じように息が荒い

 中には急いでいて銃を持たないでついて来るのも

 いた。ビズリ軍曹は普段は注意深い性格で敵襲

 かもしれないというときに滑走路のど真ん中を

 何も警戒しないで進んで行く男でわなかった。

 後方から探照灯の光が格納庫を照らしだした。

 残り約四十メートルほどの所でビズリ軍曹は

 格納庫の横手からチカッチカッと発砲炎を目に

 した。「伏せろっ!」とっさにビズリ軍曹は

 部下に叫んだがもう遅く何名かは後方に吹っ飛ん だ。ビズリ軍曹はうつ伏せになりながら周りを

 見て「フッ」と笑った。それは残っているのは銃 を持たないで走ってきた奴だったからだ。

 ビズリ軍曹はその後、意識を失った。


 管制塔の機銃座に数名の兵士が配置に着く。

 探照灯を点けて格納庫を照らす。

 下の方では滑走路を走って横切る数名の兵士が

 見える。

「まさか大佐が来るとは思わなかったな」


「ああ全くだ、きっと中尉はどっかに飛ばされるな

 下手すりゃオリバーに何かあったら軍法会議もん

 だろう」


「俺達は大丈夫かな?」


「末端の俺達は大丈夫だろ」


「オイ!あいつら倒れたぞ!敵だ格納庫だ!」


 探照灯を照らしている兵士が叫ぶと今まで喋って

 いた兵士が機関銃を撃ちまくる


「クッソ!レジスタンスめ全員吹っ飛ばしてやる」


 物凄い勢いで空の薬莢が飛んでいく。

 格納庫は次第に穴だらけになり土埃が舞う。

 そこにテーラ大佐が階段を駆け上がってきた。


「バカヤロー!オリバーに当たったらどうする!

 貴様らここから突き落とすぞ!よく見て発砲

 してる奴らだけ狙え」


 そう言い残しテーラ大佐は下に降りていった。

 下では遮蔽物が無いためお互いに滑走路越しに

 銃撃戦を繰り広げていたが、そこに三台の

 トラックが立て続けに滑走路を突っ切って格納庫

 に向かって行った。トラックは激しい銃弾を浴び

 格納庫の手前四十メートルほどで擱座させられた

 するとターミナルから沢山のガルーナ軍兵士が

 トラックめがけて飛び出していった。



 菊地は高橋と吹田にオリバー家族を任せ山田達と

 外に向かった。外に出てターミナルの方を覗くと

 探照灯の光が逆光になってよく見えづらいが山田

 は敵兵が数名向かってきているのに気づき部下に

 指示を出して迎え撃つ。山田達の短機関銃が吠え

 るとガルーナ兵はバッタバタと倒れ込んだ。

 すると管制塔の上から重機関銃が撃ち降ろしてき

 て山田達は格納庫で身を隠すが容赦無く弾丸が

 降ってくる。辺りは土埃が舞い格納庫は穴だらけ

 になっていく。中にいた高橋達はたまらず外に

 出てくる。上からは重機関銃、ターミナルからも

 沢山の銃弾が撃ち込まれてきて菊地達は格納庫の

 裏から身動きが取れなくなっていた。

 そこにターミナルの脇からトラック三台が滑走路

 に突っ込んできた。陸戦隊員がトラックに向かっ て短機関銃をぶっ放すがトラックは直進してくる

 山田は手榴弾を壁に叩きつけトラックに投げつけ る。他の隊員達も山田に続いて手榴弾を投げる。

 すると先頭のトラックの後輪で爆発しタイヤが  吹っ飛びトラックは横すべりしながら滑走路を

 えぐりながら止まった。二台目のトラックも爆発

 によって弾みながら先頭のトラックにぶつかって

 止まり、三台目は運転手がやられたのか格納庫の 脇を通り過ぎ森の茂みで止まった。

 山田はトラックの荷台にガルーナ兵が乗っている

 と思い荷台に短機関銃を撃ち込むがどうやら荷台

 は空っぽのようだった。ホットしたのもつかの間

 で今度はターミナルから一斉にガルーナ兵が

 トラックめがけて突進してきた。

 ここでトラックの位置を取られると距離が四十

 メートルほどになってしまう、山田達もトラック めがけて走って行こうとしたが管制塔からの掃射 で前に進めない。

 山田は冷静に考え、ここは無理をしないで一旦

 下がって菊地達に報告に戻る事にした。

 状況はかなり不利な展開に成りつつあった。

 吹田が「森に逃げますか」と提案するが誰も賛成

 しなかった。確かに格納庫の裏手は森になってい

 るが、かなり深い森のようなので今は逃げ切れた

 としてもその後の生存率はかなり低い、それは

 本当に最後の手段にする事ととした。

 菊地はさっきから時間を気にしていた。


「もう少しのハズなんだ!誰だ無線機持ってるの?

