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裏・代役勇者物語  作者: 幸田 昌利
第四章
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75◆王都集合からの二週間にあった出来事(1)

 王都へ戻ってルーク達と再会してから二週間が過ぎた。

こちらの世界では一週間と言う単位は無い様だが、ついつい使ってしまうのは前世の記憶が鮮明に見れてしまう弊害かも知れない。

……まぁ、単純に気にせずに使い続けただけとも言えるが!


 さて、この二週間で結構色々なことが進展していた。

まずはリーナや亜人達に関してなのだが、時間を置いてから様子を見る為に一週間程放置していたらとんでもない事になっていた。


 久しぶりにリーナの所に行くと……何故かリーナが泣いていたのだ。


「リーナ……。何があったの?」


ちょと戸惑いながらも出来るだけ優しく声を掛けると、


「……ママ、ゴメンナサイ。リーナ、ママのお手伝いが出来る様になりたくて……でも、失敗しちゃったの。それで……この子達の《迷宮の虜》も無くなっちゃったの……ゴメンナサイ」


そう返事が返ってきた。


 何が起きたのかを確認する為に、取り敢えずリーナに《識別》を使う。


粘人族:女 レベル32

特殊情報:《混沌の結晶》《捕食融合体》《形状変化》《浸食共有》《女神の加護(亜種)》《???》《???》


おおぅ!

これは何事だ! と、言いたい位の変わりようだった。


 私の情報をコピーしているとは言え、《女神の加護》と二つの《???》がある。

《???》はこの世界で認識されていない情報が入る様なので、必然的に《ウィンドウ》と《魔素の泉》だと思われる。

因みに、《浸食共有》はよく分からない。


 《魔素の泉》すらコピーした……?

それとも他の方法を見つけ出したのだろうか?

落ち着いてから確認しなくてはならないだろう。


 取り敢えず、まずは泣きながら落ち込んでいるリーナを慰めよう。


「馬鹿ね、リーナは。そこまで頑張らなくてもいいのよ? ゆっくりと能力に慣れて行けばいいの」


そう言って、涙を拭いてから抱きしめる。

軽く聞いてみた所、今回の件は《魔素の泉》を自分で獲得しようとして起きた事らしい。

加えてリーナが使用しているスキルが《ウィンドウ》左側の欄にあるのが目に入ったが、《無限浸食》《自動MP回復(極大)》《魂魄保護》と言うスキルが現在働いている様だ。


「正直な所……本当に驚いたわ……《ウィンドウ》が使える上、まさか《魔素の泉》を自分で獲得してしまえるなんてね。しかも、色々と新しいスキルまで獲得してるし」


優しく、そして褒める様に私はそう言った。


 リーナが落ち着いてきた感じがするので《魂の回廊》について聞くと、私の状態をコピーして居る為にオフになっているとの事。

スキルは私もコピーしてしまった方が良さそうなので、お互いをオンにして獲得する。


 取り敢えず、すぐに効果を確認出来たのは《自動MP回復(極大)》だった。

一分に1%分の回復量が増えてる。

良い意味で、これは酷い。

しかも《自動MP回復》も重複して効果ある様だ。


「《無限浸食》《自動MP回復(極大)》《精神分離》《魂魄保護》……か。中々面白そうなスキルがあるわね。特に《自動MP回復(極大)》はルークの役にも立つし、大助かりになりそうな感じね」


そう言ってリーナの頭を撫でると、気持ち良さそうに体を預けて来た。

う~む……可愛い!

私の子供のときの姿とほぼ同じなのに、仕草の違いでここまで可愛くなれるのかと思い知ってしまった……。

因みに、私は可愛いと言われた事はほぼ無いです!!

よく、賢いとか偉いとかは言われはしましたがね……享年二十二歳には逆に辛かった!!!


 その後も色々確認していったのだが、まずは《迷宮の虜》が無効化された理由として、《無限浸食》によって更に強力な効果である《浸食共有》の効果に上書きされたようだ。

ここでのポイントとしては、普通なら既に支配を受けた魔物が他者に奪われる事はまず無い。

あるとしたら対象の魔物が別の存在に変えられているとか、繋がりを打ち消す効果を発動された後に奪われる等の場合だろう。


 《無限浸食》の文字から受けるイメージとしては《迷宮の虜》の効果が浸食されて効果を失う事も考えられるが、いつの間にか入れ替わっていたらしい事を考えると……スムーズに移行した可能性が高い気がする。

まぁ、答えは出ないから考えても仕方が無いのだが、私の予想としてはリーナが私の情報を丸ごとコピーしている兼ね合いで同一存在として認識、又はリーナの中にある私の手に反応して同一と見なされたのではないだろうか?


