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裏・代役勇者物語  作者: 幸田 昌利
第三章
74/138

74◆レイクの奴が……余計な事を言い残してやがりました!

 取り敢えず、お互いに話しておく事は大体終わった。

ルークは早速シェリーと合流したいとの事だったが、先程エルナリア六爵の所にミルロード卿と一緒に案内したばかりだ。

少し時間を空けた方が良いだろう、という事で先にルークの迷宮での作業をする事にした。


 迷宮の中で行う作業自体は簡単だ。

既に出来ている魔法具を、誰かが近寄ったりした場合に魔素の影響で被害が出ない位置に配置して、ストーンゴーレム素材で囲ってしっかりと固定するだけだ。


 これまで何回も行っている作業なのですぐに終了。


「これで、ルークも近いうちに第二の迷宮を作れる様になるわ」


そう伝えておく。

まぁ、問題は作れるようになってもMPの問題が残っているので、完成はまだまだ先だろうけど。




☆ ☆ ☆




 作業が終わるとすぐに、ルークに急かされながらエルナリアの街へ移動を始めた。

嬉しそうに歩き始めたはずなのに……途中から少し難しい顔をし出したのでどうしたのかと思ったら、少し意外な質問がやってきました。


 王城で会ったらしい、第一王子アレスクルトが私の事を知っていたらしい。

何でも【とある人物】が……エルという女性が現れ、もし困っている事があった場合は助力して欲しいと頼んで行きやがったらしい……。

レイクの奴……余計な事を…………。


 そう! どう考えてもレイクしか該当者が居ない。

先に出発しているし、王都に先日勇者が来たと噂では聞いていたしね。


 ルークが私の狭い人付き合いではほぼ該当者がいないから気になったのか……他に何か気になっているのかは分からないのだが……面倒な情報を与えてくれたものだ。


 そこで、


「駄目ねェ、ルーク。乙女(?)の秘密をさぐろうとするなんて! 私にだってルークの知らない所であれやこれやゲフンゲフンな事情だって……」


「無いよね?」


一応は誤魔化そうとしたが、速攻で潰された!

雰囲気が真面目な感じだから、これは諦めた方が良いかな。

ぶっちゃけると、そこまで隠す必要も無いし。


 しかし……だ。

教えるにしても、私自身のイメージに関する方向性を守らなくてはならない!


 昔の私は出来るお姉ちゃんを目指して頑張っていたし、ルークからも尊敬されていた。

しかし、ある程度まで大きくなった段階から……面倒になって本来の自分に方向修正している。

よって、ここはこの態度を継続でいく!!

 

 そこで……チッ! と、敢えてワザとらしく舌打ちをしておく。

この、ワザとらしく……がポイントだ。


「僕が知る限り、姉さんの知り合いと言うとレイクさんしか思い当たらないんだけど……?」


オオッと!

事前に予想していたのだろう。

いきなり答えを当ててきました。


 流石にそこまで予想出来ているなら、少しは真面目に対応しておかなくては駄目だな。


「その様子だと、レイクが何者か予想はついてるの?」


おそらくルークには分かっているはずなので、答えを私自身で言う気は無い!


「レイクさんが勇者様だと、僕は予想している……かな」


ピンポーン!

大正解。


 私の交友の狭さが選択肢を大幅に削りまくったのだろうが、よく勇者である事まで気が付いたな……と褒めたい。


 ルークに確認した所、レイクに対する私の態度には少しだけ違和感があったらしい。

まぁ……ぶっちゃけると、二十二歳だった私は子供扱いされる事に完全には馴染めなかったんだと思う。

確かに赤ちゃんから面倒を見てくれた家族とはそれなりに折り合いが付けられたが、他人には無理だった気もする。


 どうやら、私が本当に内面をさらけ出すのは同じ境遇にある人達に対してらしく、現状ではルークとゲルボドだけの様だ。

自分ではそこまで気にしてなかったので……少し意外だった。


 まぁ、確かにミラも含めて年下の女の子達にはお姉さんキャラで対応してる気がするし、そう言われたらそうかなと納得はできた。


 そこでレイクの話に戻るのだが、ルークから見たレイクに対しての私は……当時は自分にしかしない様な対応をして居る事に違和感があったとの事。


 そこで今回改めて考え、ゲルボドと同じ異世界人か、ルークと同じ勇者関係か……の二択でシックリ来るのが勇者の方だったらしい。


 理由はいくつか思い当たったらしいし、爺から獲得した《迷宮創造》と《迷宮の主》のスキルを共有する際に、《魂の回廊》を有効にする事を拒んだ事まで理由に挙げていた。

はい! 

正解!!


