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バーチャルwar  作者: ムーンライズ
1/34

バーチャルゲーム

20XX年  東京 幕張


「パパ、凄い人だね」


 幕張の駅から徒歩で移動して来たが

 ほとんどの人達が同じ方向に歩いている。

 中には外国人の姿がちらほら見えるが

 とにかく人が多い。駅から5分程歩いて

 来ると目的地の建物が見えてきた。

 みんな目指す場所は同じみたいだ。

 

「そうだね、りんかもジンも迷子にならない

 ように、パパとママの手離すんじゃないよ」


「はーい」

 

 東京、幕張の一区画にある東京ドーム2個分の

 面積をもつこの総合施設には平日はもちろん

 終末になると国内外から1万人近くが来場して

 いる、いま日本はもちろん国外からも注目を

 集めるスポットとなっている。

 この総合施設は国が推進する産業として

 国内有数の大手ゲーム機メーカー

 またAV機器メーカーそして中小企業から

 ベンチャーまで幅広く集めこの分野を

 海外に輸出するための特区として

 誕生していたのである。

 その中でも今一番注目をあつめているのが

 ベンチャー企業のアポロプス社が開発した

 バーチャル、ホログラム、ラッピング等を

 複合させた次世代型体感ゲームで自分が

 ゲームの世界に入って、動く、触る、話す、

 といった現実の世界とゲームの世界の壁が

 無いような錯覚を起こさせるほどのクオリティ

 に仕上がったこのバーチャルゲームにみな

 興奮しているのである。 

 会場に入ると外と同じく人でごった返して

 いる。人が多いせいか会場内は活気ずいて

 季節は11月だとゆうの人々の熱気のせいで

 半袖でも十分過ぎる温度である。

 所狭しと並んでいるブースでわ、際どい

 水着を着たゲームクイーンが接客をしていたり

 所どころで派手な演出のアトラクションが

 目をひいていた。


「でも、まさかゆかりが応募してくれたのが

 当たるとは思わなかったよな」


「本当、ダメもとで送ったら当たるんだもん

 宝くじは当たらないのにね、欲を出すから

 当たらないのかしら」


「いや関係無いんじゃねえか、当たる人は

 すでに決まってんだよ、運命としてさ。

 俺はある意味宝くじ当ててお金は欲しいけどさ

 どっちかと言うとお金を出しても出来ない 

 バーチャルゲームを体感するほうが俺的には

 嬉しいかな」


 アポロプス社のバーチャルゲームは機材の

 関係で市販するまでには至らず全国各地の

 アミューズメントパークに出店する計画で

 進行しているようで、ここ幕張が記念すべき

 1号店とともに基幹店を担っている。

 このバーチャルゲームの噂はネットを通じ

 瞬く間に広がり、毎日長蛇の列が出来てしま

 うため、打開すべくネットによる抽選制に

 切り替えたほどで抽選の倍率は400倍に

 なるほどであった。

 所が抽選制にしても当日のキャンセル待ち

 目当てに並ぶ人々がいるため、整理券を

 発行して対処していた。


「本当ゲームオタなんだから」


「ありがとう」 


「いや誉めてないから」


 この話しの主人公的な菊地は自他共に認める

 ゲーム好きで得意なジャンルは

 ガンシューティングでオンラインゲームの

 世界では結構知れた人物で世界大会でも     常に上位に入る腕前を持っている。

 歳は37歳、家族は妻と子供2人の4人暮らし、

 仕事は営業の管理職で10人程の部下を

 束ねている。


「あそこじゃない?アポロプスのブース」


 妻のゆかりが指を差した方に目を向けると

 アポロプスのブースの前には100人や200人

 じゃきかないくらいの人々が綺麗に2列に

 並んでいるのが分かった。


「パパあれに並ぶの?」


 ちょっと呆れ気味にゆかりが言っているが

 もう菊地はそんな言葉は耳に入らず子供の

 手を引いて足早にブースに向かっていた。


「だからあれに並ぶの?ってきいてんの?」


「いやぁ違う違う、きっとあそこに並んでいる

 人達はキャンセル待ちだよ、その横の入り口

 に係員立ってるだろ?あの係員にゆかりが

 当ててくれた当選のパスワード教えれば

 きっとすんなり入れるはずだよ。」


 菊地は最大限にゆかりが当ててくれた

 おかげですオーラを発しながら言うと

 ゆかりも気分が良くなったのか、


「私達も中に入ってみようかな」


 断る理由も見つからない菊地は


「そうだね、とりあえず一緒に説明でも

 聞いてみるか。」


