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探偵は胸を揉む   作者: リチャード裕輝


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探偵は胸を揉む 偽りの依頼人

探偵は胸を揉む〜偽りの依頼人〜


第一話:雨の山荘、突然の訪問者


久我奏太の視線は、窓の外に広がる深い緑に吸い込まれていた。山間の湿った空気は、窓ガラスに薄い膜を張り、景色をぼやけさせる。しかし、その静寂こそが、奏太が都会の喧騒、そして自身の「呪い」と「軽蔑の眼差し」から隔絶されるために、この洋館で二年を費やして求めたすべてだった。


「静かすぎるな…」


洋館の応接間に響く、自身の独り言。物書きという口実で隠遁生活を送る奏太の真の理由は、手に宿る奇妙な能力、サイコメトリーにある。触れたものの過去を読み取る力。それ自体は、ミステリー作家の想像力を刺激するロマンを秘めていた。しかし、その能力の「起動条件」が、彼の人生を決定的に歪めた。


――女性の胸を、強く揉み込むこと。


「なんて残酷な能力だ。これは、愛する女性を救えなかった俺自身に、課せられた生涯のごうだ」


奏太は、山奥の洋館に引きこもり、その呪われた手のひらを何度も握りしめる。


この力は、彼の最も苦手とする行為を、真実を暴くための唯一の必須条件として突きつけた。過去、彼はその手で、愛する人の悲劇の真実を知った。だが、その代償として、彼女を狂気から救い出すことができなかった。


残ったのは、能力への深い嫌悪と、「真実の代償」として負わされた罪悪感。彼はその矛盾に引き裂かれ、社会との関わりを断ち、すべてを捨てて隠遁した。


「もう二度と…誰とも関わらない。この力も、二度と使わない」


そう誓い、彼の人生は、冷たいモノクロームに塗り固められた。


――しかし、夏の盛り、そのモノクロームは、突然の豪雨と共に破られた。


雷鳴が山間に響き渡る午後。けたたましいエンジン音と共に、一台の古びたSUVが山荘前の砂利道に止まった。ドアが開き、四人の男女が雨の中に飛び出す。


奏太は、応接間のカーテンの隙間から、その「訪問者」たちを警戒心をもって観察した。彼らは、地元の大学のサークル仲間だという。雨宿り、あるいは宿泊できる場所を探しているらしい。


奏太は、彼ら四人の間に流れる不自然な空気、その関係性の歪み、そして、水底に沈むような濃密な「澱」を瞬時に察知した。それは、サイコメトリーの力ではなく、孤独な作家の観察眼だったが、その歪みは妙に彼の胸をざわつかせた。


ユウキ(20): リーダー格。黒髪から雫を滴らせながら、冷静に周囲を見渡す視線は、獲物を値踏みするかのように鋭い。端麗な容姿とカリスマ性を持つが、瞳の奥には、他人には踏み込ませない冷徹な思考が隠されている。彼は、この山荘を自作の舞台装置のように見つめている。


リナ(20): ユウキの隣に立つ、豊満な胸と華やかな顔立ち。その視線は常にユウキに注がれ、ゾッコンという言葉が体現されたような女性。胸元が激しく上下するのは、寒さだけでなく、内なる焦燥を感じさせる。


アオイ(20): 華奢で控えめな女性。ユウキの影のように付き従い、雨の冷たさとは違う、怯えの色が顔に滲んでいた。細い体が、何か秘密を抱え込んでいるように見えた。


タケル(20): スポーツマン風の体格。ユウキに対して友好的な笑顔を向けるが、その眼差しには、隠しきれない対抗意識が燃え盛る。ユウキの「親友」というポジションに甘んじているが、彼を打ち負かそうとする強い意志が見て取れた。


彼らは、豪雨の中、玄関の扉を叩いた。三度目のノックで、奏太は重い扉を開けた。雨の匂い、若者の熱気、そして、かすかに漂う「事件の予感」。


「あの…すみません、雨宿りだけでもさせていただけませんか?」


ユウキが、人当たりの良い笑顔で尋ねた。奏太は即座に拒絶したが、リナが水を含んだ薄手のシャツを気まずそうに絞り、「せめて、雨宿りだけでも…!」と小さく懇願した。


奏太は、二人の女性を無意識に品定めした。リナの豊満な胸は、水に濡れたシャツ越しにも際立ち、「能力の発動条件として、あまりにも完璧な「媒体」だった。一方、アオイの胸は控えめだが、その華奢な体には、何か大きな秘密が収められているような危うさがあった。


――使ってはいけない力。だが、この四人が抱える不穏な空気が何をもたらすか、俺は既に見てしまった。この機を逃せば、後悔するだろう。


「雨宿りだけなら、構わない」


久我 奏太は、自身の内に湧き上がった古い衝動に逆らえず、洋館の重い扉を開けた。


第二話:閉鎖空間の成立と探偵の条件


リビングに通された四人は、まずは濡れた上着を脱いだ。ユウキが携帯電話を試みたが、やはり圏外。数分後、タケルが外の状況を確認しに戻ってきた。


「最悪だ……。山道が土砂崩れで完全に塞がれてる。車も通れない。この雨じゃ、夜明けまで動けそうにない…泊まらせてもらえないでしょうか!」


タケルが必死の形相で奏太に頼み込んだ。


「ダメだ」奏太は即座に拒絶した。過去の誓いが、彼の喉を締め付ける。


だが、リナとアオイの怯えた表情が、彼の決意を打ち砕いた。この外界から隔絶された空間で、彼らを無責任に放っておくことは、事件を見過ごすことと同じだ。奏太は、再び「業」に身を委ねることを悟った。そのためには、能力を行使するための介入権が必要だった。


「……仕方がない。泊まることを許可しよう。ただし、条件がある」


奏太は、冷徹な視線でユウキを見据えた。


「第一に、俺の部屋と書斎には決して入るな。第二に……」


奏太は言葉を切り、無遠慮にリナとアオイの二人の女性を見つめた。特に、能力の発動条件そのものであるリナの豊かな胸元に、意図的に、長く視線を止めた。


「第二に、女性二人は、この閉鎖された山荘では、俺の指示に従ってもらう。何か手伝いを頼んだら、拒否しないことだ」


タケルが激昂した。「え、おい、まさか変なことしようとかじゃないよな? この状況につけこんで…!」


タケルが前に出ようとするのを、ユウキが静かに制した。ユウキは、奏太の顔をじっと見つめ、タケルの軽薄な推測とは全く違う、深遠な意図を読み取ろうとしていた。


そして、ユウキは、まるで奏太の意図の「本質」をすべて理解したかのように、優雅に笑った。


「良いですよ。皆さん、命の恩人であり、この館の主人だ。人として当然の礼儀でしょう」


ユウキはリナとアオイに視線を向け、命令を下すように付け加えた。


「リナ、アオイ。久我さんの言うことは聞くように。お世話になるんだからな」


ユウキは、さらに笑みを深くし、冗談めかした口調で、奏太の顔を覗き込んだ。


「それに、久我さんは長い間、一人でこの山荘にいるんでしょう? 人肌恋しいかもだから、仮に夜伽よとぎと言ったら、ちゃんとするように」


その言葉は、奏太の心臓を冷たく穿った。この男は、俺の提示した「女性への指示権」という条件の裏に潜む、俺の「呪い」の片鱗に、限りなく近づいている。


山荘は外界と隔絶されたクローズド・サークルと化した。そして、奏太が設けた「女性への条件」は、この閉鎖空間において、その意味を強く帯び始めた。


第三話:ミステリー作家への挑戦状


夜になり、俺が簡単な夕食を用意し、それを囲む彼らは、表面的には楽しそうに会話を続けている。その賑わいも、重苦しい雨音と、彼らの間に流れる複雑な感情のせいで、どこか張り付いた虚飾のように感じられた。


