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探偵は胸を揉む   作者: リチャード裕輝


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探偵は胸を揉む:【童貞探偵の受難】呪いの始まりは、親友の胸の裏側

探偵は胸を揉む:【童貞探偵の受難】呪いの始まりは、親友の胸の裏側

プロローグ:童貞の探偵と、触覚の呪い


久我 奏太は、周囲に隠し続けている特殊な能力を持っていた。それは、サイコメトリー。触れた物体、あるいは生命体に残された強い記憶や感情を、視覚情報と、凍てつく触覚的な痛みを伴って追体験するという、非常に強力で、かつ危険な能力だった。


そして、その能力には発動条件が存在した。


特に、女性の身体、そして生命の源を象徴する胸部に触れると、その対象が経験した最も強烈な、恥と痛みに満ちた記憶が、奏太の精神に強制的に叩き込まれるのだ。


久我 奏太は、極度の奥手で、女性の身体、特に胸に強い羞恥心と恐怖を抱える、純粋な童貞だった。


彼の理知的な自我は、触覚という本能的な媒体を介して、女性の悲劇的な記憶を追体験するという、彼の最も苦手な行為を、能力発動の必須条件として課せられていた。これは、彼にとって呪いでしかなかった。彼の物語は、彼の最も清浄な部分(童貞)と、彼の最も触れたくない部分(女性の胸)が、狂気の研究によって最高の実験材料として組み合わされた、この旅から始まった。


序章:消えた村への招待状と四人の軋轢


真夏の太陽が、アスファルトをじりじりと焼く。七月の昼下がり、都市を覆う湿気をはらんだ熱気が、肌にまとわりつくように重苦しい。


大学のオカルト研究会に所属する久我 奏太とリョウは、古びたワンボックスカーで、人里離れた山奥の林道へと向かっていた。同乗するのは、奏太が想いを寄せるアヤ(清楚なブラウスに身を包んだ、奥手で真面目な文学少女)と、リョウの恋人であるマキ(薄いタンクトップから豊満な肉感が滲む、セクシーで巨乳な現代っ子)。


「マジでこんなとこに村があるのかよ? リョウ、スマホ完全に圏外じゃん!」 運転席の奏太は、神経質そうにハンドルを叩いた。彼の顔には、計画の乱れと理性の崩壊への強い不安が滲んでいた。


「大丈夫よ、奏太くん。あなたが一緒なら、きっと何とかなるから」 助手席の後ろに座るアヤは、不安そうな奏太の背中に向かって、控えめだが、まっすぐな声で言った。彼女の指先は、いつも奏太が車内に置き忘れる古いシャーペンを、大事そうに撫でていた。熱気の中でも汗一つかいていない彼女の純粋さが、車内の生臭い湿気を払うかのようだった。


リョウは、助手席で分厚い郷土史のコピーを広げ、声を荒らげた。「落ち着けよ、奏太! そこがいいんだろ! 古文書にだけ記された、地図には載ってねえ**『霧ノ森』だ。これでオカルト研究会の会長の座も、お前の手から俺に禅譲**されることになる、な?」


リョウは、奏太の言葉を鼻で笑い、分厚い資料(『某県山間部 古社調査記録(非公開資料)』)のページを冷徹にめくった。


「俺の目的は、お前の好きな動画の再生数じゃねえ。この村の**『生きた因習』を記録することだ。特に、この天狗神事と『性なる夜』**のルーツ、な?」


古社調査記録曰く、


『里の血筋は、天狗様が降臨せし神の直系なり。故に、外部の血は穢れ。然るに、血の穢れが濃くなりし時は、外部より最も清浄なる**『タネ』と、童貞の愛を宿す『清浄な花嫁』を供物として迎えるべし。これ、嫉妬の浄化の儀式なり。天狗様が、自らタネを植え付け、里を清浄化せん。里の神の子(男)は、二十歳をもって天狗の役割**を継承すべし』


奏太は、リョウが読み上げた異様な古文書の内容に、身体が一瞬硬直した。


「どういう意味ですか、リョウ。天狗というのは…男性器のことですか? そのタネというのは、童貞の俺の精子のことですか!?」


リョウは、奏太の純粋な怒りを、心底軽蔑したような冷笑で受け流した。「奏太、お前も俺と同じ京都大学文学部とは思えねえぜ。フロイト的な古文書の隠語の一つも理解できないとはな」


「俺は、古文書でなく、現代文学、特に、ミステリー作家の三島由紀夫が好きなんだよ! 小説家を目指している俺にとって、こういう非合理な現実こそが、最高のミステリーなんです!」


リョウは資料を閉じた。「結論から言えば、その通りだ。里の者にとって、お前の**『タネ』**は、雑菌に汚されてねえ、最も清浄な血清だ。お前は、清らかな童貞だからな」


マキが、日焼けした太股を助手席の背もたれに立てかけ、甘ったるい声を響かせた。薄い生地の下で大きく波打つ胸が揺れる。


「童貞の血清なんて、気持ち悪いわね。アヤちゃんの真面目なブラウスの下にあるものが清浄だとして、あたしのセクシーな肉は穢れってわけ? ふふっ、リョウくんはこういう陰惨なテーマ、好きだもんね」


アヤは、マキの露骨な言葉に、一瞬顔を伏せた。そして、控えめに、しかし静かな強い意志を込めて口を開いた。


「マキさん、『清浄』というのは、肉体の状態だけじゃないと思います。きっと、愛の心のことです。奏太くんは…誰よりも心が真面目だから」


リョウは、アヤの真摯な擁護を聞き流すように、顔を奏太に向けた。「そして、お前の**『童貞の清浄なタネ』**は、この儀式で最高に喜ばれるらしいがな、優等生の奏太。エロも得意じゃない臆病者の会長さん?」


奏太は、その直接的な嘲笑に、心の奥底の恐怖を抉られた。


(俺の童貞は誇りだ。だが、それは愛の規範だけではない。俺にはサイコメトリーの能力がある。肌が触れる瞬間に相手の心の『穢れ』や過去の記憶を暴力的に読み取ってしまう。性の衝動と他者の感情の奔流が混ざれば、俺の理性は必ず崩壊する。だから、俺は本当に愛する人以外に触れることができない。清浄さを保つのは、自滅への恐怖なんだ!)


奏太は、アヤの純粋な言葉に背中を押され、強い羞恥と怒りに顔を紅潮させた。「くっ……リョウ! 侮辱するなら降りるぞ! 儀式だろうと何だろうと、俺は会長だ。不合理な事態は、俺の理性でねじ伏せてやる!」


リョウは決断した。「歩くぞ。どうせ集落はもうすぐだ。車はここに置いていく。さあ、真面目な会長さん、理屈抜きで体を動かす番だ」


リョウは、得体の知れない邪悪な笑みを浮かべたまま、先に車外に出た。奏太は、奥歯を噛みしめ、愛と理性という盾を手に、非合理な現実へと足を踏み入れた。


第一章:霧ノ森の境界、古き掟、そしてリョウへの違和感


車を乗り捨て、彼らは深い森の奥深くへと踏み込んだ。朱色の塗料が剥げ落ちた古びた鳥居をくぐった瞬間、空気の質が変わった。外界の湿気をはらんだ熱気は一変し、肌を刺すような冷たい湿気がまとわりついた。頭上は鬱蒼とした木々の葉に覆われ、真昼だというのに、集落全体が黄昏時のような薄暗さに閉ざされていた。


苔むした木造の家屋が並ぶ集落があった。その全てが、まるで生きた化石のように、現代の文明を拒絶している。


奏太は会長として、まずは儀礼的な呼びかけを行おうとしたが、その瞬間、リョウは既に奏太たちの輪から離れ、村の奥、最も異様な形状の木彫りの仮面が掲げられた古びた祠の方へと、迷いなく足を進めていた。その迷いのなさが、奏太の神経を逆撫でる。


その瞬間、一人の老人が、最も古びた家屋の影から、ぬるりと姿を現した。背筋は曲がっているが、その佇まいには有無を言わせぬ威圧感があった。細く切れ長の目をした長老らしきその老人は、群れの中心を無視し、真っ直ぐにリョウを捉えた。


長老:「よくおいでなすった、若い衆。お待ちしておりましたよ。……お前も久々じゃのう、良輔。都で穢れを溜めて、帰ってきおったか」


久我(奏太)の理性の回路が、その言葉で一瞬フリーズした。


久我:「(いま、リョウのことを**『リョウスケ』と本名をフルネームで呼んだか? しかも、『久々』と……。まるで血縁者に語りかけるような親密さだ。長老は、リョウが何者か、なぜ知っている? リョウはただの民俗学を研究している京大文学部の学生**のはずだ!)」


リョウは、一瞬の表情の動揺も見せずに、静かに頭を下げた。その沈着さが、久我の違和感をさらに強めた。まるで、事前に準備された劇のセリフを演じているかのようだった。


リョウ:「ご無沙汰しております、長老。文献調査を終え、戻りました」


久我は、アヤの手を強く握りしめた。彼女の純粋な手のひらの温もりが、サイコメトリーの衝動を抑える唯一の抑止力だった。そして、彼は低い声でリョウに問い詰めた。彼の声には、裏切りと論理の崩壊に対する強い怒りが混ざっていた。


