第2話:カルキノス防衛研究所
シザースキングコックピット内。
「敵は倒したけど、これどうやって降りるんだ?」
【ヴォイド反応の消失を確認、分離します】
ガシャン、シュイィーーン。
シザースキャリアからコアキャンサーが分離する。
「おお!?いきなり分離するな!落ちる!」
ガション。
何とか着地する。分離したシザースキャリアは巨蟹山に帰っていった。
「あ、山に納まるんだ」
シザースキングから分離したのはいいが、いまだに降り方がわからなかった。
「とりあえずカニ形態になるか」
人型形態からカニ形態に戻す。マネキさんなら何か知ってるかもしれないので神社に向かうことにした。
「マネキさーん!」
「おお!ケイジ!大活躍だったな!」
大きな片手のハサミを振って歓迎してくれる。
「ありがとうマネキさん!ところでこれどうやって降りるの?」
「ん?見事に操縦してたから降り方ぐらいわかるんじゃないのか?」
「え?マネキさんコアキャンサーに詳しいんじゃないの?」
「俺は言い伝え通りにご神体に連れてったら、都合よくそのメカカニが出てきて、ご先祖様の教えも捨てたもんじゃないなあって思ってただけだぞ」
「めちゃくちゃ、行き当たりばったりじゃねえか!」
「突然出てくる侵略者に備えてる神社なんてあるわけねえだろ!」
ガシューン。
「あ、ハッチが開いた。」
【安全が確認できました】
「あ、そーいうことね」
ようやくケイジはコアキャンサーから出ることができた。
「マネキさん、ご神体メタリックになっちゃったけど、どうしよう」
「石より堅そうな見た目になったから参拝客も喜ぶだろ」
「そういう問題なのかよ……」
ブロロロー。
その時沢山のいかつい装甲車が神社の前にやってきた。
「こんどはなんだよ……」
「ケイジこれは、所謂アレだ、アレだよ」
「全然わかんねえよ!」
装甲車のハッチが開くと沢山の武装ガニがケイジたちを取り囲み、その間から研究員のような女性が近づいてくる。
「はじめまして。私はカルキノス防衛研究所の高地アンナです。先ほどのヴォイドエフェクターを撃退したのはあなたたちですね?」
「やったのはこっちのケイジだ!俺はそのメカがおいてある土地で神主を偶然してただけだから無関係だぞ!」
「マネキさん!なんだそれ!乗せたのはマネキさんでしょ!」
「ああ、物々しくて、勘違いさせてしまいましたね。私達はあなたたちを防衛研究所の協力者として招きたいのです。見たところ、あなたたちの巨大メカはこの山に格納されてるようですし、無理な接収は考えていませんよ」
「協力者って言っても俺も配達の仕事があるし……」
「防衛研究所は惑星機関なので、たくさんお給料出ますよ?」
「よし!デリバリーズには休職届けだしとく!」
「ケイジお前そんな釣られ方でいいのか!俺の寿司は次から誰が運ぶんだ!」
「マネキさん、町が壊されてるんだ、寿司屋だって壊されるかもしれない、俺は平和のための選択をしてるんだ、けして給料がよさそうだからじゃない」
そこに一人の隊員がアンナに耳打ちする。
「生体認証があります。おそらく最初に搭乗したもの以外受け付けないかと」
「やはりそうですか、今、彼の協力を取り付けられそうだったのは幸運でしたね」
「えっと、アンナさん?だったっけ、俺は協力するぜ」
「ええ、よろしくお願いします。そちらの小型カニメカは神社から動かせますか?できることなら防衛研究所で調査をしたいのですが」
「やってみるけど、マネキさん。ご神体連れてっちゃって大丈夫?」
「俺は権力には媚びる方針でいる!ご先祖様も惑星防衛のために残したのだから本望だろう」
「じゃあ、持ってくぜ」
ケイジは再びコアキャンサーの前で手をかざす。スキャン光が体を通り、ハッチが開いた。
「お、乗るのは自由なんだな」
「では、研究所まで案内するので、車に付いてきてください」
「了解!」
装甲車の列の後ろからガショガショと付いていく。コアキャンサーは割と横幅が広いので二車線塞いでしまっているが、対向車には足の間を通ってもらえば大丈夫だろう。
しばらく進むと巨大なエネルギーゲートが見えてきた。
「あー、このよくわからんだだっ広い敷地は防衛研究所だったのか。ここデリバリーも受け付けないから謎だったんだよなあ」
ゲートをくぐり格納庫のようなところのハッチをくぐると、白衣を着たカニがダカダカと駆け寄ってきた。
「おお!これが先ほど活躍した神話のマシンか!うひゃー!アンナ君!解体してもいいのかね?」
「オウギ博士、解体したら動かなくなってしまいます、解体せずに解析しましょう」
「むむ?そうかそれは残念じゃ、わしのカイザーの完成が近づくと思ったんじゃがな。ところでパイロットはどんなやつじゃ?」
ガシュー。
「えっと、甲本ケイジです。今日からお世話になります」
「人間!人間用なのか!なるほど、なるほど、過去の文献の通りじゃな。それにしても、普通じゃ!」
「まあ、その偶然乗っただけなんで……」
「ということは、操縦方法も勝手にインストールされるシステムが積んであるんじゃな!昔の機械のくせに凄いのう!」
「あの、アンナさんこのテンションの高いカニの方は一体……」
「この研究所の責任者のオウギ博士です。巨大メカのことになるとちょっとテンションが上がってしまうだけなので気にしないでください」
「な、なるほど」
一癖も二癖もある研究所だなとケイジが思っていたその時だった。
ビーーー!ビーーー!
