表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裏・代役勇者物語  作者: 幸田 昌利
第二章
31/138

31◆迷宮四層:久しぶりにチャーシューメンが食べたい(遠い眼)

 ルークがゴールドゴーレムから得られたアイテム、『黄金の心臓』に対して《識別》を使用しているようだ。

折角だから私も調べてみる。


黄金の心臓:英霊を宿らせることが出来る魔法具。英霊を現世に留まらせる効果がある。


だそうだ。

勝手に外部に出てきた点がよくわからないが、考えられるのは後付けで金ゴーレムに付けられていた可能性だ。

英霊を宿らせていたから、あのゴーレムは騎士の様な戦い方をしていた。

倒したので効力を失ってしまった。

そんな所かな?


 さて、そしてここでお知らせです。

自動MP回復の効果を、暫定ですが発表します。

現在の効果としては、一分ごとに回復する。

回復量は1の時と時々2の時があった。

そして先程、熟練度が2に上昇して変化が現れた。

基本的に2、時々3だ。

熟練度1の時に、合計値を計算しながら数時間様子を見ていたが毎回同じ。

その数値は私のMPの1%だった。

で、現在2%に上がったっぽい。

結果は、一時間に熟練度%の回復を、一分毎に分割して随時回復。

どこまで効果が発揮されるかは不明。

そもそも、同じ効果で進むのかも不明。

まぁ、最低でも熟練度50以上になる事は確認出来ているので、上手く行けば一時間に50%越えの回復が有りえるのかもしれない。

それに加えて、ルークの熟練度の上昇は私より圧倒的に遅いようだ。

まだ様子を見る段階だが、効果を与えた時間ではなく、回復した量で熟練度が上がっている可能性が高い。

何にしても、いずれは大きく役に立ってくれると思う。

……まぁ、今は雀の涙だが!


 ルークのMPは先ほどの戦いで、正直もう厳しいようだ。

私もそれなりに減っているが、まだ問題になる程ではない。

起きてからの時間を考えたら、流石にまだ休憩するには早すぎる。

シェリー達の精神状態も心配だ。

狭い場所に長時間閉じ込められ、いつ襲撃者が入って来るかを怯えて過ごすのは、流石に精神が削られていくだろう。

手遅れになる前に、できるだけ早く助けてあげたい。

その結果、この階層の敵の傾向を見てから決める事になった。


 魔法以外無効な敵ばかりでは無ければ、先へ進むのにそこまでは困らないと思う。

そして、この階層で遭遇した相手は亜人だった。

ゴブリンが強くなったような感じの魔物が出た。


ゴブリン族:ハイゴブリン:男 LV28

 特殊情報:《迷宮の虜》


《識別》の結果、普通にゴブリンの上位種でした。

計六体。


 このハイゴブリン達は、武器が前衛は片手剣と盾、後衛は弓で統一されている。

前衛三体、後衛三体だ。

片手剣を持っているというのは魅力的だ。

ルークの聖眼熟練度は結構前から無い。

その為に、熟練度上げには手こずっている。

LVも高いし、こいつ等ならそれなりに熟練度が高そうだ。

そう考え、戦闘が始まった段階でスキルの獲得を考慮した行動に出る。

まずは《ショートカット》の中身を変えて行く。

全員分の《アースシールド》と《エアシールド》分で三個づつ入れる。

そして突っ込んできた敵前衛の前に《アースシールド》を三枚、私達の前に《エアシールド》を三枚同時に出現させた。

進行を阻まれたハイゴブリン達は、次々とそれらを攻撃して行く。

予定通り、獲得確率がドンドン上がっていく。

攻撃パターンは少ない。

すぐに80%以上になったので次々と獲得して行く。

獲得出来た最大の物で


片手剣……聖眼獲得値25 短弓……聖眼獲得値24


となって居た。

念願の片手剣スキルが更新されて、ルークが物凄く喜んでいる様だ。


 ルークから、全ての敵スキルの獲得が告げられたので、今度は倒す方向で動き出した。

弓持ちに魔法を撃ち込んで、私が全て撃破。

その間に、前衛はルークが一体、ゲルボドが二体を倒した。


「手応えが無いシャ――――!」


倒した後に、ゲルボドがそう言っていた。

初めてゲルボドを見た時は、20LVだった。

今は28LVだ。

上がるのが速いな……。

ちなみに、私が28、ルークは23になって居る。

前に見たときに、《異世界LV85:現在弱体中》の表記が有ったので、おそらく私達の聖眼熟練度と同じ位の速度で再上昇しているのだろう。

正直、敵のレベルはかなり高くなっている。

この戦力は正直有り難い。

頼りにしているよ、ゲルボド君。


 そういえば馬車に対する攻撃に変化が起きて来た。

最初はずっと続いていた、大量な魔素の流出が収まっている。

どうやら馬車への攻撃は止んでいる様だ。

ただし、こちら側で魔素を消費している最中に攻撃が再開された場合は、《アースシールド》が破壊されてしまう可能性も考えられる。

基本的には、このまま魔素は使用しないで進行したほうがいいだろう。

ゲルボドのレベルが急速に上がって居るおかげで、今の所は順調に進んでいるので問題は無さそうな気はする。




 ☆ ☆ ☆




 亜人は今までより種類も使う武器も個性に溢れている。

ここまでに使用してきて獲得したスキルは以下の通り。


スキル:強弓 スキル:両手鎌 スキル:両手棍 耐性:生気吸収 耐性:気絶


色々と獲得できた。

聖眼熟練度は23~25だった。

だが、気になる点は耐性だ。

耐性が発動するという事は、その攻撃を受けたという事になる。

気絶はともかく、生気吸収なんて私やルークは持って無い筈だ。

即ち……犯人はゲルボド!

