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オルドの自伝書  作者: うめ助
二章
14/45

12話

 モーツ保護地区での一件の後、手続きを終えたアレクセイは李夏と同じクラスに入ることになった。

 

 そしてしばらく学校生活を過ごしていたある日、団長のカナリヤにある知らせが届いた。


 モーツ保護地区での功績を聞きつけた、南に位置するバールヤの街の住人が騎士団へ助けの依頼を出したのだ。


「……ということで、これを李夏くんたちに頼みたいのだけど……」


 依頼の内容は戦争の影響で流行った特殊な病の原因を突き止めて欲しいとのこと。


「分かりました」


「え!?」

 

 李夏はふたつ返事で了承した。あまりに即答だったため、アレクセイは驚く。


「そんな簡単にいいのか!?俺らは病に詳しい訳じゃないんだぞ!?」

 

「ならアレクは行かないの?困ってるんだから助けるべきだよ」

 

 李夏はまっすぐな瞳でアレクセイを見る。

 

「まあ行くけど……」

 

 アレクセイは押されて了承する。アレクセイも困っている人を素通りする勇気はないようだ。

 

「よかった!今回にはハーレンくんも一緒に行くから、困った時は頼るんだよ」

 

 カナリヤの近くにいたハーレンが2人に軽く目配せをする。


 2人も軽くお辞儀をする。


「早速今から出発して欲しいの。授業は免除にしておくわ!」


 カナリヤは親指を立ててウインクをする。カナリヤの頭に浮いているガラス玉の中の液体が揺れた。


 ━━━━━━━━━━━━━━━


「ああそうだ。その制服、動きづらくないか?」


「言われて見れば...」


 2人は軽く体を動かす。


「新しい制服が完全したんだ。ついでに受け取っとくか」


 そうハーレンに連れて来られた場所は、禍々しい雰囲気を放つ研究室のような所だった。


 フラスコの中には、怪しい液体がゴポゴポと泡を立てる。その周りにはウネウネと触手のような生物が蠢いていた。


 先に進んで行くと、薄暗い部屋の奥に人影が見えた。


「シフィ...いくら部屋貰ったからって自由にしすぎなんじゃないか?」


 ハーレンが片眉を上げて言う。


 シフトと呼ばれた人物はゆっくりと振り返る。


 白と黄色のツートーンカラーに優しく細めた目、研究者のような白衣を着て、手には瀕死のマンドラゴラが握られていた。


「そうかな...これでも抑えてるんだけど」


 こいつは救えないと、ハーレンは諦めてこれ以上言うのはやめた。


「制服取りに来たんでしょう?大丈夫、ちゃんとできてる」


 シフィは手袋を外して奥の部屋に行き、しばらくすると制服を持って戻ってきた。


「2人とも、試しに着てみて」


 ずいっと目の前に制服が差し出される。


 第一印象が最悪だった為、ハーレンの後ろに隠れていた李夏とアレクセイは恐る恐る顔を出す。


「シフィは常識が通じないけど、実力は確かだ。安心しろ」


 ハーレンのその発言にシフィは細い目をさらに細めてハーレンを睨む。


「分かりました...」


 不安が消えない2人が制服を着るため奥に移動する。


 静かになった研究室にハーレンとシフィの沈黙の時間が続く。


 それを破ったのはシフィだった。


「...いつの間に後輩思いになったの?ここに来た頃はもっと荒れていたでしょう?」


 蛍光色の液体が入った試験管を弄りながら尋ねる。


「うるさい。その時期は思い出したくもないんだよ」


 ハーレンはそう吐き捨てる。


「そうだったね。まあ秘密は誰にだってあるよね。もちろん私にもある」


「...だよな」


 再び沈黙の時間が流れる。そんな時、2人が着替え終わってハーレンたちのいる部屋に入ってきた。


「あの...着方合ってますか?」


 李夏はネクタイの位置を調整してそう言った。


「うんうん!似合ってるよ!」


 シフィは嬉しそうに李夏とアレクセイに駆け寄る。


 ニコニコと2人の周りを回って出来栄えを確認する。


 李夏の前に来ると、李夏の左腕を持ち上げた。


「実は、ここのボタンを押すと...」


 シフィが袖の内側に付いている小さなボタンを押すと、李夏の制服から光が放たれる。


「お、おお...!」


 李夏の目がだんだんと輝いていく。


 光が収まると、制服は軍服へと変化していた。


「今の服は戦闘用。柔らかそうだけど、とても丈夫。見てて」


 そうシフィが言うと、少し離れて魔法を李夏に向けて魔法を放った。


「えっ、はやす...」


 李夏は咄嗟に顔を腕で隠す。


「ほら、平気でしょう?」


 李夏が腕を下ろす。体はもちろん、服にさえ傷一つついていなかった。


「すごい...!」


 改めて魔法を受けた腕を見てみるが、まさに新品のようだった。


「そして制服は動きやすさ重視。アレクセイくんだっけ?少しジャンプしてみて」


 言われたままにアレクセイがジャンプをすると、普段の倍以上高く飛ぶことができた。


「うわっ!」


 自分の体じゃないみたいで、アレクセイは受け身を失敗して尻餅を付く。


「いってー...こっちもすごいですね...」


 アレクセイは座り込みながらもそう言う。


「もし破れたりしたら私の所に持ってきて。直してあげる」


 シフィはアレクセイの手を引いて立たせる。


「これで戦闘も楽になるだろ。よし二人とも、身支度を整えてくれ」


 ハーレンたち三人はシフィにお礼を言って、研究室を後にした。


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