第3章 監視
第3章 監視
ミラナは森の中へと姿を消した。
彼女はステータスウィンドウを呼び出し、アサシンの姿――カイラへと変化する。
そしてエルフの少女に対して、追跡のマーキングを起動した。
すべての準備は整った。追跡が始まる。
アンドレイはミラナの姿となり、北へと進んだ。
森は次第に深くなり、空気は重く湿っていく。
道は巨大な木々と地面から突き出た根に飲み込まれ、やがて消えていった。
葉の隙間から差し込むわずかな陽光だけが、かすかな道標だった。
葉擦れの音、鳥の叫び。
それらは生命の気配を感じさせるが、同時に——どの音も危険の合図になり得る静けさでもあった。
やがて森はその“暗い顔”を見せ始める。
道には怪物が現れた。
闇の中で鋭い牙が光り、爪が地面と樹皮を引き裂く。
しかし彼とファミリアたちは乱れない。
狼は低く唸りながら突撃し、
虎は重い一撃で道を切り開き、
狐は影の中を滑るように移動し、予測不能な速さで敵を斬る。
ミラナは空を駆ける“ヴェトロベグ”に跨っていた。
翼を持つその存在は地上を俯瞰し、自由に機動することを可能にする。
彼女は正確に矢を放った。
一射ごとに計算された軌道。
弱点だけを貫く精密な射撃。
倒れる敵の数が、目的地への距離を縮めていく。
やがて日が傾き始める頃、ミラナは小さな空き地で野営を張った。
濃い木々に守られた、わずかに開けた場所だった。
アサシンの姿に戻り、彼女は再び追跡マーキングを確認する。
エルフの少女はエルフの村に到達していた。
位置は正確に表示されている。
安全のため、彼女は追跡機能を解除した。
焚き火が灯る。
煙の匂いと温かな光が、緊張をわずかに和らげる。
ミラナは食事を用意し、仲間たちにも分け与えた。
狼は静かに横たわり、
虎は丸くなって休み、
鷹は枝の上で周囲を見張り、
砂の狐とイタチは彼女のそばに寄り添うように横たわる。
ヴェトロベグは静かに休息していた。
夜が森に降りる。
アンドレイは焚き火の前に座り、揺れる炎を見つめていた。
思考はエルフの村へと向かう。
それは危険な行動になると理解していた。
しかし情報は重要だった。
胸の奥に不安がある。
それでも決意は揺らがない。
そして彼は理解した。
明日、自分はエルフの村へ向かうのだと。
どれほど危険であっても。
夜の静寂は、ただの静けさではなかった。
焚き火の音と森の遠い気配だけが響く中、それはまるで彼を見つめているようだった。
風が木々を揺らし、枝の軋む音が耳に届く。
森そのものが、彼の決意を試しているかのように。
しかし炎は確かにそこにあり、手を温めていた。
そして隣には仲間たちがいる。
それだけで、彼は思った。
——どんな脅威でも、共になら越えられる、と。