ユウキは、部屋の中を、隅々まで観察していた。 まるでベテランの鑑識官が現場検証をするように、俺の隠遁生活の手がかりを探っている。その視線は、書棚に並ぶ古い本の背表紙、使い込まれた暖炉へと向けられた。


「随分と古い本ばかりですね」ユウキは愉快そうに口を開いた。「まるで、古典ミステリの館みたいだ」


その中で、ユウキが突然、グラスを静かに置いて、俺に向き直った。


「久我さん、あなた、小説家なんですよね?」


俺は内心で息を飲んだ。なぜ、初対面の若者にそれがわかる?


ユウキは、俺の驚きを愉しむように続けた。「もちろん、推測ですよ。この古びた山荘で、外界と隔絶され、大量の古い本に囲まれている。それだけなら研究者かもしれない。しかし、久我さんは、さきほど『俺の部屋と書斎には絶対入るな』と、書斎を特段に警戒されました。そして、この応接室の空気には、微かに万年筆とインクの匂いが混じっている。研究者が万年筆で論文の推敲をするでしょうか?」


ユウキは、さらに俺の書棚をちらりと見て、悪戯っぽく笑った。


「加えて、僕らが玄関で雨宿りしている間に、風で飛んできたAmazonの明細書を失敬しましてね。送り主は大手オンライン書店。そして購入履歴のタイトルは、『小説家として売れるには』や『ミステリーの売れ筋テンプレ』といった本が、ずらりと並んでいましたよ。違いますか?」


ユウキの推理は完璧だった。俺は、自身の職業を隠そうとすらしていなかったのだ。


「ユウキくん。君の方がミステリー作家になれそうだ。観察眼に脱帽だ」


俺は苦笑を浮かべ、敗北を認めた。


「その通り。主にミステリーを書いています」


だが、ユウキの目は、獲物を見つけたかのように輝いた。


「もしかして……『歪んだユガンダ・ガーデン』を書かれた、久我 奏太さんですか?」


その言葉を聞いた瞬間、俺の全身から血の気が引いた。


『歪んだ庭』。それは、俺が自身の「呪い」の能力と、その孤独を、半ば告白のようにして書き上げた、最初で唯一の作品だ。


「……ああ、そうだ」


絞り出すように答えた俺に、ユウキは熱烈な共感と尊敬の眼差しを向けた。


「やっぱり! 僕、何度も読みました」ユウキは前のめりになった。「あの作品、人間の心の奥底にあるトラウマと悪意が、まるで顕微鏡で覗いたようにリアルに描かれていて、戦慄を覚えました。でも、最後に必ず、主人公がほんの少しの希望の光を見つけ出す。僕は、久我さんの小説が、人の魂の中にある、微かな救済を描いているんだって、信じているんです」


ユウキは言葉を切り、恐ろしいほどの洞察力で俺の心の奥底を射抜いた。


「特に、主人公が真実に辿り着くための、あの「手段」。常人には理解されず、社会から蔑まれ、それでも彼が行使せざるを得ない、あまりにも痛々しい孤独な力。あれは、ただの創作とは思えませんでした。まるで、作者自身の魂の叫びのように聞こえたんです」


俺は背筋が凍るのを感じながら、同時に胸が熱くなるのを感じていた。この若者は、俺の小説のテーマ性だけでなく、その根幹にある俺自身の「呪い」の存在に、限りなく近く辿り着いていた。そして彼は、それを変質的な力としてではなく、孤独な探偵の「光」として見ていた。誰にも理解されず、軽蔑され続けた自分の「業」を、この青年は肯定している。その事実に、俺は警戒心を抱きながらも、拭い難い喜びを感じていた。


「久我さん」


ユウキは、静かに、そして楽しそうに付け加えた。


「僕、あなたのファンです。だから、もし何か面白いことが起きたら、ぜひ拝見させてくださいね」


この聡明で、恐ろしいほどの洞察力を持つユウキこそが、この閉鎖空間で起こるであろう事件の仕掛け人かもしれない。その言葉は、俺の「呪い」を試すかのような、恐ろしい挑戦状のように響いた。俺の静かな隠遁生活は、このミステリーマニアの訪問によって、決定的に崩壊しようとしていた。


第四話:密室からの消失と依頼状


夜が明けても、豪雨は止まない。山荘は厚い雨雲に覆われ、まるで深海に沈んだかのようだ。


俺は慣れないソファの寝心地に体を起こし、リビングを見渡した。山荘に重い緊張感を持ち込んだはずのユウキの姿が、そこになかった。


昨夜、彼は「面白いことが起きたら、ぜひ拝見させてください」と探偵役を期待するような言葉を残したが、その目は、探偵への期待というより、自らが物語の登場人物になることを渇望している、狂信的な光を宿していた。あの夜の不気味なほどの高揚感は、既に彼の中で何かが決断されていた証拠だったのかもしれない。


「……ユウキ?」


リナ、アオイ、タケルの三人はまだ眠っていたが、彼の定位置だったはずのソファは、ブランケットが雑に丸められているだけだ。俺は血の気が引くのを感じながら、ユウキに割り当てた部屋を確認したが、案の定、もぬけの殻。


その瞬間、リナの悲鳴が、鉛のように重い空気の山荘中に響き渡った。


「ユウキが! ユウキがいない!」


皆が飛び起きる。外の土砂流の轟音は変わらず、山荘は完全に外界と隔絶されたまま。こんな状況で、ユウキが無防備に外に出たとは到底考えられない。


「まさか、土砂崩れの様子を見に行ったとか…?」タケルが青い顔で言う。


「そんなはずはない」俺は即座に否定した。「この雨だ。自殺行為だ。……それに、玄関には泥一つ付いていない」


誰もが出入りしていないことを示す証拠だった。ユウキは、この閉ざされた洋館の中で、まるでミステリー小説の如く「密室からの消失」をやってのけたのだ。


俺はユウキが消えた部屋で、彼の残した痕跡を探した。ユウキは、決して衝動的に姿を消す人間ではない。彼が行動に出たのなら、それは周到に計画された、彼自身の「物語のクライマックス」に違いない。


