第五話 洗濯屋
洗濯屋に到着し店主を呼びます。
「リエナさんいますか?」
そう呼びかけ返答を待っていると干された衣類の裏からいつも通りの短い黒髪と眩しい笑顔をした少女リエナさんが姿を見せました。
リエナさんがこちら見つけると。
「こんにちわ、ノエルちゃん!」
といつもの通りやたらとでかい声と激しい身振り手振りで出迎えてくれます。
常々思うんですが元気なのはいいのですがとにかくうるさいです。
「こんにちわ、リエナさんもう少し声の音量を下げていただけますか?」
私がそういうとリエナさんは手を口に当ててハッとした顔をしました。
「ご、ごめんこれでも小さく喋ったつもりなんだけど大きかった?」
少し言い過ぎたかもしれません、謝れられるとちょっと申し訳ないですし訂正しますか。
「いえ、私も言いすぎましたほんの少し声量を下げてもらえれば大丈夫です」
私がそういうとリエナさんはにこりと笑います、なぜかリエナさんが悲しそうにしている顔を見るとこちらまで悲しくなってきます、なのでリエナさんには常に笑っていてほしいと思っています。
友人と言ってもあまり付き合いのない私ですらそう思うぐらいなのでゴミ山の人たちから大層可愛がられています、この場所でこんなに可愛がられているのはこの人ぐらいでしょう。
話がずれましたがとりあえず仕事をお願いすることにします。
「前に渡した洗濯物を取りにきました、後今着ているこの服も洗ってもらえますか?」
「もちろん!服はもう運ばせてるし、持ってきた服に着替えたらその服も渡して!」
「代金はいつ物でいいですか?」
「うん!お願い!」
話がひと段落すると洗濯籠を持った死体がやってきたので私は死体に死霊術をかけ始めます、代金というのは労働力のことで死霊術をかけた死体を貸すことで洗濯の代金の代わりにしているというわけです。
そうして死霊術を使っているとリエナさんが興味津々と言った感じでをのぞきこんできます。
「いつも思ってるけどノエルちゃんの魔法便利だねー」
と言いましたまぁ、嬉しくはあります。
「ええ、とても便利ですし面白いですよ」
そうは言った物の私の死霊術を便利の一言で片付けられるのは少し釈然としません。
別にことを荒立てる気はないので何も言いませんが。その後、申し訳程度に設置された衝立のなかで服を着替えます、ここは洗濯以外にも服を修理したり体を洗ったりもできるので人の出入りが多いためかプライバシーのプの字もないようなゴミ山では配慮のある方です。
着替え終わったらリエナさんに挨拶をし家への帰路に着きます、時間はまだ昼頃ですが死霊術をいつもより多く使ったのと、ついでのつもりだったゴミ漁りに割と熱中してしまい疲れました。
ゴミを漁りつつ、明日のことを考えながら帰りましょう。