久我:「リョウ! いま、久々と言いましたよね? しかも、なぜあなたの本名を知っているんですか? 隠していたのですか!?」


リョウは、久我を一瞥しただけで、すぐに長老に向き直り、無視した。その無視が、久我への明確な拒絶だった。


リョウ:「会長。俺は以前、この里の因習に関する古い文献を追っててな、長老と文通をしてた。里の者じゃねえが、学術的な縁はある。会長の無粋な追及は、実地調査の邪魔だ」


久我は、リョウの無理のある説明と、リョウと長老の間に流れる濃密な、血の繋がりのような空気に、既に決定的な亀裂を感じた。リョウの視線は、長老に対する敬意ではなく、幼い頃から村に植え付けられた、この穢れた里の血への憎しみと、それを「研究」という名の支配で塗り替えようとする、傲慢な優越感が混ざり合っていた。すべてが奏太の理性の枠組みを静かに侵食していった。


長老は、薄暗くなり始めた空を見上げた。細く切れ長の目が、一瞬、冷たい光を放った。その視線は、奏太たち部外者の存在を値踏みしていた。


長老:「……もう日が暮れる。この山道は夜は**けだもの**が出る。今日はもうお帰りになられるのは諦めなされ。わしらが泊まらせてあげよう。里の者としてな」


長老は、里の掟を持ち出しながらも、リョウだけに意味深な視線を送った。リョウは、その視線に、冷酷な承諾を返すように、わずかに頷いた。


奏太が反論しようと口を開きかけた瞬間、マキがリョウの腕に絡みつき、豊満な体を押し付けた。


マキ:「なんだか雰囲気あって良いじゃん! 泊まろうよ、ね、リョウ?」彼女は薄いタンクトップ越しにリョウの腕を撫で、「それに、アヤもソウタと同じ布団で寝なさいよ。清浄なタネなんだから、ちゃんと植え付けの練習しなきゃ」


アヤは顔を真っ赤にし、言葉に詰まった。「や、やめて、マキさん! そんなんじゃないよ。ソウタさんは真面目だから、そういうの……」


長老は、マキの言葉に、満足げな、しかし異様な笑みを浮かべた。


長老:「心配は無用。今夜は祭りじゃ。客人をもてなすのが、里の掟。ゆっくりしていきなさい」


こうして、奏太たちの意図とは裏腹に、彼らは一夜の宿泊を強制されることになった。霧ノ森は、静かに、そして確実に、四人の若者をその因習の檻の中へと閉じ込めたのだった。

第二章:裏切りの酒、偽りの消滅、そしてリョウの冷徹な計画

太陽が西の山稜に完全に沈み、村全体が濃い影に包まれ始めた。日中の湿った暑さとは異なる、不気味な生温かさが、夜の帳と共に降りてくる。鳥居をくぐった瞬間の冷気は消え、代わりに獣の巣穴のような澱んだ空気が満ちていた。


広場に集められた村人たちの表情は、長老の「祭り」という言葉とは裏腹に、狂喜というよりも、義務と異様な高揚感に満ちていた。集落の住民はざっと二十人ほど。そのほとんどが深い皺を刻んだ年寄りだが、その中に十歳くらいの、無表情な目の少女が数人混じっており、その幼い存在が異様な空気をさらに際立たせていた。


その夜。村の広場は、篝火がいくつも焚かれ、異様な熱気と、血と発酵臭が混ざった悍ましい香りで包まれていた。


中央には、粗雑な石積みの土壇が築かれ、その周囲を、村人たちが奇妙な姿勢で取り囲んでいる。広場全体から立ち上る臭いは、単なる発酵臭ではなく、獣の体液のような、あるいは古い血が土に染み込んだような、生臭く、粘りつく重さを持っていた。


奏太はアヤの手を強く握り、広場に足を踏み入れた。アヤは恐怖で顔が青ざめ、奏太に寄りかかって震えている。


マキは、リョウの腕にしがみつき、興奮と恐怖の入り混じった声を上げた。 マキ:「なんだか怖い雰囲気ね。アヤも震えてるし。でも、リョウくん、本当にこの村、生贄とかやるの?」


リョウは、マキの問いを無視し、懐中電灯で村人の装束や土壇の石積み、周囲の古い柱などにしつこく光を当てていた。その学者然とした冷徹な観察が、長老の細く切れ長の目に明らかに苛立ちを生じさせていた。リョウは、この儀式全体を研究対象として支配しようとしているのだ。


しかし、リョウは調査の合間に、時折、村の老女たちに優しげな笑みを向け、短く話しかけている。 リョウ:「お婆さん、その飾りはいつ頃からあるんです? 去年来た時は見なかったが」 老女:「おお、良輔さん。こりゃ、新しくしたんじゃよ。天狗様が喜ぶようにね」


奏太は、その和やかで、まるで旧知の仲のような会話に、一層の違和感を覚えた。(どこが『学術的な縁』だ。あいつは、この村の…内側の人間じゃないのか?)


奏太:「リョウ、これは一体、何の儀式なんですか? 危険すぎます。アヤとマキをすぐにここから…」


リョウは、低く、荒い声で答えた。「黙ってろ、会長。これが俺たちの探していた**『生きた因習』だ。ここからは、俺の領域だ。お前は、ただ観察**していればいい」


長老が、土壇の上にゆっくりと登った。彼の古びた着物には、既にいくつかの黒い染みがついていた。


長老の合図で、村人が粗い陶器の盃を奏太たちに手渡した。液体は濁った赤茶色をしており、粘度が高く、血そのもののように見えた。


奏太は警戒し、盃を手に取ったまま口に運ぼうとしない。サイコメトリー能力が、盃から悍ましい残留思念を読み取るのではないかと恐れた。


奏太:「これは……。一体、何の酒ですか? 飲めるものなのか、長老、ご説明を」


長老は、奏太の問いを無視し、リョウに静かに目を向けた。


長老:「良輔。先に飲んで見せよ。里の恵みは、都の者の口に合わぬか?」


リョウは、一瞬の躊躇もなく盃を口元へ運んだ。彼はグイッと一口飲み込むと、目を閉じ、不自然なほど大袈裟に頷いた。


リョウ:「うめえ。これは、里の発酵酒だ。都の酒よりも遥かに濃密な命の味がする。奏太、お前も飲め。記録するには、その場の全てを受け入れるのが学者だろ」


奏太は、リョウが飲んだことで毒ではないと合理的に判断せざるを得ず、意を決し、盃を口に運んだ。 マキも恐怖を打ち消すように、リョウに続く形で一気に飲み干した。


奏太:「うっ…!」


その瞬間、舌に走ったのは、強いアルコールと、鉄のような血の味、そしてどこか麻薬的な、甘美な苦味だった。途端に脳の奥が痺れ、景色が遠近法を失ったように揺らぎ、体が鉛のように重くなる。


アヤも、奏太に促されるように、震える手で盃を傾けた。そして、彼女の顔からみるみる血の気が引いた。 三人とも、薬の影響で視界が歪み、足元がぐらぐらと揺れた。


奏太:「くそっ…薬だ! 酒に何か入っています!」


リョウは、奏太の動揺を嘲笑うように、再び「うめえ」と呟いた。その声は、計画の成功に微かに酔いしれているように聞こえた。マキは既に顔を紅潮させ、熱っぽい視線をリョウに向けながら、よろめいている。


村人たちが異様な呪文のような歌を歌い始めた。


長老:「里の穢れを清めるため、一度、穢れた血を神に捧げる!」


リョウは村の男たちに連行され、広場の土壇に立たされた。薬で意識が朦朧とする中、リョウの瞳は、遠く、彼の幼い頃を思わせる古びた家屋の方を向いた。


リョウは、ふと口元を緩め、感慨深いような声を出した。


リョウ:「……懐かしいな」


久我(奏太)は、そのリョウの故郷への感情が垣間見えたことに、強い動揺を覚えた。これまでの冷徹な学者然としたリョウの仮面が剥がれ落ちたように感じられた。


久我:「リョウ……どうした…? 懐かしいって...何を言っているんですか…」


薬で顔が赤く上気しているマキは、不安と興奮が混ざったような声で叫んだ。 マキ:「リョウ! あんた、本当に何者なのよ! リョウどうしたの!」


ぐらぐらと体を支えながら、アヤが涙声で続いた。 アヤ:「ソウタさん、リョウくん、様子が変だよ。リョウくんどうしたの…?」


リョウは、久我を一瞥した。その視線は、冷徹な観察者のものだった。


リョウ:「何も。里の匂いだ。里の掟は、穢れを清めることを望む」


長老は、リョウの言葉を遮るように怒鳴った。「穢れは語るな! 穢れた里の血を、神に捧げる!」


リョウは土壇に押さえつけられる。彼の表情は、一瞬、冷徹な計画者の顔に戻り、薬で視界が揺らぐ久我に向けた口元だけで笑った。その笑みは、まるで「見ていろ」と合図しているかのように不自然に映った。


長老は、リョウの左肩に狙いを定め、鉈を振り上げた。


ゴツッ、ベチャッ!