そして、ベッドの脇の床、家具と壁のわずかな隙間に、折り畳まれた一枚の紙切れを見つけた。白い紙には、万年筆で丁寧に、しかしどこか狂気を帯びた文字が記されていた。


俺は、その紙を握りしめ、冷たい予感の核に触れた。


久我奏太さんへ


この手紙は、僕という物語の最終章への招待状です。


あなたの言う『歪んだ庭』…その闇の最奥で、僕は光を見つけることを諦めました。僕の存在そのものが、愛する者たちを縛り付ける呪いなのだと、ようやく理解したからです。


この呪いを解くには、僕が消えるしかない。


そして、僕の願いを叶えるには、誰かの心に、究極の愛と裏切りという、消えない罪を負わせる必要がありました。僕の死は、僕を愛する者たちへの最後のプレゼントなのです。


ですが、久我さん、あなただけは違うかもしれない。あなたの小説が描く「ほんの少しの光」が本当にあるというのなら、証明して見せてください。


真の探偵であるあなたなら、この僕を…罪を背負った共犯者ごと、見つけ出し、止めることができるはずだ。


僕という物語が、本当の終焉を迎える前に。


リナ、アオイ、タケル…彼らの心の闇が、僕へと続く最後の扉です。その扉を、あなたの能力でこじ開けてください。


これが、僕があなたに託す、命懸けの依頼です。


俺は凍り付いた。指先が、紙に書かれた文字の熱を吸い取っていくように冷えていく。


これはユウキの命を救うためのタイムリミット付きの挑戦状であり、同時に、彼の自殺が共犯者がいることを示唆していた。


ユウキは、自分の死によって、残された者たちに、決定的なトラウマと罪悪感を刻み込もうとしている。そして、その裏に隠された真実を突き止める手段は、俺の「呪い」の能力だけ。


この依頼は、この山荘での「自殺」という命懸けのゲームだった。俺の能力こそが、ユウキの命と、罪を負わされた共犯者の魂を救う唯一の手段なのだ。


俺は、再び「変質者の烙印」と引き換えの力を手に取ることを強いられた。その忌まわしい発動条件を知って、ユウキは俺に依頼したのだ。俺の静かな隠遁生活は、今、ここに、完全に終わった。


第五話:探偵の告白と二人の慟哭


俺は、ユウキの挑戦状を胸に、残された三人に告げる。「ユウキくんを隠している共犯者がいる。そして、俺にはその犯人を見つけられるかもしれない能力がある」


「そんな馬鹿げた能力、信じられるかよ」タケルは吐き捨てた。


「信じられないのは当然だ。だが、ユウキくんは信じていた。あの小説の主人公は、俺と同じ、忌まわしい能力を持っている。女性の胸に触れることで、真実を読み解くサイコメトラーだ」


「は……変態かよ、お前!」タケルが叫ぶ。リナとアオイは絶句し、俺から距離を取った。


「そうだ。だから俺はこの力を呪い、隠して生きてきた」俺は彼らの軽蔑の視線を受け止めた。「だが、ユウキくんは違った。彼が残した手紙にある『あなたの能力でこじ開けてください』という一文は、そういう意味だ。彼は、俺のこの呪われた能力だけが、君たちを救う鍵だと信じたんだ!」


俺はユウキの手紙を彼らに突きつけた。リナは震える手でそれを受け取り、ユウキの覚悟を理解した。彼女は、昨夜交わした「女性二人は俺の指示に従う」という約束が、この瞬間のためにあったことを悟り、顔を蒼白にした。


「ユウキが…本当にそれを望んでいるのね…?」リナはか細い声で呟いた。愛する人を救うため、そして昨夜の約束を破らないために、彼女は恐怖と羞恥に耐える。


リナはゆっくりと俺の前に立ち、全身を細かく震わせながら、自らの胸元のボタンに手をかけた。それは、羞恥や恐怖を超えた、愛する人を救うための悲壮な決意の表れだった。


俺は意を決し、震える手を伸ばした。彼女のブラジャーに覆われた、張りのある肉付きの良い胸を、両手で優しく包み込んだ。その手のひらに、柔らかく、ふくよかな感触が伝わる。


その瞬間、激しい心臓の鼓動とともに、黒い嫉妬と、腐食性の強い怒りの波が、映像となって脳裏を襲った。ユウキの携帯に映る見知らぬ女性の笑顔。そして、その笑顔を憎悪に歪んだ顔で見つめるリナの姿。彼女はユウキの浮気を知っていた。


俺は手を離した。「リナ、君はユウキくんの浮気を知っていたな?」


リナは体を震わせ、泣き崩れた。ユウキは、最も愛する者に「裏切りの事実」という罪を背負わせ、その激情と絶望を以て、俺に最初の扉を開けさせたのだ。


その光景を目の当たりにしたタケルは、顔面蒼白で立ち尽くしていた。「ま、まさか、本当に…そんな、馬鹿な…」彼は、俺の能力が本物だと悟り、動揺した。


俺は、リナの慟哭を背に、次のターゲット、アオイに向き合った。彼女は、壁際に体を寄せ、怯えていた。


「アオイさん」俺は静かに呼びかけた。「次は君だ。ユウキくんの依頼だ。そして、君も昨夜、俺の『指示に従う』と約束した」


アオイは小さく首を振り、拒絶の意を示した。その体は、まるで石のように固く、抵抗している。


「お願い…私には関係ないわ」彼女は目を泳がせ、視線を下に落とした。そして、リナと同じように全身を震わせながら、絞り出した。「私、小さいから……嫌なの」


彼女の拒絶は、羞恥心と劣等感、そしてユウキの支配から逃れることへの極度の恐怖からきていた。しかし、彼女もまた、ユウキへの依存と昨夜の約束という二重の鎖に縛られていた。


俺は、彼女の羞恥心と劣等感を無視し、冷徹に判断した。「失礼する」


俺はアオイの華奢な体躯に手を伸ばし、その胸元、服の上から硬く引き締まった部分に触れた。アオイの体は、恐怖で限界まで硬直し、激しく震えていた。指先に伝わるのは、骨を感じるような硬さ。それは物理的な硬さではなく、彼女の固く閉ざされた魂が、肉体を通じて伝わってくるようだった。


俺は、その固く閉ざされた心を解き放つように、力を込めて小さな胸を揉み込んだ。アオイは悲鳴を飲み込んだ。


その瞬間、激しい「支配」と「安全」という矛盾した二つの感情が、濁流となって脳裏を駆け巡った。ユウキがアオイをいじめから救った光景。そして、ユウキが彼女に「誰も君を傷つけられない完璧な世界」として、彼女の自己決定権を完全に剥奪し、支配していた構造。ユウキは、彼なりにアオイを「唯一無二の存在として守っている」と信じ込んでいた。


俺は手を離し、心臓の動悸を抑えながら、アオイの目をまっすぐに見つめた。


「お前を支配する影は…ユウキくんじゃない」


「お前自身の、怯えだ。ユウキくんは君を『救った』かもしれないが、それは君を『依存』という名の檻に閉じ込める行為だ。その鎖はもう切れている。誰かの足元で、怯えて生きる必要はない。自分で、立て」


俺の言葉が、アオイの胸の硬い殻を打ち砕いた。彼女は、ユウキの支配が本当に終わったことを理解し、その場で崩れ落ちた。彼女の慟哭は、依存からの離脱と自立への重圧という、新たな人生の始まりを告げる悲鳴だった。


