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裏・代役勇者物語  作者: 幸田 昌利
第三章
50/138

50◆MP用魔石と美味しい食事と迷宮系スキルについて

 最後の処理を終えた後は、村人達は各自で食料を分け合いながら家へ持って帰っていった。

魔獣を狩っている最中に思いついて、途中で急遽作成した電子レンジもどきの魔法具は自警団の詰所に置いてきて貰う。

焼いて食べずに冷えてしまった肉を一緒に持って行ったので、夜の当番の人が食べるだろう。

MPを自分で供給すれば暖められるので、火を使わずに色々暖めるには重宝するはずだ。

捕獲用魔法具の回収時に、置いていくかどうするかを決める予定としている。

争いの種にならないのなら、置いていってもいいかな。


 お祭りに参加していたジムルとネイアは一緒にマスタールームへ入って貰い、間違って誰かが迷宮に入らないように雲よりも高い位置に入口を移動させた。

ようやく一段落したのでお風呂場の用意をしてから御茶の用意をしていると、


「本当に有難う……俺からも改めて礼を言わせて貰いたい」


と、ジムルが言ってきた。

この村との物々交換で魚以外の物を手に入れているジムルにとって、この村の衰退はかなりの問題だったらしい。

私としては気にしなくて良い、と言う他は無い。


「気にしなくても良いわ。あの盗賊団には個人的な恨みもあるし、渡した物も基本的に私の懐がそれ程痛む訳でも無いので問題ないわ」


実際問題、《付与魔法》と迷宮、そして私の膨大なMPがある現状では……食糧やお金に困る事はもうないだろう。

世界の人全てを飢えなくする事などは出来ないが、関わりを持った人達にだけでも役に立てるなら立っておきたいとは思っている。

ルークに迷惑が掛からない程度にしておかなくてはならないので、街とかではできるだけ秘密にするけどね。


 ネイアは石の選別作業に続き、焼き肉騒動で騒ぎ疲れて既に眠そうだ……が、寝るのはお風呂に入ってからにさせたいので、まだ頑張って起こしたままにしていた。

今、お風呂が沸いたので連れて入り、身体を洗うのを手伝ってあげる。

普段は冷たい水で水浴びしかした事が無い為、珍しい体験で目も覚めて来た様だ。

湯船に浸かりながら話をしたが、母親はまだネイアが小さい頃に病で亡くなった事や、家の近くにある不思議な岩の話等だった。

私の事も色々聞かれた。

ルークや実家にいる家族の話をメインに話し、その次の話題である、あると便利な欲しい物について話をしている最中辺りで、流石にのぼせると不味いのでお風呂から出た。


 お風呂から上がるとネイアはすぐに寝てしまった。

普段の生活から考えても、もう寝る時間なのだから当然と言えた。

私は少しやっておきたい事があるので、もうチョット起きて作業をする事にする。

内容としては、MPタンク用の魔石からの再吸収についてである。

昼に思いついてやってみたが、無機物からでも《スティールMP》で吸収できた。

普通は無機物にMPは無いので、試した事が無かったのだ。

即ち私が余ったMPを毎晩封入して、必要な時にルークが使えば魔法の使用頻度を上げる事が出来るだろう。


 何種類かのMPタンク用魔石を作成し、《スティールMP》での吸収について試してみた。

問題としては、現在の素材だとどれも無駄が多い事が判明した。

例えば、私がMP30を封入しても、ルークの魔法発動にMP10で吸収が15だとすると、一回に5しか吸収出来ず、《スティールMP》を2回かけて10の吸収にしかならない。

流石に効率が悪すぎる。

出来る事が分かったので、後はMPの貯蓄量の増加と吸収率の上昇、出来たら闇魔法を弱点とする素材等を見つけて使用してみたい。

時間がある時に色々つくって実験だな!

さて……、それでは寝る事にしよう。




 ☆ ☆ ☆




 私とネイアは旅の時に女性陣が使用していた寝室で寝ていた。

目が覚めると……当然ネイアは居なかった。

下へ降りるとネイアは小屋の外で石の仕分け作業をしており、ジムルは自分で持ち込んだであろう小さな金属を丁寧に手入れしていた。


「おはよ~」


私が眠そうな声でそう言うと、


「おう、おはよう」


「え~、全然早くないよ! お姉ちゃん、すっごいお寝坊さんだね!」


と言われた。

否定はしない。

むしろ肯定だ!!