鈍い音と、鮮やかな血飛沫が薬で朦朧とする久我の視界を染めた。致命傷とまでは言えないが、血の量からして尋常ではない傷だ。


久我:「やめろっ!」


マキ:「やめてよ、リョウに何するのよ!」


声は出た。しかし、ぐらつく体は一歩も前に踏み出せない。脳が**「動け!」と指令を出しても、手足は鉛のように重く、弛緩**している。


長老は、その血を土に塗りつけると、リョウの身体を、生きたまま、信じられないほどの速さで土の中へと押し込み始めた。まるで、土がリョウの体を飲み込んでいるかのようだった。


奏太:「くそっ…! 身体に力が入らない! 無力だ…! まだ、生きているじゃないか! 生きたまま埋めるんですか!」


薬の影響で体が動かない。奏太の理性が、この非合理な光景を拒絶するが、サイコメトリーは土の粘着質な記憶すら読み取ろうとし、彼の脳を激しく揺さぶった。彼は、目の前で**「良輔」という名の青年**が、儀式的な生贄として土に消えていくのを、ぐらぐらと揺れる視界の中、ただ見ていることしかできなかった。


だが、村人たちの作業は迅速で、わずか数十秒のうちにリョウの身体は土の中に沈み、首までが土に埋め尽くされた。長老も村人も、リョウの死を確認する作業を一切行わなかった。その異常なまでの速さと、土の中から荒く呼吸を繰り返すリョウへの無関心さが、リョウの死が儀式的なパフォーマンスでしかないことを、久我の理性に強く刻みつけた。


リョウの身体は完全に土に埋まり、土壇の中央には、彼の首だけが、ぐったりと項垂れて露出していた。 その表情は、笑みの痕跡もなく、ただ意識を失ったようにダラんとしていた。


長老は、血まみれの鉈を携えたまま、よろめく久我(奏太)たちの前に立った。


リョウが土壇に首だけ出して埋められたのを確認すると、数名の村の男たちが、顔を紅潮させているマキに獣のように飛びかかった。


マキは悲鳴をあげ、必死に抵抗したものの、薬で体が痺れており、すぐに男たちに取り押さえられた。


長老は、リョウの埋められた土壇から、冷徹に指示を出す。


長老:「穢れの供物は、あの**『清浄な花嫁』**の、最も近くで処刑されねばならん。穢れの最悪の記憶を、花嫁に刻みつけろ!」


男たちは、絶叫するマキと、恐怖で硬直したアヤを乱暴に引きずり、広場の隅に建つ古い粗末な小屋へと向かった。


小屋の中は、生乾きの土と、古びたワラの臭いが充満していた。二人はそこに投げ込まれ、重い木の扉が外から閉じられた。


「…アヤ! マキ!」


奏太は、最後の力を振り絞って立ち上がろうとした瞬間、残りの男たちに取り囲まれた。彼らは口数少なく、しかし確実な力で、抵抗する奏太の腕を掴んだ。


奏太:「離せ! 離せ! 俺は京大の…学術調査団の会長だぞ!」


しかし、彼の声は薬で掠れており、その抵抗は弱々しい子供のようだった。


奏太は、アヤたちが閉じ込められた小屋とは反対方向に引きずられていった。彼の目の前に現れたのは、もう一軒の、同じように古びた小屋。彼はそこに頭から突き込まれた。


扉が閉まる直前、彼の脳裏をよぎったのは、リョウの、土から出た首の無表情さと、長老の**「穢れ」という言葉**、そしてアヤの青ざめた顔だった。


小屋の中は、闇と土の匂い、そして自身の無力な怒りに満ちていた。 奏太の意識は、そこで完全に途切れた。


マキとアヤは、広場の隅に建つ、古い粗末な小屋に閉じ込められた。小屋の中は、生乾きの土と、古びたワラの臭いが充満していた。


やがて、小屋の戸が凄まじい轟音と共に乱暴に蹴破られた。長老を先頭に、数名の村の男たちが押し入ってきた。彼らの目は、異様な儀式の興奮で血走り、既に獣じみた光を放っている。数名の男たちは、既に粗末な着物の帯を緩め、下半身を露わにし始めていた。


長老は、よだれを拭うそぶりを見せ、下卑た笑いを漏らした。 「ハハハ。こんな可愛い獲物が二匹も揃って、わしらも歳じゃが、魂だけでも若返るわい!」 「なあ、長老! こんな良い獲物を、俺たちで頂いて良いのかね?」男の一人が、興奮に声を震わせた。 「構わん。神事だ。神事に捧げる花嫁の前に、穢れを清める供物は、多いほど神は喜ぶ」


マキは、恐怖で腰が抜けたアヤを咄嗟に背後に庇い、命を振り絞るように声を張り上げた。


マキ:「待って! 何する気! この子は処女なので助けてやって! 清浄な血を汚したら、神様が怒るわ! もしするなら、私を代わりになさい!」


長老はマキの言葉を聞き入れ、彼女の処女性がないことを確認した。長老の、穢れを確かめる行為は、荒々しく、既に屈辱的だった。長老はマキの豊満な胸を、まるで品定めするかのように見つめた。 長老:「ホホウ……。これは、立派なお乳じゃ。里の女ではなかなか見られん。この大きなおっぱいは、さぞかし乳がいっぱい出るじゃろな。天狗様もさぞお喜びになられる!」


「わかった。お前は代わりになれ!」長老はアヤの目の前で、マキの服を一気に引き裂いた。マキの豊満な胸が、粗末な篝火の光に赤く照らされる。


マキは、恐怖に目を閉じた。アヤは、その光景を直視し、声にならない悲鳴を上げた。


長老は、周りの男たちを鼓舞するように叫んだ。「清浄な花嫁の前に、穢れた女の血肉を捧げるのだ! 里の穢れを濃く持つ女に、お前たちの生きた因習を刻みつけろ!」


男たちは、マキに一斉に襲いかかった。小屋の中に、人間の肉体が打ち付けられる鈍い音と、男たちの下品な歓喜の声が響き渡る。


「うっ、気持ち良い! 抵抗する若い身体はハリがあってたまらん!」 「締まる! 締まるぞ! 都の女は最高だ!」 「乳も柔らかくて吸い込みが良いぞ! 神事だ、神事だ! さあさあ、皆で中に出すぞ!」


極限の暴力と屈辱の中で、マキの精神は崩壊を始めた。恐怖と快感の境界が混濁し、彼女の口からは、悲鳴とも歓喜ともつかない異様な声が漏れた。


マキ:「あ、ああ……良い……! 気持ち良い……ッ! もっと……! もっと太いのを、ちょうだい……!早く!」


その歪んだ、狂気じみた声は、男たちをさらに高揚させた。


「あっもう我慢できん、うっ出る!」 「わしも!」


その瞬間、マキはアヤの方に顔を向け、涙と、屈辱的な悦びに歪んだ顔で、静かに、しかし明確な言葉を投げかけた。


マキ:「アヤ……! 見て……! 私の身体から溢れ出てくる体液を。こんな私、どうかしら……? あなたの代わりに、私が……穢れを、受け止めているのよ……!」


マキは、その場で、村の男たちに、壮絶な暴力と、人間性を完全に否定する屈辱を与えられた。そして、彼女自身もまた、肉体の反応に支配されるという、魂の屈辱を味わった。その酷い行為のすべてを、アヤは目を背けることも許されず、顔面蒼白のまま、目を大きく見開いたまま目の前で目撃させられた。奏太は、別室の柱に縛られ、その小屋から響くマキの、魂を削るような、途切れ途切れの悲鳴と、男たちの異様な高揚感、そしてマキの狂った問いかけを聞き、マキの自己犠牲の絶望と、アヤの心に刻まれたであろう深いトラウマに打ちのめされた。


男たちの興奮が冷め、小屋にねっとりとした静寂が訪れると、長老は無惨な姿のマキを一瞥しただけで、すぐにアヤを指さした。


長老は、マキの汚れた身体と、アヤの無垢な身体を見比べるように、冷酷な目で言い放った。


「見よ、花嫁。この女が、都の血が持つ『穢れ』を、すべて引き受けた。これで、お前の周りの空気は清浄じゃ。穢れは払われた。……だがな、処女は別だ。お前は、天狗様と。お前は天狗様のタネを運ぶ、**最も神聖で『清浄な花嫁』**とならねばならん。マキの犠牲は、お前を神に捧げるための準備だ。お前を救うためではない」


マキの犠牲は、アヤを救うことには繋がらなかった。それどころか、マキは**アヤを神に捧げるための、最も悲惨で背徳的な『供物』**に利用されたのだ。アヤの顔に、言葉にならない、新たな絶望が刻み込まれた。


第三章:狂愛の儀式と、童貞の慟哭(サイコメトリー発動-1)


ゴウ……


夜が明けきらぬ薄闇の中、奏太は、遠くでかすかに響く、低く湿った風のような音で意識を取り戻した。


土壁の小屋には、昨夜の発酵臭と、湿ったワラの匂いが混ざり合って充満していた。そして、それ以上に、人の吐く異様な熱気が、皮膚にまとわりつくように重い。


昨日飲み込んだ酒の薬効は切れかかっていたが、身体は鉛のように重く、頭痛が脈打っていた。彼は儀式的な生贄として、すべての衣服を剥ぎ取られ、荒縄で手足をきつく縛られていた。皮膚に食い込む縄の感触と、床の冷たい土の感覚が、昨夜の出来事が現実であることを嫌でも突きつけた。


彼は、その屈辱的な姿勢のまま、目の前にいる光景に、一瞬息を呑んだ。


彼の目の前には、十数人の村の女たちが、篝火の薄い残光を背に、輪になって座っていた。彼女たちの顔は、老若問わず、感情を失ったような無表情であり、その集団からは、異常なほどの熱と沈黙が放たれていた。


