マンションセキュリティシステム
今年も宜しくお願いします!
新年のお年玉!本日一挙に五話更新です。
早速ベースルームに戻って来た僕とフェイとゲンデ。
リビングのソファーにそれぞれ座り、TVをつけたら丁度防犯カメラチャンネルだったんだけどね。
『ちょっと、ちょっと!可愛い人形があるんだけど!え?この人形達が使う食器やパンなの!?きゃ——!可愛いすぎる!』
『ミルリック王子、そろそろ良いのでは?』
『何言っているの?これは私に与えられた使命よ?全て揃えなさいという天命!見なさい!この数を!さあ、時間が惜しいわ。銅貨三枚ね!……あら、いけない。金貨しかないわ』
『全く……だったら、一階のリュクス銀行・藤で両替出来るようですよ。行って参ります』
『まあ!流石エルガ!お願いね。うふふふふふ……どれから攻めようかしら……!』
どうやら、BF1階のスーパーマーケット・泉のガチャコーナーにミルリック王子がいるみたいだね。
しかも王子が興味を示しているのは、某有名メーカーの森で住むゆかいな動物達の小物だね。人形本体は別売りだけど……ミルリック王子だったら宅配ボックスから探し出しそうだなぁ。
……というか、いつの間にかミルリック王子も来てたんだね。
「先程到着したみたいですね。ミルリック王子もまたマンションで生活をするようになる、とボルグド殿下から連絡がありました」
「あ、そうなんだ。賑やかになるね」
「むしろ今回のような件があるならば、ミルリック王子はかなりの戦力です」
「ん?」
フェイが気になる事を言うけれど、今は気になるといえば特殊牢の方だからね。えっと、確かチャンネルは25だったかな?
僕がチャンネル操作をすると、ミルリック王子がじっくりガチャを選別しているほのぼの画像から、ボルグド殿下がスレッドさんとシェインさんを伴って射手の人とその仲間の人に向き合っている様子に切り替わったけど………なんか、様子が変だね?
『だいたいにして俺は敵国の王家になんか敵対しても良い事はない、と進言していたんだ!』
『お前がグリード家に逆らえるかよ!黙って睨みつけていただけだろうが!それよりなんなんだよ、この状態!喋りたくないのに勝手に口が動いちまう!』
『そもそもお前がグリード家に借金作ってなけりゃ、この案件も引き受ける事なんざなかったんだ!
国を跨いでしばらくしたら通るウェルダント王家の馬車を襲えなんて、無理な要求をしてくるクソ野郎の命令なんかこれ以上聞けるかってんだ!』
『全くだ!しかもこの分だと俺達が戻ったら払うと言った金だって怪しいもんだぜ!』
『お前が言うな!この馬鹿野郎!そもそもなんだってこんなバケモノがいるんだよ!あり得ねえだろ!』
『あり得ねえのはこの空間だ!なんだよ!このままじゃ、グリード家の三男の事なんて調べられやしねえじゃねえか!』
『お前!いい加減口を閉じろ!だから俺はお前の仲間になる事だってイヤだったんだ!』
『冗談じゃねえ!それは俺のセリフだ!大体お前なんかが娼館女に貢いだところで好かれる訳がねえだろうが!』
『!!ってめえの金使いの荒さの方があり得ねえだろうが!無駄に高い武器や防具をポンポン買いやがって!何が俺の腕に必要だぁ?このボンボン育ちの甘ちゃんがあああ!』
うわぁ……なにこの状況……?自白効果ってこんなに強制力があるんだね。
ん?声が聞こえなくなった?
「マスターに聞かせるには余りに低俗ですので、此処は私にお任せください」
そうフェイがいうと、なんとTVの画面に字幕が出て来たんだよ!即座に対応できるなんて、流石だよね。
だけど、ゲンデはそれが不満だったらしいんだ。
「おい、フェイ。この×××××××××ってのが続いているのが下らない話って事でいいのか?」
「そうです。ゲンデなら聞きたいでしょうからあちらに行ってきても構いませんよ?ゲンデもまたマスターの護衛という事で、特殊牢の影響は受けないでしょうし」
「確かにベースルームにアラタがいるなら安全だしな。俺ちょっと行って来るわ。アイツら……グリード家からの刺客だったんだ。突っ込んだ質問すりゃ勝手に情報くれる良い機会だからな!」
「そうですね。絞り出すだけ出して来て下さい」
「おうよ!じゃ、アラタ後でな」
「うん。頼むよ。僕の家の状況がどうなっているのか、なんでこの行程を知っていたのか具体的に知りたいんだ」
僕からの依頼に「了解」と言ってシュっと動き出すゲンデ。……ゲンデ、着実に護衛より隠密に育っている感じだなぁ。
「ゲンデも良い方向に育っているようですね」
フェイさん……ゲンデまでコントロールするとは……!恐ろしい子!
