上映会後の屋台にて
「さあさあさあ!お立ち会い!これぞ、辺境伯領軍が使った魔導スリッパの元!旦那様の足を呪い(水虫)から守り、奥様との仲も良好にし、子供からも父親の面目が保てる一品!
あ!そこの騎士のお兄さん!女の子から家に誘われても自信を持って行くことが出来るようになるよ!勿論、足は常に清潔にしなきゃならないがね!」
「まもなく魔導太鼓の元となった太鼓の演奏会が始まるよー!勿論、安心安全のただの演奏会さぁ!心に響く演奏会を大切な人と見るのはどうだい!」
「あのダノン様が乗った飛竜のさっちゃんがいる屋台だよー!珍しい射的という遊びをやって行かないかい!?」
「これを被ればみんながダノン様!今日の記念にお面を被ってダノン様気分になってみよう!」
「飛竜はお肉が最高さ!とろける柔らかさの飛竜のステーキはいかが?」
うわぁ!また賑やかになってる!
「へぇ……映画の最中にまた屋台だしたのか」
「これもまたマスターからのお気遣いですから」
「だって、上映会の後も余韻を味わいたいじゃない」
感心するゲンデと自慢気なフェイを連れてまたアーケード商店街に戻って来た僕達三人。
なぜなら上映会後には縁日のような屋台を増やすようにしていたからね!
商店街AIのみんなにはちょっと迷惑かけたけど、やっぱりこの縁日みたいな雰囲気好きなんだよねぇ。
「お!美味そうな飴あるな!」
「ゲンデ、結構甘党だもんね。りんご飴食べよっか。あ、フェイにはチョコバナナね」
「ありがとうございます」
へへっ!今回は僕が財布を持っているんだ。だって、お金を出してお世話になってる二人に奢っているって雰囲気味わいたかったからね。
それに、屋台は縁日には定番のお面やりんご飴やチョコバナナや射的にヨーヨー掬いや魚釣りや鰻の蒲焼きやイカの姿焼き……他にもいっぱいネタ提供したんだ。
勿論、ゲンデやボルグド殿下に受け入れられるか確認しながらね。
そのおかげで、辺境伯領民の皆さんや騎士達にもすっごい楽しんで貰えてるみたいで僕もホッとしてるんだ。
そうそう。今、ボルグド殿下の名前が出たけど今どこにいるんだ?って思うよね。
ボルグド殿下は上映会後すぐに、「ダノンだけズル過ぎる!」って言ってマンションダンジョンに向かったんだ。
ちょっとだけ屋台にも惹かれてたけど、食べ物よりもダンジョンの方が気になったんだね。流石はダノン父様に次ぐ力の持ち主。
殿下の筆頭従者のグエルさんは、ため息を吐きながら追いかけて行ってたよ。……うん、いつもご苦労様です。
ミルリック王子もあの後、「ちょっとヤボ用思いだしたわぁ」と言って王宮に戻って行ったし。
何故かウキウキしてたのは、フェイからお買い上げした魔法陣を試す事が出来るからだろうなぁ。
……自業自得とはいえ、捕虜の皆さんご愁傷様です。
そうそう。捕虜といえば、あの一万もの敵兵のその後が気になるよね?