長老の声が小屋の外から、野太く響いた。「さあ、始めよう。神に捧げる清浄な童貞の愛。その純粋な力を、花嫁へ向かわせるのだ」


長老の声が外から響くと、女たちは狂気的な儀式を開始した。


まず、四人の老女が、奏太の無垢な肉体に、穢れを塗りつけるように醜悪な愛撫を始めた。彼女たちの皺だらけの指先は、奏太の純粋な羞恥心を、儀式的な暴力として容赦なく穿った。奏太は、理屈では理解できない異性の肉体への根源的な恐怖と、自己の存在が道具として弄ばれる屈辱に、嘔吐を催した。彼の純粋な童貞は、彼女たちにとって最高の供物であり、遊び道具だった。彼女たちの皺だらけの指先は、奏太の純粋な羞恥心を、儀式的な暴力として容赦なく穿った。奏太は、理屈では理解できない異性の肉体への根源的な恐怖と、自己の存在が道具として弄ばれる屈辱に、嘔吐を催した。


1. 最初の老女フミの記憶:童貞の男の究極の二択


拷問の最中、老女の一人、フミが、彼の顔のすぐそばまで這い寄ってきた。身をよじった拍子に、奏太の右手が、老女の皺深く垂れた胸に、意図せず強く触れてしまった。


―――ゴツン。

心臓の脈動とも、頭蓋を内側から叩き割る音ともつかない、生々しい共鳴音。凍てつく触覚が、奏太の神経を走った。 奏太の意識に、古びた土蔵の湿気と、カビ、そして古い血がこびりついたような、ねっとりとした腐敗の臭いが、視覚情報に加えて流れ込んできた。それは、村の因習の「重み」と「歴史」を嗅がされているような感覚だった。

フミの意識から流れ込んだのは、数十年にわたる、村の女性たちの耐え難い記憶の断片だった。それは「若さを奪う悍ましい儀式」であり、「村の人口維持」のため、外部の男性や特定の村の男性を使い、誰かが妊娠したことが発覚するまで、色々な女性と強制的に交わらせる「生殖の儀式」の連鎖。フミ自身もその「犠牲者」であり「加害者」であるという救いのない真実。


そして、最も恐ろしい情報が流れ込む。儀式に使われた**「ただのタネの男」(非童貞の男)は、穢れの供物として殺される運命にある。しかし、「童貞の男」は、その「清浄な愛」ゆえに「神の使い」**として扱われ、誰かが妊娠したことが発覚した後も、村に残され、狂気に染まり、一生を「村の女たちを襲う種付けの道具(=加害者)」として生きるという、人間性を完全に否定された運命が待っていた。

久我の脳裏には、毎晩のように女性たちに囲まれ、妊娠するまで、狂ったように儀式を強要され続ける男たちの悲惨な末路が焼き付いた。ただし、その運命から逃れようとすれば、殺される。奏太の童貞の愛が利用された後、彼は**「死」か「加害者への転落」**の二択を迫られるのだ。彼の命が、誰かの妊娠発覚までの猶予しかないという切迫した真実が、彼の魂を震わせた。


2. 次の若女エリカの記憶と、初キスの強要


拷問は続いた。次に襲いかかってきたのは、奏太と同年代、あるいは少し年上に見える女たちだった。彼女たちは猟犬のような鋭い目つきで奏太の身体を弄び、彼の理性と肉体の境界を徹底的に破壊しようとした。奏太は、純粋な異性への恐怖と、自己の存在が汚されていく感覚に、嘔吐を催した。彼の童貞としての清らかさは、この村の女たちにとっては、最高の遊び道具であり、神への供物でしかなかった。


その中の一人、エリカが、猟犬のような鋭い目つきで奏太の身体を弄び、彼の理性と肉体の境界を徹底的に破壊しようとした。

奏太は、死か加害者への転落という極限の二択に直面し、もはや理性が羞恥心をねじ伏せた。自分の命と、アヤを救うための真実を得るため、彼は童貞としての清浄さを犠牲にする覚悟を決めた。 奏太は、震える右手を、意図的に、エリカの比較的ハリのある胸に、強く押し当てた。

弾力のある柔らかな肌の感触が、彼の右手にまとわりついた。彼の最も厭うべき触覚が、真実という名の刃を突きつける。

エリカは「あッ…!」と息を呑んだ。彼女は、童貞である奏太に胸を深く触られた屈辱と、サイコメトリー能力が呼び起こす精神的な痛みに、獣のような悦びの呻きを漏らした。


―――ドクン。

奏太の視界に映ったのは、エリカの青春の喪失だった。都会への憧れ。遠い潮騒の音と、若き日の恋の甘酸っぱい香り、そのすべてが、因習の泥の中で踏みにじられた、屈辱的な儀式の夜。奏太の視界に映ったのは、エリカの青春の喪失だった。都会への憧れ。好きだった村外の男性との叶わぬ恋。そして、その恋を諦めさせられ、通りすがりの旅人の子を産むことを強要された、屈辱的な儀式の夜。彼女は青春の輝きを因習に奪われ、今は「加害者(守人)」として、この狂気に殉じるしかない絶望を抱えていた。

奏太は、エリカの記憶の奥底に潜む、悲劇的な少女の面影に触れ、**恐怖と嫌悪感と共に、彼女への強い同情と庇護的な感情(好意)**が芽生え始めたのを感じた。この村の女たちは、狂気の守人であると同時に、全員が犠牲者なのだ。


エリカは記憶を読み取られた屈辱に顔を歪ませながら、すぐさまその顔に淫靡な笑みを浮かべた。彼女は奏太の顔に自らの顔を近づけ、荒々しく唇を重ねた。そして、彼女の舌が、奏太の口内に容赦なく入り込んできた。

奏太にとっての初キッスは、村の因習に絡め取られた、汚濁に満ちたベロだった。恐怖と嫌悪感で全身が拒絶するのに、彼の身体は薬と儀式の熱に煽られ、抗いがたい快感を求め始めている。彼の脳は理性を叫んでいたが、薬と、能力が引き出したエリカの「強烈な衝動」が、彼の身体の奥底に眠る「雄」を強制的に揺り起こし始めていた。


(もしかしたら、昨夜飲まされた酒には、ただの睡眠薬じゃなく、精力剤の類も入っていたのではないか?)奏太は、自身の肉体が本能に従い始める恐怖に、打ち震えた。

エリカは舌を離すと、奏太の顔を覗き込むように笑い、淫靡な熱を帯びた声で囁いた。

**エリカ:「いいわ、奏太。あなた、才能あるわよ。良いもの持ってる。もったいないわ。フフッ。本当は私が童貞を清めたいけど、でも、今日は特別な子がいるの。あの子が羨ましいわ。待ってて」

エリカはそう言って、舌なめずりをするように奏太の横から身体を離した。


3. アヤの悲劇の始まりと、能力の暴発


奏太は、自己の死か加害者への転落という危機に打ちのめされた。彼の童貞の純粋さは、最高の遊び道具であり、同時に、彼の命を脅かす穢れの媒体でしかなかった。

奏太の意識が薄れ、肉体が限界を超え、精神が「童貞のまま死ぬ羞恥」と「肉体を穢される痛み」の間に揺れ動いた、その時だった。


遠く、広場の反対側にあるアヤの小屋の方から、耳をつんざくような悲鳴が、かすかに、しかし確実に聞こえてきた。


「いや! 止めて! 奏太! 奏太助けて!」 その声は、奏太を求めるアヤの、恐怖に歪んだ叫びだった。


「うっ、痛い! やめて!」 彼女の泣き叫ぶような懇願は、奏太の脳髄を直接揺さぶった。彼は、自分が今、愛する女性を救えない状況にあるという二重の絶望に打ちのめされた。


その衝撃と、愛する者の悲劇が自身の無力さを突きつけた極限の精神状態の中で、輪の中から、硬い表情をした少女が、無言で這い寄ってきた。その少女の瞳には、一切の感情が宿っておらず、ただ「役割」だけが宿っていた。

少女は、奏太の羞恥と虚脱を無視し、彼の身体の上に乗り上げた。

「……ッ!」

奏太は、もはや抵抗する気力もなく、ただ彼女の体重と冷たさを感じていた。

周囲の老女や若女たちが、狂気の儀式の熱に浮かされ、少女に指示を飛ばし始めた。 「早くしろ! 清浄な童貞のタネは逃げようとするぞ!」 「神の使いだ! こっちの穴じゃない! 躊躇うな、早く体を受け入れろ!」

少女は、周りからの切迫した指示に焦り、戸惑い、幼い顔を歪ませて「痛い…!」と呻いた。童貞である奏太もまた経験がなく、二人の肉体的な接触(挿入)はなかなか成立しない。そのもどかしさと焦燥の中、少女が無表情に奏太を押し倒した勢いで、奏太は反射的に、少女の硬く小さな胸に、意図せず触れてしまった。

少女もまた、その行為が初めてだったため、お互いに慣れておらず、肉体的な行為は成立しないまま、ただ胸に触れるというサイコメトリーの条件だけが満たされた。


―――キン、という冷たい音と共に、凍てつく触覚が奏太の神経を走った。 奏太の意識に、冷たい石の床の感触と、僅かに残る消毒液の臭いが流れ込んできた。それは、「母の匂いの欠如」と、「誰にも抱きしめられない孤独」を象徴していた。少女は、リョウの「研究」という名の支配下にあり、人としての愛を奪われていたのだ。


その冷たい記憶の断片の中に、熱と歓喜に満ちた、異様な光景が混ざり込んだ。 それは、つい先日、初潮があって赤飯を盛大に炊く、村の女たちの顔だった。 老女たち:「これで、里の血筋の維持に使える」「この清浄な花嫁から、天狗様のたねを植え付けられる」と、興奮と義務感に満ちた声で談笑していた。


