上映中ですよ?
そうそう。辺境伯領軍にマンション自警団員もいる事思い出してくれるかなぁ?
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『ダノン様の先制攻撃が決まったあああああ!!!……あ?見て下さい!それでも地上部隊の進軍は止まらず勢いを増して行きます!』
ええええ?あの攻撃見ても怯まないってどう言う事?うわぁ、叫び声をあげて向かって来てる……!
「ゼリース国軍、味方にも容赦ねえな」
思いっきりドン引きしている表情のボルグド殿下が何かを気づいたみたい。
「ん?ああそうか、アラタは見えないか」
何を気付いたのかなぁ?って殿下を見てたら教えてくれたんだけどね。
「ほれ、敵の飛竜に乗ってる奴の中に離れて飛んでいる奴がいるだろう?奴の飛竜が足に持っている丸いのってスキル増幅装置なんだわ。
で、飛竜に乗ってる奴の持っているスキルが恐らく[感情操作]スキルだろう」
「はい?!そんな危ないスキル持ちがいるんです?」
「あー、ヘーゼル国にいるとは聞いていたが……まさか、ソイツのスキル使用をゼリース国が許すとはなぁ」
「クズがいる国の上部もクズってことね。あら?……アラタちゃんとボルグドは大丈夫ね?」
あ、ミルリック王子の[予見]が発動したんだね。一人だけ耳栓してる。
「ん?ミルリック兄上、今回ダノンは魔導拡声器持ってねえぞ?」
「いいから見てなさい」
凄いなぁ、ミルリック王子。ボルグド殿下の口を読んで会話してるよ。
『迎え打つは我が辺境伯領軍精鋭部隊!ですが……?何やら先頭に出て来たのは一人のようです?!これはニ号機担当のドウーワに交代致しましょう!』
サトゥさんが上空からのリポートでは厳しくなって来た事で映像が切り替わり、地上の辺境伯領軍に付いていたドウーワさんのアップが映し出されたんだ。
『はい!こちら二号機担当ドウーワです!怒号をあげて迫り来るゼリース国軍!一方、辺境伯領軍は全員で衝突するかと思えば出て来たのは、マンション自警団員でもあるフレディたった一人!』
ドウーワさんが示す方向にドローン映像が動くと、迫り来る迫力のゼリース国軍にフレディさんが立ち向かう後ろ姿が映し出されたんだけどね。
『しかも、その手にあるのはマンション自警団員専用魔剣の筈!今回はどんな武器に変化するのか!って……は?』
ドウーワさんがリポート中に魔力を流して光り出した魔剣。光が収まってフレディさんの手元にあったのは———
「おいおいおいおい。魔剣があんなでかい太鼓になるなんて聞いてねえぞ?」
ボルグド殿下ってばそう言う割にニヤニヤしてるし。面白そうな事好きだもんなぁ。
『ドォォォォ————ン!!!ドン!』
「「「「「「「「は?」」」」」」」」
「ブッフォ!」
「あー……」
映像の音でもやっぱりこうなるんだねぇ……と遠い目をする僕。
因みに、吹き出しているのがボルグド殿下で「は?」って疑問の声を上げたのは観客の領民の皆さん。
何故って、観客の領民の皆さんが音を聞いた途端両手をあげて立ち上がったからねぇ。
勿論、映像の中の地上軍も立ち止まって両手をあげていると言う、映像と現実が被るという事態になっているんだ。
そして映像の中のフレディさんが『ドン!ドン!ドン!ドン!』と太鼓を叩くたびに、映像の中の敵兵と同じく領民さん達が片手ずつ前に出したり後ろに下げたり。
……って言うか殿下ってば笑いすぎてヒーヒー言ってるよ。
『これは……って、あれ?資料が何処かに……』
『はいよ。探しているのはこれかい?』
事前に渡された魔剣の資料が手元に無くて戸惑うドウーワさんに、横から紙が差し出されたみたい。
『あ、どうも。———って!あなたは八百屋の女将さんでは!?』
ドウーワさんが驚くのも無理ないよねぇ。だって、実は辺境伯領軍にいるマンション自警団員の乗ってた馬は、実はグッドライフシティのマンションスタッフAI。
マンション自警団員の足になるのは自分達だ!ってスタッフがダノン父様に売り込んできたんだもん。
『ああ、今回の戦に駆り出されちまってねぇ。中には飛竜に変化する駄菓子屋のさっちゃんもいるがね』
『おいおい!話し込んでいるんじゃねえよ!お前さん、状況が変化しているんだからリポートせんと!』
『なんだい、喫茶店の。あんたも来てたのかい?』
『おおよ!ジャンケンで勝ったからな!』
……うん。実はうちのマンションスタッフ達って全員好戦的なんだよねぇ。特に、グッドライフシティの商店街の皆さんはやる気に溢れているからなぁ。
なんて呆れて見ている間もフレディさんの太鼓は止まらず、領民さん達も映像の中のゼリース国軍もずっと踊っていたんだけどね。
『えー、ゴホン!失礼しました!リポートを続けます!なんと、今回フレディ団員が持っている自警団員専用魔剣は、[魔導太鼓(阿波踊り版)]だそうです!
この[魔導太鼓(阿波踊り版)]!人間ならば誰もが音を聞くと強制的に踊らされ、次第に脳に阿波踊りが刻み込まれ、音がなくとも一度感情が昂ると三日間踊り続けるという状況に一カ月陥るという厄介な物!
そして、見て下さい!残っている飛竜に騎乗した人間まで踊っています!』
気を取り直したドウーワさんがリポートを開始すると、映像が一糸乱れぬ阿波踊りを披露する敵兵達の姿と飛竜の上で踊っている騎手さん達が映し出されたんだ。
サトゥさんもドウーワさんのリポートに付け足しで阿波踊りに付いて説明してる。えっと、阿波踊りの説明いるかなぁ……?
ん?それよりも早く領民さん達を助けてあげてって?
その件は、大丈夫。あの後太鼓の音だけ聞こえないように編集してもらってたから今は元に戻っているよ?
因みに、僕やゲンデやマンション自警団員には効果はないし、撮影班や辺境伯領軍には[人災保険(人や魔物からの物理・魔法・精神攻撃無効化)]をかけているから影響はないんだ。
あ、でもね。後日談だけど……ちょっとだけ映像を見た領民にも影響が残っちゃってね。
喧嘩しそうな雰囲気だった人達が踊り出すって事案が上映会後に辺境伯領内のあちこちで起こってさ。
数日間マンションスタッフ達が領内を走り回る姿をよく見るようになったとか。
うーん、それはそれで申し訳ない。
ほんのちょっと聞いただけでも強い効果を発揮する魔導太鼓(阿波踊り版)……他に種類があるのか気になるけど。
これ、言ったらフラグになるのかなぁ?
あ。そういえば、ダノン父様があの後どんな動きをしてたか気になるよね?
『うおっ!なんと、飛竜が一匹こちらに向かって来ます!早く迎撃を———ってなんですか?八百屋の女将さん?』
『さっちゃんだよ。戻って来たんさね』
ドウーワさんが向かって来る飛竜に驚いて焦っていると、八百屋の女将さんがドウーワさんの肩を叩いて教えてくれたんだ。
……でもね。えっと、ダノン父様乗ってないんだけど?
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