ウェルダント国が大国とはいえ、一万の捕虜は流石に多過ぎたみたいでね。
フェイが協力して選別した結果……強制招集されて兵にされたゼリース兵は、悪夢にうなされたままだったりトリモチ君がついたままゼリース国の国境近くに投棄して来たんだって。
うちのAIスタッフでカーゴマスターのルスラーンや輸送部隊がね。これが大体敵兵の約半数だったかなぁ。
もう半数は望んで戦いに来た人達だったから、鉱山の奥深くに隷属させた上で強制労働になったんだって。
前回の戦いでも捕虜という労働力が増えたおかげで、発掘量が増えて国は更に潤ってきたけどね。
鉱山深部の現場は更に過酷になっているみたいだからねぇ。頑張って下さい、としか言えないかな。
で、一番の責任者の第二王子や各代表者やお貴族様は、問答無用でミルリック王子の元に連れられて行ったんだって。
……ミルリック王子が何をしているかは、余り想像したくないけどね。さっき「壊れ易いったらないわ」って言ってたし……
「オイ、アラタ?どうした?」
「ん?あ!あちゃー……」
いけない、いけない。ゲンデに言われるまでついボーっとしちゃった。うっはぁ……りんご飴が溶けて来ちゃったよ。
「マスター、とりあえずこちらをご使用下さい」
流石!フェイは準備万端だなぁ。あったかいおしぼり用意しているなんて。
あ、ゲンデの分も出して渡してるね。なんだかんだ世話焼きだもん、フェイってば。
「お!フェイありがとな!ってか、この後の太鼓の演奏会ってあれだろ?女性騎士団員達がやるんだろ?」
「そうなんだよねぇ。なんか和太鼓の話をしたらみんながノっちゃってね」
「自分達も役目が欲しいと交渉に来ていましたし、皆さんのチームワークは見事ですからね」
「でもさぁ、フェイ。法被に捻りはちまきに半ズボンって、よく女性騎士団員さん達受け入れたよねぇ」
「皆さんダルク様の正装の姿に惚れ込んでましたから」
「まぁ、騎士達やマンション陣営の男共にとってはご褒美モノだよなぁ」
「……ゲンデ。鼻の下が伸びてますよ」
「フェイ、そこは見て見ぬ振りをしないと」
「っだー!俺の事は良いんだって!ってか、アラタ!ツイスターポテトだってよ!あれ食おうぜ!」
「逃げましたね」
「逃げたね」
フェイと二人、ゲンデの焦ってる姿に笑いながら「仕方ないなぁ」と言って結構な大きさのツイスターポテトを買う僕。
いつも思うけどこれって凄い技術だよねぇ。だって一個のじゃがいもを途切れる事なく剥いて、竜巻のように串につけて揚げるんだよ?
僕だったら途中で途切れるだろうなぁっていつも思いながら食べるんだ。あ、のり塩味美味い。
『マスター、ゲンデ。ヘーゼル国からの諜報員から連絡がありました。どうやらゼリース国を切り捨てる決定をしたようですね。
表向きには今回の戦はゼリース国の独自の行動と声明を出し、一部の協力した貴族を排除した上で一時静観の構えを見せるようです』
ウマウマと食べている僕らに、突然念話で僕らに話しかけて来たフェイ。
あぁ。なんか動きが止まってると思ったら、現地AIからの連絡が入ってたんだね。
それにしても、ヘーゼル国よ……なんて狡猾な国なんだろ。いや、まあ、政治や外交ではそれが横行してるのが当然なんだろうけどさ。
『ふん。流石は歴史ある大国様って事だろ』
ゲンデ……そう言いながら僕をクロワッサン鯛焼き屋台に引っ張って行くなって。まだ甘い物攻めるの?
『でも、そうなると僕の実家がどうなっているのか気になるね』
だって今回の戦いの引き金になった中心的存在だもん。あ、フェイはイチゴクリーム?ハイハイ。
『其方は其方で国取りに動いている様子ですよ。今の王家を見限ったようですね。殿下の諜報員のラルドンがいい動きをしているそうです』
『あー……アイツかぁ。マジで気配が無い奴だからな』
あ、そっか。ゲンデは殿下の諜報員とも知り合いなんだっけ。僕はよくわからないけど。
『じゃあ、しばらくはこちらも地固めが出来そうだね』
『はい、マスター。恐らく王宮にも伝達が行っているでしょうから、そろそろマスターにも要請が入る事でしょう』
『お!ならバンカラに伝えとかねえとな。アイツなかなか出番がねえって言ってたし』
『んーまぁ、輸送機の方が早いんだけどねぇ』
『マスター。輸送機は国内の貴族達から初見は怪しまれるかと』
『それをバンカラに言ってやるなよ、アラタ……。ただでさえ、さっちゃんをライバル視してんだからな』
『わかってるって。馬車の旅もいいよね』
『『………』』
む?何二人して呆れた顔して。また呑気な、とか思っているんでしょう?
でも、僕だってそう言わないとやってられないんだって……
嫌でも苦手な実の父との対峙が目の前にあるんだからね。
アクセスありがとうございます!
今回で毎日更新が終了で、次回からは不定期更新になります。
一応、週一更新するように努力はしますが……スケジュールと体調があああああ!!!
という事で長い目で見て頂けたら幸いです。
まだまだ続くマンションを宜しくお願いします!!




