楽しい道中
おお!ブックマークが増えてる!嬉しいなぁ!
ガラガラガラガラ……
ヴェルダントに向かう街道を馬車で進む殿下の一行。馬車の周りには馬に乗った騎士さん達が護衛をする一見普通の移動風景。
だけどちょっと違う事もあって……
「なんだ、お前そのおかしな道具?」
馬車の側面を守っていた若い騎士が、キョロキョロしながら目元に不思議な道具を当てているのを見つけた先輩騎士が近寄っていた。
「これ昨日見つけたんです!“望遠鏡”っていうらしいですが、これかなりの遠くの様子まで見れるんですよ!……まあ、『遠見』が出来る先輩には必要ないかと思いますが」
「……いや、それなら魔力の節約になるだろう?しかも誰でも警戒出来るなんてすごいじゃないか⁉︎」
「あ、ですよね⁉︎いや〜良かった!これ金貨一枚と銀貨五枚したんですよ!経費で落とせないですか?」
「そりゃ、殿下に聞いてみないとわからんな。まあ、その殿下といえば……」
「ああ、まだ見ているんでしょうねぇ……良いなぁ、今日の殿下の護衛担当……」
自分達が守っている誰もいない空の馬車を見て、ため息を吐く騎士二人。
正確には、馬車のドアに連結したアラタのスキル『マンション』扉の中に殿下達はいるのだが————
「殿下ハマっちゃったね、アレ……」
「仕方ありません。娯楽の少ない世界に映画は刺激的でしょうから」
「移動中はやる事ないだろうしなぁ。っていうか俺も見てえし」
マンションのシアタールームからそっと出て来た僕とフェイとゲンデ。
現在シアタールームでは、殿下と護衛二人が熱く声援を送りながら映画を見ているんだ。
ん?見ているのは何かって?不朽の名作、星大戦争だね。シリーズものだから長い道中のいい娯楽になってるよ。
アレどう思うかなぁって思いながら見せたら、殿下達意外にもすんなり受け入れて見てたんだよ。それも映画館のマナーとか知らないから、思いっきり話したり叫んだりしながらね。
僕はその反応だけでも楽しいから、映画より殿下達みてたんだけど、でもフェイがスキルに何か変化があったっていうから僕達だけそっと出て来たところ。
話はスイートルームに変化したベースルームの応接室でって事になって、移動しているんだけどね。
「フェイ?どうしたの?」
「それは応接室でお話します」
多分、今廊下にいる兵士さん達にも聞かれたく無い話なのか、それ以上は言わないフェイ。ゲンデもその辺は気を使って黙ってついて来てるからね。
ベースルームの応接室に着くと、僕らをソファーに座らせお茶を淹れるフェイにもう一度同じ事を問いかけてみる。
「喜ばしい事なんですけれど、流石に兵士の皆さんには聞かれたくなくて……」
紅茶を僕とゲンデの前に用意しながら苦笑いをするフェイ。
「って事はアラタの事か。おそらくスキルの事だな?」
ゲンデは状況からそう考えたらしい。僕もなんとなくそうかなあって思ってたけど。
「ええ、その通りです。マスター、ステータスの確認をお願いします」
「うん、わかった」
改めてステータスを確認するとーーー
『 アラタ(ディゼル) 13歳 男 人間
HP 160/160
MP 800,000/800,000
スキル マンション
取得魔法 付与
開放設備 オートロック 宅配ボックス コンシェルジュ 低層マンション
称号 転生者 創造神の加護
MPがまた増えてる⁉︎ HPの上がり具合は微妙なのに……?マンションスキルの方は……?
現在使用可能
[居住区]
・ベースルーム(スウィートルームタイプ)
[設備/追加居住マンション]
・オートロック 取得済み
・宅配ボックス 取得済み
・大型スーパーマーケット 取得済み
・ドラッグストア 取得済み
・家具・寝具 取得済み
・電化製品 取得済み
・コンビニ 取得済み
・アパレルショップ MP 40,000
・コインランドリー MP 30,000
・銀行 MP 50,000←NEW!
