表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マンションスキルがあるので廃籍されても構いません  作者: 風と空
辺境伯編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/62

分譲マンション設置の為に

「いよいよ俺の出番か!さあ、早く乗れ!出発するぞ!」


 赤毛のムキムキ男性体に人化した僕の馬車専用の店員AI。うん、もう一回言うよ?僕の馬車専用なんだ……


「オイ、マスター?何かあったか?表情が抜けている気がするが?」


 人力車のように馬車を引く店員AIが僕を心配して近づいて来るのは良いんだけど……なんで、なんで格好が学ラン(しかも長ラン)で下駄なのさ……!


「[グッドライフシティ藤泉]のAIですから。いっその事、彼はバンカラと呼べば良いかと」


 ……フェイ、だから考え読まないでって……しかも、バンカラって明治時代の呼び名だよねぇ。


「へえ、バンカラか。宜しくな!」


「お!ゲンデだな!こちらこそ、道中の御者は宜しくな!」


 なんか気が合うのかゲンデは僕の馬車専用のAI……もう良いか、バンカラで。バンカラと仲良く握手してるし。


「因みに、バンカラは乗せる相手によって女性体にもなります。その時は是非姉御と呼んで欲しいそうですよ」


「フェイ……僕の馬車なのに、馬?が個性強すぎない?」


「マスター専用だからでしょう」


「なんだろう……?僕だけが引いてる気がする」


 そうなんだ。ダノン父様もエイダンもヴルストさんでさえ普通に受け入れているんだもん。あ、レナちゃんは1番に馴染んでいたよ。


「アラタ!馬車が凄いよ!」


 エイダンってば、馬車見てなんか嬉しそうだなぁ……うん、色々慣れるしかないね。


 あ!そうだ。一応これまでの経緯を説明するね。


 あの後、全員合流して内覧を済ませたんだけどね。このまま設置してしまおうって流れになって、冒険者ギルドの外に出た僕ら。


 まあ、冒険者ギルドを出るまで住民達からダノン父様に謝罪の声が凄くてねぇ……ちょっと出るのが大変だったけど。


 ダノン父様の懐の大きさにもっと感謝しても良いんじゃない?って思っちゃったよ。


 まあ、領主と領民の関係だもん。ここは僕が入っちゃいけない案件だから黙ってたけどさ。


 それでなんとか外に出たら、フェイが徐にマンションの入り口を出してね。入り口から馬車ごと引っ張って出て来たのがバンカラで、冒頭に至るってわけ。


 でも馬車?人力車?あ、引っ張る時の姿は馬だったね。赤い馬って迫力あるなぁ、なんて思ってたら人化して話し出すんだから驚きだったよ。


 因みに[グッドライフシティ藤泉]を解放した事によって、僕専用の馬車が出現したみたいだけど、タワーマンションに戻してもエレベーターパーキングから出せるみたいだから安心だね。


 そうそう。馬車本体はどうなっているのか?って思うよね。じゃ、エイダンが僕に声をかけた場面に戻るよ。



「これは俺達が乗っても広そうだな」


「そうですな。大抵の馬車は我らにとっては小さいですからなぁ」


 ダノン父様とヴルストさんが腕組みしながら会話する横で、御者席に乗り込むゲンデ。


「へえ!ここからも中に入れるのか!」


 どうやら御者席の後ろに小さな扉があったんだね。頭だけ中に入れて中の様子を見ているけど……あ!僕もまだ見てないのに!


 僕がタタっと走り出して馬車に近づくと、ダノン父様よりちょっと大きいサイズのワゴン車みたいな馬車だったんだよ。


「どうぞ、中へお入り下さい」


 入り方がわからなかったダノン父様達の為に、フェイが馬車のスライドドアを開けてくれて中に入ってみたらね———


「うわぁ!ひろーい!」


「これは最早部屋だな」


「へえ!空間拡張がついているのか!」


 僕のスキルに慣れたスティール家の三人はすぐに対応していたけど、ヴルストさんは「これまた……!」って驚いていたなぁ。


 うん、でも気持ちわかるなあ。だって中はキャンピングカーみたいになっていたんだよ?


 ゆったりして座り心地のいいコの字型ソファーに、簡易キッチン、水洗トイレ、エアコンやTVもついていたね。


 嬉しくて思わずソファーにダイブすると、フカフカでとっても気持ちが良かったんだ。これにはレナちゃんにも笑われてしまったけどね。


「では、出発しましょう。皆さん席について下さい」


 ヴルストさんを招いて馬車に乗せたフェイがドアを閉めると、動き出したキャンピングカーのような馬車。もう呼び名キャンピング馬車でいいかな。


「ほお……全く揺れが無いのは凄いな」


 ソファーに座り感心するダノン父様の言葉に頷くエイダン。その横でフェイはみんなのお茶を用意し始めたね。


 そういえば、設置予定地は本当にあそこで良いのかなぁ?