その時、奏太の脳裏に、昨日飲んだ「濁った赤茶色の酒」の鉄のような味がフラッシュバックする。


奏太(意識):「あの酒は……! この子の初潮の血を混ぜた、神への供物だったのか!!!」


少女自身の意識は、その時、彼女の体に巻き付いた荒縄の感触と、「まだ胸も膨らんでいない」という未熟な身体で「これから自分は、村の血を清めるための道具になる」という恐怖に満ちていた。


「まだ胸も膨らんでいない」という未熟な身体を、村の存続という大人の論理のために「大人の肉体になるのを待たずに」生殖の儀式に捧げるという非人道的な絶望が、久我の意識を極限まで苛む。


4. 妹アカネとリョウの傲慢な計画


奏太の意識に、リョウの冷徹で傲慢な声が、少女の幼い身体から直接響いた。同時に、少女自身の耐え難い苦痛の感情が、電気的な痛みとして流れ込む。

リョウの声:「アカネ。お前が奏太の童貞をもらうんだ。処女のお前と童貞が交われば、里の血清となり、神の子が生まれる。俺の実験には、お前の清浄なタネが必要だ」

この子がアカネと言い、リョウの妹であるという情報が、フミやエリカの記憶の断片と結びつき、久我の脳裏を貫いた。リョウは、実の妹さえも、自分の穢れを浄化するための儀式に組み込んでいたのだ。そして、奏太の「童貞のタネ」を利用して、アカネに「神の子」を産ませようとしている。

さらに、リョウの冷酷な言葉が、アカネの意識を介して、勝利宣言のように奏太に響く。

リョウの声:「聞いただろう、奏太。お前が妊娠すればうまくいくんだ。お前は頭も良いし、優しい奴だ。最高の種馬だよ。お前は村に残され、アカネと二人で村で暮らせば良い。それが、お前の穢れを清め、アカネが村の因習から解放される、唯一の幸せなんだ」

奏太は、少女から手を離し、血涙を流した。「アカネ……お前……リョウの妹……なのか!? リョウはこの村の出身だったのか。アカネ、お前を騙している! あいつは、お前を利用しているんだ!」

女たちは一斉に動きを止めた。女の一人が、低い、唸るような声で問う。「……なんで、アカネの名前を…!?」

奏太は、この一瞬の混乱を利用し、小屋から這い出した。彼の心には、アヤの悲鳴、アカネの切迫、そして自身の死か加害者への転落という運命。三つの絶望が、混ざり合って燃え盛っていた。彼は、人間としての尊厳を守るために、逃げることを選んだ。


第四章:天狗の正体、アヤの悲劇と絶望(サイコメトリー発動-2)


夜が明け、霧が濃くなる頃、奏太は意識を失う寸前、何とか小屋から這い出した。身体は薬のせいで重く、全身を覆う羞恥と屈辱が彼の精神を焼き尽くしていた。彼は、泥に塗れた身体を引きずるように、愛するアヤの小屋へと向かった。


アヤの小屋の戸を蹴破った瞬間、奏太は頭が白くなるような光景に遭遇し、全身の血の気が引くのを感じた。


小屋の中央には、朱色の塗料が湿気でべったりと光る、おぞましい天狗の仮面を被った男が、アヤの上に覆いかぶさっていた。仮面には、狂気的な笑みを象徴するような、歪んだ牙が描かれていた。男は全身を黒い儀式用の装束で覆い、その行為の最中、儀式的な興奮と荒い息遣いが、仮面の下から野獣のように漏れ出していた。


アヤの身体は、すでに儀式的な行為のクライマックスにあり、彼女の粗末な服は無惨に引き裂かれ、生々しい肉体が、小屋の薄暗い光の中に晒されていた。


彼女の顔は、羞恥、痛み、そして絶望で完全に歪んでいた。その歪みの中で、薬物と本能が強制的に引き出す、抗いようのない快感によって、苦悶とも悦びともつかない、異様な声が彼女の口から漏れた。


アヤ:「あッ……気持ち良い……ッ、あん……!」


その声が途切れた瞬間、アヤは戸口に立つ奏太の姿を視界に捉え、快感と屈辱が混ざり合った感情が爆発した。


アヤは、戸口に立つ奏太を見て、声にならない叫びを上げた。


アヤ:「奏太くん! 見ないで! お願い、私を、もうそれ以上汚さないで!!」


天狗の仮面の男は、奏太が来たことに気づきながらも、行為を止めようとしない。それどころか、仮面の下からは、荒い息遣いと、達成感に満ちた低い声が漏れた。


天狗の仮面の男は、全身を黒い儀式用の装束で覆い、仮面の下からは、荒い息遣いと、達成感に満ちた低い声が漏れていた。


「これで、彼女は『花嫁』だ。この子は、都の血と、穢れを払われた天狗の血、そしてお前の『童貞の愛』という最高の感情の媒体が混ざり合う研究の結晶だ」


男は、その言葉を勝利の宣言とするように、アヤの身体に最後の衝動を叩き込んだ。


「ッ、いけっ!」


その瞬間、アヤの身体がビクン、ビクンと痙攣し、意識が遠のいたような、ぼんやりとした表情が、一瞬だけ快感に支配された。男の股間からは、精液とアヤの体液が混ざり合い、溢れんばかりに下半身から垂れ落ちる。小屋の床の泥とワラを、粘性の高い体液が汚し、異様な臭気を放った。


奏太は、愛する者の肉体と精神が、白昼夢のように屈辱的な快感と共に破壊される、その決定的な瞬間を直視した。


奏太は、怒りと恐怖で、全身が激しく震えた。彼の愛する者の神聖が、目の前で冒涜され、破壊されるという、最も残酷なトラウマが刻み込まれた。「貴様! 何者ですか!」


天狗の男は、奏太の顔を見下し、吐き捨てるように言い放った。「お前、童貞だもんな。純粋なタネを里に捧げられて、さぞ光栄だろう、なあ?」


その声は、低く、冷徹だったが、奏太の耳に届いた瞬間、鋭い違和感となって神経を走った。


奏太(内心):「この声……どこかで……! この、傲慢で、人の心を嘲笑うような口調……まさか!」


しかし、薬の朦朧とした意識と、目の前のアヤの悲劇が、その思考を深く追及することを許さなかった。




奏太は、天狗への激しい怒りの中でアヤを抱きしめた。アヤの身体からは、汗と血のような、生臭く、粘りつくような匂いが立ち込めていた。そして、アヤのほどよい膨らみを持つ胸元に、意図せず触れてしまった。


―――ドクン、という心臓の共鳴と共に、絶望的な視覚情報が奏太の精神を貫いた。


奏太の視界は、アヤの目線に切り替わった。穢れと血の臭い。抵抗できない絶望。そして何よりも、見知らぬ悍ましい仮面を被った男の「タネ」が彼女の身体に強制的に植え付けられるという、魂の屈辱。彼女の「童貞の愛を宿す清浄な花嫁」という運命が、リョウの古文書通りに、悪意をもって実現させられた絶望が、痛みとして奏太の精神を貫いた。


アヤは、絶望的な涙を流した。「…奏太。逃げられなかったよ。私だけは助からない運命なのよ…! 私の胎には…」


奏太は、アヤの胸から手を離し、心から悲観した。 奏太:「ああ……この男が……天狗が……こんなことを愛する人間に……ッ。この魂の屈辱を、俺が…共有しなければならないのか!」


彼は、小屋の前に落ちていた錆びて刃こぼれした鎌を、血の滲んだ手で鷲掴みにし、アヤに叫んだ。


奏太:「アヤ! 今だ! 逃げるぞ! 俺たちは、逃げる!」


その瞬間、長老が現れた。


長老:「天狗様。貴方の務めは果たされました。この男の扱いは、我らに任せていただきたい。約束通り、最良のタネの供給源は生かしておいた。後は、あなたの望むデータ収集に専念されよ」


長老は奏太に言った。「貴方を殺すことは、里の未来を殺すこと。神は、貴方の愛をタネの供給源として選ばれた。最初の清浄化の儀式は失敗に終わったが、天狗様は、その愛を宿した『花嫁』に天狗の血筋を植え付ける、司祭の役割を完遂したのだ」


奏太は、鎌を振り上げ、長老と天狗のリョウの目を睨みつけた。


第五章:マキの悲しき真実と、血路(サイコメトリー発動-3)


奏太は、小屋の戸を再び蹴り破ると、長老の隙を突いてアヤの手を掴み、濃い霧と、湿った土の臭いが立ち込める外へ、無我夢中で駆け出した。


狂乱した村人たちの追跡が、すぐに始まった。彼らの獣のような足音と、異様な叫び声が、霧の奥から追いかけてくる。奏太とアヤは、薬の影響で重い身体を必死に動かし、泥だらけの山道を転がるように走った。山道は、夜の間に降った湿気でぬかるみ、一歩踏み出すごとに、靴が泥に吸い込まれる。


アヤは、穢された屈辱と恐怖から、もはや声も上げられず、ただ嗚咽を漏らしながら、奏太に引きずられるようにして走った。


鳥居へと続く林道の境界に差し掛かったとき、奏太は、土が不自然に盛られた一画を見つけた。そこは、昨夜リョウが埋められた広場ではない、より人目に付かない、鳥居に近い場所だった。


「マキさんがいる…! あそこにマキさんが埋められている!」奏太の頭の中を、リョウの言葉と長老の指示が交錯する。「穢れの供物は、あの『清浄な花嫁』の、最も近くで処刑されねばならん」


