第六話 記憶結晶
洗濯屋に行く途中に話した記憶結晶について少し復習しておきましょう。
記憶結晶は文字通り記憶の結晶で魂輝会という組織が発射した魂が爆発し爆発した魂の記憶や経験が物に宿り記憶結晶になるわけです。
この記憶結晶は宿っている記憶や経験が外側から覗けたりしますがこれだけではただの置き物にしかなりません。
その真髄は体に刺すことで記憶結晶に入った記憶や経験を自分のものにすることができる点に終始します、この性質は非常に有用で中身にもよりますがかなりの高値で取引されます。
ですがいいところばかりではなく副作用もあります、それは記憶を取り込むと記憶の混濁が起きたり、人格が変化したり、自分が別の人物であると主張し始めたり、しまいには普通に発狂したりと副作用も盛り沢山なわけです。
かくいう私も昔は見つけた記憶結晶を片っ端から自分に刺していましたですがある時刺した記憶結晶から副作用のことを知って記憶結晶を使うのは辞めにしました。
致命的な副作用が出る前に副作用のことを知れたのは不幸中の幸いでした、ですが記憶結晶を使ったおかげで私中途半端とはいえ様々な知識を得られましたしこの知識で助かったことは数え切れませんなので差し引きプラスです。
一回だけ記憶結晶を使った後意識を失って意識を失う前の記憶が曖昧になったりしましたしなんなら人格が影響を受けている疑惑もありますが考えるだけ無駄なので考えないことにしています。
あとは魂輝会のことも知っている限り思い出しておきましょう、魂輝会は芸術家の集団で人の魂の輝きを芸術としています。そして魂を芸術として表す手段が花火というわけです、花火というのはその名の通り魂を上空に向けて発射し爆発させます、そうすると爆発した魂は周囲に記憶を撒き散らしながら消滅しその爆発と撒き散らされた記憶を芸術として鑑賞します。
ちなみに魂の調達に関してはその辺の人間をとっ捕まえて発射します、たまに魂輝会の構成員が飛ばされていたりもしてその時の花火は特別綺麗です。
と、まぁ魂輝会についてはこのくらいですかねこれ以上のことは私は知りません。
これからグヴィネツの町で何かするときは覚えておいた方がいいでしょう。
そろそろ家が近づいてきました、今日は明日のことを考えてからできるだけ早めに休んで明日に備えましょう。