表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マンションスキルがあるので廃籍されても構いません  作者: 風と空
辺境伯編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/66

[大規模マンション 多棟型]登場!

 あれから現地入りした僕らを迎えたのは、冒険者ギルド長のヴルストさん。


 僕らの事を気遣って、ギルド長室でドクターのジョリーが[エントランスキー]を使ってくれたみたいなんだ。


「ダノン様!お帰りをお待ちしておりました!」


 ジョリーと共に出迎えてくれたヴルストさんは、ダノン父様にも負けない大柄な男性。スキンヘッドと額の大きな傷が特徴の歴戦の冒険者の貫禄がある人だよ。


 近くで見るとより迫力があるなぁ……


「エイダン様とレナ様もよくお戻りになって下さいました!そして、こちらがセレナ様が仰っていたアラタ様ですな!俺はこの冒険者ギルドを任せられているヴルストって者ですわ!」


 ちょっとヴルストさんに圧倒されていたら、意外にもフレンドリーに自己紹介されて、僕もホッとして自己紹介したんだけどね。


 状況が状況だから、会話にダノン父様が割って入ってきたんだ。


「ヴルスト、遅くなってすまない。よくぞ立ち向かってくれた」


「いえ、状況はセリア様より伺っておりましたので……むしろ、よくぞ此処まで素早く収束させて下さって!そちらの方が領民一同驚きでしたぞ!」


 ガハハハハと笑いながらもダノン父様と握手を交わすヴルストさん。だけど、笑っていたのも一瞬だけ。領内の状況は思ったより深刻だったみたいなんだ。


「ですが……破壊と略奪行為による被害領民も多く、更に戦闘になった際に井戸があちこち壊されたのが痛いのが現状ですが……!」


 スッと真面目な表情になったヴルストさんによると、女性達に性的な被害も出てしまったようだし、家屋は倒壊まではいかなくとも内部損傷が酷いらしいんだ。


 それに、何より大事な水源の破壊は死活問題だよね……


 因みに、貴族は水属性魔石があるから良いけど、一般領民にとっては魔石は高価だから井戸が水源なんだよ。


「そうか……我が屋敷が開放出来れば良かったのだが……」


 だけど、ヴルストさんの言葉に言い淀むダノン父様。その目が泳いでいたんだよねぇ……まあ、あの状況を作り出したのはダノン父様だけど、僕も責任を感じるよなぁ。


 ん?そういえば辺境伯邸の事伝えてなかったっけ。


 え〜と……思い出して欲しいのは、ダノン父様の気合いの入った雄叫びだね。


 魔導拡声器[麻痺]バージョンってね、人だけじゃなくて魔石にまで効果があったんだよねぇ……


 辺境伯邸にあった光属性魔石、水属性魔石、浄化属性魔石、火属性魔石がぜーんぶ駄目になってたんだって。


 だから、辺境伯邸もまた現在機能していないんだ。それでも、辺境伯邸に勤めている人達は、なんとかそこで寝泊まりしつつ片付け始めているみたい。まあ、かなり苦労しているようだけどね。


「現在もなんとか支援物資と援助故に食べられはしましたが、領民達の表情がなんとも暗いものでしてな。こればかりは、なんとも……」


 ヴルストさんの報告を聞きつつ、やっぱり領民達の現状はそうだよねぇなんて思っていた僕。


 そんな僕の前でダノン父様がヴルストさんに「そうか……苦労をかける」と言って肩に手を置いていたよ。


 「だが、今セレナが国に掛け合っているところだ。おそらく、国からの支援金が出るだろう。我が家も協力を惜しまない!皆で力を合わせて乗り越えようではないか!」


「勿論ですとも!」


 ダノン父様とヴルストさんが領主と領民との感動のシーンを目の前で繰り広げている時、僕といえば「支援金が出るんだね……」と呟いていたんだ。


「アラタ?どうしたんだい?」


 僕の呟きが聞こえたエイダンは、僕が何かを考えている事に気付いたんだね。やっぱりエイダンも鋭いなぁ。


「うん、ちょっと僕に出来る事を考え中」


「アラタはこれ以上頑張らなくても良いよ?これは領民と協力して乗り越えるべき問題だからね」


 にっこり笑って言い切るエイダン。エイダンもやっぱり領主教育を受けているだけあって、僕だけに頼ろうとしないんだよね。


 うん、僕だってわかっているよ?


 街の復興には物質的な再建も必要だけど、個人としての生活再建が必要なんだよね。


 つまり、僕のスキルですぐになんとか出来るけど……強力過ぎるんだよねぇ。領民が僕に依存するようじゃ駄目って事なんだ。


 だからエイダンもダノン父様もセレナ母様も、真っ先に思い浮かぶ筈の僕のスキルを当てにはしないし、領民達に『マンション』の事を話すつもりがない事も態度で分かる。

 

