まずはスキル内で内覧会
「「「「………!!!」」」」
「すごーい!また新しいマンション?」
「そうだよ!凄いねぇ!」
早速スキル内の内覧を始める僕ら。レナちゃんは素直に声に出して感動していたけど、ダノン父様とエイダンとゲンデは口がパッカーと開いていたんだ。
初めて入ったヴルストさんなんかは、口が開いたまま固まっているけどね。
そんな僕らの様子を見て苦笑しているのは、フェイとドクターのジョリー。
でも、僕だって驚いているんだ!
だって、扉を潜ったら建物の中だと思ったら、目の前にドドンッとマンションの外観が見えるんだよ?
「ご説明致します。[大規模マンション 多棟型]改め[グッドライフシティ藤泉]へ皆様ようこそいらっしゃいました。
[グッドライフシティ藤泉]は、100世帯が入る棟が三棟ございます故に、メイングランドゲートが設置されているのが特徴です。
現在地はエントランスガーデンです。都会的な公園がモチーフになっている為道はレンガで整備されており、休憩の為の木のベンチも設置されておりますのでゆったりと散策出来るように設計されています」
フェイがマイペースに説明を始めてくれたけど……みんな聞いているかなぁ?
度胸のあるレナちゃんは置いといて、僕以外はマンションが並んでいるのは初めて見るだろうからね。
一応今もフェイの説明は続いているけど……簡単に言うとカタカナのコの字型にマンションが立ち並んでいて、その中にメインゲートとエントランスガーデンがあるんだよ。
マンションは、ノース棟とイース棟とウエスト棟があるんだ。ノース棟には独立型共用棟も設置されているよ。まずはそこをフェイが案内してくれるんだって。
でもね……入ってビックリ。
「独立型共用棟の一階は、アーケード商店街です。精肉店・鮮魚店・八百屋・惣菜屋・お弁当屋・駄菓子屋・パン屋・喫茶店・コンビニ・居酒屋・薬局・有床診療所が常駐店となっております。
追加で衣料用品店、レストラン、ホームセンターなどその他各種施設が増設出来るようになっています」
説明しながら歩くフェイに付いて行く僕はもうワクワク!だって、懐かしい日本の商店街の雰囲気そのままなんだよ?
あちこちから漂う美味しそうな匂いに、賑やかなバックミュージックと掛け声が飛び交うのが賑やかだしね。
あ、勿論店員さんは全員AIなんだ。でも、タワーマンションと違うのは……
「移動にはいつでも声を掛けて下さいや!」
「八百屋のよりは精肉店の俺がおススメですよ!」
「何言ってんだい!惣菜の私の方が良いに決まっているだろう?」
「全く……お貴族様なんだ。もっと言葉に気をつけろ」
「なーにを良い子ぶってんだ、喫茶店の!こう言うのは売り込んでおかないと駄目だろうに!」
「「「そうだ!そうだ!」」」
「おい、居酒屋の!なについでに入って来てんだい!」
ワイワイガヤガヤと集まって来てアピールするのは、動物に擬態が出来る店員AI達。
そうなんだ。この[グッドライフシティ藤泉]の特徴の一つは、AIが人化と動物化が出来る事なんだよ。だからね……
「きゃあ!かわいい!」
レナちゃんの足元に「ワフ!」と尻尾を振ってちょこんとお座りしている小型犬も実は店員AI。
レナちゃんがぎゅーっと抱きしめても、全然平気な顔でペロペロ顔を舐めているんだ。どうやら、ペットセラピーや移動の為の備えらしいよ。
それでなんだろうね……このマンションには店員AIが居るわ居るわ。
「まだまだこのマンションにはAIスタッフがいますし、タワーマンションのスタッフAI達もこちらに移動可能ですからね。スキル内のマンションにおいては、接客サービスが低下する事はありません」
フェイがそう説明する間にもダノン父様の近くにジムが来たり、ストロワがレナちゃんの隣に来たり、サーチやカルがエイダンの側に来たりと……マンションのAI達って本当にスキル内は自由なんだよね。
「私もここの診療所に居る。怪我人が出たら呼んで」
ドクターのジョリーもサッサと報告すると診療所に入って行ったし、よくよく見ると見慣れたAI達が買い物してたりとまだ住民が居ないにも関わらず活気があるんだ。
「コロッケ味見してって!揚げたてだよ!」
「騎士さん達専用の二段弁当あるよ!肉がたーくさん!肉巻きおにぎり一つ味見するかい?」
「果物だって必要だろ!ほら一粒食べて見ろって!」
「焼きたてのパンは美味しいよ!ちょっと一欠片食べて行って!」
こんな感じでただ歩いて居るだけでお腹が膨れる商店街は面白いし、ヴルストさんも緊張が取れたのか店員AIと談笑していたりとみんながそれぞれに楽しんでいるみたいだね。
だったら、僕らだけで先に二階の様子を見て来ようかな。