二人は、昨夜リョウが埋められた広場とは別の、鳥居に近い林の境界で、異様な光景に遭遇した。そこには、わずかに盛られた土と、その中央からわずかに覗く、マキの血と泥、そして体液にまみれた上半身があった。


マキは、首の皮膚が土に擦り切れた状態で、首まで土に埋められていた。彼女の顔は、苦痛と諦念がないまぜになった、生気のない、白い無表情だった。彼女の口元だけが、辛うじて土から出て、弱々しく、荒い呼吸を繰り返している。


「マキさん!」奏太は叫び、泥に滑りながら我を忘れて土に手を突っ込んだ。


奏太は素手で土を掻き出し始めたが、土は儀式的に叩き締められて固く、すぐに爪がめくれ、指先から鮮血が滲んだ。アヤも嘔吐をこらえながら加わり、二人で必死に掘り進める。


「くそっ、固い! 長老の野郎、まるで石みたいに踏み固めやがって! マキさん、いま助けるから! しっかりして!」


しかし、マキは動かない。ただ、その泥まみれの胸の奥で、弱々しく心臓が震えていることが、まだ生きていることを示していた。奏太は、彼女の命の灯が消えることを恐れ、全身を焦燥感に駆られ、彼は、とにかく彼女の上半身、特に拘束を解くために、強く土を掻き出し続けた。


そして、ついに土が深く掘られ、マキの胸の部分が露わになった。昨夜の屈辱的な儀式のせいで、彼女の服は胸元から腹部にかけて無惨に、裂け目というよりは破れた布きれと化し、泥と血、そして昨夜の男たちの体液に汚れていた。豊満で、その重さで土に埋まりかけていたマキの胸が、土の中から半分むき出しになっていた。


「ごめん、マキさん! 頼む、生きていてくれ!」


奏太は、自らの倫理観と羞恥心を、マキの命の前に無理やりねじ伏せた。 しかし、それ以上に、奏太には知らねばならないことがあった。この村とリョウの計画の全貌だ。彼はアヤを連れて逃げ延びるため、自らの童貞の清浄さを代償に、マキの意識から、血路を切り開くための最後の真実を奪い取ることを決意した。


―――氷のように冷たい痛みが、奏太の頭蓋を内側から叩き割った。


奏太の頭に、マキの壮絶な体験の全てが、感情の濁流と、悍ましい映像として流れ込んできた。


最初に飛び込んできたのは、昨夜、小屋の中でアヤの目の前で受けた、村の男たちによる筆舌に尽くしがたいレイプの映像だった。男たちの獣じみた笑い声と、マキの狂気に満ちた「気持ち良い」という声、そしてアヤの絶望的な顔が、三層の地獄となって奏太の精神を責め立てる。


奏太の意識:「くそっ…この胸糞悪い映像! 愛するアヤの目の前で、助けを求めても届かない、あの悍ましい光景を、俺は触覚で追体験させられているのか!」


その屈辱的な映像に続き、生きたまま土に埋められる、泥が口元に迫り、肺が軋む窒息と衰弱の絶望的な感覚が襲いかかった。


マキの心の声:「リョウくんは死んでないわ。私は知っている。あの男が、里の穢れと都の狂気の融合体になるために、一度死んだフリをしたのよ。そして、私は、彼の望む最高の穢れになるの。貴方は逃げなきゃだめ。あなたの童貞は、彼の最高の呪い。貴方は、呪われた探偵として、彼の研究から永遠に逃げられない…だから、私がお前たちを逃がす。リョウくん、見てて、私、あなたのための穢れの女神になってみせるわ……!」


奏太は、マキの自己犠牲と狂愛の全てを知り、慟哭した。「マキさん……あなたは、そんな悲しい道を……!」


背後から、朱色の天狗の仮面を被った男と、血の臭いを濃く纏った長老が、泥を蹴立てて迫ってきた。


マキは、**首まで土に埋められたまま、**最後の力を振り絞り、泥と血にまみれた両の手を、必死に伸ばした。彼女の指先は、まるで地獄から這い上がろうとする亡者のように、痙攣しながら土を掻いた。


「リョウくん、見てて! 私、この村で生き続けるからね!」マキの瞳は、泥に汚れた土の中で、リョウへの病的なまでの献身と、狂気的な愛を宿していた。


マキの細い腕は、追いついてきた長老の草履に包まれた足首と、その隣を走る天狗の仮面の男の泥に濡れた儀式装束の足首を、同時に鷲掴みにした。


「奏太! アヤ! 逃げなさい! 私という生きた穢れを乗り越えて!」


長老は、足元を掴まれた勢いでバランスを崩し、処刑場の縁に放置されていた、錆びた古い斧の刃の付け根に勢いよく側頭部を打ち付けた。「ゴリッ」という嫌な音と共に、長老は苦悶の表情を浮かべ、泥の中に倒れ込んだ。 彼の手に持っていた鎌が、泥の中に虚しく落ちた。


長老:「良輔……助けてくれ……! 」 長老は、力なく、リョウの本名を弱々しく呼んだ。


一方、天狗の仮面の男も体勢を崩した。彼は、倒れまいと空中で強くバランスを取ろうとしたが、その瞬間、泥だらけになった手が、仮面の紐を引っ掛けてしまった。


朱色の天狗の仮面が、男の顔から滑り落ちていった。仮面の内側からは、鼻と口を覆っていた、乾いた血の臭いが濃く立ち上った。


仮面の下から現れたのは、リョウ の、冷酷なまでに整った顔だった。リョウは、奏太とアヤに向け、計画の成功を確信した、傲慢な冷笑を浮かべた。


リョウ:「……遅かったな、童貞の会長さん。俺の計画は、完璧だ。俺がこの里の穢れた血筋の代表として、最高の供物を捧げ、最高の**『神の子』を生み出す。お前の『清浄な童貞の愛』**を宿す女を、天狗として穢してやった。最高の研究結果だ。お前が主人公だ。永遠にこの物語の鎖に繋がれていろ」


奏太は、愛するアヤを穢した天狗の正体、そして親友の裏切りの理由を、この最も残酷な瞬間に知った。彼の理知的な自我は、目の前の狂気と、愛する者の体内に宿る「呪いのタネ」の重みに押し潰され、完全に崩壊した。


「リョウ! 貴様だけは絶対に許さない! お前の実験を、俺のこの手で打ち砕いてやる!」


リョウは、泥の中でうめきながら助けを求める長老を冷酷な目で一瞥し、倒れている長老の横に落ちていた、錆びた鎌を拾い上げた。


リョウ:「長老、お前の時代は終わった。この里を支配するのは、穢れを昇華させた新しい天狗、俺だ」


長老は、リョウの顔を見上げ、最後に涙と泥にまみれた声で懇願した。「良輔……やめ……てくれ……」


リョウは、長老の哀願を遮り、長老の首の付け根に、鎌の刃を冷徹に振り下ろした。


ドサッ!


鈍い音と共に、血が泥の中に吸い込まれ、長老の動きは完全に止まった。リョウは、鎌を泥の中に放り捨てた。


奏太は、長老が落とした鎌を拾い上げ、鎌の冷たい鉄の重みを手に感じながら、リョウに向かって唸った。アヤも、近くの人頭大の石を掴み、村人たちに目を向けた。


リョウは、素早く体勢を立て直すと、マキの埋められた頭を、まるで道端の石ころを見るかのように、冷酷な目で一瞥した。


リョウ:「マキ、お前の役割は終わった。**汚れた役をありがとう。**雑魚を始末しろ!」


リョウは、倒れた長老と、彼らの背後から駆けつけてくる村人たち(三人)を指さした。


「アヤ! 後ろだ!」


村人たちは、粗末な農具や棒を振り上げ、獣のような叫びをあげて**、血の臭いと興奮で顔を紅潮させながら**突進してきた。


奏太は、鎌を逆手に持ち替え、突っ込んできた先頭の男の肋骨と脇腹の隙間を思い切り薙いだ。「ブツッ」という肉の断たれる感触と男は苦悶の声をあげて倒れ込む。奏太の手に、血の生温かい感触が鎌の柄を伝わって伝わった。


「これで一人!」奏太は叫んだ。


アヤは、掴んだ石を、二人目の男の顔めがけて全力で投げつけた。「ゴッ」という骨の砕ける鈍い音と共に、男は鼻から噴水のように血を噴き出し、よろめいた。


奏太は迷わず、よろめいたその男の鳩尾の真下を、鎌の柄で強く突いた。男は**「カハッ」と乾いた悲鳴**をあげ、息を詰まらせ、地面に崩れ落ちた。


「行こう、奏太くん!」アヤは叫んだ。彼女の顔は血と泥にまみれていたが、その瞳には生き残るための冷たい意志が宿っていた。


リョウは、怒りに顔を歪ませた。「逃がすか!」


リョウは、最後の村人(三人目)が奏太に追いつくのを待たず、土の中から自分の両足を乱暴に引き抜いた。彼は、奏太が倒した二人目の男が持っていた棒を拾い上げ、泥を蹴り上げながら、凄まじい憎悪の速度で二人を追った。


奏太とアヤは、三人の女性の胸に触れて知った、あまりにも残酷な真実の重みに涙を流しながら、鳥居をくぐり抜け、車へと続く下り坂を全速力で駆け抜けた。リョウは、数十メートル後方から、棒を振り上げて追ってくる。


久我は、車に飛び乗るやいなや、キーを捻った。**手が震えて一度キーを落としたが、**すぐに拾い上げ、捻った。エンジンが唸りをあげ、すぐに始動した。


「よし!」


久我は、バックミラーを確認する間もなく、サイドミラーに映るリョウの姿に視線を固定した。リョウは、人とは思えない速度で迫り、既に車のリアフェンダーに手を伸ばす距離にいた。その顔は、憎悪と狂喜の入り混じった、恐ろしい形相で歪んでいた。


「くそっ! 間に合え!」


久我は、急いでギアをドライブに入れ、ハンドルを勢いよく左に切った。車は林道の端に寄せられ、大きな土煙を上げた。


リョウは、その刹那、車に追いつき、後部ドアの取っ手に指をかけた!


