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マンションスキルがあるので廃籍されても構いません  作者: 風と空
第一部

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新たな『マンション』発覚

 「申し訳ございません!」


 えっと……困ったなぁ。あ、今ね。セラさんが、殿下とダノン様の前で土下座しちゃっているんだよ。


 一応、部屋開ける前には「ボルグド殿下もいらっしゃいます」って言ったら顔色がサアッと白くなっちゃってね。


 やっぱり有能な人だったんだろうね。フェイ曰く『一瞬で状況を掴みましたね、彼女』って言ってたから。


 「まさか息子が殿下をも裏切っているとは……!どうか、どうか私も息子と共に罰して下さいませ。私だけのうのうと生き、大恩ある辺境伯御一家を苦境に陥らせ、殿下にご迷惑をおかけしているなんて……!」


 うわぁ、忠義に厚い人ってこういう事を言う人なんだろうなぁ。言い逃れもしないし、主人の立場を思いやり、加害者に加わったのが家族であっても甘えた考えをしないって、なかなか出来ないよね。


 『言っときますけど、私もマスターに忠誠を誓ってますからね』

 

 フェイ……だから考え読むなって。でも、うん。ありがとう、フェイ。


 まあ僕らの事はいいとして、セラさんの事はダノンさんも同じように思ってたみたいだね。


「セラ、お前の忠義心は嬉しく思う。だが、顔を上げてくれ。私が不甲斐ないばかりに今回の事態に陥ったのだから」


「ダノン様……!」


「そうだなぁ。誰かさんが逃げていたから後手に回ったようなものだからなぁ」


 「ぐっ」


 あーあ。殿下、折角の良い場面ぶち壊してるや。ダノン様の方もあちらが一枚上手だったって事だし。


 「まあ、それを言うなら俺にも責任がある。セレナから事前に相談は受けていたからな。とはいえ、こうなった今は、責任の所在よりも今後の展開が大切だ。だから、セラ。こちらに来てまずは話しを聞いてくれないか?」


 殿下がセラさんに優しく声をかけると、グエルさんがセラさんの肩をポンと叩いて手を差し出している。


 ……この主従は連携が上手いんだよね。僕も見習わなくちゃ。


 それで、ようやくセラさんが立ち上がり殿下達の側に来てくれたけど……ダノン様の後ろに立ったまま頑なに座ろうとしないから、そのままの体勢で話し出すことになったんだ。


 「さて、現状では世論があちら側についている為、こちらが今動くのは危険だ。そして一度、王都へと避難した方が良いというのが俺とダノン側は意見が一致している。


 だが、ここで大きな助けが俺達に加わってくれた。セラ、お前も今経験しているこの空間を所持しているアラタの存在だ」


 殿下が僕に視線を向けると、一斉に僕に視線が集中したんだ。いやいや、僕そんな助けという程では……『マスターは、もっと自信を持っても良いと思います』えっと……そうらしいですね。はい。


 「まぁ、本人は至って普通の人間としか思ってないのが玉に瑕だがな。だからここは実際に目にした方が良いだろう。アラタ、この館内を二人に見せてくれないか?」


 「ならば、マンションコンシェルジュの私がご案内致しましょう。お二人共、まずはこの階の空き部屋へとご案内します」


 僕が返事をする前に、スッと立ち上がりダノン様とセラさんを連れて部屋の移動を提案するフェイ。うん、フェイが案内するなら1番わかりやすいね。


 「では、一旦御前を失礼します」


 挨拶して立ち上がったダノン様をフェイが先導し、セラさんが二人の後に従いパタン……と扉が閉まった途端、「はあああ……」と殿下が椅子にもたれかかったんだ。


 僕は殿下のこういうところしか見てないから、いつもの雰囲気に戻って僕も肩の力が抜けたけどね。


「殿下、気を抜きすぎでは?」


「そういうな、グエル。王家を背負うのは俺の性格じゃないんだって」


「ぶはっ!殿下、仮面脱ぐの早すぎです」


「アラタの前で王族らしくしてたって意味ないからなぁ。素を知られているし」


「でも殿下。今回はアラタ様のおかげで助けられているのです。少しはきちんとした感謝を伝えて下さい」


「ああ、グエルの言う通りだな。……アラタ、本当に協力に感謝する。悪いな、お前の力を頼ってばかりで」


「僕はただ自分で思った通りに動いているだけですよ?ゲンデとフェイが殿下を信用している内は協力しますって」


「そうか……なら信用され続けるように頑張らないといけないな、俺は」


 苦笑する殿下に「普段の姿から努力して下さい」って突っ込んでいるグエル。


 いや、僕は普段の殿下の方が気が楽で良いけどなぁ。……あ、そうだ!今、聞いた方がいいかな?


