幕間:大陸用語
『 大陸の用語 』
・大陸
この世界の名前。陸のことではない。
星の形や大地、空気中に存在する酸素などは『地球』とほとんど変わりはなく、海はもちろん宇宙も存在している。しかし、海や大地の比率、地形などは異なっている。
この大陸は陸続きが多く、現在、大陸の半分は陸であると考えられている。少し曖昧であるのには理由がある……。これは『旅人』の存在と関係しており、詳しくは旅人にて詳細を書き連ねることとする。
・旅人
62年前、『行商人』と共に『大陸』に存在する未だ解明されいない謎や未踏の秘境を暴こうとしていた者達の総称。62年前は『研究者』もこの旅人に含まれていたが、『魔物』によって国外を出歩くものがいなくなったため、51年前に別種として分けられた。
旅人という存在は特別な力を持っているわけではなく、人間に限らずあらゆる種がその名を名乗ることができた。旅人に必要なものはただ一つ、『探求心』である。現在では旅人を名乗るものは少なく、絶滅危惧種レベルである。しかし、旅人を見た目だけで認識することは不可能なので、もしかしたら思っているよりも数はいるのかもしれない。
だが、国より外へである者は行商人と『傭兵』くらいなものなので、やはり探求心を持った者は少なく、国外へ出る者には最低限、生き抜く力が必要とされている。危険を冒してまで外へと出ようとするのは今や行商人と、行商人に雇われた傭兵くらいなものである。
前述のとおり、陽色などの旅人は大陸に存在する未踏の秘境を探し求めて国外を渡り歩いている。陽色たちがいる場所では、まだ地図にも記されていない場所が数多くあり、それと同時に未知の領域が存在している。陽色はその場所を自らの目で見ることを目的として旅をしているのが、現在語られている話の陽色である。
なお、62年前以前は研究者もあらゆる謎を解明するために『旅人』のように出歩くことが多かったため、旅人の一つとしてその名に数えられていた。現在は謎の探求というよりも兵器開発などをしている者が多い。そのため、以前の研究者とはその存在自体が変わっていると言っても過言ではない。
・行商人
かつて『旅人』と共に旅を共にし、『大陸』に存在する多くの土地を渡り歩いた者たち。現在でも数多く大陸に存在しているが、その目的意志は大きく変わっている。
62年前以前に存在していた『行商人』は土地へ土地へと渡り歩き、その土地にはない物とその土地にしかない物を交換していた。その際、近いうちに祭りごとや新しく作ろうとしているものなどの情報を聞き、それをまた別の土地で言伝するという催しの火付け人でもあった。
行商人の仕入れた、別の土地で作られたものは様々であったが、その中で一番多かった仕入れ物はお酒であった。お酒を片手に様々な噂話を耳にできる行商人は『歩く酒場』とも言われていた。
しかし、現在は『傭兵』のような力がなく、飢えを凌ぐために死に物狂いでお金を作るために用意された最後の職となっている。
現在の大陸でお金を稼ぐには目を引く仕入れ物、もしくは必需品となるものでなければならず、それを仕入れるためには最悪、城の外へであるかなければならない。稼がなければ飢え死に、稼げてもいつか外で死ぬ可能性がある。どちらにしても常に死と隣り合わせの職業である。
62年前は職業としての名前ではなく、ただの通り名程度の名称であったが、いつそうなったのかは誰も知らない。
・傭兵
現在、多くの国々に必ず存在する者たち。
お金もしくは食料を渡す代わりに依頼を受けることを生業としている職業。その多くは強い力を持ち、魔物と渡り合える。力がなくとも『ウェリオ』か『魔石』を用いた武器を持っている傭兵も極稀にだがいる。
傭兵への依頼の中には城壁もしくは壁外での監視、兵士と共に魔物を倒しに行くというものもあり、それによって評価された傭兵が兵士になることがある。
傭兵はチームを組んでいることが多く、チームで依頼を受け、得たものを分け合っているのが大半である。これは力がないのではなく複数の魔物が出現した時のための対処法であり、自分が生き延びるための手段である。
魔物は単体で現れることはあまりなく、ほとんどが複数で構成されている。単体で現れることの方が珍しい。