まぁ、知ってた。

因みに、上の階で骨に毒魔法撃ってたのもゲルボドだ!!

効くかどうか試してただけっぽいから放置したが。


 ルークはこの階にきてから、MP補給の為に《スティールMP》を使い始めている。

前に出て剣で殴りながら、余裕がある時や回避と同時に使う感じにしているようだ。

見た感じでは、上手く扱えている様に見える。

このまま色々考えて精進して欲しいものだ。


 そろそろ探索した時間的にも結構経つので、この階層の階段が見つかったら休憩する予定だ。


「階段があったシャ――――!」


ゲルボドの言う通り階段がある。

しかし、例によってそこを守る魔物も存在する。


オーク族:オークキング:男 LV30

特殊情報:《無限食欲》《鋼の胃》《異次元回廊の腸》《迷宮の虜》


特殊情報が面白いな。

《無限食欲》はOK、《鋼の胃》は羨ましい。

だが……《異次元回廊の腸》って……突っ込み待ちなのかと言いたい。

どう考えても、ふざけて名前をつけてるとしか思えない……。


 周囲には配下のオークが計十二匹。

数としては中々多い方だが、LVが低くてLV15~20程度。

ハッキリ言って邪魔なだけだ。

オークは種族的には特に弱点も耐性も無い筈なので、各自で適当に範囲魔法を使う。

私が最初に火炎系の範囲魔法でこんがりと焼豚にする。

次いでルークの魔法が発動し、土系広範囲魔法の《ニードルシャワー》で鉱物の針がオーク達に突き刺さる。

最後にゲルボドの風系の魔法で発生した真空の刃が縦横無尽に切り裂き、すでに瀕死だったオーク達はなすすべも無く輪切りにされて息絶える。


 ここでオークキングの本領発揮……。

流石は《無限食欲》。

周囲に転がった焼き豚を見た瞬間に、こちらの事は目もくれずに仲間だったはずの焼き豚を貪り喰い始めた。

私は、ルークとゲルボドを順番に見る。

これ、どうする? ……と、声を出さずに眼で問う。

それに答えてゲルボドが自分を指差して……俺が殺す……と言うジェスチャーをする。

ゲルボドがメインで攻撃する事に決まったので、背後から奇襲させる為に敢えて私達はキングの前方に移動。

ゲルボドは後ろに回って音を立てずに武器を抜いた。

選んだ武器エモノは両手剣の方だ。

ゆっくりと近づき、私達に行く事を眼で合図してから一気に首に向けて剣を振りく!

その一撃で……オークキングの首がちゅうを舞った。。

その瞬間、ゲルボドの使用スキルに《首切り(異世界)》…………現在習得不可能と表示。


 戦闘も終わったので、ルークがゲルボドに《首切り(異世界)》について聞いた。

ゲルボドの世界では普通に存在するスキルらしいのだが、あくまで首を一撃でねられるチャンスを感じる事が出来るスキルとの事。

ゲルボドでは職業的に適性が無い為、ほぼ出ないらしいので気にする必要は無いスキルだそうだ。


 私にもあまり用は無いスキルなので、気にせず魔石の素材と言いながら《アイテム》に死体を放り込んだ。

こいつなら生命力が高いので、中級クラスの中でもそこそこ良い魔石が出来るはずだ。

通常の30LVの魔物よりも、1~2ランク上が出来ると思う。


丁度階層ボスも倒したし、時間的にもそろそろ一度睡眠を挟んだ方が良いだろう。

そこで、予定通り一旦小屋を出せる部屋を探す。

五層に入ってすぐ目の前の部屋が問題無く使えそうだったので、今回はここで休む事にした。


 今の現状だと仕方が無いが、食事や入浴を終えてすぐに寝る事になる。

前世の事を考えると、太るのが怖いので寝る前に食事とか勘弁して貰いたいが仕方が無い……。

シェリー達の救出の為には、とにかく時間を無駄にしたくは無いので即二階で横になる。

私は寝る気になれば即寝れるのだが、迷宮に入ってからは仕事が出来たので少し起きたままでいる。

迷宮に入ってから、ルークが寝付けない様なのだ。

まぁ、シェリー達の事を随分気にかけているから、どうしても考え込んでしまうのだろう。

だが、寝る事は必須。

助ける為に、無理にでも寝なくてはならない。

そしてしばらく経っても、やはりルークは眠る事が出来ない様だ。


「また眠れないの?」


そう私が声を掛ける。

一瞬、ハッとした顔をするがすぐに諦めの表情を浮かべる。

さて、サクッとやってしまおう。

《ショートカット》に《スティールMP》を八個入れて上から一気に全部押す。

おやすみなさい、ルーク。

こうして昏倒したルークは、六時間後まで夢も見ないでグッスリだ。

さて、私も寝なくちゃね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