 無線機を用意してくれ。山田大尉すまないがもう

 少し時間を稼いでくれないか?」


「ハッ!わかりました」そう言って山田は部下に

 指示を出し左右に展開して森の茂みに入り、

 トラックを越えて来た奴らだけ撃つ事にして弾薬

 の消費を抑えるように指示した。

 陸戦隊員は素早く散開して茂みに身を潜らせ手持

 ちの弾薬と手榴弾を前に置いて位置に着く。

 こちら側からはトラックの反対側は見えないが

 かなりの数のガルーナ兵がいるはずだ。

 山田も含め陸戦隊員は皆ここが死に場所なんだと 覚悟した。トラックの影からは怒号のような声が

 聞こえてきて今にも突っ込んでくる雰囲気だ。

 すると遠いい夜空の彼方からうっすらと音が聞こ えて来る。それは聞き違いではなく次第に音が大 きくなり怒号の声をかき消すように夜空から爆音 が響いて来る。


「機長!あの明るい地点で間違いありませんね」


「ああ、間違いないな。どうだ?長官から無線は

 入らないのか?」


「はい、色々とチャンネルを試していますがまだ

 入ってきません」


「わかった、どっちにしろあそこしか有り得ない

 だろう高度を下げるぞ、清水機、松井機について 来いと言ってくれ」


 太田は速度を落としながら降下し三機の二式飛行 艇は縦一列になり進んで行く。太田は緊張からか

 手に汗をかいていた。いくら飛行時間が千時間を

 越えたベテランパイロットでも夜間飛行は殆ど

 経験をしたことが無かったからだ。太田を含め

 三機のパイロット達は自分の目と経験と計器類を

 信じて飛んでいた。


「長官から!長官から無線が入ってきました!

 状況は極めて不利、ターミナル及び滑走路上の

 トラック一帯を爆撃してくれと言っています」


「長官達は何処にいるんだ!確認しろ!巻き込んで

 しまったら大変だ!」


「清水機と松井機に通信、清水機はターミナルを

 松井機は滑走路上のトラック一帯を通常爆弾で

 爆撃、投下のタイミングは各機に任せると」


「機長、長官達はターミナルの反対側にある

 格納庫にいるそうです」


「わかった、あいつらに間違っても当てんじゃねえ ぞって伝えろ」


 三機の二式飛行艇は太田が先頭で滑走路に添う

 形で空から舞い降りてくる、太田機は照明弾を

 投下して後続の二機の視界を確保する。

 清水と松井はギリギリの高さまで降下し爆弾を

 投下した。後部の射撃手は爆撃の結果を確認す  る。二機の二式飛行艇が落とした爆弾はそれぞれ 見事に目標を捉え管制塔の塔は崩れ落ちターミナ ルは屋根が崩落し窓ガラスは吹き飛んで瓦礫と

 化してしまった。滑走路ではトラックが宙を

 舞ってひっくり返りガソリンに引火したのか

 更に爆発し、そこにいたはずのガルーナ兵は

 跡形もなく消えていた。



 テーラ大佐は管制塔から降りてくると中尉に

 向かって、何名か駐車場に止まっているトラック を運転させ格納庫付近まで突っ込まして遮蔽物

 にするように命令した。選ばれたガルーナ兵は

 足取りが重そうにトラックに乗り込む。最初に

 発進させたダノン二等兵はアルコールの力を

 借りているせいか気持ちが大きくなっていて

 つい最初にトラックを走らせてしまったのだ。

 ギアを二速から三速にぶち込んでアクセルを

 踏み込む、距離的には二百メートル位だった。

 ダノン二等兵は命令を無視して格納庫に突っ込ん でやろうと考えていた。しかしそう甘くはなく

 トラックめがけて無数の光が飛び込んでくる

 ガラスは割れて金属片が飛び散りたまらず

 ダノン二等兵はハンドルを握ったまま身を伏せた

 すると無数の爆発が起きてダノン二等兵は訳も

 分からないまま視界がぐるぐる周り気付いたら

 トラックは横倒しになり自分はトラックの下で

 挟まってしまい身動きが取れなくなっていた。

 ダノン二等兵は意識を保ちながら唯一動く首を

 ひねり後方を見たときダノン二等兵の意識は

 無くなった、後続のトラックが突っ込んで来た

 のだった。

 テーラ大佐はトラックが止まったのを確認して

 中尉に部隊を指揮してトラックの影まで前進する

 ように命令をする。これは懲罰的なものが含まれ

 ているように中尉は感じたがここで取り替えさ

 ないと自分の未来は無くなると思い自分を鼓舞

 して大声を張り上げ先頭を駆け抜けた。

 すると上空から飛行機の爆音が聞こえてきた。

 テーラ大佐はこんな時間に何処の部隊が飛んでる

 んだ?と建物の影から見上げて見る。だんだんと

 爆音が近づいて来たと思ったら照明弾が投下され

 たのか辺りが明るくなる。すると飛んでいる

 飛行機がだんだんと見えてきた。そしてはっきり

 見えたときテーラ大佐は目を疑った、なんと

 飛行機の翼や胴体にくっきりと赤く丸いマークが

 付いていたのだ。

 そこでテーラ大佐は理解した、格納庫にいる奴ら はレジスタンスではなく日本軍なんだと!

 しかしテーラ大佐は誰にも伝える事が出来なかっ た、重いコンクリートの下敷きになってしまった のだ。トラックの影に身を寄せていた中尉達も

 日本軍と気づいたのかは定かではないがトラック

 ごと吹き飛んでしまった。 

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