「マスター、それはそうと画面を見て下さい」
ん?ええと何々……
「『三男のスキルが発現した事を確認したなら、半殺しにしてもいいから連れて来いって命令された』?」
はあああああ!!!?実の息子を半殺しにしても良い?というか、追い出しといてまた呼び戻すなんてどんな神経してるの!!?
「ふふふ……マスター、特殊牢に追加したいものがあるのですがご相談しても?」
「フェイが声を出して笑った!?えっと……どうぞ?(なんか聞くの怖いけど)」
————って、聞かなきゃ良かったよ!
「うわあ……フェイ。何その痒い仕組み……!」
「ええ。名付けて『ブラッディーワルツ』。光のない暗闇の中に解き放たれた蚊の羽音に戦慄して頂きましょう。服の上からも刺す蚊の強力さと身体中の痒みにどこまで耐えられるか……?心ゆくまで踊って下さるでしょう」
「駄目だぁ〜!聞いてるだけで痒い!!!」
「では、代替え案として……『逃亡中ーボルグド殿下とダノン様と騎士達から逃げ切れ!』はいかがでしょう?」
「……何その某番組的なもの」
「舞台はトレーニングフィールド。勿論、トレーニングフィールドから逃げられはしません。
ですが木刀一つで、様々に変化する地形に、追う殿下と騎士達、そして最強戦士のダノン様から時間無制限で逃げる設定ですね。勿論、常時回復させましょう。
いつ襲ってくるかわからない恐怖と逃げきれない絶望感と死ねないもどかしさを味わって頂くのです」
「うーん……蚊とどっちが辛いっていうよりトレーニングフィールドは使わないで欲しいかなぁ」
「では、『負けたら地獄!食事を勝ち取れ!』はいかがですか?騎士達と対戦して負けると与えられる珍味を味わって頂くのです。勿論、敗者の景品はドリアン、クサヤ、シュールストレミング、ハバネロ、天然ワサビなどです」
「……うん、聞いているだけで僕はアウト。それだと騎士達も大変だね」
「騎士達にも訓練の為に必死になって貰いましょう。大丈夫です。納豆も入れるようにしますし、対戦が終わるたびに回復する様に致しますよ?」
……どうしよう。フェイがイキイキしているよ。僕を半殺しにしてでもってフレーズによっぽど腹がたったんだろうなぁ。
でもさ、ここまで手を出してくるなら僕だって黙っていられないよ。
「基本はウェルダント国の法に従って刺客は裁いて貰う事にするけど……フェイ、そろそろアレが稼働出来そう?」
「はい。先程稼働可能となりました。マスター、ステータス画面で確認をどうぞ」
「わかった」
僕が仕込んでいたもの。それは———
『アラタ(ディゼル) 13歳 男 人間 ☆
HP 160/160
MP 899,000/900,000
スキル マンション
取得魔法 付与
開放設備 オートロック 宅配ボックス コンシェルジュ マンションカスタム『低層マンション/タワーマンション』 テナント/ゲストルームフロア(低層マンションに設置済み)
マンションセキュリティシステム [防衛]←NEW
称号 転生者 創造神の加護 』
そう、マンションセキュリティシステムなんだ。
これ、最近ステータスに出て来たんだけど、稼働する為にすっごい時間がかかるものだったんだ。その理由は……
『[防衛]
・救難 一回使用MP100,000 発現稼働時間 一週間
(魔導捜索ドローン 15機・魔導AED 10機/他)
・輸送 一回使用MP 300,000 発現稼働時間 一週間
(魔導輸送機 3台/他 選択肢有り)
・警戒 一回使用MP 200,000 発現稼働時間 一週間
(AI諜報員 20名)
・掃討 一回使用MP 600,000 連続発現時間 5日間
(マンション自警団員の体力/魔力の増強・自警団員専用魔剣/自警団員専用各種攻撃魔法陣・【保険】連続適用可能)*人数無制限 』
これだけの装備が『マンション』外でも稼働が可能だからなんだ。
そもそも僕の『マンション』は、基本理念が[安全]。
だから本来は戦いより日常生活を送る事に重点を置いているけど……『マンション』が安全であるためには、時として攻勢に出る事だって必要だよね。
僕が僕らしくあるために、そして———
『うちのアラタに何しようとしてんだ!』
『よし、行けゲンデ。俺も加勢する』
『ゲンデも殿下も止まって下さい!気持ちはすっごいわかりますけど!』
『すっごく同意しますが、奴ら抵抗出来ないんです。二人共一発で仕留めて下さいよ!』
僕の周りに居る大事な人達を支えるために———
僕も動き出すよ。
アクセスありがとうございます!