リナとアオイ、二人の女性の心の闇は明かされた。しかし、肝心の共犯者とユウキの居場所は、まだ判明していない。残るは、ユウキに強い対抗意識を燃やすタケル一人。彼の抱える「愛と裏切りの罪」の真実こそが、ユウキの終焉の場所を指し示しているはずだ。


第六話:究極の裏切り者と致命的な情報


俺は、リナとアオイの慟哭を背に、残された最後の人物、タケルに向き直った。彼は腕を組み、猜疑心と憎悪に満ちた目で俺を睨みつけている。その表情は、俺の能力の存在を否定しきれず、自分の秘密が暴かれることへの極度の恐怖を隠しきれていなかった。


「随分と楽しませてくれたな、探偵さんよ」タケルは唾を吐き捨てるように言った。「これで女どもの告白タイムは終わりか? で、俺からは何を読み取るってんだ? 俺には触らせる胸はねえぞ」


タケルの挑発は、自身の弱さを隠すための硬い鎧だった。俺はその鎧を無視し、静かに口を開いた。


「お前は、ユウキが消えたことを喜んでいるように見えた。リナやアオイとは違う、妙な高揚感だ」


「はっ、馬鹿言うな! あいつは俺の親友だぞ!」タケルは即座に、そして過剰に否定した。その否定の裏には、隠しきれない真実の熱があった。


俺はタケルを一歩追い詰めた。「そうかな。お前はユウキを憎んでない。憎むほど、関係は単純じゃない。むしろ、お前は彼の承認に依存していた。リナがユウキの愛に、アオイがユウキの庇護に依存していたように、お前はユウキの存在そのものに依存していた」


「うるさい!」タケルは激昂し、俺の胸倉を掴み上げた。その力は強く、怒りに震えていた。


「友情だよ。だが、歪んでいる」俺は掴まれたまま、目を逸らさずに続けた。「お前は心の底で、誰よりもユウキに認められたいと願っていた。対等な親友ではなく、『お前にしかできない存在』として。そして今回、ユウキくんはお前にしかできないことを頼んだ」


俺は、タケルの激しく動揺する瞳を覗き込むように、トドメを刺した。


「それは彼を死なせるという、究極の裏切りであり、究極の承認だ。初めてユウキが、お前の力を必要とした。お前は彼に『お前が俺を殺せる唯一の人間だ』と言われたかったんだ」


俺の最後の一言が、彼の心の最後の砦を、まるでガラスのように打ち砕いた。掴んでいた胸倉から、急速に力が抜けていく。強がっていた瞳から、みるみるうちに涙が溢れ出し、タケルの逞しい体は、まるで糸の切れた人形のように崩れ落ちた。


「どうして、お前に…そんなことがわかるんだよ…! 俺は…俺はただ…あいつに…俺を見てほしかっただけなんだ…!」タケルは、床に座り込み、両手で顔を覆って泣き崩れた。彼の嗚咽は、悔恨と、目的を達成したことへの虚しさに満ちていた。


だが、次の瞬間。タケルは、ゆっくりと顔を上げた。彼は、這いずるように立ち上がり、俺の胸倉を掴んだ。泣き腫らしたその顔は、憎悪と諦念で歪んでいた。それは、自分の弱さを暴かれた者の、最後の反抗だった。


「…だったら、お前はどうなんだよ。偉そうなことを言いやがって。お前だって、ユウキに認められて、あいつの小説の主人公になりたかっただけだろ?」


タケルの目は、俺の最も深いトラウマを突き刺してきた。


「それに、お前だって…ただ、胸が揉みたいだけだろ?」


その言葉は、俺の最も触れられたくない、力の裏にある「業」を、容赦なく抉った。タケルは俺の顔を覗き込むようにして、嘲笑う。


「どうだった、二人の胸はよ? 柔らかかったか? あの変態能力で、ただ楽しかっただけなんじゃねえのか!」


俺は、タケルの言葉に何も言い返すことができなかった――沈黙したのは、俺の心臓の鼓動が、彼の指摘が的外れである証拠を打ち鳴らしていたからだ。


俺は掴まれた胸倉から、タケルの腕を払い除け、冷え切った目で彼を睨み返した。


「違う」


俺の声は低く、そして怒りに震えていた。


「俺はもう、二度と揉みたくなかった。だから俺は、この山奥に隠遁し、誰とも会わずに生きてきたんだ」


俺は、自らの能力と、それを使うことで浴びる世間の軽蔑の眼差しへの、深い自己嫌悪を吐き出した。


「お前に分かってほしいのは、俺がこの忌まわしい力を、どれほど呪っているかということだ!」


タケルは、俺の激しい自己嫌悪の感情に、一瞬言葉を失った。俺の苦痛は、彼の「承認欲求」とは全く異なる、「存在の否定」という、さらに重い闇だった。


タケルは、俺の真の苦痛を理解し、その憎悪の炎を鎮めた。彼の声は、泣き崩れていた時よりも遥かに重く、罪の意識に苛まれていた。


「…俺は、あいつの頼みを断れなかった。あいつに、『お前は俺を殺せる唯一の人間だ』って言われたんだ!」


タケルは叫びながら、遂に共犯者としての罪を告白した。


「俺はあいつの自殺を手伝うことでしか、あいつの親友になれないと思ったんだ…! 地下室に、高濃度のガスボンベを運んだのは、俺だ! あいつは、地下のワインセラーの隠し部屋で、自殺するつもりなんだ! 今頃、もう…」


俺は、タケルの言葉を聞き、一瞬で状況の全体像を把握した。


(考える奏太)――ワインセラーの隠し部屋。俺がこの山荘に引きこもる前、唯一外界との接点だったのが、ワイン評論という仕事だった。この地下には、俺が数百万円の金を投じ、完璧な温度管理と湿度維持を施した特注のセラーがある。それは、俺の芸術家としての魂が、小説から離れて唯一休息できる、密やかな聖域だった。


ユウキは、リビングの棚の奥に隠していた空の高級ボトル、そして俺の過去の痕跡を全て調べ上げ、俺が熱狂的なワイン愛好家であることを突き止めていたのだ。


久我の山荘の地下室に、俺が作ったセラーの奥の隠し部屋こそが、ユウキが選んだ「舞台」だ。


「この山荘の秘密を知り尽くした者でなければできない、完璧な密室の設計だ……いや、違う。ユウキは、俺の『聖域テリトリー』を侵し、俺の心を最も抉る場所を、探偵への挑戦状として選んだのだ」


奏太は、タケルの告白に戦慄した。残された時間は、ほとんどない。ユウキの狂信的なゲームは、奏太の個人的な領域を侵食しながら、最終局面を迎えた。


第七話:流血の真実と最後の鍵


「あいつは、地下のワインセラーの隠し部屋で、自殺するつもりなんだ!」 タケルの告白を聞いた俺は、一刻の猶予もないと判断した。俺はリナ、アオイ、そして慟哭から立ち直れないタケルを連れて、肺が張り裂けそうなほどの勢いで冷たいコンクリートの階段を駆け下りた。


