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裏・代役勇者物語  作者: 幸田 昌利
第四章
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116◆ドール一号&四郎、お疲れ様。ようやくルークと合流出来そうです

 二人の聖職者や同行している隊員を迷宮から送り出し、ドール一号と四郎の様子を少し確認してから王城へ再度向かった。

少し確認と相談があったからだ。


 王城へつき、毎度毎度御馴染みかつ頻繁に案内させて申し訳ないのだが、いつもの兵士にいつもの応接間に案内して貰った。

……というか、この兵士は午前でも午後でもいつも居る気がする……いつ休んでいるんだろう?

まぁいいか、深く詮索はしないでおこう……。


 さて、今回の用件は、無事送り出したので数日後に戻るであろう事が一つ目。

そして、今後の予定がどうなっているのかが二つ目だ。


「今後もあの二人に協力して貰う事になるのだが、流石に今回のような拘束時間を毎回押し付けるのは無理があるのは確かだね。何か良い方法が無いか、相談しようとは思っていた所だよ」


との返答があったので、


「では、今後は派遣する人員に荷物として人型ゴーレムを運んでいただき、目的地で人型ゴーレムを利用すれば移動迷宮を呼べますので、その後は今回と同様の手順を踏みましょう。その上で、帰りの馬車にはダミーを乗せ、お二人には王都で居ない事になっている状態で神殿内部の活動をして貰ってはどうでしょうか?」


と聞いてみる。

人前に出ないと不味いと言うならそれは無理な話だが、可能であればそれでいけるはずなので確認しておいて損は無い。


 詳しい話は流石に王子にも判らないらしいので、その件は確認しておいて貰う様に頼んだ。

おそらく女神神殿のお偉いさんに確認するのだろうから、二人の聖職者が帰ってくる前には結果がわかるだろう。

もっとも、流石に用事が無いのでしばらくは王城には来ない気はするけどね。




 ☆ ☆ ☆




 その後は数日の間、ここしばらく放置していたジムルやロイに任せている土木工事関係の確認と必要な物品補充をしていた。

補充人員で送り込んであったゼットも徐々に慣れ、彼が指示するゴーレム部隊もそろそろ追加分が欲しいという事になったため、リーナと恐ろしい数の作業用ゴーレムを作ったり、工事後に農作物を自動で育てるパペットもこの際だからと大量に作成した。


 その間に、亜人部隊による故郷の迷宮探索も再開しているのだが、理由はドール一号が第二迷宮を作れるようになったからである。

今回必要なのはマスター用扉が使える固定迷宮なので、取り敢えずは領主館から少しルーク側へ進んだ適当な森の中に作っておいた。

今後、領主館に再び用が出来た時などにも便利だしね。


 この迷宮は、完成するまでは魔素を注ぎ込むのだが、出来上がったら魔素の供給を停止する予定。

一気に魔法物質低下エリアが広がると、森の中に生息している魔物が逃げ出し、周囲に移動して近隣に迷惑がかかる可能性があるからだ。


 そして、再開した亜人部隊の探索結果なのだが、残念ながらあまり芳しくは無い。

敵自体は六層がオブシディアンゴーレムとクリスタルゴーレムで溢れていたので、次も同じ系統が来ると思っていたのだが、予想通りオブシディアンゴーレムとアメジストゴーレムが出て来た。


 ……アメジスト?

どう考えても、お宝そのものなんですが!!!

まぁそんな喜びも、攻略を進めるていると霞んでくる程の嫌らしい構造の数々!

マジで酷い!!

酷いなんて生温い言葉じゃ表せない位に恐ろしく酷いものだったのだ……。


 まず第一の酷さは転移装置の多さ。

罠ではなく、迷宮の別の場所に移動するための物なのだが、継続したマップではなくなる為に繋がりがとても分かりづらいのだ。


 ゲルボドから得た《魔術師魔法(異世界)》にある《座標》という魔法のお蔭で位置関係を見失う事は無く地図を作成出来てはいるが、相当厄介な仕様だった。


 そして第二の酷さは、開ける為にアイテムが必要な扉が異常なほど多い事だ。

その数は、現在までで開けた分だけで六十八個!

行ってない場所がまだまだある事を考えると、ふざけるな!! と、言いたい!!!


 開かない扉が最初から沢山あり、トリガーアイテムを手に入れても虱潰しというか、総当たりというか……、とにかく行ったり来たりが恐ろしく多いのだ。

完全に嫌がらせだね!!!


