表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裏・代役勇者物語  作者: 幸田 昌利
第四章
131/138

121◆ハヤトとの話と今後の予定についてをボチボチと

 ハヤトとはその後も色々話したのだが、それらは主に死ぬ前に居た向こうの世界の話だった。

向こうでの彼の死は、私が死んでからそれほど経っていた訳ではないので《襲来者》関係で新たな情報はなかったが、懐かしい名前としては【ヴェルクザード オンライン】というオンラインゲームの話があった。

私も学生時代に少しやっていたことがあるのだが、擬似的に色々と体感できるVRMMOであるそれを流用して、私のクローンを精神的に育てる教育システムにしていたらしい。


 懐かしいが、まぁそれは置いておこう。

他にもこちらで色々と疑問に思った事を聞いてみた中では、流石時間をかけて自力で迷宮スキルを得ただけあって、階層制限に関しての答え等も知っていた。

やはり階層制限で現状は七層が限度らしいのだが、この制限解除には二つの方法があるらしい。


 一つは年数の経過による解放。

迷宮ができ、約百年ほどで制限が解放されるとの事。

……なげぇよ! と思ったのだが、迷宮の主になるのは人間以外の長命種がほとんどなので、意外と主が生きて居る事が多いとか。

因みに、主が死んでマスター不在の迷宮になっても、百年経てば制限が解除されて大きくなるらしい。

王都近くの巨大な迷宮はこのタイプらしいのだが、あそこは巨大になり過ぎてハヤトがマスターになろうと試したが実力不足で制御できなかったとの事。


 そして、もう一つがスキル熟練度60以上になる事。

こちらも基本的に人間には無理だとか。

まぁ、《迷宮創造》を習得するだけで相当な歳になる上、熟練度上昇は吸収した魔法物質の吸収や消費に合わせて上がるのが基本。

普通は吸収出来る量はイコール経過した時間となる以上、寿命的に熟練度60は無理があるのだ。

もっとも、魔素のお蔭でガツガツ上がっている私達はいずれ到達できるだろう。


 因みに、そう考えるとハヤトの熟練度が意外に高いのだが、最初に作った迷宮の浅い地下に魔素石の鉱脈が偶然あったらしく、運良く迷宮がそれを吸収しまくった結果との事。

後で知って、少し魔素石を確保しておきたかったが既にほぼ涸れた鉱脈になっていてガッカリしたらしいが。


 その他にも細々と色々教えて貰ったが割愛。

今後のハヤトの行動に関しても話し合ったが、取り敢えずは魔人の能力関係でしばらくは自由に動きたいらしい。

連絡手段さえ確立できればどこに居ても問題無い為、ドール一号で作成可能になったマスター用扉を一つ使用し、ハヤトの移動迷宮に設置しておくことになった。


 自由に動いている間も色々調べてくれるとは言っていたが、元々が相当な年月をかけて調べつくした後なのでそこまで期待はしない方向で。

結構な時間を話し込んでしまったので、今回はそろそろ戻ると伝え、ここで別れる事にして席を立つ。


「じゃ、またね」


そう私が軽く別れの挨拶をすると、


「はい。魔人関係の整理がつき次第、連絡させていただきます」


との返事と共に、ピシッという音が聞こえそうな位の敬礼をされてしまった。

こいつの中で、私はどういう立ち位置になってるのかを確認してみたい気もする。

まぁ、上官扱いか……私のクローンを好きだったらしいし、義姉か義母といった所な気もする……が、触れないでおく方が良いだろう。




 ☆ ☆ ☆




 師匠の工房に戻ると、そこには出る前と変わらない光景がそのまま残っていた。

ハイテンションに聞きまくる王女と、淡々と答えるリーナの姿だ。

王女の姿は十台中盤なのに対し、リーナは子供そのものの姿なので立場が逆な気がして若干笑える。


 リーナには私の知識がほとんどコピーされている為、大半の質問にはスラスラと答えられる為に終わる事がないのであろうが、それにしても続き過ぎだ。

これだけの長時間だと普通なら答える役のリーナが疲弊していきそうなものだが、精神的に起伏が少なく、肉体的には魔素を得てから疲れ知らずの状態である為(元々、混沌の結晶による修復の為か、疲れを見せた事は無い気もする)、子供の相手でも全く問題は無さそうなので……今後も任せようと密かに決めた。