 そちらが正解なら、上手く使えば何か役に立つのではないか……と、考え始めてすぐにやめた。

考えるのは後でいい。

まずはここで起こった事を整理してからにしよう。


 リーナと亜人達全てが《浸食共有》状態にあるのだが、これは《迷宮の虜》よりも優秀であるらしく、漠然とした意思の疎通しか出来なかった《迷宮の虜》とは違い、《通話》に近い感覚でリーナが《浸食共有》している全員と話が出来る様だ。


 浸食と言う単語が少し怖い気がするのだが……能力自体は《ウィンドウ》にも似たような機能は多い。

よし、取り敢えずはリーナとはやってみよう! と言う訳で使用してみた。

何の問題も無く出来ました。


 どうやらこの《浸食共有》はスキルを使用した方が上位扱いらしく、私の方からの許可が無いとリーナは私に干渉できず、リーナの許可に加えて私の許可が無いと亜人達は私に干渉できないらしい。


 亜人達は既にリーナとの間に《浸食共有》状態である為、私が余計な事はしない方向で行く。

因みに、《浸食共有》の利点は魔素やMP等をどこに居ても受け渡しが可能であったり、自分の視覚を封じる事で共有している相手の視覚と同調できたりも可能。


 この能力は《混沌の結晶》から生まれた能力らしいのだが、離れた空間への干渉能力によって私の腕から魔素を転移させていたものと同じらしい。

今回の件でリーナも《魔素の泉》を持つ事になった為、亜人達にはリーナから直接魔素が流れ込む様になったとの事。

一応私の渡した魔送石も装備させたままにしているが、問題無ければそのうち外してもいいかな。


 状況は大体判ったので、

 

「リーナが既に繋がりを持って居る関係でどうなるか怪しいから、亜人達の事はリーナに任せるわ。もし何かあった場合は私に《浸食共有》で連絡してくれていいからね。ただし、今回みたいに無茶はもう駄目よ」


そう言って釘を刺しておく。


「……うん。無茶な事はもうしない。約束するね、ママ」


その言葉にリーナは素直に返事をしながら微笑んだ。




 ☆ ☆ ☆




 リーナを外の世界へ出すかどうか悩んでいたのだが、このように状況は変わっていた。

もう、出さない訳にはいかなくなったのだ。


 理由は簡単だ。

最悪四人で竜に立ち向かうつもりだったのに、私に匹敵する能力を持った存在がこうして現れたのだ。

協力して貰わない理由は無い。


 当然だが、可愛いリーナと一緒に居たいと言うのも否定などしない!

《浸食共有》で判った事だが亜人達も立派に知性を持っており、リーナが教えた知識も吸収して人と遜色ない存在となっている。

リーナが一緒に居なくても問題無く行動してくれるはずだ。


 その日は色々あったようなので休ませて、次の日からリーナについて本人に聞いたり調べたりした結果として様々な事が分かった。


 まず、カオススライムの無敵能力は《混沌の結晶》の能力らしい。

あれを打ち破るには六属性と物理ダメージ&精神ダメージを全て同時に一定以上与えなければならないと言う凶悪なものらしい。

同時である理由は、ダメージを受けても即再生出来る為との事。


 では、リーナも無敵なのかと言うと……残念ながらそうではないとの事。

粘性人はあくまで人となっているので、ダメージを受けた場合は普通に喰らってしまう様だ。

ただ、任意でカオススライムに変化することができ、その状態からなら即時再生が可能。

欠点としては一度戻ると粘性人になるのに結構な時間がかかる為、戦闘時に緊急回避として使うと戦力はガタ落ちとの事。

意識はあるが、俊敏に動けなくなるらしい。


 因みに、リーナにとっての心臓は《混沌の結晶》、脳に当たるのが私の手が同化している部分らしい。

そこに受けるダメージは致命傷になる為、しっかりと守らなくてはならない。


 こうして、リーナやここにいる亜人について調べ、現状では最良かな? と、勝手に納得する所まで頑張りました!

乞うご期待……?

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