 しかも、倒したゴーレムがある程度で復活して来るのだが、その全てがオブシディアンゴーレムなのが痛い。

せめて、アメジストゴーレムだったら文句は言わないのだが!

素材的に美味しいしね!!


 ……まぁ……気長に行こうか……。

オブシディアンゴーレムでも多少の経験にはなるはずだしね。




 ☆ ☆ ☆



 

 私達の方はそんな感じだったのだが、ルークの方も似たようなもので変化は無かったらしく、同じ村で保存食を作りまくっているとの事。

周囲の村からも噂を聞きつけて続々と集まってきているらしく、次々とやってくる人たちの為にも下手に動かない方が良さそうな感じらしい。


 話を聞く限りでは人数が多くなっているのでコンロなどの機材の方が足りなくなっているらしく、


『それ位人数が居るのなら、加工する機材も増やした方がいいわね』


と言って、リーナと一緒に大量に作って《アイテム》へ投入しておいた。

私はルークに向かって移動していると思われている為、リーナが作ったと思っているだろうが訂正はしない!

ドール関係は、もっと数が増えてからバラした方が面白そうだしね!!


 後、ルーク関係では、保存食をこちらでも亜人部隊に大量に製作して貰っていた。

私とリーナがゴーレムの大量生産を行っている間、素材となるアイアンゴーレム狩りだけでは時間が余るみたいなので、余裕が出来たらよろしくと頼んでおいたのだ。


 もし今回で使わなくてもいずれは使う機会もあるだろう。

何故なら、これで肉祭りは二度目なのだ。

二度ある事は当然三度目があると考える、元日本人な私であった。


 そんな数日間を経て、ドール一号から連絡があり、ルークが居る村まであと少しの段階で、私の迷宮を呼び出してからドール一号や四郎を回収した。


 ドール一号達と交代で出た場所は、あまり高い木の無い平原の中に真っ直ぐと一本だけ踏み固められた道であり、方向を確認してルークの居る方へと私は歩き出した。

時間的には昼近くで天気も良く、若干暑い位の中を荷車に大量の荷物を積んだ男達が威勢良くすれ違っていく。

もうそれほど村まで距離も無い為、人が集まっているだけあってすれ違う人も多少はいる事から、変に目立つ行動は避ける為に歩く事を選択したという訳だ。


 すれ違う人達の顔を見ていると、明らかに希望に満ちた顔付きで一刻も早く故郷に持って帰ってやろうという意気込みが感じられた。

それがルークの行った事だと思うと、優しい子に育ってくれた物だと、私にも嬉しさと誇らしさをもたらしてくれる事に若干驚いたりもした。

……私自身はちょっと汚れた気もするが、そこはスルーの方向で!


 村へ着くと、入口から少し進んだ広場がとても賑わっていた。

広場には所狭しとコンロが並び、私から一番遠い位置に見える移動迷宮から、ルークの《迷宮の虜》であるエースとオシリスが獣型の魔物を運び出している様だ。

それらはすぐに男達に解体され、空いたコンロに運ばれては水分を飛ばし、次々と乾燥肉へと変えられていく。

コンロの火力は水分を抜く事に適した火力が設定できる様に調整がされている為、手順さえ守れば安定した加工が出来る様になっていた。

そのおかげで、ほぼ失敗が無く完成し続けて居るようだ。


 取り敢えずルークを探すと、村人の中に紛れて作業をしているのを発見。

どうやらコンロに組み込んだ魔石にMPを供給して回っている様だ。

ぶっちゃけると、このコンロの個数ではルークのMPが先に尽きてしまう為、MP補給用の魔石から吸収しながら使っている。

その為、使用済みの物がある時は、ちょこちょこと私が補充をしていたのは言うまでもないだろう。


 それにしても……この場所で数日間作り続けて居るはずなのに、いまだにこの混雑ぶりは凄いな。

広場の端に寄せられた荷車の数を考えると、この村の外から来ている人がまだまだいそうだし。

まぁ、亜人部隊に大量に作らせて準備してある量があれば、今すぐ必要な分は全て配布可能だとは思うけどね。


 さて、ようやくルークを回収する事ができる所まで来た。

後は、王女関係さえ終われば一段落かな。

長かったような……そうでもなかった様な気はするが、数日ぶりに会うルークのもとへ、私はゆっくりと歩を進めるのであった。

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