 今の話題が一段落するのを待ち、


「それじゃ、そろそろルークを迎えに行くわよ。はい、移動~」


と言うと、


「は~い!」


という元気な返事が返ってきた。

因みにリーナはコクンと首を縦に振るだけで声は出していない。

間違いなく、王女の返事に掻き消されるからだろうな……。

そんな事を考えながら、私は二人を連れて移動を始めた。




 ☆ ☆ ☆




 数日ぶりの再会に加え、色々と危険な事もあった為、心配してくれていたシェリーとの会話はいまだに熱を帯びたまま続いていた。

まぁ、二人の仲がいいのは姉としては微笑ましい所ではあるのだが、流石にそろそろ終わりにして貰おう。

これから数日間は色々後片付けや今後の準備に費やす事になるのだから、その間の暇な時間でよろしくという事で。


 ルークを連れてエルナリア卿の所へ行き、最終的な報告と仮の館から引き上げられる事を伝え、いつでもエルナリア邸へ戻れると伝えたのだが……三日待って欲しいと言われた。

ぶっちゃけると、交代で休みを与えて王都を満喫している為、ローテーション的にキリの良い所まで待って欲しいと言う話だ。

私としてはどっちでも良い為、了承しておいた。

仕事に関しては迷宮の事を知っている白髪の執事が指示を受けて迷宮経由で向こうへ行き、滞りなく進めているみたいだしね。


 次にルークへ今後の予定として、王女の装備製作や現在の実力や能力を確認し、最低限私達の足を引っ張らない所まで訓練というか力を慣熟させる期間を設ける事を伝えた。

少なくとも三日、長ければ十日位を目途に動く予定だ。


 特に王女の戦力を見極めてから、必要ならばレベル自体も少し強化する必要がある。

何故なら、ハヤトが持っていた魔法具により、彼女のステータスが色々と低下している事が判明しているからだ。

一割から五割まで幅広く色々低下しているらしいのだが、特に酷いのは精神や知識面に関わる部分だとか。

まぁ、六歳相当だしね!


 その話の流れでで知った事なのだが、私やルークの《識別》で見る事が出来る項目の少なさは最低クラスなのだそうだ……。

この見る事が出来る項目は熟練度10毎にランダムで更新され、最終的には50になると全てが解放されるらしい。

このランダムで更新が曲者で、それまで見えた項目がいきなり見えなくなる事もあるらしい。


 ただし、普通なら《識別》を得る段階で下位のスキルを複数育てている必要がある為、持っているスキル分は常時見えるのでそこまで困る事は無いらしい。

私達の酷さは、いきなり《識別》を得てしまったという……ある意味ズルをしたせいだという事が判明してしまったのだ。


 因みに、ハヤトが持っていた魔法具は相手のステータスまで見える優れものらしい。

ただ、スキル50オーバーで付与されているのかは不明らしく、その魔法具で《識別》の全てが見えるかは不明との事。

理由は、スキル50オーバーの《識別》持ちの情報があまり残されていないからだとか。


 後は王女の呼び方についてだが、本人の希望もあるのでリアナと呼ぶ事になった事を伝えたら、


「流石にリーナと似すぎているから、もう少し別の愛称の方がいいんじゃない?」 


と言われたが、


「リアナが良い! リアナがいい!! リアナがイイ!!!」


という、王女の我が儘(?)炸裂によって、見事に轟沈させられていた。


 ぶっちゃけると私は全く気にならないので、


「本人が気に入ってるなら別にいいんじゃない」


と、適当に流しておいた。


 その後はミルロード邸に行って王女用の部屋を追加で借りたのだが、リーナの事が気に入ってしまったらしくて結局私の部屋に来る為三人で寝る事になったり、夜の亜人部隊による迷宮攻略も再開されたりしながら準備の期間が過ぎ去って行くのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