・研究者
現在では『魔物化』について調べる引き籠り。
62年前までは旅人と同じカテゴリにあった者たち。未知の洞窟や山々、海の向こうにある陸など夢見心地に国外を歩いていた。しかし、62年前に起きた魔物化によって国外へ出る者はほとんどいなくなり、魔物化の解明に勤しんでいる。中には国外へと出て調べている者もいるそうだが、すぐに国へと帰るので旅人とはやはり違う。
現在の研究者は魔物化について研究を進めている者と魔物への対抗策として兵器開発に勤しむ者の二つに分かれている。この他について研究している者は少なく、人数的には魔物化よりも兵器開発に熱意がある人の方が多い。
最近ではさらに多くの研究者が増えて行っているようで、それらは魔物化について解明しようと考えていた者たちが兵器開発に流れていっているからのようである。
・国
城壁を築き、国外に存在する魔物から身を護る街。街の住人を統率する王と呼ばれる人物がおり、本来は『王国』と呼ぶ。
防御塔を設置している国もあるが、建てていない国も存在している。防御塔を建てていない国と建てている国の違いは、空を飛ぶ魔物が存在しているかいないかである。空を飛ぶ魔物は国の城壁を超えてくるため防御塔は絶対必須である。
防御塔を設置している国は空を飛ぶ魔物がいない国、つまり防御塔を建ててない国に塔を建てることを薦めていることが多い。これはいつ空を飛ぶ魔物がその地域に出現するかわからないため、事前に設置するようにという勧告と、遠方から他国の使者を見つけることができる望遠塔の役割という利益を混ぜてのものである。国外に存在する魔物はいつどこにいるのかわからないため、行商人や他国からの使者のほとんどは怯えながら移動している。防御塔を築いている国はその人々を助けるため、見つけた場合は速やかに兵士または傭兵を向かわせ、城壁に着くまでの道中を護る。
・魔物
62年前に急増した動物。地域によって『化物』と呼ばれる。
魔物について現在わかっていることは、知能の増加に体形変化、凶暴化(?)意思の表れなどである。
凶暴化(?)については現在も詳しく研究されているが、他の三つに関しては確定的であることがわかっている。意思の表れというのは人間と同じく高い知識を持ち、逃げるや戦うことを本能ではなく考えて選択するということである。ある国の調査報告によると、信じ難いことに人と協力して同じ種族、同じ魔物と戦った魔物がいたことが判明している。(なお、その魔物はその後、どこかへと去って行ったとのこと)
体形変化は言わずもがな、禍々しい姿になったり原形を留めているのがやっとと言ったような姿になっている魔物がいるためでもあり、多くの魔物はその形を変えている。なお、一部の魔物、武器の形をした魔物『ウェリオ』は全く、欠片すらも変化していないという例外(?)もある模様。
・魔石
62年前の『大規模な魔物化』によって魔物と共に急増した鉱石。
武器の形をした魔物『ウェリオ』と同じような力を有しており、傭兵や兵士たちの用いる武器に使用されることが多い。(魔石の採掘場は多くが国が管理しているため、傭兵よりも兵士の武器に使用されることが多い)
その効果は『ウェリオ』同様、個々様々な力を有している。時々であるが同じ力を持っている魔石が採掘されるがある。また、力の強弱も存在しているようだが、魔石の大きさ=力の強さではないようで、翁力を持った魔石は国が注意深く管理している。
その力が『ウェリオ』と似通っていることから、魔石も魔物の一種と考えている研究者がおり、中には魔物化と同時に魔石についても研究している者もいる。
・魔物化
現在解明中につき、『魔物』の項目を参照。
・大規模な魔物化
62年前に突如として全大陸中にて起こったと思われている魔物化。正式な名称は未だ決められておらず、謎しか残っていない現象である。現在でも『研究者』たちが血眼で解明に勤しんでいる。ただし、その数は年々減っていっている模様。
この大規模な魔物化だが、そもそもの話、魔物化について何一つわかっていないという、前提が成り立っていない状態である。そのためまず先に魔物化を解明しなければならず、今は基盤を解き明かそうとしている状態にある。