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裏・代役勇者物語  作者: 幸田 昌利
第四章
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111◆ルークとからの相談と、それに関する王子との相談3

 王子と相談した翌日、昨日と同じ位の時間に王城へ向かった。

例の領主粛清に関する状況確認の為だ。


 現在ドール一号の居る場所は、既に問題となっている領地の近くまで来ている。

ルークとの合流が先になるのか、領主の排除が先かで進行方向が変わってくる所まで来ているのだ。

その為、取り敢えず状況を確認してからでなくては動けないという状況だ。


 王子への面会を昨日と同じ様に求めると、これまた昨日と同じ様に地下へと案内された。

連日会っているので軽く挨拶をした後に本題に入ると、


「国王を含めた、関連する予定の全ての同意が得られたよ。あとは実際の準備なのだが、今日中に女神神殿側で送り込む人材を選定するとの事なので、明日には動けるようになる予定だ」


との事。


 おおぅ。

急な話なのに、対応が早いな!


 それならば、こちらも早めに用意を進める必要がある。

もっとも、どの様な手順で行うかにもよるので、そこら辺は確認しておかなくてはいけないかな。


「どういった手順で事を行うか、方針は大体決まっているのですか?」


と聞くと、


「エル君の方でどの程度の準備が可能なのかによるのだが、今回の目的地にならヴァルツァー五爵の時の様に迷宮経由で行けると考えていいのかな? もし行けるのならば、明日にでも即行動を起こせるのだが」


だそうだ。


 明日ならば、リーナの移動迷宮に配置しているマスター用扉をドールの迷宮に再設置する事で可能かな。

いや、そもそもリーナの移動迷宮は定位置から移動させている。

リーナの迷宮を呼ぶだけで解決か。

ただ、迷宮の事を知る人が、この調子でいくとドンドン増えていきそうなのだけが不安ではある。

一応その事を王子に伝えると、


「それならば、以前エルナリア邸から使用人を移動させたという方法を使うとしよう。迷宮の事を知らない者は全員それで行けば問題は無いだろうからね」


と、王子が解決策として提示してきた。

確かにそれならば問題は無いかな。


 流れとしては、神殿からの邪気判定要員を送り届けた上で領主を調べて貰い、その結果をすぐに王都へ持ち帰る。

この結果を王国上層部と女神神殿上層部で判断し、両者共に邪として認めた場合は私に許可がおりるという訳だ。

この許可は王国と神殿が認定書を発行して私に手渡される事になり、それがあれば非常時だとしても見捨てて切り捨てる事が出来ない位の証拠品となるらしい。


 この認定書に関しての注意点として、他者に見せる事が出来ない様に細工がしてある事だ。

これを解くためには王国と神殿から渡された魔法具で解除する必要があるのだが、それを行う事は裏切り行為をした事になるので、向こうが裏切った場合以外では絶対に使えない代物となっている。

即ち、お互いに裏切る事が出来ない状況をしっかりと作り上げられているので、下手な口約束と違って信用が出来る関係になっているといえた。


 その件に関しては続報待ちといえる状況なのが理解できたので、次の話題としてヴァルツァー五爵関係となったのだが、そろそろ彼の精神も危なくなってきたとの事。

強靭な精神を持つ彼でも、様々な魔法具やスキルを使用するここでの尋問には耐えられない様だ。


 これからの事を考えると、私もそのスキルを習得した方が良い可能性が高い気がするのだが……個人的にはしたくない気もする。

まぁ、そのうち覚悟が出来たら王子に直接頼んでみよう……。


 さて、精神的に危ないというのは、その分嘘の情報で誤魔化す事が出来なくなるため、残りの三人はほぼ確定という所まで来たとの事。

それならばという事で、頼まれていた蜘蛛網の魔法具が完成したので後で先生に渡しておくと伝えておいた。

その早さに多少驚きはした感じだったが、すぐに笑いながら礼を言われた。


 取り敢えず、今聞きたい事は大体済んだので引き上げようとすると、


「ああそういえば、これを伝える意味があるかどうかは正直私には判断しかねるのだが……、ヴァルツァー五爵から君に伝言がある」


と、若干困ったような……微妙な顔で話しかけられた。


 その内容とは、


「『ヴァリアム流格闘術の正当後継者である私をヴァリアム流で倒した貴様には正当後継者を名乗る義務がある! 敵であった貴様に託すのは無念ではあるが、是非とも我が流派を世界に轟かせて欲しい!! 精進するがよい、わが後継者よ!!!』 だ、そうですよ……」


との事なので、王子がさっきしていたあの表情も納得だ。


 そこで私から出た一言は……、


「だが断る!」


だけであった!!