地下室は、空気が重く、湿気に満ちていた。カビと土の匂いが鼻腔を突き、冷気が肌を刺す。奥には、古い木製の扉で閉ざされた、俺が特注したワインセラーがあった。タケルが震える手で鍵を開け、錆びた蝶番がきしむ音と共に重い扉が開く。内部は湿度管理された冷たい空気で満ちていたが、ワインの芳醇な香りよりも、異様な緊張感と鉄の匂いが優っていた。 だが、そこにユウキの姿はなかった。


「な、なんでだ…ユウキ!」タケルは、隠し部屋の中を覗き込み、心底驚いたように絶望の声を上げた。部屋の隅には、運び込まれたはずの高濃度のガスボンベが無造作に転がっている。 俺は強烈な違和感に襲われた。ユウキのゲームは、単なる隠蔽で終わるはずがない。俺は足元の異変に気づいた。冷たいコンクリートの床に、黒ずんで乾き始めている血痕が、点々と残っていた。それは、出血からごく短時間しか経っていない、生々しい証拠だった。そして、鼻の奥を刺激する、ごく微かにガスの匂いが漂っていた。


(考える奏太)――この乾き始めている血痕は、タケルが俺と対決していた直近の数分間に起きた出来事を示している。タケルの告白ガスボンベに嘘はない、事実だ。ユウキはここにいたが、何者かに刺されたのだろう。致命傷を免れ、どこかへ潜んでいる。 前のサイコメトリーに「刺した事実」が出てこなかったのは当然だ。それはさっき起きたこと。 アオイに能動的な暴力はない。しかし、最も激しい愛憎の渦中にいたリナには、裏切りへの激しい怒り、つまり刺す動機が強烈にある。彼女の尋常でない動揺は、血痕への直接的な関与、すなわちユウキの行方と計画変更の決定的な真実を示している。 俺は、ユウキの次の居場所を知るため、この状況を打破する最後の鍵であるリナの深層の真実を、今、ここで暴く。俺は、リナに向き直った。


リナの様子は尋常ではなかった。彼女は、血痕と、微かに漂うガスの匂いを交互に見つめ、顔を青ざめさせていた。その身体は、まるで電流が走ったように小刻みに震え、何か言いようのない重圧に憑りつかれたように、唇を震わせていた。 「違う…違うのよ…あれは…事故…私が…私がユウキを…」 その狂乱の中で、彼女はポケットに忍ばせていた小型のナイフを、自らの胸に向けた。その刃先は、彼女の命を断とうとするかのように、僅かに震えながら彼女の豊満な胸の谷間に触れている。 「やめろ!」 俺は、推理を確信した瞬間、反射的に叫び、一歩で距離を詰める。彼女の体を背後から抱きしめるようにして、ナイフを持つ両手を必死に抑え込んだ。リナは、憎悪と絶望が入り混じった顔で抵抗し、狂ったように体を捩らせる。その肌からは、熱い体温と、精神的な錯乱が混じった酸っぱい汗の匂いがした。 その激しい組み合いの中で、俺の右手が、彼女の体を抑えつけるようにして、彼女の豊満な胸に、強く、そして乱暴に叩きつけられた。


―――ズンッ!!! その瞬間、手のひらに伝わるのは、豊満な胸の柔らかな弾力ではない。それは、罪の重さと、血の生温かい感触だった。俺の脳裏に、第二の真実が、圧倒的な痛覚と羞恥と共にフラッシュバックした。 場面1(地下室への急行): タケルと俺が言い合っている最中、リナが慌ててリビングを飛び出す。ユウキが地下にいることを察していたリナは、ユウキの自殺を止めるつもりで急いだ。しかし、隠し部屋でユウキを見た瞬間、浮気の記憶がフラッシュバックし、彼女の優しさは憎悪に変わった。


場面2(流血の瞬間): ユウキはガスボンベのバルブを微かに開け、リナの動揺と怒りを見つめていた。リナは、ユウキの冷酷な笑みに逆上し、「私だけを見てくれるって言ったのに、どうして浮気なんか!」と叫びながら、持っていた小型のナイフで、衝動的にユウキの左肩を深く刺す。刃が肉を裂き、骨を掠める「ブチッ」という生々しい音。そして、熱い血潮が飛び散り、一瞬にして手が粘つく感覚。


場面3(衝動と消失): リナは殺すつもりはなかった。ただユウキを傷つけ、裏切りの痛みをわからせたかっただけだ。ユウキは激痛に顔を歪ませるが、口元は歪んだ歓喜に満ちていた。「これでいい、リナ。君は僕の物語の重要な素材マテリアルになった」ユウキはリナを突き飛ばし、血を流しながらも、隠し部屋の隅にある木箱の山の影へと逃げ込む。リナは刺したショックで呆然と立ち尽くし、数秒後に急いで地下室の階段を上り、リビングへと逃げるように戻った。 俺は激しい鼓動の波から解放され、荒い息を吐き出しながら、目の前のリナをまっすぐに見つめる。


リナは、ユウキの行方と、刺してしまった事実を、リビングで俺たちに告げようと口を開いた。だが、その瞬間、タケルがユウキの自殺計画を告白した。タケルの言葉は、リナの告白の機会を奪い、リナは罪の意識と、自分が刺したことで計画が狂ったという新たな恐怖から、真実を告げることができず、ただ沈黙を選んだのだ。


「ユウキくんは、最初からお前が自分を刺すことを待っていたんだ。その流血を、彼の狂信的な物語の小道具として利用するために」


俺は静かに言った。「そして、お前が彼を刺したことで、皮肉にもガス自殺を阻止した。だが、彼はまだ近くにいる」


リナはナイフを落とし、魂が抜けたように呆然としていた。


その沈黙の中、久我の背後の古い木箱の山の奥から、「ゴホッ」と、湿った空気を震わせる非常に微かな咳が聞こえた。それは、傷を負い、長時間潜んでいたことを示す、生々しい音だった。


タケルとアオイの顔色が、一瞬で真っ白になる。


俺は、すべての推理が、今、証明されることを悟り、ゆっくりと、木箱の影に近づいていく。そして、久我が木箱の影を覗き込んだその瞬間。


血の滲んだ包帯を巻き、肩を深く刺されたはずのユウキが、冷ややかな視線を久我に向けながら、静かに、ゆっくりと立ち上がった。彼の口元には、予想通りの、歪んだ、勝利の笑みが浮かんでいる。


「久我さん。もう少し早く見つけてくれなかったら、本当に死ぬところでしたよ」


ユウキはそう言って、にこやかに笑った。この言葉は、リナに刺される危機と、ガスで命を絶つ危機という、二重の危機からの脱出を意味していた。


リナは、ユウキの姿を見て、「ユウキ!」と悲鳴のような声を上げ、感情のままに泣き崩れた。「ごめんなさい…刺すつもりは…なかったの…! 私、あなたの浮気に、頭がおかしくなって…」