 食事は事前に作ってある物を食べる事にしている。

最初に私が出した料理に対し、ネイアが驚きと喜びで大興奮と言う感じだったので、一緒に行動する間は色々食べさせてあげる事になったのだ。


「これも凄く美味しいね! ねぇ、お父さん!!」


「うむ! 確かに美味いな!!」


この料理は迷宮に居た鳥系の魔物の肉だな。

猛禽類っぽい奴らの肉も、適度に引き締まった感じがするのにとても柔らかく、味も良い物だった。

唐揚げと照り焼き風の二種類の肉は、出来たてですぐに《アイテム》に放り込んであるので熱々のままで保持されている。

パンも焼いたばかりの所を小分けして突っ込んであり、フワフワ感のある物と、ドッシリとしたボリュームと歯応えのある物のどちらも美味しい。

スープは野菜を長時間煮込み、形が崩れる所まで手を掛けた物に、生でも食べられる野菜を細かく刻んでから投入している。

コクのあるしっかりとした味と、まだ硬さを残しつつも熱でゆっくりと軟らかくなっていく刻んだ野菜は、食べる度に変わって行く触感の変化も楽しめる。


 次は何を出そうかな!

そう思える位の楽しい食事風景になっていた。




 ☆ ☆ ☆




 地上に降りて、村長に挨拶をして移動を開始した。

村を出る時の自警団の面々には活気が出ていたので、昨日のお祭り騒ぎも無駄では無かったと感じさせてくれた。


 ジムルに道案内をして貰いながらガンガン進む訳だが、暇なのでそこら辺を《識別》しまくったり、走りながら詠唱する練習等をしながら疾走した。

《識別》は複数の鑑定系スキルの上位に当たる物なので、結構色々と調べられて便利だ。

詠唱に関しては、ゲルボドから得た魔法が《ショートカット》に対応してないらしく、動きながら詠唱出来ないかという練習で行って居る。


 普通なら歩きで三時間かかる次の村へ、一時間程で着いてしまった。

歩きの時速は四~五km位だった気がするので、十二~十五kmか。

簡易ゴーレムの最高速度はこの位らしい。

私自身はまだ全力では無いので、もっと上っぽいけどね。


 村へ着いた私達は自警団っぽい人に不審な眼で見られたが、先に行った村の村長さんが書いてくれた紹介状のお陰で結構すんなりと話は通った。

例によって捕獲用魔法具の実演を行い、賃貸の契約書を作成した後は、当然肉祭りだ。

今日は出来れば二つの村に行きたいので、効率を上げる為に大型魔法コンロを倍の四つに増やした。

材料はあるし、基本となる製作法はエルナリアの街で大量に作った魔法コンロの流用なので、行程を一つのオリジナル魔法化してある為にすぐに作れた。

昨日の村より人が最初から多いので、どんどん狩っては渡して行く。

そこで気が付いた事が一つ。

昨日より、魔獣のレベルが全体的に上がって居る。


 最初は単に個体差による物だと思っていたが、どうやらそうでは無いらしい。

迷宮の情報を《迷宮の主》で確認すると、現在の迷宮は五層まであり、一層のレベルが20レベル、二層が25レベル、三層以降は30レベルを基準として魔物を出現させているらしい。

私が前に見た時には一層しか無くて、魔物のレベルは5が基準だったはずだ。

いつの間にか随分育った物だ……。

熟練度も確認して見た……迷宮関係のスキルがどちらも30を超えている……。

流石に速すぎる気がする……。

私のレベルは現在35。

熟練度は魔法系統で大体が30前後だ。

そこに、特にそれ程何かをした記憶も無い《迷宮創造》と《迷宮の主》が30以上と言うのは流石におかしい。

原因があるはずだ……。

考えられるのは……魔素だな……。

うん、それしかない。


 迷宮は魔法物質を吸収する事で大きくなり、その大きさは熟練度にも依存すると文献には書いてあった。

しかし、それは検証が出来なかった為に情報が正確では無かった様だ。

これ、魔法物質で迷宮が育ち、熟練度はそれに引っ張られてるな!

通常の魔法物質吸収速度の何倍も魔素を流し込んだ結果がこれですよ!!

《迷宮創造》で実行できる項目も確認する。

……既に第二迷宮作成が可能になって居ました……。

これは……少し計画の変更が必要そうです。

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