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オルドの自伝書  作者: うめ助
一章
6/45

5話

 

 アレクセイも戦闘準備が整ったもの、既に動物たちに囲まれていた。

 

「何か広範囲に攻撃できるやつがいいよね」

 

 李夏が言う。するとアレクセイが何か思いついたのか、自分の長い尻尾を集め始めた。

 

「李夏、オコジョ、少し離れてくれるか?」

 

「わ、分かった」

 

 2人が離れると、アレクセイは尻尾に火をつけた。

 

 そして尻尾をムチのように振り回した。

 

 火ついた尻尾は次々と動物を跳ね飛ばし、アレクセイの周りにいた動物はほとんど床に倒れていた。

 

「アレクセイ、それまずくない?国民だよ?」

 

 李夏は心配するような、引いたような顔で言う。アレクセイは何も心配するなと言いたい顔で

 

「うちの国民はこんなのでくたばるような奴らじゃないさ」

 

 そう言ってニカッと笑う。

 

 しかし笑っていたのはつかの間。アレクセイは突然顔色を変え、叫んだ。

 

「李夏!後ろ!」

 

「え?」

 

 李夏の後ろには槍を持った動物がいた。

 

 この光景には覚えがあった。城下町で油断した時に襲われたことがあったなと。

 

 李夏は驚くも、危機一髪でかわした。毛先が切れて、金色の毛がぱらぱらと落ちる。

 

「危なかった……ありがとうアレクセイ」

 

「ん」

 

 アレクセイはぐっと親指を立てた。

 

 久しぶりにこんなに動き回った。

 

 李夏は得意の剣術で確実に気絶させ、アレクセイは魔法を上手く剣に纏わせて眠らせ、ジョーちゃんは戦えないが、小さい体を活かして攻撃をかわすことで同士討ちを仕向けた。

 

 数分後、二人と一匹の周りには倒れた動物たちが重なっていた。もちろん殺していない。気を失っているだけだ。

 

「……流石に、疲れたな」

 

「うん。もう指も動かせない」

 

 李夏とアレクセイはその場に座り込む。

 

「……李夏、ごめん」

 

 アレクセイは反対方向を向いていてどんな表情なのか分からない。

 

 しかし誠心誠意、謝っていることは確かだ。

 

「こっちこそ、ごめん」

 

 李夏も続ける。

 

「……これからどうするんだ?俺らはここに残って復興作業するつもりだけど」


 アレクセイが尋ねる。

 

「あ……僕は……」

 

 李夏は言い淀む。なにか言いたいことがあるのか、指をいじってもじもじしている。

 

「僕にも復興作業手伝わせてほしい。そして復興できたら……」

 

 李夏は下を向いていたのをアレクセイに向き直し、まっすぐな目で言う。

 

「僕と一緒に、学校に行ってくれない?」

 

 アレクセイは固まる。

 

「がっ、こう?」

 

 アレクセイは学校に行ったことがない。生まれた時から王になるために一流の教育係がつき、起きる時から寝るまで付きっきりで色々なことを教えて貰っていた。

 

 アレクセイは正直、学校というものに憧れがあった。

 

 ひとつ屋根の下で他人と1日を過ごす。そこで友情が生まれるんだと、幼い頃遊んでくれた子供たちが言っていた。

 

 その言葉が、どれだけ羨ましかったことか。

 

 そしてアレクセイには、対等な友達が居なかった。

 

 そんな友情に飢えているアレクセイが誘われてしまったらもう、嬉しくてしょうがない。

 

「……行きたい!でも……」

 

 アレクセイはジョーちゃんの方を見る。

 

 ジョーちゃんは察したのか、親指をたてて言った。

 

「こっちは大丈夫ですよ。何だかんだ、先代の王も大して統治みたいなことしてなかったですしね」

 

 アレクセイの顔がパッと明るくなる。

 

「オコジョ……いや、ジョーちゃん、ありがとう……!」

 

「王様まで!?」

 

 ジョーちゃんは困った顔をする。

 

「つまり……!」

 

 同時に、李夏の顔も明るくなる。

 

「ああ!よろしくな!」

 

 周囲が笑い声に包まれる。

 

 これでハッピーエンドだ。

 

 

 

「……あーあ、洗脳解けちゃった。厄介なことしてくれるなぁ」

 

 建物の裏に、2つの影があった。

 

 青髪と黒髪。青い方が少し小さい。

 

「サーレイの洗脳が甘かったんだよ。使えない」

 

 そう黒髪が言い放つ。

 

「えー?厳しいなぁ。カナタくん」

 

 青髪はヘラヘラして頭をかく。あまり大事には捉えていないようだった。


「でも……あの金髪の子。李夏くんだね。懐かしいなぁ……!また話せるかな」


 青髪は目を見開いて李夏を見る。その顔はとても歓喜にあふれた顔だった。


「キモいよサーレイ。ほら、早く帰ってマスターに叱られてきて」


 黒髪は青髪を引きずってその場を後にした。

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