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裏・代役勇者物語  作者: 幸田 昌利
第三章
51/138

51◆続・村への配給と思ってたより早い事態の進展

 迷宮系スキルの熟練度に衝撃を受けつつも、黙々と魔獣を狩って運ぶ。

因みに、《迷宮の虜》で支配されていない魔物はお互いで戦う事も多い。

これに勝利する事で相手を喰い、魔法物質を吸収する事で迷宮からの進化補正を利用して、同じ階層でも強い個体が発生して行くらしい。

迷宮が育って全体的に発生する魔物の強さが底上げされると、以前から居た弱い魔物は駆逐されて入れ替わるようだ。

その駆逐者が今回は私だった様で、再度発生した魔物は一気に平均レベルが5位上がってしまっていた。

即ち、取れる素材は昨日よりも高額になり、肉質も更に良質になって居る。

不公平感が無い様に、昨日行った村へは次回行った時にサービスしてあげなくては駄目かな。


 人数は多かったが、昨日よりも処理も速いので予定通りの時間でお開きにした。

昨日で慣れて居たネイアは、一生懸命皆に教えたり手伝ったりしていたのでお疲れの様だったので、次も頑張って貰うのだからとしっかり休む様に言っておいた。

放っておくと、迷宮内でも仕事をしようとするので危険だ。

頑張り過ぎも、度が過ぎると大変な事になるのだから。




 ☆ ☆ ☆




 次の村は少し離れており、同じ速度で移動しても二時間程かかった。

例によって二つの村の村長に書いて貰った推薦状により、アッサリと話が纏まって肉祭りへ。

ジムルとネイアも既に慣れたもので、解体の手本や肉の処理の手本を見せながら手伝ってくれた。

処理の速度に合わせて次々と魔獣を狩るのだが、《格闘術(異世界)》が徐々に馴染んでいる感じがするので無抵抗な相手ではあるが、様々な動きを試しながら近寄って一気に首を捻っていった。

その繰り返しで徐々に捻る感じは取り戻せていると同時に、熟練度もそこそこ上がって来た。

後は実戦で使用すれば、すぐに前世位までは行くだろう。

爺の迷宮で魔素が使えなかったので、《格闘術(異世界)》が使えなかった事は不満ではあったが、その分魔法系が上がっているので我慢するしかないのは確かだが……やはり回避が出来ないもどかしさはどうしてもあった。

最終的なスタイルは魔素《フルブースト》で殴りながら《ショートカット》からの魔法を随時撃つ事が望ましいので、上位竜と戦うまでにはもっと強くなりたいと思っている。


 前の村からの移動時間に、開いた空間に移動してきたのだろう。

入口付近は相当狩ったのに、また結構な数が溢れている。

移動の手間が減って楽ではあるが、よくこの数が存在出来るな……と感じる。

爺の迷宮でもここまでの数は居なかった。

……もしかして、魔素が大量にあるから魔物の数も多いのだろうか?

迷宮本体の成長速度を超える分が魔物に回されているとしたら、それもあり得るかもしれない。

《迷宮創造》や《迷宮の主》のどちらにも数の調整項目は無かった。

迷宮本体の成長速度に関しては任意で操作出来たので、そこで調整するのかもしれない。

まぁ、私は当然の様に成長速度最高にしてあるのだが。


 私的には既に恒例となって居る肉祭りは、更に熱を増していた。

いや~、みんな食べる食べる……。

普段そこまで肉を食べないんだから、消化できなくて夜に胃がもたれないか心配するレベルだ。

まぁそれでも、いつもは食べすぎる事など出来ないのがこの世界の村の常識だ。

そこまで食べられる機会があるだけでもいい経験だろう。

そう思いながら再び狩って来た魔物を解体班の所に持って行く最中に、《危険感知》がとても弱くではあるが反応した。

ゆっくりと、普通に動きながら《危険感知》の反応があった方を見る。

ただし、あくまで視界にギリギリ収まる程度での確認なので、ゲルボドから得た《広視界(異世界)》のお陰で相手からは見てる様には感じないだろう。

今回のお祭り会場は入口付近にある広場となって居るが、どうやら村の外にまばらにある木の辺りから感じる。

次の獲物を狩るには少し時間があるので、ゆっくりと木の辺りを観察する。

……いた!

