録画再生中 1
今度は街の様子に切り替わったスクリーン画像。
でもね、映っている画像の窓の外がまだ薄暗いんだ。フェイに理由を聞いてみたら、街は第一陣が拠点に攻め込んだ時から救援が始まっているから録画していたんだって。
だったら、最初から見ようって事になったんだよ。あ、ほらリポーターの騎士さんが説明してくれるみたい。
『こちらは5番機ドローン担当リーマです!現在我々は辺境伯領街ゼネストの冒険者ギルド内におります。
そして、一階の受付前ではマンションからの支援で現在炊き出しが始まっているんですが……この匂いはなんと食欲を唆るのでしょう!
それもそのはず!提供元はマンション地下一階に出来た専門店街の[カレーの魔術師]からの支援です!疲れ切った表情だった冒険者達や街の住民達の表情が少し和らいで来ています!』
……そっかあ、街の支援組は冒険者ギルドにまずは行ったんだね。って、あれ?あの給仕している人ブライアンさんに似てない?
「あれブライアンだね。しかもイヴァンまでいる」
「やっぱりそうだよね?」
エイダンの言葉でブライアンさん達本人ってわかったけど、エイダンは「やっぱり行ったか」と諦め顔。
どうやら街の支援には辺境伯家の執事さんやメイドさん、従者さんまで手伝いに声を上げたみたいだね。
うん、うん。やっぱりそうだよね。
実は、今回の【マスター権限】でマンション住民全員に[保険]をかけたのはそれも予想していたからなんだよね。
あ、そうだった。そろそろ【マスター権限】について説明しよっか。
【マスター権限】は僕の奥の手の一つ。使用回数は決まっていて、年に3回しか発動出来ないものなんだ。
その【マスター権限】が発動されると、全ての使用MPが1になるんだよね。
例えば、通常[人災保険]に一人MPが1000かかっていたのが、MP1で通常同様に人や魔物からの物理・魔法・精神攻撃無効化、その効果は一日になるんだよ。勿論、重ねがけも可能。
ついでに言うと、今の僕の保険は[耐震][対物][火災][人災][生命][医療]の6種類。(効果については三話と四話を読んでね)
一人当たりにMP6しかかからない上に、今のマンション住民全員にかけても消費MP合計が1032しかかかってないんだ!凄いでしょう!
更に言えば、現時点でマンション住民全員が回復魔法も使えるんだよ。
ん?あ、説明中にごめん。スクリーン画面で動きがあったね。
バンッとギルドの扉が開いて、一挙に5人くらい住民さんらしき人達が入って来たみたいだけど……
『どうやらまた、従者の皆さんが逃げ遅れた街の住民を連れて来て下さったようです!ですが……様子がおかしいですね?』
『誰か!魔力余ってないか?!』
あ!あの従者さん、ストロワに師事していた従者さんだ!うーん、肩を貸している青年住民さんの片足……なんか怪我しているのかな?
『はい!今度は私が!』
今声を上げたメイドさんは、マンションのお掃除部隊のメイドさんだね。早速青年住民さんの足に回復魔法をかけてあげてるよ。
『い、痛くない……!ありがとう!』
回復魔法のおかげで足が元に戻った住民さんが、メイドさんにお礼を伝えているね。
あ。青年住民さんが笑顔で応対するメイドさんの笑顔にやられてる。基本、辺境伯家のメイドさんってみんな美人だもんねぇ。
そうそう、これでわかった?[保険]で回復魔法使えるけど、一回MP10くらい個人の魔力も使うからね。いくらマンション住民でも、使える回数は限られているよ。
『はい!どうぞ!おいしいよ?』
『スープも一緒にどうぞ!』
今度は、焼きたてのパンをお盆に乗せたマディラちゃん(5)と、カップスープをお盆に乗せたリベラちゃん(7)が入って来た住民さん達に食事を配っているみたいだね。
覚えていると思うけど、マディラちゃんとリベラちゃんはマンション自警団員の家族だよ。
今やマンションで癒しの存在の二人。此処でも元気いっぱい手伝っているんだね。
『良い光景ですねぇ。皆さん、実は我がマンション自警団員の家族の皆さんも辺境伯領に来て下さっているんですよ!マンション自警団員が出るなら、支援に家族も出るべきだ!って熱く語っている姿は涙ものでしたね。
因みに、パンもまたマンション地下一階の[ベーカリーふらわあ]からの支援品です!メロンパンにクリームパンにサンドイッチにコッペパンサンド……我が騎士団でも人気のパンが勢揃いです!』
リポーターのリーマさんが思わず唾を飲むくらい、おいしい匂いが漂っているんだろうなぁ。
食欲を誘う匂いには、暗い雰囲気を消し飛ばす力があるからね。
こんな感じでスクリーン上では、ほのぼのとした光景が映し出されていたけど、どうやら撮影班も住民の安全確保に動き出したみたい。
撮影班が一旦冒険者ギルドの外に出ると……ギルドを守っている冒険者さん達の姿と、戦闘や襲撃で荒れ果てた姿になった街の様子が映し出されたんだ。
「ゼネストの街が……!こんな姿に……!」
エイダンもやっぱり悔しいんだろうね。膝の上でぎゅっと拳を作って震えていたよ。
……うん。気持ちわかるなぁ。自分の育った街が襲撃されて荒らされると悲しいからね。
『———ウェルダント国が誇る国の要の街を、このようにしたグリード軍並びにゼリース国には怒りしか覚えませんが……今は住民達の避難が優先です!一軒一軒見て回りましょう!』
真剣な表情のリポーターのリーマさん。護衛の派遣自警団員達も声をかけながら家家を捜索していると、『きゃあああああ!』って女性の悲鳴が聞こえて来たんだ。
撮影班が声の元に駆けつけて見ると、やっぱりいたね……!グリード軍の兵士達。
そして、既に駆けつけていたポーターさん率いる自警団部隊。グリード軍の騎士達と交戦中だったんだけどね———
「アラタちゃん……また変な武器出したのねぇ……」
ミルリック王子……!それは僕も同意です……!
だってね。戦っているのに聞こえてくる音って、「ピコッ」と言うあの力が抜ける音なんだよね。
「でも威力は凄いですよ?」
「エイダン……フォローありがと」
そう、正確には「ピコッ」と言う後に「バリバリバリバリッ!」と言う音付きなんだ。
『よしっ!残り一人にも決まったあああ!自警団員の圧倒的勝利!さて、皆さんも気になりますよね?ジム教官、武器の説明をお願いします』
『勿論だ。ポーターが持っているのもマンション製の魔剣の一種だな。魔導雷撃ハンマー!勿論、これも剣にもなるぞ。特徴は、相手を馬鹿にした音と気絶するほどの電撃を喰らわせる事だな!』
ガハハハハと笑うジム。住民女性達は助かってよかったけど……あれってピコピコハンマーだよね?と何とも言えない気持ちになる僕。
マンション製なのはすっごい納得するけど……女性騎士さん達は何を持たされているんだろう?と不安になるのは僕だけかな?
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