ユウキは、泣きじゃくるリナを、優しく、しかしどこか芝居がかった動作で抱きしめた。「わかってるよ、リナ。君の気持ちも。僕も悪かった」


俺は、呆然と立ち尽くした。ユウキは、自分が刺された後も、この「ゲーム」を続け、俺の能力がリナの真実を暴き、自分を救うまで、木箱の影で待っていたのだ。


俺は、ユウキのこの徹底した「物語」への執着に、怒りよりも深い虚無感を覚えた。しかし、この狂信的な探偵のゲームには、まだ最後のピースが欠けていた。それは、警察の介入だ。


俺は、木箱の影に残された血痕の近くに、小さな衛星電話が隠されているのに気づいた。それは、外部との連絡手段のないこの山荘で、確実に警察を呼ぶため――ユウキが、俺のために用意した、ゲームクリアの報酬だった。


「これでいいのか、ユウキくん!」


俺は憎悪を込めて受話器を取り上げ、その場で警察に通報した。ユウキの計画の終幕を、彼の用意した道具で飾ることに、屈辱的な敗北を感じながら。


その時、遠くからパトカーのサイレンが、雨音を切り裂くように聞こえてきた。警察は、俺の通報を受ける前から、すでに近郊まで来ていたのだろうか? ユウキの計画は、俺の想像以上に深く、早く進行していたのかもしれない。


これで、ユウキが仕掛けた密室の謎は解かれた。しかし、この狂信的な探偵の挑戦は、俺の心に、拭い難い、最後の傷跡を残した。


第八話:巨乳探偵の断罪


久我は、血まみれのユウキを前に、静かに息をついた。視線は鋭く、だが言葉は穏やかだった。


「ユウキくん……君は、自分の大切な人たちを守るために、こんな危険な行動を選んだんだな。ただの狂気じゃない。君なりの、償いであり、救済だったんだろう」


ユウキは微かに口元を歪め、久我を見つめた。その目には、驚きでも焦りでもなく、静かな納得と、わずかな興味が混じっていた。


「……そうですか。あなたには、僕の本当の気持ちが見えるんですね」


久我は視線をそらさず、静かに頷く。


「血まみれの現場から、君の行動の意味は読み取れる……破滅願望じゃなく、守りたいという意思が現れている」


ユウキは小さく笑った。その笑みは狂信的ではなく、どこか安堵に満ちていた。


「なるほど……僕の狙いは、あなたに『真実の光』を示すことだった。あなたがここで、リナやアオイ、そして僕の行動の本質を理解すること。それが最終目的でした」


久我はゆっくりと息を吐きながら、頷いた。


「わかった。君の狙いも、君なりの正義も、理解した……だが、それでも危険すぎる。君のやり方は、誰も救わないかもしれない」


ユウキはまるで儀式を始めるかのように静かに尋ねる。その視線は、久我の顔と、かつてリナの胸に触れた呪われた手のひらを交互に見つめる。


「現場の状況、君の行動、そして目に宿る覚悟……すべてを見れば、君の心の奥底にある『償いの動機』は読み取れる」


ユウキはゆっくりと皮肉めいた笑みを浮かべる。久我が、自分の能力を告白せずに迷っていることを、彼は知っているのだ。


「やはり、僕の推理は正しかったようですね。あの小説『歪んだ庭』の主人公と同じだ。真実に辿り着くために、社会から蔑まれる手段を選ぶ――久我さん、あなたの心理描写はあまりにリアルで、まるで登場人物の頭の中を覗き込んでいるようだった」


ユウキは一歩踏み込み、久我の顔を覗き込む。彼の息遣いすら、久我の領域を侵すかのようだった。


「僕が仕掛けたこのゲームの最終目的は、あなたに『真実の光』を示すことでした。そして今、あなたの推理が、それを証明した。それは、あなたが僕の仕掛けに乗り、リナとアオイの胸に手を触れたからです」


ユウキは勝利を確信したかのように、さらに静かに続ける。


「あの忌まわしい能力を、僕のために使ってくださった。そうですよね、久我さん?」


久我は観念し、静かに頷いた。「ああ、その通りだ」


ユウキは心底楽しげに満面の笑みを浮かべた。その顔には、尊敬と、最高の探偵の「呪い」を手に入れたという、狂信的な興奮が入り混じっている。


「素晴らしい! もし本当にそんな能力があるなら、僕たち、最高の探偵コンビになれますよ。僕の論理的な推理と、あなたの真実を覗き込む力。名付けて――巨乳探偵と凡人探偵のコンビ! 格好いいでしょう?」


ユウキの無邪気ともいえる提案は、久我の能力を「呪い」ではなく「才能」として肯定する、最も強力な承認だった。その言葉は、久我の心臓を激しく打ち、能力の是非を問い続けた人生に、新たな選択肢を突きつけた。


久我は曖昧に言葉を濁したが、ユウキは真剣な眼差しで久我を見つめる。


「久我さん。僕もいつか、探偵として、あなたの小説に登場させてください。間違っても、すぐ死ぬ死人Aじゃ困りますよ」


久我は、彼の次の「物語」への執着を感じながらも、約束するように答えた。


「ああ、必ずな」


その時、遠くからパトカーのサイレンが近づき、山荘に騒然とした空気が流れ始めた。


俺が、憔悴しきったアオイの前に立つと、彼女はぼろぼろと涙を流しながら、感謝の言葉を探すように俺に抱きついてきた。


俺は静かに彼女から一歩距離を取り、彼女の胸をちらりと見て、無意識にそのサイズを言葉にした。


「…Aカップ」


その瞬間、リナの目から怒りが爆発した。乾いた、冷たい音が、静かな山荘に響き渡る。リナが、俺の頬を強く叩いたのだ。


俺は、リナの方へ向き直り、叩かれた頬の痛みよりも、彼女の瞳の軽蔑に耐えながら、反射的に次のサイズを呟いた。


「……Dカップ、だな」


俺の言葉に、リナの顔からさっと血の気が引いた。驚愕と、そして深い嫌悪。その瞳に浮かんでいたのは、以前のサイコメトリーの直後に見たのと同じ、決定的な軽蔑の色だった。タケルもまた、俺を「底知れない怪物」を見るような眼差しで見つめている。


「……気持ち悪い」


リナは、か細い、呪詛のような声で、そう吐き捨てた。


「結局あなたは、ユウキの命を救ったんじゃない。私たちの心を覗き見て、私たちの傷を面白おかしく弄んだだけじゃない! あなたと、何が違うのよ?」


俺はただ、黙ってそれを受け止めた。彼女の言葉は、完璧な真実だった。


そうだよな、結局俺は、あのときと同じ場所にいる。


救済と解決を成し遂げたという一瞬の自己肯定感は、リナの断罪によって跡形もなく消え去った。最後の最後まで、俺は呪われた能力の奴隷であり、その力を行使した時点で、人間として軽蔑される運命にあるのだ。


