表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マンションスキルがあるので廃籍されても構いません  作者: 風と空
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/66

辺境伯家での一幕

 拝啓 日本の皆様。

 日本という国はとても快適に拘る国民性なんですね。


 ……忘れてたよ。僕の『マンション』が規格外だってこと……



       *****



「ここが殿下の部屋となります。側仕えの方とメイドの方は隣の部屋をご利用下さい」


 辺境伯一家との挨拶の後、殿下と一緒に案内されたのはこの国に来て初の客室。


 それも、辺境伯の家で殿下の泊まる部屋となると、期待した僕は悪くないと思う。


「わかった。後は俺の従者とメイドで大丈夫だ。皆下がってくれ」


「「「畏まりました」」」


 王子らしい威厳を出して、辺境伯メイド達に指示を出すボルグド殿下。


 辺境伯家のメイドさん達はよく躾られているみたいで、サッといなくなったんだ。おかげで、ようやくいつものメンバーだけになってホッとするよ。


 「アラタ。一応言っておくが気を抜きすぎるなよ?」


 どうやら、無意識にため息を吐いてたんだね。ボルグド殿下に苦笑されちゃった。


 「アラタは、ここでは従者ですからね。出来るだけ私に倣って下さい。基本的な仕草は優雅にはできていますから」


 グエルさんにもフォローされちゃったよ。いけない、いけない。


「仕方ありません。本来マスター程の実力者であれば殿下より重宝されるべきなのですから」


『フェイはちょっと抑えようね。聞き耳立てられているかもしれないんだから……!』


『いえ、誰も近くに居ない事は確認済みです』


 ……そうだった。一応念話で言ってみたけど、看破持ちのフェイだもんなぁ。


 なんて、僕と同じ事を殿下も思ったみたい。


「まあ……フェイの事だから大丈夫だとは思うが、気をつけてくれよ?——で。どうだ?アラタこの部屋の感想は?」


 ありゃ。僕の考え殿下にも読まれていたみたい。


「えっと……慎ましいというか、質素倹約というか……」


 アレ?質素倹約って日本の四字熟語だから通じないかな?


「ブハッ!そう思うだろうなぁ、アレを思えば」


「確かに。アレと比較してはいけませんよ?」


 一応通じたみたい。だけど、やっぱり殿下とグエルさんによれば『ニューマンション』とは比較にならないらしい。


 そもそも、備えられている家具は大型ベッドと一人用ソファーとテーブル。調度品の質が良いのはわかるけど。


 「殿下……もしかして気を使うなって言ってたりとか……?」


 「お前なぁ。でも、まぁなぁ……そう思うか。だが違うぞ?辺境伯は倹約家でもあるが、領民思いだからな?」


 「アラタ。辺境伯家は常に魔物の森と隣国に備えていなければなりません」


 若干失礼な事を言う僕に呆れながらも理由を話してくれる殿下と、更に補足してくれるグエルさん。


 ……そっか!防衛費にかかっているんだ!なんて辺境伯様の印象がかなりアップした時に、殿下がまた王族の印象を薄める発言をするんだもんなぁ。


「アラター、今少しなら良いか?どうせ夕食まで暇なんだ」


「殿下……はぁ、ならば私が待機していましょう。アラタお願いします」


 流石!グエルさん。自ら監視役になって下さるとは……!だったら、少しの時間構わないかな。


「フェイ?」

「わかってます」


 以心伝心のようにサッとマンション扉を出すフェイ。多少顔が引き攣ってたけど、どうやらすぐ殿下から絞りとる事に切り替えたみたい。……うん、表情を隠そうね。


 そうして、グエルさんを残して中に入る僕とフェイと殿下。


 入った途端にクルっと表情を変えこちらを見る殿下。ん?どうしました?


 「フェイ、どうだ?これで相談できそうか?」


 「はい。これでスキル持ちからも聞こえません」


 え?二人は何を言っているの?


 「アラタは……気づいていなかったか。辺境伯家では盗聴スキル持ちがいるんだ。敢えてアラタを能力者として王家の庇護下にある事を明かしたが、能力までは明かすのはまずい。って事でここに来て貰ったんだがな」


 「は?だって、さっき、フェイ……!」


 「え?アレぐらいの先制パンチは良いのでは?」


 「まぁ、辺境伯家自体は問題ないと思うがな……」


 何か挟まった良い方をする殿下。……なんだろう、僕だけ疎外感を感じるんだけど?悔しいから言わないけどさ。


 とりあえず殿下をベースールームのリビングに連れて行き、詳しく話を聞かせて貰う事にしたんだ。


 すると、説明する殿下の口から思わぬ国が出てきたんだよ。


 「へ?なんでヘーゼル国が出てくるんです?」


 驚いて僕は立ち上がっちゃったけど…… 驚く僕の様子を余り気にせずに、最近のお気に入りのカフェラテを優雅に飲む殿下。僕の反応は想定内だったんだろうね。


 でもさ、僕の反応だって当然だと思うよ?


