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裏・代役勇者物語  作者: 幸田 昌利
第二章
36/138

36◆迷宮七層後:続・亜竜との戦い……普通に強敵でした

 接敵した後は、一気に楽になった。

鱗が固い事は固いようだが、回避しながら一方的に攻撃出来て居るので、時間は掛かるが問題無く戦えそうだ。

問題は、冷気を継続して撃ち込む必要があるかどうかだ。

私は勿論撃てる限り撃つのだが、ゲルボドの魔法による継続時間のある氷系魔法が、実は効果的な感じがする。

それらも必要なら詠唱が必要になるのだが、こいつの攻撃を受ける可能性が増えるのは流石に不味いだろう。

攻撃速度が遅いから問題無いだけなので、回避が厳しい状態にして、その優位点を消す行動を取る訳にはいかない。

そう考えている時に、ソードドラゴンの身体が沈んでいった。

特に敵スキル欄には何も出ていない。

スキルでは無い様なので、これが《迷宮融合》かな?


 結果は、当たりでした。

そして、困った事に今までよりも更に酷い状態になってしまった……。

足元から剣状の角が突然飛び出して来たり、誰も居ない場所に角が飛び出て来た瞬間に断裂攻撃を撃って来る様になったのだ。

潜っている内に予備動作が終わって居る為、見てからの回避が非常に困難だ。

私は一応魔法用に《ウォーターシールド》も追加で張って置いて保険を掛け、ソードドラゴンが出現した場所に対して弾速の速い魔法を撃ちこんで対応している。

動きは潜る前の遅い動きでは無く、普通の速度で動いて攻撃してくるようになった。

それに加え、ゲルボドは瞬時に魔法発動が出来ない。

ルークはMPが無い。

直接攻撃するにしても、どこに出るのかが判りにくく、出たらすぐ攻撃がやってくる状態では反撃が難しく、有効なダメージはあまり出ていない。


 私に対しても偶に攻撃が来るが、階段があると直接攻撃は地面から出て来れないらしく来ていない。

おかげで来るのは断裂攻撃だけとなっており、魔素の密度を上げた現状でなら、全てダメージカット出来ている。

しかしその攻撃のせいで……切り裂かれた装備が、正直酷い事になって居る。

我ながら、このまま人前に出たら痴女だね!

そう言いたくなる様な恰好だ……。


 ルークとゲルボドは、回避をメインにしているお陰で被害はあまり出ていないが、敵とも互いに決め手に欠ける戦いとなってしまって居る。

一時間に2%の自動MP回復では役に立たないし、かといってこのままでは疲労でいつかは回避し切れなくなるだろう。

《迷宮融合》は、今の所七層の地面からしか現れていない。

それに期待して、もう少し戦ったら一旦上へ退避し、疲労を回復してから再度攻撃するべきか……。

そう考えていた時に、ゲルボドの動きが止まった。

呪文の詠唱は無い。

しかし、魔法物質が集まり、


「《瞬移》シャ――!!」


ゲルボドが魔法名を言った瞬間、消えた。


念動魔法:超能魔力(異世界)…………現在習得不可能


ゲルボドは、ルークのすぐ前へ空間を飛んで現れる。

その際に武器を持ち変え、両手剣をルークの方へ突く。

その場所には、ソードドラゴンの出現予兆が僅かに有った。

ルークは《ダブルステップ》で一気に後ろへ避ける。

ルークの居た場所につのの剣がせり上がってきたのが見えた。

ゲルボドの剣がつのの側面に当たり、その衝撃でつのが反対側へ傾く。

そこへルークが今度は前へ《ダブルステップ》を使って進み、盾でつのの側面に盾スキルの技である《シールドバッシュ》を使って強打した!

当然その反動でルークは後ろに弾かれるが、そこから二回目のステップで勢いをつけて剣を突き入れる。

この攻撃でそこまで良質とは言えなかったルークの剣は、激しい金属音を上げながら折れた。

しかし、そのまま折れた剣でルークが角に向かって体重を乗せたままぶつかって行く。

そこに、ゲルボドからの再攻撃が反対から加えられた。

この攻撃により、見事にゲルボドの攻撃が角を突き破った!