「逃がすか、奏太!」リョウの叫びが、車の鉄板を叩くように響いた。


久我は、その極限の状況で、**アクセルを床が抜けるほど踏み込んだ。**同時に、車を急ハンドルで右に切り返した。


ガツンッ!


車体が大きく揺れ、凄まじい衝撃音が響いた。リョウは、ドアノブにかけた手が滑り、**弾かれたように車の側面に全身を叩きつけられた。**奏太のサイドミラーには、リョウの体が宙を舞い、そのまま林道の縁にある大きな岩に、頭から激しく叩きつけられる様が、スローモーションのように映った。


「ドシャッ」という鈍い音が、エンジンの轟音の合間に一瞬だけ響き、リョウの身体は人形のようにぐったりと、泥の中に崩れ落ちた。彼の持っていた棒は、数メートル先の雑木林に吸い込まれていった。


「リョウ……!」奏太は、思わずブレーキを踏みそうになったが、アヤの悲鳴と、バックミラーに映る微動だにしないリョウの姿を見て、理性を引き戻した。


「行こう、奏太くん! 振り返っちゃダメ!」アヤの叫びが、彼の耳を打った。


久我は、アクセルをさらに踏み込み、土煙をあげて車を発進させた。リョウの顔は、ミラーの中で、泥と血にまみれ、虚ろな目をしながら、みるみる遠ざかっていく。その姿は、生きているのか死んでいるのか、判別がつかなかった。


激しい動揺と、生きたまま車を走らせる極度の興奮の中、二人は、霧ノ森の濃い林道から、都へと続くアスファルトの道へと、劇的に脱出した。

第六章:生還者の呪いと永遠の胎動


奏太(久我 奏太)とアヤは、都へ生還した。奏太は童貞のまま、**四度(フミ、エリカ、アカネ、マキ)**も女性の胸に触れるという、彼にとって最も苦痛な行為で、事件の全貌と、愛する者の悲劇を知った。


都へ戻った夜。奏太は、悪夢にうなされるアヤを、純粋な愛で抱きしめようとした。彼の身体は、まだ霧ノ森の血と泥と土の臭いを微かに纏っていた。


アヤは、奏太の腕の中で激しく震えながらも、彼の身体を強く拒絶した。彼女の肌は、凍えるように冷たかった。


アヤ:「ごめんなさい、奏太くん。私、汚れているの。天狗の穢れが、私の中にある。お願い、今の私に、あなたの汚れていない手を触れさせないで……。もし私が、あなたと同じ童貞だったら、この穢れは、あなたの愛で浄化できたのに」


彼女の瞳は、里の因習に絡め取られた、歪んだ**「穢れ」と「清浄」**の観念に支配され始めていた。奏太の童貞という「清浄」が、穢れた自分を救う唯一の救済であると、彼女は盲信していた。


アヤ:「お願い。私を清めて。私を、あなたの汚れていない、あなたのものだけの花嫁にして。そうしなければ、私、天狗の呪いに支配されちゃう……」


アヤは、次の瞬間、まるで儀式を行うかのように、自らの服を乱暴に引き剥がした。


アヤ:「私を清めて、奏太くん。裸になって、あなたの清浄な童貞で、この汚れた私を覆い尽くして! 早く、抱いて! あなたの愛で、天狗の呪いを上書きして!」


アヤの、痛々しいほど純粋な裸体と、狂気に満ちた眼差しが、童貞である奏太の理性を揺さぶった。彼の**「触覚の呪い」**が、この状況で発動しかねない本能的な危機感を訴えた。


奏太は、愛する者の狂気に満ちた眼差しを、静かに見つめ返した。彼の心の中で、愛と理性が激しく衝突した。


奏太:「(違う。俺がここで身体を合わせるのは、愛ではない。それは、アヤの狂信的な『穢れ』観念を、俺の『清浄』で塗り固める、リョウの実験の延長だ。俺の童貞は、彼女の心の安寧のためではなく、彼女の心の鎖になるだけだ。彼女のトラウマを、俺の愛という名で固定してしまうことになる。)」


奏太は、アヤから一歩退いた。彼の顔には、苦痛と決意が滲んでいた。


奏太:「…俺は、童貞という名の、君の安易な『救済の神』にはなれない。君を、道具として扱わない。君の穢れを払うのは、俺の身体ではなく、君自身の理性だ」


その言葉を聞いた瞬間、アヤの狂信的な熱を帯びた瞳から、堰を切ったように大量の涙が溢れ出した。


アヤ:「うそっ…! 奏太くん…どうして、私を助けてくれないの! あなたの愛で上書きすれば、この穢れは消えるのに! 私を拒絶しないで! 私を、一人にしないでよ!」


アヤは、裸のままその場で膝から崩れ落ち、嗚咽をあげて号泣した。彼女の泣き声は、愛する人に拒絶された悲しみと、呪いから逃れられない絶望、そして自分の愛が通じないことへの歪んだ怒りがないまぜになっていた。


奏太は、愛する者の心の深淵に巣食う新たな狂気に、静かに打ちのめされた。彼は、リョウの仕掛けた呪いが、アヤの愛という名の鎖となって、都まで自分を追ってきたことを悟った。


都へ戻って数ヶ月。奏太は、悪夢にうなされ、精神が不安定になったアヤを、自身の借りたアパートで保護・介護していた。彼らは恋人ではないが、事件の生存者として運命共同体のようになっていた。


二人の間に流れる空気は、友人や保護者と被保護者のものではなく、張り詰めた宗教的な緊張感に近かった。奏太はアヤの体を頑なに拒み続け、その代わりに、狂気に侵され始めた彼女の精神を、文学と論理で必死に支えようとした。


しかし、アヤは奏太の献身的な看病を、「清浄な童貞を汚さないための儀式」として受け取り、奏太を「穢れを嫌悪する神の使い」として祭り上げ、次第にその距離は開いていった。奏太の「清浄さ」は、彼女にとっての信仰対象となり、彼の拒絶は、**「神の試練」**として受け入れられていた。


アヤは日に日に青白い顔になり、嘔吐を繰り返すようになった。奏太は疲労のせいだと考えていたが、アヤの瞳には、どこか怯えと、達成感のような、複雑な光が宿っていた。


ある朝、アヤは震える手で封書を握りしめ、奏太の前に現れた。


アヤは、都の病院で妊娠を告げられた。


奏太の頭は一瞬で白くなった。リョウの計画が、彼の理性の及ばない場所で、確実に成就していたのだ。


奏太は、アヤの病室で、震える右手を、アヤの微かに硬くなった胸にそっと置いた。それは、愛する女性の悲劇を五度目に追体験する、最も恐ろしい行為だったが、胎内に宿る「呪いのタネ」の真実を知る義務が彼を突き動かした。


―――鉛が溶け出すような鈍い痛みと共に、ゾワリ、という生命の胎動と、冷徹な数値データが、奏太の意識に流れ込んできた。


奏太の意識に流れ込んできたのは、アヤの胎内に宿る、新しい命の曖昧な形ではなかった。それは、リョウが残した手書きの研究日誌の断片、そして彼自身の冷笑だった。


リョウの声(勝利の歓喜):「完成だ、久我! お前が提供した清浄な童貞の愛、その強烈な感情の媒体が、この胎内で天狗の血と結実した。最初の清浄化の儀式は失敗に終わったが、天狗と処女による継承の儀式は成功した。この子は里の血を継ぐ。**男の子であれば二十歳で天狗となる。**最高の研究データだ! お前のトラウマは、俺のデータ収集装置となった!」


奏太は、アヤの胎内の生命が、自分とリョウ、そして里の狂気によって呪われた存在であることを知り、永遠に続く絶望の胎動に打ちのめされた。彼の「童貞の愛」は、最高の実験材料として、親友によって利用されたのだ。彼は、自分自身が、この「神の子」の共犯者となってしまった事実に嘔吐を催した。


奏太が手を離そうとした、その時。アヤは、狂おしいほどの力で奏太の腕を掴んだ。


アヤ:「奏太くん……。お願い。私を抱きしめて。**あなたのその、清浄な童貞を、私にちょうだい。**私の穢れを、完全に浄化できるのは、あなたの愛だけなの。私の胎に宿る天狗の血を、あなたの清浄な愛で覆い尽くして。私、あなたを愛してる。だから…あなたを、この穢れを抱える私だけの救済の神にしたい」


彼女の瞳は、里の因習に染まった、歪んだ愛と独占欲で、異様な熱と水分を帯びていた。アヤは、穢された自己を清めるため、奏太の「童貞」という名の清浄さに、非合理的な信仰心に基づいた異常な執着を見せ始めていた。奏太は、愛するアヤ自身も、リョウの呪いに絡め取られた被害者であり、同時に**自分を支配しようとする「呪いの媒体」**へと変貌したことに、二重の絶望を感じた。