彼らは俺を置き去りにし、警察官の足音だけが残る山荘には、再び重苦しい静寂が戻ってきた。


俺はただ、冷たい頬を押さえながら、一人、ポツリと呟いた。


「……結局、何も変わらない」


俺の能力は、彼女たちの心を救う「光」にはなれなかった。それは、俺を永遠に孤独な闇に閉じ込める「呪い」のままだ。


その時、背後から声がした。


「おい、久我さん!」


振り返ると、ユウキが、警察官に付き添われながらも、意図的にゆっくりとした足取りで、俺のすぐ後ろに立っていた。彼の口元には、いつものように、読者を見透かすような、悪戯っぽい笑みが浮かんでいる。


「巨乳探偵、随分と嫌われちゃいましたね」


ユウキはそう言って、リナに叩かれて冷え切った俺の頬を、自分の温かい掌で包み込んだ。その手の温もりが、俺の頬の冷たさと、心臓の絶望的な鼓動を、一瞬だけ和らげた。


「でも、わかってますよ。あなたが本気で、みんなのことを思ってくれたってこと。僕には、全部お見通しですから。巨乳探偵さんと違って、僕の推理は、誰も傷つけたりしませんよ」


ユウキの言葉は、まるで絶望の底に突き落とされた俺を、最後の瞬間だけ引き上げる救命索のようだった。彼は、リナの言葉で全てを失った俺の孤独を、「理解者」として、たった一言で肯定してくれたのだ。俺の目には、自然と熱い涙がこみ上げてきた。


――ああ、この男だけは、俺の能力の裏にある、純粋な「救いたい」という動機を、理解してくれた。


俺が、感謝の念に震えているのを見て、ユウキはそっと手を離し、クスリと笑った。


「でも、一つだけ訂正させてください。リナはDカップじゃなくて、 Eカップですよ」


その瞬間、俺の頭の中に、凍りつくような真実が、稲妻のように走った。


「ほら、僕の方が一枚上手でしょ。久我さんの能力は、衝動的な記憶は読み取れても、日常的な真実は読み取れない欠陥品ジャンクだ。そうでしょう?」


ユウキはそう言って、俺の背中を軽く、しかし、「次のゲームを始めよう」と誘うかのように意味深に叩いた。


「また、僕の推理小説の続きを、書いてくださいね」


ユウキは、俺の能力の限界と、自分の勝利を最後の最後まで証明し、満足げに警察の待つ場所へと向かっていった。


俺は、冷たい床に立ち尽くしたまま、ユウキの背中を見送った。頬の温もりと、リナの平手打ちの熱さ、そしてDカップという決定的な敗北の事実。


「Dカップ」


俺は、救済と承認という最大の褒美を与えられながらも、能力の限界とユウキの優位性を突きつけられ、再び「変態」という現実」に引き戻された。


俺は、確かにユウキの命を救った。しかし、彼は俺の心の奥底に、拭い難い孤独と、永遠に解けない次の謎を残していった。


俺の能力は、彼女たちの心を救う「光」にはなれなかった。それは、俺を永遠に孤独な闇に閉じ込める「呪い」のままだ。そして、俺は今、その呪いを、最高の理解者であり、最大の挑戦者であるもう一人の狂信的な作家の物語に囚われた。


第九話:未来への誓いと呪いとの共存


数日後、山荘には、事件以前よりも深い静寂が戻っていた。


俺は、窓辺に立ち、ユウキが残したあの謎かけの紙切れを、握りしめては開く動作を繰り返していた。外は雨。山々は深い霧に覆われ、まるで全てを飲み込もうとしているようだ。この一件を小説にしようと、何度もペンを握ったが、指が止まってしまう。俺は、本当に彼らを救ったと言えるのだろうか? ユウキは、俺の能力を「光」だと信じてくれた。だが、俺自身はまだ、この能力がもたらす孤独と、自己嫌悪という呪いと向き合えていない。


その時、玄関のチャイムが静かに鳴った。こんな日に、こんな場所へ来る人間はいない。不審に思いながらドアを開けると、そこに立っていたのはアオイだった。彼女は以前の華奢で他者に依存していた印象とは違い、どこか芯の通った、揺るぎない強さを感じさせた。その手には、雨に濡れた大きな傘と、手作りの温かいクッキーが入った小さな包みがあった。


「…久我さん。あの夜は、本当に、お世話になりました」


アオイは深く頭を下げた。視線を上げたその目には、事件前の怯えも、リナへの依存もなかった。ただ、感謝と、何かを伝えきりたいという強い意志が宿っていた。


「あの夜、あなたが私の胸に触れた瞬間、私は初めて、自分の心が私だけのものだと感じたんです。誰の呪縛も、誰の視線も関係ない、私個人の心だと。あなたの能力は、ユウキくんの呪縛から、私を解き放ってくれた。だから、ユウキくんが言った通り、あなたの能力は、誰かを救う、特別な光なんです」


アオイの言葉は、まるで俺の胸の奥深くにある凍りついた湖に、一滴の温かい水が落ちたかのように、じんわりと心に沁み込んでいった。それは、リナの断罪によって打ち砕かれた俺の自己肯定感を、静かに修復していく。


「これは、私が自分一人で、誰の助けも借りずに作ったものです。ユウキくんがいないからこそ、私は、一人で生きていく決意ができた。だから、あなたにも、救われてほしい。一人で生きる、その孤独な道が、あなたの唯一の道じゃないと、信じてほしいんです」


俺は、彼女の言葉に何も言えなかった。クッキーの包みはまだ温かく、彼女の温かさと、そこに至るまでの孤独な決意が、手のひらを通して伝わってくるようだった。


「…感謝します。それと、ありがとう」


俺がそう呟くと、アオイはふわりと微笑んだ。そして、何かを決意した強い光を瞳に宿し、ゆっくりと、震える指で自分の服に触れ、ボタンを一つ、また一つと外していく。その動作は、躊躇いと、それに打ち勝つ決意に満ちていた。


俺は慌てて彼女を制止しようとした。「…待て!何を…」


だが、彼女は構わず脱ぎ続ける。そして、俺の前に現れたのは、小さな、しかし美しい、彼女の裸体だった。雨に濡れて透けた薄い生地が、彼女の肌に張り付いていた。


「久我さん。あなたの能力は、私の心ではなく、ただの体にしか興味がないのでしょうか? あの夜、私はそれが怖かった。でも、それが、私を救ってくれた。だから…もし、私の裸体が、あなたの能力を再び光として発動させるきっかけになるのなら。そして、その能力が、誰かの心を救う光になるのなら…私は、構いません」


俺は言葉を失った。俺の口から、無意識に、あの呪われた言葉が出そうになる。しかし、俺は唇を固く結び、必死に耐えた。能力の呪いを、人間としての理性で抑え込もうと。


俺が本当に読み取るべきは、目の前の裸体ではない。今、彼女が俺に向けている、偽りのない「感謝と決意の心」だ。


俺は静かに、そっとアオイに服を着るよう促した。


アオイは、俺の行動を見て、彼の苦悩を理解した。久我は能力の呪いを完全に克服したわけではない。しかし、彼は、他者を傷つけることなく、その能力を制御しようと、ほんの少しだけ前に進んだのだ。それは、救済という結果よりも、遥かに尊い一歩だった。