「しかし……良かったのですか?ダノン様」


 あ、ヴルストさんも同じ事を思っていたんだね。ダノン父様に確認しているや。


「ん?ああ、構わんよ。家族一致の上だ。な?エイダン、レナ?」


「家族ははなれちゃいけないの!」


「そうだね、レナ。それに必ずその場所に居なくちゃいけない訳じゃなさそうですし。ね?フェイさん」


「はい。スティール家の[エントランスキー]に追加で分譲マンションの一室を記憶させますから、どこに居てもすぐに領地に戻ってこれます」


「ふうむ……そこがまだ理解が出来ないのですが……」


 フェイの説明にまだ頭を傾げるヴルストさん。まだマンション仕様に慣れてないからね。


 これでわかった?そう、辺境伯邸が設置予定の場所なんだ。みんなも良いのかなぁって思うでしょう?


 でもね、辺境伯邸の魔導具が全部壊れたの覚えてる?アレ全部買い揃えると辺境伯邸が3軒分くらいの値段になっちゃうんだって。


 それに……他国に間取りを知られたかもしれない辺境伯邸にまた住むのは、リスクが高いってセレナ母様が言い出した事から始まってね。


 結果、ノース棟を辺境伯邸の代わりにする事になったんだよ。住民達はウエストとイース棟だけで充分らしいからね。


 何より今回の分譲マンションは、立地場所の整地が要らないって事も決め手だったね。……これには僕も驚いたよ。


 仕組みはわからないけど設置範囲指定を確定すると、その場所にあった木や家は分譲マンションの素材に変換されるんだって。


 だから全く何も残らなくなるから、辺境伯邸にいる使用人達が今総出で必要なものを運び出しているんだ。


 「そんなに必要なものはないがな」ってダノン父様が言ってたけど、それを聞いたブライアンさんが焦ったらしいよ。


 だから、ブライアンさん達マンション住まいの辺境伯家の使用人達は諜報員の[エントランスキー]を用いて既に現地入りしているんだ。


 え?なんで僕らもそれで移動しないのかって?


 貴重品を運び出す時間を作る為なんだよ。まあ、僕専用の馬車のお披露目も理由の一つだけど。


 でも、ゆっくり行っても結構早く着きそうだなぁ。


 だって、僕の馬車が揺れない理由は水陸空対応型だからなんだ。浮かぶんだよ!この馬車!


 これもフェイ曰く「悪路をまともに車輪で走るなんて、ナンセンスです」って言ってたけど、僕が思うにこの馬車自体が不条理だよねぇ。


 あ、僕のスキル自体もナンセンスだってツッコミが来そう。うん、それは最早置いといて……


 あ、そうそう。この馬車の防御力も飛び抜けているんだ。常時全[保険]の適用がされているから、戦時中に使用も勿論可能なんだって。


 いやいや、戦時中に出歩かないよ……!え?これフラグかな?……うん、フラグじゃない事を願おう。


 そう思ってたらゲンデが御者席から顔を出してきたんだ。何かあったのかな?


「悪い!どうやら残党がいたらしい!というか、バンカラが飛び出して行ったんだけど……アイツ、素手で倒してるわ。しかも何か叫んでるけど……?」


 僕らに報告した後振り向いて戸惑うゲンデの様子を見て、フェイがポチッとTVの電源をつけると———


『アータタタタタタタタタタタタ!!!』


 人化したバンカラの両手から繰り出される高速の拳によって倒されて行く敵兵達が映し出されたんだ。あ、この馬車もカメラ搭載されているんだね。


「ほう……!なかなかやるな」


 その映像を見たダノン父様が触発されて「どれ俺も——」と腰を上げた時は焦ったなぁ。


 その時にはバンカラが既に倒し尽くしていたから、最終兵器であるダノン父様が出なくて良かったけどね。……出てたらこの辺の地形が変わりそうだったからねぇ。


 ある意味バンカラお手柄っ!て思ったんだけど———


『お嬢さん達、無事で何よりだ。どうだい?この後……』ブチッ!


 敵兵の馬、恐らく雌馬だろうね。バンカラってば馬を口説いていたんだよ……


 それを見たフェイがTVを消して、「ちょっと失礼します」って馬車を降りて行ったんだけどさ。


 後で聞いたらどうやら諜報員を呼び寄せたらしいんだ。敵兵と馬は後で回収する事にして、バンカラを回収してきたフェイ。


 回収されたバンカラは、本人の意思に反していたのか嫌そうな表情の姉御姿になっていたんだ。


 どうやらフェイから命令されたみたいだね。しばらく女性体でいるみたいだけど……姉御って表現がぴったりなアマゾネスボディの美人だったから、男性陣全員の目が一点に集中したのは仕方ないよね。


「マスター?」


 ……はい、気をつけます。


 って事もあったから時間もちょっとかかって、現地に到着。


「お待ちしておりました。準備は完了しております」


 ブライアンさん達を先頭に整列して待っていた辺境伯家の使用人達。貴重品はマジックバックに収納しているみたいだね。


 僕も馬車から降りて改めて辺境伯邸を見ると、無くすのはちょっと勿体ない気がしたけど……うん、みんなで決めた事だしね。


「皆さん、邸から離れて下さい。[分譲マンション]を設置します!」

アクセスありがとうございます♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