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トラック運転手との出会い

作者: WAIai
掲載日:2026/07/08

下校途中、俺は彼女と手を繋いでいた。


しかし急に彼女が足を止め、その場に屈む。


「どうした?」

「それが…痛っ!!」


顔を歪めながら、左足の靴を脱ぐ彼女。

すると血が靴下に滲んでいた。


「新しい靴だから、擦れちゃったみたい」


ずっと我慢していたのかと思い、俺は怒り口調で言う。


「早く言えよ。絆創膏は?」

「持っていない。うわ…。何か傷を見たくないんだけど」

「しょうがない」


俺は彼女の前で腰を下ろすと、手を動かす。


「な、何…?」

「背負ってやるから乗れ。その足で歩くのは無理だ」

「そんなことは…!!」

「いいから、乗れって!!」


思わず吠えると、彼女は恐る恐る背中に手をかけてくる。


「ちゃんと掴まれよ」


俺はそう言うと、彼女を背負って歩き出す。


「あの、その、重くない?」

「重くないよ。むしろ軽いくらいだ。食え。たくさん食え」

「たくさんって言われても…」


戸惑う彼女を背負い直し、俺は前を見て進む。

周りがちらちらと見てくるが、構わなかった。


大事なのは彼女だけで、後はどうでもいい。

そんな心境でしばらく進むと、トラックが側で停まった。


それから窓が開き、30代くらいの男性が声をかけてくる。


「乗れ。送ってやる」

「え?」


2人して顔を見合わせると、鋭い視線を向けられ、少し緊張する。


何かあったら俺が戦うと思っていると、男性は鋭い視線を彼女の足に向け、言ってくる。


「彼女、足が痛いんだろう? 俺が家の近くまで送ってやる」

「え…。あの、その、どうするか?」


戸惑いながら彼女に聞くと、

「どうしよう。迷惑かもしれないよ?」

小声で返ってきた、


しかし男性はひかないようで、「乗れ」と顎で示してくる。

その仕草のかっこいいことといったら。


男の俺が惚れそうだと思いながら、彼女に聞く。


「どうする? 甘えさせてもらうか?」


俺の言葉に、彼女は小さくうなずく。


「私、重たいから、このまま背負われるのも困るし」

「あの!! 本当にいいんですか?」

「もちろん。早く乗れ」


ドアが開けられ、俺と彼女は申し訳なく思いつつ、トラックに乗り込む。


シートベルトをすると、トラックが走り出す。


ヒョウみたいな男性は、柑橘系の香水をつけているようで、良い香りが漂ってくる。


それから俺達に話しかけてきた。


「2人とも付き合っているのか?」

「は、はい」


俺は肘で彼女を小突くと、ここは俺に任せろと伝える。

彼女はうなずくと、窓の外を眺めることにしたようだった。


「あの、お兄さん、すみません。乗せてもらって」

「ああ、気にするな。それでどこまで行けばいいんだ?」


男性の声や仕草は俺なんかと違って、自然とかっこいいのて、油断していると、かぶりつかれそうな感じだった。


そんな緊張感のある人間、俺は知らなかったが、憧れの対象としてリラックスして質問する。


「どうやって免許を取ったんですか?」とか、「何を運んでいるんですか?」とか当たり障りのないものだった。


男性も楽しいのか、頰を緩めると、人気のあるサッカー選手みたいに華やかな印象となる。


「あ、そこは狭くなるんですけど」

「大丈夫。任せろ」


男性はハンドルを回すと、上手に道を走っていく。


俺と彼女かも思わず拍手すると、男性が照れたように言う。


「そんなにすごいものじゃないぞ」


ははっと、声をたてて笑ったので、俺と彼女も一緒になって笑う。


「あ。そこまででいいです」

「おう。そこまでな」


トラックが停まり、俺と彼女がトラックから降り、頭を下げる。


「ありがとうございました。助かりました」

「どういたしまして。気をつけて帰れよ」


男性はクラクションを鳴らすと、走って行ってしまう。


その姿が見えなくなるまで見送る。


「かっこいい人だったな」

「うん。すごくかっこよかったね」

「俺よりもか?」


意地悪な質問をすると、「もう!!」とぽかぽか叩かれる。

全然、痛くないので、俺は上機嫌に声をたてて笑う。


声は周りに心地良く響いたのか、鳥達が群れをなして飛んでいく。


「帰ろうか」

「おう。その足は…?」

「大丈夫。すぐそこだから」


俺はうなずくと、彼女と歩き出したのだった。

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