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オルドの自伝書  作者: うめ助
一章
12/45

11話


 騒がしい場所に向かうと、大きな魔物が暴れていた。


 その魔物は大人しく、滅多に人を襲うことはない種類のはずだ。


「李夏!来てたのか!」


 その場には、事態に対処しているハーレンの姿があった。


「こいつ、祭で使う活性剤を事故で浴びたみたいなんだ!眠らせるから、これを武器に塗ってくれ!」


 そう投げ渡された瓶の中には、強力な睡眠薬が混ぜられた塗り薬だった。


 急いで武器に薬を塗ると、臨戦態勢になる。


「あの、俺は魔法で支援をするので2人は好きに動いてくれ、ませんか」


 そうアレクセイが言うと、李夏とハーレンの体に力が湧いてきた。


「アレクセイ……だっけ。お前、頼りになるな」


 ハーレンは首をアレクセイの方へ向けてそう言った。


 立場上、あまり褒められる機会がなかったアレクセイは柄にもなく舞い上がっていた。


「(褒められ……!褒められた……!)」


 まず最初に李夏が魔物懐に入り、ザシュッと一撃を食らわせる。


 魔物がよろめいた隙をついて、ハーレンが弾丸を打つ。


 ハーレンの目が鋭くなり、魔物の急所一点を狙う。


 手に構えた魔銃には膨大な量の魔力が込められており、今も尚魔力の量は増えている。


 ダン、と大きな音をたてて魔力が放出される。その威力は周囲をビリビリとさせ、魔物の近くにいた李夏が膝をつく程だった。


「僕味方なんだけど。容赦ないなあの人……」


 そんな李夏の独り言は魔物の倒れる音にかき消された。


「こんなとこだな」


 ハーレンはかっこつけるように銃口から出る煙を吹き消す。


「あの、本当に眠っているだけですか?」


 アレクセイが心配そうにハーレンと魔物を交互に見る。


「それなら確認してみな」


 ハーレンがそう言うと、魔物の近くにいる李夏が魔物に近づく。


 魔物の口元に耳を近づけると、気持ちよさそうな寝息が聞こえた。


「本当だ。寝てる……」


 李夏が驚いていると、遠くの方から何かが近づいてくるのが見えた。


 近づいてくるその影は、人型に見える。それに大きな荷物を持っているようだ。


 ……女の人?


「まあ、豪快な眠らせ方ね」


 影はいつの間にか李夏の真後ろにいた。


 あまりに速い動きだったため、李夏は驚くこともできずに視線だけ影の方に向けた。


 今出せる最大限の力を使って振り向くと、ようやく姿を見ることができた。


 彼女は薄い金髪に、東雲色の瞳、頭に謎の生物が乗っかっている。そして白と水色を基調とした白衣のような服を纏っている。


「ちょっと離れて」


 女性が李夏をどけると、持っていた荷物から薬草やなにかの薬を取り出して、魔物の治療をしている。


 慣れた手つきでみるみるうちに魔物の体に包帯が巻かれていく。


 どこか険しい顔をしていた魔物が穏やかな顔になった気がする。


「これで跡も残らないはず」


 金髪の女性が荷物を片付け終えると、李夏の方を向いた。


「……貴方、李夏くん?」


 女性は李夏をまじまじと見つめる。


「は、はい」


 突き刺さる視線が痛くて、李夏は目を逸らした。


「……本当にそっくりね。カナリヤから話は聞いているわ。私はプラエ。騎士団で医者をしているの。よろしくね」


 プラエは丁寧な口調でお辞儀をした。


「プラエさん、今日もありがとうございます」


 ハーレンが2人に近づき、そう言う。半歩下がったところにはアレクセイもいた。


「貴方はアレクセイくんね?」


 プラエがアレクセイを覗き込むように見る。


「はい……」


 アレクセイも李夏と同じく動揺しているようだった。


「3人とも、せっかくの休日なのに仕事させちゃってごめんなさい後は私に任せて、楽しんで」


 そうプラエが言うと、プラエと似た服装の人達が魔物運搬する。


 さあさあと背中を押されて3人をその場から追い出す。


「プラエさん、ちょっと強引なんだよな」


 ハーレンが笑って言う。


「俺も止めてごめんな。祭楽しめよ」


 そう言ってハーレンは二人に手を振ると街の外れの方に歩いていった。


「……じゃあ、回るの再開するか?」


「……そうだね」


 2人は賑やかな方へ向かっていった。

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