 そう言いながら係員の方に歩いて行く途中に

 左側で2列で並ぶ人達の嫌な視線を浴びながら

 係員のチェックを済ませていざ中に入って

 みるとアポロプスのブース自体がデカい箱の

 ような外観になっていたのだが、中はカラオケ

 ボックスのように個室が沢山並んでいる。

 案内図を観ると建物は3階建てのようで全て

 個室になっている。

 各部屋の前には係員が立っていて個々に説明を

 しているようだ。


「俺、受付してくるから子供達に飲み物でも

 買ってあげれば」


「分かった、そしたら自販機の前のベンチに

 座って待ってるね」


 菊地は入り口の係員から貰ったパンフレット

 を観ながら受付に向かった。

 パンフレットには、サスペンスに推理

 スポーツやシューティング、カーレースや

 シュミレーションと様々なジャンルのソフト

 の内容が載っていた。

 勿論、菊地がプレイするのはシューティングの

 サバイバルwarである。

 受付を済ませ、自分のプレイルームの番号を

 教えて貰い家族の元に戻ると、もう疲れたのか

 下の子のジンが寝ていた。


「寝ちゃったんだな」


「うん、たった今ね、私達ここで待ってるから

 やってきて」


「そうか、悪いね。受付で聞いたらプレイ時間

 も30分位らしいから直ぐに戻ってくるわ、

 しかもすぐそこの107号みたいだし」


「30分て短くない」


 確かにゆかりの言うとおり30分は短いと

 思うが、この人気だし、例え30分でも

 中身が濃いゲームなら仕方ないかなって

 自分に言い聞かせているとアナウンスが

 流れ自分の番号が呼ばれたのに気がつく。


「今、番号呼ばれたから行ってくるわ」


「うん、楽しんできて」


 菊地は107号室の前に行くと、目のやりどころに

 困るコスチュームを着た係の女性からゲームの  説明を受け始めたが、なんせもう違う意味で

 興奮してしまいなかなか説明が頭に入って

 こない。

 そんな時、耳の奥の方でかすかに銃声の

 ような音が聞こえたように感じたが

 この107号室は出入り口に割と近い

 場所に有りアポロプスのブースの外の

 会場の音がたまに漏れて聞こえてきていた

 のであまり気にもしなかったのだが

 今、説明をしてくれている女性が異変に

 気ずいたのか


「少しお待ちになってて頂けますか」


 その言葉に自分も正気に戻り出入り口に

 向かって歩いていく女性を見ていると

 今度はハッキリとこのブースの外の方から

 自動小銃の発射音が耳に聞こえてきた。

 それでも何かのアトラクションの音かも

 しれないのでそこまで焦りや恐怖といった

 感情は湧いてこなかったか、視線を送る

 係員の女性の身体が銃声と共にぶっ飛ばされ

 るのを観たとき、微かな希望が絶望に

 変わった。

 いかにも外国人らしい連中が自動小銃を

 連射しながらこのブースに入って来たので

 ある。瞬く間に数人、いや数十人が銃弾に

 倒れていた。

 菊地は慌てて伏せたが直ぐに家族の事に

 気づきベンチに目を向けるとゆかりが子供達

 を抱えて入り口とは逆に走り始めているのが

 目に入った。菊地は起き上がり前かがみに

 なりながら全力でゆかりに向かって走った。

 その間にも自分が背を向けている方向から

 発射音と悲鳴や怒声が耳に入ってくる。

 それがどんな光景なのかは想像がついた。

 ゆかりと呼びながらもう少しで届きそうなので

 前に飛び込んでゆかりや子供達をタックル

 する感じで上から覆い被さった。


 ゆかりと目が遭うと少し安心したのか目から

 涙がこぼれ落ちていた。


 これからどうするか決めるため、銃声のする

 方に振り返ると、さらに驚くべく物が目に

 入ってきた。

 なんと自動小銃を乱射している数人の内の

 1人がこってに向かってなにか肩から担いで

 こっちを狙っているのに気ずいた。

 あれはランチャーだこれはマズい。

 そこからは考える前に身体が先に動いていた。

 直ぐ横にドアが開いた部屋があったので

 子供達をその部屋に押し投げて、ゆかりも

 押し投げて自分も覆い被さるように飛び込んだ。

 すると耳をつんざく爆発音とともに煙りが舞い

 何か崩れる音がしたので背中の方に力を

 入れて踏ん張ると物凄い衝撃を感じて意識

 が薄らいでいくのを感じた。


「ゆかり…りんか…ジン………」


 返事は聞こえてこなかったようだった…

   


   

 

 


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