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作者様!

鳴り続ける、目覚まし時計の鐘の音。

  もうすぐ、作者様がくるわ

 

 そう述べたローラの顔は、何の色も見せずに、10歳とは思えぬ落ち着き、凛と。

 

 その、ローラの姿を見て、フローラは察した。

ローラと約10年、苦楽を共にした作者との、信頼、絆それらの関係性を。

 

 目覚まし時計に近づき、目覚まし時計を止めると、ローラは手を広げ、

 呪文を唱えた。


 「元戻零麗。」

 

 半壊だった家は、ローラが放つオーロラ色の光に包まれ、

一瞬にして破壊される前の姿へと戻った。

 「す、素晴らしい、魔法ですね!」フローラは元通りになった家に触れながら、

 驚いて言った。

 

 「作者様がせっかく作ってくれる物語を、台無しにしたくないから、

いつどんな事が起こっても大丈夫な様に、魔法を色々と覚えたんだ!」

 ローラは胸に手を当て、誇らしげにそう言った。

 

 「な、なるほど、物語と辻褄を合わせる為に。

 便利な魔法ですね!私も唱えてみても良いですか?!」

 フローラは無邪気にはしゃきながら、ローラに伺う。

 

 「うん、いいよ!

 物に向かって、


 (モトモドレイレイ)

 て、やるの!」

 

 「はい!!!!


 (モロモロ、あ、ローラ様、)


 すみません、言い間違えちゃいました。」

 フローラは噛みやすかった。

 


 ドサッ。


 

 二人の目の前に、抜け殻になった様な、ローラが、何も無い空間から出てきた。

 

 「え。」

 

 ドサッ。

 一体。

 ドサッ。

 また一体。

 

 「フローラさん、やめて、止めてー!」

 自分の見た目をした、抜け殻になった様なぐにゃぐにゃした生成物が発生する現象を、ローラは気持ち悪くて見ていられなくなった。


 ドサッ。ドサッ。

 ローラ、の様なものが、山積みになっていく。

 

 「フローラさん、早く止めてー!」そう言いながら、フローラの体を力一杯揺さぶるローラ。

 

 「ローラ様!少しお暇を頂きます!ランデブー!」


 フローラはそう叫ぶと、

 生成されたローラ、の様なものを持てる限り掻っ攫い、一瞬にして消え去った。

 

 ドサッ。


 ドサッ。

 

 ローラは諦めて家に帰り、静かに遺書をまた書きながら、作者の登場を待った。

 

 ドサッ。ドサッ。

 ゴロゴロ、ドサッ。

 


 作者は記した。

 『今日も、ローラの元に突然訪れるものが居た。

 その者の名前は——』

 

 ローラの目の前に、光の粒子群が現れ、それらが収束していく。

 

 黒い髮、中肉中背、老いてもおらず、若いとも言えない、何ともパッとしない見た目の男が現れた。

 

 ローラは、動じる事なく、次の指示があるまで静かに待った。

 

 『神野半度、この物語の作者である。』

 

 

 (さ、さ、作者様!!何で!?)

 ローラは、驚きを隠す為に、必死で足を自分で抓って誤魔化した。

 

 ローラの前に現れたのは、作者と同じ名前の人物だった。

 


 (まさか、作者様に会えるなんて、、どうしよう、、ちゃんと演技しないと!

 ああ、演技、下手だと思われたら、どうしよう、、ヒロイン交代されちゃう!)

ローラは、嬉しさと困惑とプレッシャーで気を失いそうになるのを堪えていた。

 

 

 (でも、作者様が異世界に登場する物語って、何?どういう展開にするの?

 ああ、作者様、凄い。

 

 迷走が凄い。


 インプは、とうとうゼロ、かも。。)

 不安とストレスで、

 ローラは昏倒しそうになるのを堪えていた。

 

 

 ドサッ。

 ゴロンゴロンドサッ。

 人知れず、ローラの家の外では、

諸々の物が、どんどんとローラ、の様なものになっていった。

 ポフン。

 そして、パインも、ローラ、の様なものになっていた。

 

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