 隠す意味も無いので無駄な事を言うつもりも無く、


「嘘を言ってまで隠すつもりも無いし、言った所で何の問題も無いしね。……レイクが勇者で正解よ」


と、答えた。


 因みに、レイクの名前で勇者だとバレ無かった理由は簡単だ。

勇者は実名で呼ばれないからである。


 勇者の名前は、代々【勇者オルグ】と呼ばれている。

なんでも初代勇者の名前なのだとか。


 なぜ本名で呼ばれないのかの理由は、邪神や魔王に対して本当の名前を名乗るのは危険極まりない行為だからだ。

一般人ならば何の問題無い。

しかし、勇者には女神に繋がる見えない経路が存在するらしい。

真の名とは、経路の使用に対するパスワードの役割もあるとの事。

人に知られる事が許されない情報なので、勇者及びオルグと言う名前が使われる様だ。


 女神に干渉する事を許すと勇者は負け、最悪な場合は女神が邪神化すると言われていた。

因みに、レイクと言うのも本名では無い。

本人いわく、五十三文字もあるふざけた名前を省略してあるとか。

名前を付けた人は寿命で他界し、本人も覚えていないらしいので知っているのは女神だけなのだとか……。


 ルークからは、何故わざわざ女神が私を破棄してまで覚えさせなかった勇者スキルを覚えてしまったのかと言う疑問が出た。


「一番大きな理由は、私達のレベルの制限に関する事かな。一般に勇者の仲間は80レベルチョイ、勇者は100レベルチョイって所が限界と言われているわ」


私はそこで一旦区切り、ルーク以外に理解しているかを視線だけで問う。

ゲルボドはどうでも良いので……ミラが軽く頷いたのを確認してから、


「一般人の限界が60レベル台に対し、勇者の仲間が80レベル超えまで行くのは《女神の祝福》が関係してると言うのは間違い無いと思うの。これは過去に勇者の仲間以外の《女神の祝福》持ちが70レベルを超えた事例が多数ある事からも信じられる情報ね。そこで勇者の100レベル台に関してなんだけど、絶対に勇者以外に保持者が存在していないスキルである、《聖気吸収》がおそらくその答えだと考えているわ」


と言った。


 《聖気吸収》は勇者専用スキルで、世界に満ちている聖気を吸収して勇者を強化するスキルだ。

私が《簒奪の聖眼》によって獲得したスキルには《特殊魔法:勇者》や《対魔王剣》があるが、これらは威力や範囲が異常であったり、属性が特殊だったり魔族に効果的なだけである。


 正直な所、80レベル台を超える時点の限界突破に《聖気吸収》が必要なのか、そこからは《聖気吸収》分しか成長出来ないのかは正直分からない。

しかし、分からないなら前者の可能性も有り得る訳だ。


「私達はおそらく80レベル台までは行けるはずだから、そこからの限界突破に短期間だけ《聖気吸収》が必要なだけなら超えてしまいたと思う訳よ。それで、少しだけスキルを有効にして試してみるのも有りかなと考えて習得しておいたの。勿論レイクの許可付きでね」


と、あくまでレイクの許可がある事を強調しておく。


 ここで一応、聖気について私が調べた範囲での見解を皆にも伝えておいた。

聖気とは人々が平穏に過ごしている事で世界に満ちていく目に見えない存在で、約百年間で累積した聖気を魔王との戦いの為に使う。

逆に魔王が使用するのは邪気であり、絶望や悪意で世界に満ちて行く。

双方は干渉する事無く、相殺等はしない。


 勇者と魔王は世界の覇権を奪い合っているとも言えるので、勇者と魔王の戦いで勝った方が百年後の戦いを有利に出来るシステム……これがこの世界のことわりなのだ。

正直な所、このシステムには作為的な物を感じる……。

私が疑っているのは……神と呼ばれる者のゲーム……?

そんな気がしてならない。


 因みに、私が破棄された理由も聖気について色々分かると納得がいった。

勇者の数が増える事の問題点は、世界にある有限な聖気を複数で消費する事になるからだ。

極端な例を上げると、95レベルの魔王相手に100レベルなら勝てるのに、90レベル二人では負けてしまう可能性が高いという事。

スキル構成の兼ね合いもある為に全てをレベルで語る事は出来ないが、同格の存在である勇者と魔王では明らかにレベルの高い相手に対して数でどうこうは出来ないのだ。


 ここで一つ付け加えるべき事は、それならば私達が爺の迷宮で五レベル十レベル上といった、レベルがべらぼうに高い相手を何故倒せたのか……?

簡単に言えば、それこそ基本的な格が違うからだろう。


 ルークは勇者には劣るものの、その仲間と同格かやや上……と言う所だろう。

ゲルボドは異世界人である為にこの世界のことわりを無視した存在であり、その強さは勇者と並ぶ程だ。

私は……魔素無しでルークと同格、魔素込みなら勇者並みと予想出来る。

この世界に格による補正なんてものがあるかどうかは分からないが、結果から言える事は……私達はレベル表記よりも強いと考えた方が良さそうだ。




 ◇ ◇ ◇




 ルークも納得した様なのでレイクの話は終了。

どうせ魔王を討伐するまでこちらのはほとんど戻らないはずだし。


 そして、そろそろシェリー達が居るはずの応接間に着く。

ルークには、領主がシェリーとの関係に理解を示してくれて居る事を伝えてある。

勿論、実際に爵位を得るまで認められないし、外部に洩らしていい関係ではないのだけどね。


 ルークが部屋の前に立ち、ノックをした。

中からはシェリー達の楽しそうな声が聞こえる。

ルルが中から扉を開けると、中に居た面々がこちらに笑顔を向けていた。

ルークもそれを目にして嬉しそうに挨拶をしている。


 私はもうしばらくは製作やロウの件で冒険者としての活動は出来ないだろう。

しかも、ミルロード卿の土地が裕福な理由の一つである、良質な鉱山の更なる発展に貢献しそうな物を知られてしまった……。


 要は、重機ゴーレムがバレたのだ!

間違いなく増産決定です。


 ルーク達も事後処理でしばらくは王都から離れられないし、すぐに第二の迷宮作成でMPが使えなくなる。

正直な所、予想を遥かに超える速度で状況は変化し、結果としては良い方向に向かっている。

ここで少し位はゆっくりしても良いだろう。


 まぁ、私はまだまだやる事があるけどね!

順番に片付けてきましょう!!

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