アオイは静かに微笑み、再び俺に深々と頭を下げた。


「また、来てもいいですか?」


俺は、彼女の言葉に、静かに、そして力強く頷いた。


「いつでも、待っています」


アオイは満面の笑みを浮かべ、雨の中をまっすぐに坂を下りていった。その姿が、まるで俺の未来を示すかのように、孤立しながらも自立した、強い光を放っているように見えた。


俺は、ドアを閉め、テーブルにクッキーの包みを置いた。


ユウキが託した「光を探す依頼」の答えは、アオイという一人の女性が、もう誰にも依存せずに生きる決意をした、その自立の強さの中にあった。そして、その光は、リナの断罪によって冷え切っていた俺の心にも、確かに届いていた。


俺は、パソコンに向かい、新たな小説のタイトルを打ち込む。


『歪んだ庭』の続編。


タイトルはまだ決まっていない。だが、物語の結末は、もう俺の中で決まっていた。


主人公は、孤独な探偵ではない。愛する人、守りたい人、そして、まだ見ぬ人々の心を救うために、その能力を「呪い」としてではなく「光」として使い始める。孤独と共存しながら、他者を救う道を、俺は歩き始めるのだ。


俺は、クッキーを一口かじり、ペンを走らせた。その甘さと温かさが、俺の心を溶かしていくようだった。


「ユウキ、お前が残した謎は、まだ終わってない。お前の次の“依頼”は、俺自身への挑戦か」


俺はそう呟き、小説を書き始めた。


雨はまだ降っているが、俺の心はもう、凍えてはいなかった。


第十話:究極の敗北と歪んだ庭の終焉


クッキーをかじったその時、喉の奥で、鉄錆を噛んだような強烈な苦味が弾けた。


「…なんだ、これ…」


甘いはずのクッキーの味が、焼けるような激しい苦味へと変わる。体内の全ての粘膜が拒絶反応を起こし、腹の底から、冷たい水の塊がせり上がってくるような、制御不能の吐き気に襲われた。


俺は咄嗟に喉を抑え、呼吸をしようともがく。しかし、気管は急速に収縮し、酸素の経路を鉄の扉のように閉ざしていく。全身を激しい痙攣が走った。まるで、高圧電流が骨の髄を焼き尽くすかのようだ。視界は、激痛と酸欠でノイズにまみれた白へと急速にぼやけていく。


テーブルの上、グラスに注がれた水が、俺の激しい痙攣に合わせて不気味に、そして不自然なほど激しく波打っているのが見えた。この山荘の静寂が、毒の鼓動で震えているようだった。


「毒だ…!――あのクッキーに…!」


俺の意識が途切れる直前、脳裏に、アオイの最後の言葉と、ユウキのメッセージが、血の様に鮮烈な走馬灯となってフラッシュバックした。


「久我さん。あなたの能力は、私の心ではなく、ただの体にしか興味がないのでしょうか?」


俺が、彼女の心に宿る「光」を信じ、その体の「呪い」を遠ざけた、あの瞬間――。


久我の体は、椅子から滑り落ちるように、重い鉛の塊となって床に崩れ落ちた。冷たい木の床の感触だけが、唯一の現実だ。


意識が、抗いようのない闇に飲まれる直前、すべてが繋がった。ユウキの真の目的――その冷酷な、氷の刃が、俺の脳髄を貫いた。


(久我の最後の悟り:信頼という名の盲点)


ユウキのゲームは、山荘に来た最初の日から始まっていたのだ。彼は俺の小説『歪んだ庭』を愛する、狂信的なファンであり、俺の「呪われた探偵能力」を、彼の「究極の物語」の最高の素材として迎えた。俺は、世間の軽蔑に苛まれ、唯一求めていたのは、この呪われた力を肯定してくれる「理解者」だった。ユウキの「あなたの能力は光だ」という熱烈な承認は、俺にとって救いではなく、彼の物語へ導く唯一の道標だったのだ。俺は、彼が仕掛けた偽りの「信頼」を、盲目的に、そして自ら進んで信じた。


ユウキもまた、アオイや俺と同じく、この能力に宿る「真実を暴く光」を、誰よりも強く信じていた。だからこそ、彼はこの光が真実を暴き、友人たちを彼の支配から解放する「救世主の力」となることを知っていた。


しかし、ユウキが本当に望んだのは、俺の命ではない。俺の能力がもたらす「真実の救済」をこの世から消し去り、友人たちへの「依存という名の呪い」を永続させることだった。ユウキは、「光」を最高の形で利用し、そして永遠に封じ込めるという、二律背反の狂気を実行した。


そして、この閉鎖空間のすべてが、俺を屈辱的な敗北へと誘うための役割だった。 ユウキの「自殺」は、あくまで演出であった。その真の目的は、俺の能力の限界(DカップがEカップであるという誤認)を引き出し、「真実を暴く光は欠陥品だ」と断罪させることにあった。


そのための舞台装置として、友人たちは使われた。


リナの役割は、彼女の「浮気への憎悪と裏切りの罪」を利用し、俺の目の前でユウキを刺させることだった。彼女の罪は、「救世主を刺した」という形で永遠に残る。彼女は罪の意識とユウキへの愛憎の板挟みとなり、救いを求め続ける。


タケルの役割は、彼の「裏切りと承認欲求の罪」を利用してガスボンベを運ばせ、共犯者とした。彼の罪は、「親友を見殺しにしようとした」という形で永遠に残る。彼は、ユウキに認められたいという呪いから永久に逃れられない。


そして、最も依存心の強かったアオイには、俺によって「自立」という偽りの希望を与えさせた。彼女の「自立」の証とは、「真実の光(久我)を消し、依存の対象(ユウキの記憶)を守る」という最終命令の実行だった。


久我が生きている限り、ユウキの愛する者たちは真実に救いを求めてしまう。久我を排除することで、ユウキの愛する者たちは、永久にユウキを追い続ける依存の鎖に縛られ続ける。それこそが、ユウキの望んだ究極の「呪いの継続」だった。


俺は、自分の能力が暴いた真実で、ユウキを救ったのではない。俺は、ユウキの仕組んだ舞台の上で、最も忌まわしい能力を使い、彼が望む結末へと導くという、屈辱的な役目を演じきったに過ぎなかった。


――俺の救済は、彼の物語を完成させるための単なるプロセスだった。


「…最後の最後まで、俺は...真実から目を逸らした...!」


最後にアオイの胸に触れず、能力の呪いを理性で抑え込み、他者の「心」という曖昧で偽りのものを信じようとしたことが、彼の致命的な誤算となった。


ユウキを信じ、光を見た――その瞬間、俺の人生は彼に奪われた。


「…結局、俺の...能力は...呪い...だった...」


久我奏太の体が、血の気を失い、冷たい床に横たわる。彼の指が、パソコンのエンターキーから、力なく離れていった。


彼が希望に満ちて書き始めたはずの、新たな小説のタイトルだけが、パソコンの画面に、嘲笑うかのように虚しく光り続けている。


久我のパソコン画面に映るタイトル


『光』


『歪んだ庭』の物語は、究極の裏切りと、救われぬ孤独の中で、ここに終焉を迎えた。

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