「殿下。今回、辺境伯御一家がマンションに来るのは良いのですが、総勢何名になりそうです?」


「それなんだよなぁ……どうあってもメイドや執事がついて来るんだよ。となると、移動中俺らが野宿になるわけだが……正直言って出たくない!」


「殿下……殿下は出る必要は無いのでは?騎士達は野宿でも構わないでしょうが」


「グエル?俺だけ此処に居ると士気が下がるのは目に見えているだろう?だから、お前も当然野宿組だ!」


「アラタ様、何か案はございませんか?」


「切り替え早いな!」


 賑やかな二人の会話に笑いながらも、僕もそれを考えていたんだ。今の低層マンションでは、おそらくギリギリ詰めるとイケるだろうけど……見つけたんだよね、これ。


 ・マンションカスタム MP800,000


 これって多分今あるマンションをカスタムするんだろうなぁって思っていたらさ。取得してみたらこうなっていたんだ。


 ・マンションカスタム  解放済み

  『低層マンション    取得済み

   タワーマンション   MP600,000

   大規模マンション   MP700,000

   再開発複合マンション MP800,000 』

  

 僕、やって初めてマンション自体をカスタムするの?って驚いたんだ!どうやら、ベースルームが空間に固定されているのが理由らしいよ。


 で、やっぱり違いを知りたいよね?


 低層マンション

 1.高級感があり敷地の規模は大きめ

 2.階数は3階まで、総戸数は最大で30

 3.高グレード素材を使いデザインや植栽にも凝った造り

 4.駐車場が自走式


 うん、これは今のマンションだから問題無し。


 タワーマンション

 1.階層は20階以上の超高層建築

 2.耐久性がかなり高い

 3.住戸の向きが四方に点在する

 4.共用部分のグレードやデザインが低層マンションより豪華


 どうやら低層マンションより豪華になるらしいんだけど、今より豪華って想像つかないね……


 大規模マンション

 1.空間に複数棟が並び、1,000戸以上の住居がある

 2.共有施設が多く、コミュニティが成熟している

 

 あ、これが平民向けのマンションらしいよ?ただ戸数が凄いね……今はこんなにはいらないかなぁ。


 開発複合マンション

 1.複合商業施設やオフィスなどとゾーン分けされている

 2.転移陣付きの為、交易の利便性が高い

 3.街開発に最適

 

 商業施設が多い為ショッピングが楽しめたりや商店を誘致出来るらしいけど、これも今の僕には過ぎたものだなぁ。

 

 そうそう!当然言える事だけど、地球のマンション定義とは全く違うからね!これは僕のスキル仕様なんだって。


 「ん?アラタ、何か気になったのか?」


 「殿下、どうやらこの『ニューマンション』が更に進化するようなんです」


 「「は?」」


 殿下とグエルさんが同時に聞き返してきたタイミングで、ノックの音が聞こえてきた。あ、多分フェイかな?


 「マスターに動きがありそうでしたので、お二人のご案内を途中で切り上げて参りました」


 殿下の了承の声の後に入ってきたのは、やっぱりフェイ達。途中までとはいえ、ダノン様からもセラさんからも高揚感が伝わってきたんだ。


 「ダノン、セラ。どうだった?この施設は?」


 殿下もそれを感じとったんだろうね。ニヤニヤしながら二人に聞いたら、まず答えたのがダノン様。


「殿下!!!この『マンション』の部屋は貴族の部屋以上ですな!性能といい、家具の感触といい素晴らしい!ベッドなんぞ我が屋敷の物とは比べものにならんくらいですぞ!」


 普段より喜びを全面に出すダノン様の姿に、殿下も気持ちがわかるだけに笑いを堪えるのが大変みたい。


「だ、だろうな。だが、時間的にまだ部屋しか見て無いだろう?ここはまだまだ見どころがあるんだが……どうやら今から我らの理解を超える変化をするようだぞ?」


「これ以上に変化をするのか!?」

「!!」


 殿下の言葉には、流石の元侍女のセラさんも驚きが隠せなかったみたいだね。ダノン様は驚きっぱなしだけど。


『マスター、今からタワーマンションに変換致しますか?』


『うん。僕も興味あるし』


『畏まりました。ではマスター、魔力消費の許可を頂けますか?』


『うん、良いよ』


 許可を出した途端にズルッと大きく力が取られた感じがしたけど、すぐに変化するわけじゃないみたい。


「皆様、一旦全員『ニューマンション』より退出をお願い致します。これより、更なる向上のための『変換』に5分程お時間を頂きますので、少々お待ちくださいませ」


 フェイの案内により、急遽移動をお願いする事になったけど、どうやら皆期待の方が強いみたいだね。むしろ喜んで移動してくれたんだ。


 あ!そうだ!ゲンデにも連絡しなくちゃ!


 念話でゲンデに事情を話し、ゲンデも急いでエントランスに集合。


 僕とフェイも含めみんなで辺境伯家の客間に戻ったのは良いけれど、ゲンデやセラさんが一時的に増えた為、気付かれないように声を潜めて待つ事5分———


「皆様、お待たせ致しました」


 待望のフェイの言葉に全員一斉に口を押さえる姿には、僕も笑いを堪えるのが大変だったよ。


 けどね、その分だけ新たなマンションに入った途端にみんなが声を出して笑ったんだ。


 そして、今度は驚きで言葉を無くしたみたい。それは僕も一緒。そんな皆の姿を横目に、手を胸に当てて礼をするフェイ。


「皆様、『リュクスマンション・藤』へようこそいらっしゃいました。では、これより当館をご案内致します」

アクセスありがとうございます!明日からも3話更新よろしくお願いします!

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