【ヴォイド反応を検知しました。研究所はシェルターモードに移行します】
「敵が来たのか!?」
「そのようですね、ですが今回は防衛軍が間に合いますから大丈夫でしょう」
「俺が出撃するべきなんじゃ……」
「確かに先ほどは間に合いませんでしたから、疑う気持ちもわかりますが我々も備えていましたから」
町の上空に再び亀裂が奔る。亀裂からは前回と同じく小型のドローン。だが後から出てきたのは猫型の肉食獣を思わせる4足歩行のメカが二体現れた!
ドローンが町を攻撃するより早く防衛軍のカニ戦車や飛行カニメカが次々と撃墜していく。
「おお、防衛軍凄いな」
「ええ、予算もきちんとかけてますからね」
「防衛軍の兵器はアンナ君の設計なんじゃ、わしは物足りないと思ってるんだがのう」
「オウギ博士の計画は荒唐無稽すぎるんですよ」
「あれ?でも猫型メカには全然当たってなくないか?」
モニターに映る戦況を見ているとドローンは撃墜できたものの、猫型メカには弾が当たらず、当たっても何か障壁に阻まれているようだった。
一体、また一体と防衛軍の兵器が破壊されていく。
「そんな……」
「火力が足りんなアンナ君」
「そんな突っ込みしてる場合かよ!俺は出るぜ!」
ケイジはコアキャンサーに素早く滑りこみ、研究所から発進した。
『ようやく来たか、ディノドロスのヴォイドサウルスを倒した、機械よ、このジャガドロス様のヴォイドビーストの前に虚無へ還るといい』
「なるほど前回とは違うやつが来たってわけね。見たところヴォイド障壁があるから、武器はシザースブレードだな。チェンジヒューマノイド!」
素早く人型に変形しシザースブレードを構える。
「おりゃ!」
スカッ。
「どりゃ!」
スカッ。
「素早くて当たらん!」
ザシュッ!
「ぐあっ」
ザシュッ!
「んごっ!」
コアキャンサーはヴォイドビーストから一方的に攻撃を受ける。
「追いかけるからダメなんだ、相手の攻撃の隙に合わせて、カウンターで決めてやる!おおりゃ!」
ズシャーーーッ!
一体のヴォイドビーストを真っ二つにする。
「よし!こいつら装甲は薄いぞ!」
『ヴォイドビーストの真の力はこの程度ではない、融合しろ』
ジャガドロスの掛け声で切り捨てたヴォイドビーストと無事だったほう、そして周囲のドローンの残骸が融合していく。
「こいつら毎回このパターンなのかよ!ならこっちもこいシザースキャリア!合体コードシザースキング!」
ゴゴゴ。
巨蟹山が割れシザースキャリアが飛んでくる。コアキャンサーを包み込み変形。赤橙の巨神が再び地上に姿を現した!それは、カニの意匠を持ちながらも、人間と同じ二本の足で立つ鋼鉄の守護神だった。
強化ヴォイドビーストと向かい合う。的が大きくなったから当てやすそうとケイジは思っていた。
シュンシュンシュン。
ズバババババ!
「は、速過ぎる!全然さっきより速い!」
『ハハハ。シザースキングとやら粉みじんになって虚無に還れ』
「うるせえ!そっちの攻撃なんてびくともしてないんだよ!」
実際シザースキングはヴォイドビーストの攻撃を受けても平気であった。
「でも速すぎてシザースインフィニティブレイクする隙がねえ。なんかないのか!シザースキング!」
【ハイマニューバモードを推奨します】
「お、なんかあるのか。よしハイマニューバモード!」
シザースキングの両側面に配置された歩脚が折りたたまれ関節からバーニアノズルが露出する。
その瞬間コックピットがブレた。
シザースキングは凄まじい速度で横移動したのだ!
「すげえGだ、一瞬意識が飛びかけたぜ!でも横移動してるときは相手の動きが見えたぞ!次で決めてやる!」
ヴォイドビーストがまた素早くシザースキングに襲い掛かる。
「ハイマニューバ!よし見えたそこだ!シザースインフィニティブレイク!」
ズドオオオン!
ヴォイドビーストの攻撃を横移動で瞬時に躱し、必殺技を叩き込んだ。
『ばかな!俺様のヴォイドビーストが!覚えていろシザースキング必ずお前を虚無に還してやる!』
ジャガドロスの捨て台詞が空に響いた。
「なんとか今回も勝てたな、なんか敵の幹部っぽいのが複数いるみたいで、気が滅入るぜ」
ケイジはそんなことを独り言ちながらコアキャンサーで研究所へと帰っていった。
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