 ゲルボドは剣を引き抜いて下がろうとしたが、突き刺さって抜けなくなったらしく、即手を離して後退する。

そして、いつもの片手剣と盾に装備を変えた。

これによって戦況は一気に好転する。

ゲルボドの両手剣は、明らかに強力な魔法が付与してあった。

いくらソードドラゴンが暴れようが、全く折れる気配は無い。

もしかしたら、普通の剣だったならば問題は無かったのかもしれない。

しかしゲルボドの剣は下手をすると、勇者が魔王と戦う際に使用するクラスの能力が付与されていた。

これが迷宮にとって異物となってしまい、迷宮に潜れなくなった様だ。

こうなると、良い魔法の的である。

角のある位置の根元に魔法を撃ち込んで行くと、迷宮の床が血だらけになって行く。

私のMPもかなり厳しい所まで来たが、なんとか切れる前に決着がついた。

そして、命の炎が燃え尽きたソードドラゴンが迷宮から吐き出された。

大丈夫だとは思うが、《迷宮の守護者》と言う特殊情報の効果も良く判らないので、容赦無く《アイテム》へ即収納する。

万一、この死体を素にゾンビ化や再召喚などされたら、流石に今度は負ける可能性すらある。


「シャ――――! 俺のオーディンソードも一緒に無くなったシャ――――!! 融合とかしてないシャ――――?!!!」


そういや剣……忘れてた!!

でも、あれ抜くの大変そうだから、取り敢えずは我慢して貰おう。

そう思って放置しようとしたら、ルークが《アイテム》から出して返していた。

ああ、別アイテム欄に入ったのか。


「ありがとうシャ――――!!」


ゲルボドがルークに御礼を言っているのを聞きながら、流石に私はかなり疲れているのでコメントは勘弁して貰おうと放置を決め込む。


 ちなみに、私は現状……例の痴女さながらの恰好のままだ。

ハッキリ言おう!

右半身は殆ど出てしまっている状態。

申し訳程度に、縦に切り裂かれた布だったものが何枚か肩から垂れ下がって居るに過ぎない。

若干だが右の方に魔素が多く流れるので、そちらで攻撃を受ける様にしていた結果だが、見事に右側の装備が無くなってしまった。

それなのに、何故未だにこの格好のままなのか……と言うと、ソードドラゴンの死体を回収したかった事がメインだが、この二人は……この格好でも全く気にしないからだ。

ゲルボドはどうやら、人間女に全く興味は無いらしい。

ルークはルークで、いくら姉の裸でも……もうチョイ気を遣えと言いたくなる程、全く気にしない。

見ない様にする等の気遣いも無く、妹のルナ(六歳)と一緒に裸で水浴びして居た時と全く同じ対応をしやがりました。

まぁ、流石に私でも、全く興味が無いであろう相手の前とはいえ……全裸になるのは勘弁なので階段をある程度上がった位置で着替えた。

そして、絶対に強力な魔法を付与した防具を用意しようと誓った!

六爵領では、私が欲しい素材が手に入らなかったのだが……王都に期待しておきます!!




 ☆ ☆ ☆




 ルークだけでなく私のMPもほぼ無い為、これ以上の探索は無理だ。

そうなると、どこで休むかが問題になる。

六層に戻るのは、正直気が進まない。

六時間もあったら、迷宮を結構いじられそうな気がするのだ。

ルールは分からないが、前回は私達が居た小部屋に変化は無かった。

しかし、今度は部屋の扉が変更されて、無くなってしまうと言った変化が起きないとは限らない。

もし壁自体の繋がりすら変更できるのであれば、今作ってある地図が役に立たなくなる可能性も出て来る。

そう言った所で時間稼ぎをされるのは、流石に不味いと思う。

加えて、《迷宮の守護者》の効果が判らない以上、再度同じ《迷宮の守護者》持ちが次々現れる可能性すら否定できないのだ。


 結論。

取り敢えずこの部屋に一つしかない扉の先を見て、小屋を出せそうな部屋が無いかを確認してから考える事にした。

さっきも、ボス連戦をしたばかりなので……正直扉を開ける事に不安はあるんだけどね!


 

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