 だって、ヘーゼル国って海沿いの国でウェルダント国と同等位の大国。因みに、僕の生まれたゼリース国はウェルダント国とヘーゼル国に挟まれているんだよ。


 あ、ゼリース国ってプルプルしてそうって思ったでしょう?僕も前世の記憶が戻ってからそう思ったからなぁ……


 って、話を戻そう。殿下続きをどうぞ。


 「ん?ああ、アラタは知らなくて当然だ。ウェルダント国とヘーゼル国は利権争いで水面下で争っているんだ。主に、ヘーゼル国がウェルダントに食ってかかって来ているんだが……まあ、これは上位貴族くらいしか知らないけどな」


 ……そんな話、僕に聞かせないで下さいよ。


 ジロリと殿下を見る僕に、苦笑しながら説明続ける殿下。


 「まあ、アラタも関わってたんだぞ?その利権争いにゼリース国が1番被害を受けているんだから」


 「はい?」


 「今はゼリース国はウェルダント国の傘下国だが……現在のゼリース国の派閥は、ウェルダント国側とヘーゼル国側に分かれているからな」


 「マスターが育ったグリード家は、どうやらヘーゼル国側についていたそうです。だからこそ、強い武力スキル持ちが期待されていたんでしょう」


 ええっ?二人共サラッと言っているけど……僕、殿下にこの世界での本名名乗ってないと思うんだけど?しかも、なんでフェイが知っていて僕が知らなかったの?


 「もはや関係の無い国と生家ですし、聞かれませんでしたから」


 だからフェイ……僕の考え読まないでよ。


「アラタが分かり易く顔に出てんだって。しかも、フェイ。しっかり、俺がアラタの情報掴んでいた事分かっていたのか」


「ええ。情報とは日々取り入れないといけませんからね」


 うわぁ……!うちのフェイさん、優秀!


 と言うか、やっぱり殿下にも諜報員が付いて居たんだね。考えてみたら、そりゃそうか。殿下、曲がりなりにも王族だもんね。


「アラタ……せめて外では表情に出すのやめろよ?今、絶対俺の事非難しただろ?」


 ウッ!殿下にまで読まれるとは……!


「殿下。グエルが呼んでいます。戻りましょう」


 フェイ、ナイスタイミング!


「ったく、まだ本題に入ってないのにな。分かったすぐ行こう」


 僕の額にデコピンした殿下が「今はこれで突っ込まないでおこう」と言ってくれたから助かったけどさ。うん、表情管理をもっと頑張ろうっと。


 「あ、そうだ。辺境伯一家は大丈夫だが、その他の周囲には気をつけろよ?」


 思い出したようにそう言い残し、一足先に『ニューマンション』を後にした殿下。僕も行かなきゃ、と思って動いたらフェイから待ったをかけられた。


 「マスター、[人災]と[医療]保険かけておいて下さい。念の為ですが」


 ……何か不安要素があるのかな?とりあえず従っておくけど。


 「分かった」


 ちゃちゃっと保険を自分にかけて、フェイと共に外に出ると迎えてくれたグエルさんの横に並んでみた。


 そのすぐ後に、殿下の客間に一人で入って来た辺境伯様。


 「殿下と二人で話したいので、人払いを」


 と言われたから、僕もグエルさんと一緒に下がったんだけどね。


 「そこの者達、待ってくれないか?」


 お茶を用意する準備に給湯室へ向かう途中で、辺境伯の実の弟様(念話でフェイが教えてくれた)から話しかけられたら止まるしかないよね?


 「お前達がもの好き殿下が拾って来た従者見習いとメイドかな?どんな能力を持っているんだい?」


 え?なんでそんな事聞くの?って思ったけど、相手は僕より身分の高い方だし答えないわけにもいかないし……!仕方ない……!


 「アインス様、この者達の能力に関しては殿下の許可を頂いてからでなくてはお教えできかねます」


 やんわり断ろうとした僕より前に、グエルさんがパッと前に出て代わりに言ってくれたのには感謝したよ。


 伝家の宝刀ならぬ殿下の権威をちらつかせた為、相手もこれ以上突っ込んでこれなくなったからね!


 ありがとうございます!グエルさん!お酒後で送らせて頂きます!!


 『マスター、この男が要注意人物です』


 心の中で感謝の気持ちをグエルさんに送っていると、フェイから送られて来た念話の内容に驚いた。あ、一応表情には出してないよ?……多分。


 「そうか、残念だな。まあ、いいよ。今回はグエルの言う通り引き下がろうか」


 笑顔でサッと引き下がる辺り見た感じはなんともないけどねぇ。


『腹黒い者程中身を上手く隠すものです』


 って、フェイさんや。だから考え読まないでって!


『マスターはわかり易いので』


 ハイハイ、表情に気をつけますよ。


 なんて言っている間にササッと用意を整えるグエルさん。そして今度は問題なく殿下の部屋へと戻り、ノックして入室するとニコニコ顔の殿下がいるんですけど?


 向かい側に座る辺境伯様は何やら訝しげに僕を見ているからこそ何か怪しい。


 そんな怪しむ僕の様子に苦笑した殿下が、無言で頭と奥を指差し僕に目線を送ってから一言。


 「グエル、頼む」


 グエルさんは分かったようで「フェイ、頼みます」とだけ言うと「畏まりました」と理解したフェイ。


 ……僕だけわかってないみたい。疎外感、再び……!


 なんて思っている僕を横目に、即座に客間の鍵をかけ『ニューマンション』扉を出すフェイ。え!なんで?


『フェイ!見えないとはいえ、辺境伯様がいるんだよ!?』


『はい、だからです』


 そんな念話を交わしていると、スッと立ち上がった辺境伯様が僕に近づき手を差し出してきたんだ。


 「君が殿下の今回の収穫なんだね。《《長い付き合い》》になると思うからよろしく頼むよ」


 えっと、長い付き合いになるってなんの事でしょう?


 戸惑う僕に『マスター、辺境伯の登録を済ませて下さい』と促すフェイ。


 ……そろそろ教えて欲しいんですけど?

アクセスありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