普通にそんな権利はいらん!!!




 ☆ ☆ ☆




 私はエルナリア邸に戻り、まずはリーナの所へ顔を出した。

リーナはエルナリア邸で迷宮を呼び、マスタールームの中に置いたベッドで横たわっている。

その横にはドール二号と三号が居て、現在は二号に《浸食共有》を使いながら活動している様だ。


 その二号の操作を行っていたリーナが私に気づくと、一度《浸食共有》を止めて私に抱きついてきた。

うんうん、相変わらずとても可愛い!

一応言っておくが、顔とかではなく仕草や態度に関してだ……自分と同じ顔なのに自画自賛もどきをする程の自惚うぬぼれはもっていない。


 リーナがやっているのは今日も《迷宮創造》と《迷宮の主》関係の操作なのだが、一号も自我といえるものが芽生えるまでは、私達の指示や回避などの防衛行動に反応するだけのお人形状態だったので、今の所は違いが無い為にスキル関係がどうなっているのかは不明なままのようだ。


 今日は特に予定も無いのでリーナにはしばらくこのまま続けて貰い、私はエルナリア邸の片付けをする事を伝えた。

ルークが消えたホールだけは何が仕込まれているか不明なので放置し、それ以外を取り敢えずは片付け始めようという訳だ。


 まずは偽装用に配置したダミーを片っ端から《アイテム》に入れるのだが、流石に種類がありすぎて《アイテム》の空きが十分では無い。

正直な所、普段からそれなりに必要な物が相当数入っている為、そこまでの余裕は無いのだ。

そこで、ある程度《アイテム》に入れたら王都にある仮のエルナリア邸へ移動して放出。

代わりに、元々エルナリア邸にあった家具が現在は仮の方へおいてあるのでそれらを回収して戻り、配置は後でまとめて教えて貰う方向で今は適当に置いていく事にした。


 何度も往復しながら入れ替えていき、既に大半を置き換えてはいるが配置自体は似たような感じにしているので、仮の屋敷が現在よりも使いにくくなる事は無い様に配慮してある。

何故なら、今すぐ本来の屋敷に移動する訳ではないからだ。

それならばなぜ今入れ変えているのかといえば、コピー品は本職が作ったものよりも細部に若干の甘さがあるものの、素材自体はむしろ良い物すらあるので使用する事自体に問題は無い事もあり、時間のある時にやれる作業を済ませてしまいたかったというのが一番の理由だ。

ルークが戻り次第だが、やりたい事はいくらでもあるからね。


 因みにすぐにエルナリア領へと戻らない理由なのだが、本来なら王都など見る事も無く終わる可能性が高い使用人も多い為、この機会に王都を満喫出来る様にと順番に休みを与えているという話を先日聞いていたのだ。

そういった都合もあり、あくまでエルナリアへ帰る時期自体は既にお任せとなっている状況となっている。


 ぶっちゃけると領主一家以外は襲われる心配もほぼ無かった為、順番で結構呑気にやっていた模様。

まぁ、王都へ移動している事自体がつかめなかった以上、ヴァルツァー五爵も手の出しようも無かっただろうしね……あくまで結果論だが!

それに加え、通信系か移動系の魔法具でもなければ、もし知っていても王都まで到達するには早すぎる。

そこら辺を考慮すれば、無闇に警戒する必要が無かったのも納得ではある。




 ☆ ☆ ☆




 こんな何時でこの日も過ぎて行った訳だが、最近の私は戦闘以外のスキルばかり上がっているな……主に生産系なのだが。

まぁ、《錬金術》を使用しての製作である為、魔法系も同時にあがってはいるんだけどね。


 そろそろ落ち着いてレベルやスキルの熟練度上げに勤しみたい所ではあるのだが、いつになったら落ち着いてくれるのかねぇ。

まぁ、なるようにしかならないか。

とはいえ、王国関係の面倒事からは出来るだけ避けていきたい……そう願わずにはいられない今日この頃だ!

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