 でもねぇ……あるんだよ。資金さえあれば僕が協力出来る方法が。


『ねえ、フェイ?今、スキル内に誰か残ってる?』


『現在、居住者全員がスキルの外に出て居ます。……一旦マンションのメインエントランスとサブエントランスを施錠致しますか?』


『うん、お願い』


『畏まりました』


 よし。これで『マンション』住民が[エントランスキー]を使っても『マンション』に入れなくなったね。


 ……フェイは僕の考えを読んでくれるから、こういう時は助かるよ。さて、と。


『フェイ。【マンションカスタム】を頼むよ。[大規模マンション]を解放する』


『畏まりました。[大規模マンション 多棟型]を解放致します。変換に10分程お時間を頂きます』


 念話が聞こえるゲンデも僕もフェイも、三人共しばらく黙っていたのが不思議に見えたんだろうね。いつの間にか全員の視線が僕らに向いていたんだ。


 「アラタ?どうかしたか?」


 「ダノン父様。今、新たな『マンション』を解放したんです」


 「アラタ……気持ちは嬉しいが、今回ばかりはアラタを頼る訳には……」


 「そうだよ、アラタ!僕らの領民まで一人で背負わなくても良いんだよ?」


 あ。困り顔のダノン父様も僕を気遣うエイダンも、どうやら勘違いしているみたいだね。


「えっと、二人共?僕は領民達を僕のスキル内に入れるつもりはありませんよ?」


 僕の言葉に「「え?」」と声がハモった二人。ヴルストさんとレナちゃんはなんのことか分からずキョトンとしているね。


「アラタお兄様?レナのお部屋なくなっちゃったの?」


 どうやら柔軟な思考のレナちゃんは即座に理解を示してくれたけど……ありゃ、悲しそうな顔させちゃった。


「不安にさせてごめんね、レナちゃん。無くなってはないんだ。一時的に『マンション』を取り替えただけなんだよ?」


「?レナのお部屋、ちゃんともどってくるのかな?」


「うん。大丈夫!」


 頭を撫でながらレナちゃんを安心させようとする横で、首を傾げるダノン父様とエイダン。レナちゃんは「良かったぁ!」って笑顔になったけどね。


「すみません……!一体何の話をしているんです?」


 ヴルストさんにとってはわからないことだらけだったんだね。一応僕のスキルについては、セレナ母様を通して情報として教えられていたらしいけど。


 やっぱり、実際に見てみないとわかんないよねぇ。


「ヴルストさん。ご存知のように僕のスキルはマンションスキルというものです。別次元の異空間に居住施設が出るというスキルなんです。その『マンション』という居住施設には種類があって、僕の権限で居住施設を取り替える事が出来るんです」


 僕の説明に「はあ……」とわかったようなわからないような返事をするヴルストさんの気持ちがわかったのか、エイダンがヴルストさんに補足説明をしてくれているね。


「アラタ?済まん……俺もわからないのだが。スキル内に領民を入れるつもりがないのなら、何故あの快適な『マンション』を変えねばならなかったのだ?」


 その間に僕に質問をしてくるダノン父様。うん、それは最もだよね。


「勿論、領民の為ですよ?ダノン父様」


 なんて謎かけをする僕に、ダノン父様は両手を挙げて降参ポーズをしていたけど……読者のみんなも訳がわからないよね?先にみんなに説明しよっか。


 現在も【マスター権限】の効果が継続中なのはわかるよね?


 MPの消費が全て1になるという【マスター権限】をまず挙げた理由は、随分前からあった[分譲マンション](四話に既に登場していたよ)にあるんだよ。


 これ、僕が今まで使わなかったのには訳があるんだ。だって調べてみたら実際の土地が必要なんだもん。


 更に使わなかった理由は、魔力の消費量にあるんだ。


 分譲マンションの解放にはMP70,000だけ消費で済んだけど、実際に使用するには更にMPが1,000,000必要なんだよ?


 思わず「どんだけ〜?」って叫んだ僕。だから、とりあえず必要になるまでそのままにしてたんだ。そもそも、その時はそこまで魔力が無かったし。


 でも、今は【マスター権限】のおかげでそれすらも魔力消費が1で出来るし、更にベースルーム問題だって心配ないよ?


 だって[分譲マンション]は、スキル内で展開されているマンションを買い取った土地にコピーして顕現させるものなんだ。


 だから[分譲マンション]はスキル内の『マンション』とは違って、建物だけが現れるって事なんだよ。あ、でも上下水道設備だけは完備されているんだっけ。


 これでわかったかなぁ?僕がやりたいこと。


 そう、スキル内に展開した[大規模マンション 多棟型]を[分譲マンション]機能を使って辺境伯領に設置したいって思っているんだ。


 それで、そのマンションをダノン父様に買い取ってもらう事によって、領主が施策しなければならない領民達の生活再建支援の手助けにならないかなぁって思っていたんだよ。


 ただ、コピーして設置された建物は家具も何もついてないから、スキル内のように快適で不便がないって訳じゃないけどね。


 自分達家族が気楽に安心して住める居場所って、街の復興の基盤になると思うんだ。


 って事をダノン父様達に説明したら、みんなかなり乗り気でね。ヴルストさんなんか、既に候補地を挙げるくらい対応が早かったんだよ。


「マスター。スキル内の設置は完了しました」


 そんな感じで全員でワイワイと意見を出し合っていると、フェイから完了報告が入ったんだ。


 みんなもまずはスキル内の[大規模マンション 多棟型]を見てみたいよね?


 じゃあ、一旦スキル内に戻って見てみよっか!僕も楽しみだなぁ。

アクセスありがとうございます♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