一番手前では無く、その奥に生えている木の根元辺りに居る。


 どうするか……私は少しだけ悩んだ。

今すぐ追いかけるか?

一人は捕まえられるだろう。

しかし、素直に仲間の位置を吐くとは限らない。

一人捕まれば相手は警戒するかもしれないし、下手をすると報復で更に残虐な行動に出る可能性もある。

悩んだ末に取った行動は、簡易ゴーレムを使用して泳がせる方法だった。

迷宮本体では無く、マスタールームへ入り二体とも《アイテム》から出す。

私自身はそのまま迷宮に入って獲物を狩って出て、普通の態度を崩さずに行動する。

木の根元に今も不審者が居る事を確認して、扉の裏側の相手に見えない位置から簡易ゴーレムを二体共外へ出す。

村人達が食事している所の近くなので流石にちょっとみんなビックリして居た様だが、迷宮から出て来た事で私の関係者だと思ったのだろう、特に騒ぎにもならずに村の中に移動出来た。

村の中では流石に全身鎧は目立ったが、逆に異質すぎて怪しまれなかったとも言える。

フレンドリーに手を挙げて挨拶して居た事も関係しているのかもしれないが、とにかく無事不審者にバレずに移動出来た。

簡易ゴーレムにはMPを供給する事で遠隔操作が可能になる機能があるので、これを利用して相手を観察しながら様子を見る事にした。




 ☆ ☆ ☆




 相手に動きが出たのは、仲間らしき奴らが集結した時だった。

少し村から離れた位置に移動して、武器の準備等を始めている。

どうするか……と、少し悩んだ。

コイツ等の襲撃は確実だろう。

問題は、どのタイミングで襲って来るかだ。

予想としては、賊は私に気が付いている可能性が高い。

前回は当然だが、今回も私は首から上だけは出している。

そして、ここにあるのが移動型迷宮である事も知って居るはずだ。

そうなれば、何らかの方法で私が迷宮を支配したと考えるのが妥当だろう。

では、奴らの目的は何か?

自分達を撃退し、現在の状況を作り出した私に対する復讐をする気だろうか?

しかし、前回でその実力差は感じていると思う。

そうなると……私が居なくなった段階での村の襲撃……かな。

私が補給物資を配って居る所を確認したので、それを横取りして村を蹂躪する事が目的の可能性は高い。

現在の私には、正直手札が足りない。

私自身が負ける事はまず無いが、簡易ゴーレム二体しかない状況では逃げられると捕まえるのが面倒だ。

出来る限り一網打尽にしたい……。

ジムルや村の自警団の協力が必要かな。




 ☆ ☆ ☆




 肉祭りの間は結局相手に動きは無かった。

その間にさりげなくジムルや現在当番では無い自警団の数人にマスタールームへ入って貰い、作戦を説明する。

まずはこちらの被害が出ない様にしながら敵を逃がさない事が肝心だ。

そこで、大量の捕獲用魔法具を使用してとにかく確保してしまう方向でいく。

残り二つの村の為に用意した物もキーワードを解除して渡す。

相手は十三人確認しているが、捕獲用魔法具はその倍を超えている。

それはもう、ありったけ投げてやれ! と言った感じである。

更に、とても簡易的な《アースシールド》の使い捨て魔法具を作って各自に渡した。

約十分程度だけそれなりの強度がある《アースシールド》が発生するだけなのに六級の魔石を使い捨てるという、以前では考えられない暴挙ではあるが……今となっては問題無い!

いくらでも素材は捕れるので気軽に使えるのだ!!

さて、頑張って問題の解決と行きますか。

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