みんなに一言声を掛けてフェイとゲンデを連れて商店街の奥に進むと、男女別大型トイレと共用棟の二階に上がる大階段とエレベーターがあったんだ。
ここは少し運動する為に、階段で上がって行こっかな。
なんて珍しく思って階段を登り始めたら、気になっていた事を思い出したんだよね。
「ねえフェイ。タワーマンションで本契約した人達って、こっちでもまた契約しなきゃいけないのかな?」
みんなも思わなかった?マンションごとに[エントランスキー]も変わるのかな?って。
「いいえ。本契約している方々、もしくはウィークリー・マンスリー契約中の方々は再契約は必要ありません。変化したマンションの中で、同ランクの部屋が当てがわれます。
但し、ロイヤルパレスだけは[グッドライフシティ藤泉]にはないランクですので、ノース棟10階にロイヤルパレスに通じる扉が特別に設置されます」
フェイの説明に僕が「へぇ、そうなんだ」と同意していると、「あ!」と声を上げるゲンデ。
「って事は、俺の部屋もこっちのマンションにあるって事か?」
「ゲンデに関してのみ、[グッドライフシティ藤泉]仕様ベースルームの隣に隣接されています」
「お!ラッキー!移動楽じゃん」
聞いた途端にご機嫌になるゲンデはいいとして……そっかぁ、とちょっと残念な気分になった僕。
「ベースルームもマンションごとに変化するのかぁ……」
「基本はそうですが……ベースルーム限定で内装を固定する事も可能ですよ?」
「え!本当!?だったら僕はあのままがいいんだけど!」
ちょっと食い気味にフェイにお願いしたら、クスっと笑われたけど良いんだ!あの部屋が好きなんだもん。
「ん?アラタ。そういやすぐ戻さねえの?」
あ。流石ゲンデ。僕が戻すかどうか悩んでいるのを気付いたみたいだね。
「うん。そう思ってたんだけど、フェイがね……」
「ゲンデには言ってませんでしたか?王城から報告があったのですが、ゼリース国はどうやら完全にヘーゼル国側に寝返ったようです。先程ゼリース国より宣戦布告が届いたようですよ」
「うえ!こっちには約三千人捕虜が居るって言うのにか?」
「そうです。彼らは、王族にとってただの駒にしか過ぎなかったみたいですね。ゼリース国の国内では、ウェルダント国の方が先に攻撃を仕掛けて来たと伝えられているようです。……馬鹿にも程があります……!!!」
うわぁ……フェイも怒っているね。どうやら辺境伯領への攻撃は、国が反旗を翻すきっかけが欲しかった為に利用させられたみたいなんだ。
しかも諜報員によると……我が実父はまたもや僕を利用して、国の裏切り者に仕立て上げているって言うんだから、更にフェイが怒っていてね。
「はあああああ?どこまで腐ってやがる!!!」
あ、ゲンデもフェイに教えてもらったんだね。ここでは教えられないような暴言を吐きまくっているから、何を言っているかはみんなには伝えられないけど。
でもね……!馬鹿にされて怒っているのは僕だって一緒だよ?だけど、言わせておけば良いんだ。
————僕を怒らせるとどうなるかは、身をもって知って貰うからね!
ふぅ……、変に力を込め過ぎちゃった。えっと、そんなこんなで二階に到着したよ。
「ゲンデ、馬鹿(ゼリース国)と阿保(ヘーゼル国)のことは置いておきましょう。……ええ、じっくり料理出来る機会ができたのですから」
「———それもそうか」
うん。後ろの二人の雰囲気がズモモモ……!って効果音が出そうなくらい、笑っているのにめちゃくちゃ迫力があるのには僕も苦笑しちゃったよ。
こんな状況だけど、二人の気持ちが嬉しくてね。
ああ、ごめんごめん!二階の設備が気になるよね?えっと、フェイさん?案内お願いします。
「畏まりました、マスター。ええ、まずは一つずつ片付けて行きましょう」
フェイの不敵な笑いと共に案内して貰った二階には、通り道だけど窓側にベンチを設ける事で憩いの場にもなるビューコリドーがあったり、キッズルームやパーティルームにもなる多目的大部屋があったりしたんだ。
応対専用のゲストルームとワーキングスペースも勿論あったよ。
メインの住居スペースはノース棟が3LDK以上で、イース棟が2LDK、ウエスト棟が1LDKって感じで、棟ごとに分かれているみたい。
でも高級感はあっても[グッドライフシティ藤泉]は、大人数が住む事に重点を置いているらしくて、娯楽施設はほぼないんだねぇ。
これはやっぱり本格的に動き出すまでは、タワーマンションに戻した方がいいかなぁ。うん、そうしよっと。
さあて。ざっくり内覧も終えた事だし、やる事をやってしまいますか!
次はいよいよ[分譲マンション]を設置するよ!
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