奏太は、愛する者の狂気に満ちた眼差しを、静かに見つめ返した。彼の心の中で、愛と理性が激しく衝突した。


奏太:「…俺は、童貞という名の、君の安易な『救済の神』にはなれない。君を、道具として扱わない。君の穢れを払うのは、俺の身体ではなく、君自身の理性だ」


その言葉を聞いた瞬間、アヤの狂信的な熱を帯びた瞳から、堰を切ったように大量の涙が溢れ出した。


アヤ:「うそっ…! 奏太くん…どうして、私を助けてくれないの! あなたの愛で上書きすれば、この穢れは消えるのに! 私を拒絶しないで! 私を、一人にしないでよ!」


アヤは、その場で膝から崩れ落ち、嗚咽をあげて号泣した。彼女の泣き声は、愛する人に拒絶された悲しみと、呪いから逃れられない絶望、そして自分の愛が通じないことへの歪んだ怒りがないまぜになっていた。


数秒後、アヤは顔を上げ、涙と鼻水に濡れた顔で、震える唇から絞り出すように言葉を漏らした。


アヤ:「……やっぱり、ダメなのね。あなたは、私を清めてくれる神なんかじゃない。穢れを嫌悪し、私を永遠に遠ざける、罰を与えるだけの神だ。」


彼女の瞳から狂信的な熱は消え、代わりに、愛する人に拒絶され続けた深い絶望と、歪んだ信仰がもたらした「神への諦念」の色が浮かんでいた。


アヤ:「わかっているわ。あなたの清浄は、私には遠すぎる。この子が穢れなら、私は、穢れた世界へ帰るしかない……。私の愛は、あなたを汚す鎖にはなれなかった。」


アヤは、嗚咽を止め、静かに、しかし決定的な諦めを携えて、奏太から身体を離した。


アヤは、その場で膝から崩れ落ち、嗚咽をあげて号泣した。彼女の泣き声は、愛する人に拒絶された悲しみと、呪いから逃れられない絶望、そして自分の愛が通じないことへの歪んだ怒りがないまぜになっていた。


奏太は、愛する者の心の深淵に巣食う新たな狂気に、静かに打ちのめされた。彼は、リョウの仕掛けた呪いが、アヤの愛という名の鎖となって、都まで自分を追ってきたことを悟った。


【アヤの失踪と手紙】


翌朝、奏太が目を覚ますと、アパートの部屋は静まり返っていた。アヤの姿がない。彼女が使っていた布団は、几帳面に畳まれていた。


慌てて室内を探した奏太は、テーブルの上に白い封筒が置かれているのを見つけた。それは、アヤの、几帳面で整然とした筆跡で書かれた、一通の手紙だった。


手紙には、ただ簡潔に、しかし強烈な狂信が綴られていた。


「奏太くん。私を拒否した、あなたの愛は本物です。あなたは、穢れを嫌悪し、穢れを許さない、私の救済の神です。だから、私は、あなたを永遠に清浄なまま、汚させないために行きます。この穢れた胎と、天狗様のタネは、穢れを持つ里で、里の掟通りに育たねばならない。私は、あなたの清浄な愛の鎖ではなく、この呪いの母として生きることを選びます。あなたの愛は、私が汚すにはあまりに尊い。さようなら。あなたの清浄な童貞は、永遠に私のものです。」


手紙の最後に、都から遠く離れた、霧ノ森の村の古びた住所が、正確に記されていた。


奏太は、その手紙を握りしめ、全身の血の気が引くのを感じた。アヤは、彼の**「清浄」**を守るという歪んだ自己犠牲と、リョウの呪いに完全に屈服した狂信から、自ら村へ戻ったのだ。リョウの「天狗の子を里で産ませる」という計画が、アヤ自身の意志によって成就してしまったという事実に、奏太の理性は完全に崩壊した。


奏太がアヤを救えなかったという事実は、彼の心に、取り返しのつかない深い罪悪感と、リョウに対する燃えるような憎悪を刻みつけた。リョウの冷笑が、血の混じった土の臭いと共に、奏太の脳裏に響いた。


その夜、奏太の夢の中で、リョウの冷笑が、血の混じった土の臭いと共に響いた。


リョウ:「真面目でエロが苦手な童貞探偵さん。お前は五人の女性の胸に触れて、愛する者の悲劇を共有した。そのトラウマが、お前の童貞探偵という名の呪いだ。お前はこれから、女性の胸を揉むという最も苦手な行為でしか真実を追えず、その度に絶望を味わう探偵として生きるんだ。お前が主人公だ。俺が創り上げた、永遠に俺の実験から逃れられない探偵、久我奏太!」


久我は、自らの倫理観と羞恥心に満ちた恐怖を、理性の力で無理やり押さえ込んだ。彼は、心の中で、その呪いを静かに受け入れた。


「……真実を、知る。たとえ、それが俺自身を壊すとしても」 


奏太は、リョウに仕掛けられた**「童貞探偵」という、トラウマを常時再発させる呪いと共に、学生時代を終える。彼の能力は、真実を暴く光であると同時に、彼を孤独と深い悲観へ突き落とす「業」となった。


最終章:新しい記録と呪いの相棒(最終稿:胸の成長とサイコメトリー)

―――霧ノ森の事件から、約一年が経過していた。


久我 奏太は、アパートの一室で、古いノートパソコンに向かっていた。大学を卒業後、彼は外界との関わりを断ち、オカルト系のミステリー作家として細々と生計を立てる**「久我 奏太」という名の隠遁者**となっていた。彼の目的は、リョウの呪いを終わらせるべく、自らの手で「穢れた真実」を物語として記録し尽くすことだった。


ピンポーン。


インターホンが鳴る。モニターに映ったのは、霧ノ森の小屋で、久我が三度目に胸に触れて能力が暴発した、あの少女アカネだった。彼女は、事件当時より背筋が伸び、制服に身を包んだ、中学生になったばかりの姿だった。しかし、その瞳は、あの時と同じ、光の当たらない深海のような、濁った虚ろな瞳で、久我を見つめていた。その手には、使い古され、泥で汚れたキャンパス地の古いバッグが握られていた。


久我:「なぜ、ここに……! 帰れ! 俺は、お前たちとは関係ない!」久我は受話器を強く握りしめた。彼の心臓は、警鐘のように不規則な鼓動を打った。


少女は、感情のない、しかし明確な意思を帯びた声で伝えた。


アカネ:「リョウに言われたの。『久我奏太という男の、新しい生活の記録をつけろ』って。私は、彼の最高傑作である**「童貞探偵の呪いの記録」**を完成させなければならない。これは、兄が命を懸けて託した、最後の実験日誌よ」


久我は激しく怒鳴った。「リョウの狂気に殉じる必要はないだろう! お前は、兄に利用されただけの被害者だ! なぜ、呪いから逃げようとしない!」


アカネの虚ろな瞳に、一瞬だけ激しい悲しみの光が宿った。それは、ガラスにヒビが入るような、脆い感情の破片だった。


アカネ:「兄は、里の因習によって愛を失い、心まで穢れたの。兄の実験は、この里の穢れを完全に浄化し、兄自身を救う唯一の道。**兄の計画は、歪んでいるけれど、私への愛の表現だった。**彼の研究が成功すれば、彼は救われる。私は、兄の愛の表現(研究)を完成させることしか、もうできないの。それが、穢れた私に残された、唯一の贖罪なのよ」


アカネは一歩前に進み出た。彼女の顔には、歪んだ献身が浮かんでいる。まるで、彼女自身がリョウの狂気を具現化した「呪いの記録媒体」のようだった。


アカネ:「……私がこの呪いから逃れるには、あなたが、これ(胸)に触れ、真実を記録し続けるしかない。さあ、童貞探偵。あなたの最初の事件は、私自身の過去よ。そして、**兄が都で計画している次の『穢れ』**を知る必要があるでしょう? 兄は、あなたを最高の記録者として信頼しているわ」


久我は、窓の外に広がる都会の喧騒を見つめた。**「逃げた先の都会でも、呪いは終わらない。この能力が、リョウが俺に仕掛けた生涯の『トラウマ・デバイス』だ」**という絶望的な運命を悟り、全身が硬直した。彼はアカネを追い払うべく、受話器を叩きつけるように置いたが、既に彼の理性の底には「愛する者と、次の犠牲者を救うためには、真実を知る使命感」が、熱い血のように湧き上がっていた。


久我は、自身の最も恐れる行為(女性の胸への接触)が、最愛の人物を汚した男リョウの計画を阻止する唯一の武器であることを、屈辱と、自己嫌悪と、そして探偵/作家としての使命感が混ざった複雑な感情を噛み締めながら受け入れた。


久我は、玄関の鍵を、重い鉄の扉を開けるかのように、ゆっくりと回した。


久我は、目の前に立つ少女アカネの、制服の下でわずかに膨らみを増した胸に、五度目のサイコメトリー発動を覚悟し、意を決して、自らの倫理観を捻じ曲げ、トラウマを呼び覚ますように、震える手を当てた。


―――キン、という冷たい音と共に、凍てつく大理石のような硬い感触と、血の通わない純粋な孤独の記憶が、童貞探偵の精神を電撃のように貫いた。


この事件が、彼の隠遁生活と、彼の最も苦手とする行為を強いる探偵稼業の、全ての始まりだった。


【童貞探偵:久我奏太、ここに誕生】


【完】

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