・低層マンション[4階建て 1F ワンルームタイプ/2F ゲストルーム(スウィート/ファミリー/シングル) /3F 2LDK /4F ベースルーム] 取得済み
・マンションコンシェルジュ 取得済み
・分譲マンション MP700,000
・マンションカスタム MP800,000
・ゲストルームフロア MP 200,000 取得済み
・テナント(空) MP 150,000
・防災備蓄倉庫 MP 30,000←NEW
[保険]*対象を選んで下さい。(入居者のみ使用可能)
・耐震 MP1,000
・対物 MP1,000
・火災 MP1,000
・人災 MP1,000
・生命 MP10,000
*致命傷を負っても回復する。
・医療 MP10,000/100,000
*一日回復魔法(小)が使用可能/回復魔法(大)使用可能
[入居者追加]一人に付きMP10,000
ん?銀行と防災備蓄倉庫が増えてるね?でも場所改めて話す事かなぁ?
不思議そうに首を傾げる僕に、フェイが説明してくれたんだけど……
「新たに追加された銀行が、今後アラタ様に集まってきたお金をこの世界に還元する重要な役割を果たします。差し当たってはボルグド殿下に、まずは私から交渉の機会を与えて下さいますようお願い致します」
「うん、勿論良いけど……」
「ありがとうございます。必ずやこの取引を成功させてお見せいたします」
そう言ってスッと出ていったフェイ。僕といえばポカーンとしたまま。
「ゲンデ……フェイの後ろ姿がやる気に満ちてた気がするんだけど……?」
お茶を飲みながら傍観していたゲンデに僕はフェイの意図を尋ねてみたんだ。
「ありゃ、今後のアラタの立場を良くする為に動き出したってところだろ。例え良い王でも施政者は使えるものは使うもの。アラタを使い潰さないように圧をかけるんじゃないか?」
「うーん、確かにどんどん便利な施設も追加されていくからねぇ。役に立つなら役立ててくれても良いんだけど」
「まあ、アラタはそれでいいさ。俺達がカバー出来るようにしておくからな」
そう言ってニッと笑うゲンデは頼もしく見えたねぇ。最初に泣き崩れたゲンデはどこにいったんだか?
それを言ったら「忘れてくれ……」って頭を抱えていたけどね。ごめん、ごめん。
その後、僕はコインランドリーとアパレルショップと銀行を取得してみたんだ。
コインランドリーは凄いんだよ。騎士さん達の防具も丸洗いできるんだ!コレには騎士さん達も大喜び。
「汗臭さがない!」
「コレ、手入れもされて戻ってきてるぞ!」
「きちんと乾燥されて良い匂いまで……!」
ブーツや防具の手入れの時間も省け、いつでも気持ちよく護衛ができる!ってやる気にもつながっているんだ。
そしてアパレルショップだけど。ここではおしゃれな着方をカタログ雑誌が提唱して、それを見た騎士さん達が私服や防具の下に着る下着が何がいいか選んでいる姿があちこちで見られるようになったんだ。
ついでに僕も一緒になって見たりしてね。騎士さん達に似合いそうな服も勧めてみたよ。
あ、そうそう。
銀行はもう貸付やっているんだ。騎士さん達ここまでお金使うと思わなかったんだろうね。今回限り、王都に着いて1か月以内に払うなら利息無しにしたんだ。
儲けたいフェイはすっごく渋ったけどね。大丈夫、今回だけだって。
そのフェイはというと、話し合いでまずは王都騎士団と契約を結んだらしいよ。僕はしばらくボルグド殿下の管理下に置かれるからね。そこではきっちり利息を取る話し合いをして来たみたい。まあ、詳しくは王都に着いてからなんだって。
そして次の日からテナントを取得して、コンビニを出してみたんだ。すると一階がコンビニになったから、騎士さん達の部屋やゲストルームは一階ずつ上になったんだ。
コンビニの中で驚いたのは、コンビニスタッフまで出て来た事!勿論スキルから生まれたからフェイの部下らしいけどね。人件費削減出来て便利だよね!
「うおー!このドリンク美味すぎる!」
「実物見ながら買い物できるのは良いな」
「うっっっま!いつでも手軽に食えて有り難い……!夜勤明けに染みる……!」
ホットスナックを食べたり、お菓子やジュース、時にはお酒や雑誌を買い込む騎士さんや殿下の姿がよくみられるようになったよ。やっぱり実物見ながら買うのっていいもんね。
旅の道中楽しみがあるおかげでどんどん進む気力が湧いたらしく、魔物や盗賊を倒しながらあっという間にヴェルダント国まで後少しのところまで来たんだ!
ヴェルダント国どんなところだろうねぇ。
アクセスありがとうございます!




