表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Guardian  作者: 天宮 碧
30/35

23. 迷う人

お久しぶりです……。

……………………。

じっくりゆっくり更新していく予定ですので、次回更新も長ーい目で見てお待ちくださいませ……。




「本日よりダリア宮侍女の任につかせて頂きます、ミアでございます。」

「同じく本日よりダリヤ宮侍女の任につかせていただきます、アリスでございます。」


「「精一杯努めますので、どうぞよろしくお願いいたします。」」


 聞き取りやすい硬質な声が応接間に響く。

 声のトーンもカーテシーのタイミングも、ひらりと揺れるスカートの裾までも揃った完璧な挨拶。

 顔のタイプこそ正反対とも言える美少女たちだが、どこかそっくりな双子を見ているような奇妙な感覚に襲われる。


(ほ、本物のメイドさんだ……!!)


 イリアスは静かに興奮していた。


「テオドール・ロメロ侯爵のご紹介でこちらで働いていただけることになりました」


(テオドール・ロメロ?誰だろう)


「ああ、あの御仁か。ならば間違いはなかろうな」


 どうやらレオナルドのよく知る相手のようだ。


「来てくれてありがとう。もうこの宮の案内は済ませたのか?」

「いえ、これからでございます」


 マリアが粛々と答える。


「では、イリアスに案内させよう。イリアス、頼めるか?」


(なるほど。内輪三人で話したいことがあるわけだ)


 何故か面白くないような気もするが、無視して2人に向き直る。


「かしこまりました。では、……そうですね……」


「ミアとお呼びください」

「アリスとお呼びください」


 ご令嬢の名をいきなり下の名前で呼んではまずかろうと思い口ごもるイリアスに本人たちが気づいてくれた。


 イリアスはほっとしてにっこりと笑いかける。


「ありがとうございます。では、ミアさんとアリスさんはこちらへ」


イリアスは廊下の方を指し示しながら歩き出した。







「ミアさんとアリスさんは侍女のご経験が?」

「はい。もともとロメロ様の奥様の御屋敷で働かせていただいておりました」


 結婚後、気に入っている実家の侍女を婚家に連れてきて引き続き仕えさせることは割かしあることである。


「私もアリスも奥様には()()()()()()()()()()()()()


(?なんか、少し……)


 ミアの声は何ら変わらないはずなのに、どこか奇妙さを感じてイリアスは首を捻る。


「ミア」

「申し訳ございません。勝手に私事をお話してしまいました」


(……まただ)


「……いえ、これからは同僚になる訳ですし、お気になさらず。むしろ、お二人のことを知りたいと思っていますし」

「ありがとうございます。早く馴染めるように、頑張りますね」


 ちょっとしたカマをかけてみたのだが、反応は無い。

 先程よりも柔らかな口調と笑顔は、かえって距離を取られたような疎外感を与えた。







 コンコンコン


 イリアスは部屋の様子を少し伺い、話し声がしないことを確かめてからノックをする。


「ただいま戻りました」

「おかえりなさい。つつがなく済みましたか?」


 応接間に戻ると、中にはシオンしかおらず、後のふたりは席を外しているようだった。


「はい。……殿下とマリア様はどうされたのですか?」

「それぞれ執務室と管理室へ向かわれました。」


 既に二人は自分の職務にあたっているらしい。

 となると、シオンがここで待たされたのはイリアスたちを迎えるためだろう。


 気づいたイリアスはにわかに慌てる。


「申し訳ございません。お待たせいたしました。」

「いえ、大丈夫ですよ。今日の職務は新しく入ったおふたりに合わせて組まれておりますので、想定内です」


 優しく微笑まれ、イリアスはほっと息を吐く。


「?」


(まただ。なんだろう、これ)


 眉を寄せたイリアスの様子を見てシオンが怪訝そうな顔をする。


「どうしましたか?なにか、問題が……」

「いえ、何もありません」


 やや食い気味で答えるイリアスにシオンは軽く驚くも、放っておいてくれることにしたらしく、「では案内もすんだようですし、お二人には軽く業務内容を説明しましょうか」と流してくれた。







 イリアスが入ってきたばかりの頃に教わったことよりいくつか少なくなった仕事を2人に教えると、シオンは「では」と言って2人に任せてしまった。


 二人が入ってきて幾分か軽くなった仕事だが、それでもこの人数では手に余る。いいのだろうか。新人なのに。それに、いくら信用できる人間からの推薦と言えど、腐り散らかしてても王族、更には王位継承権を持っているのだから、もう少し警戒しててもいいような気もするが。


 イリアスは心配になり、自分の仕事をしながら(相変わらず用心棒としての仕事は来ない)二人を見守ることにした。


 結果から言うと、二人は素晴らしく有能だった。

 仕事は速く丁寧で、慣れた手つきで高価なものを扱う様子はおっかなびっくりだった初日のイリアスとは大違いだ。


(まあ、二人は本職だしな)


 黙々と仕事をこなす二人は伊達に貴族の家で侍女をしていないというのがよく分かる働きぶりだった。


(変な様子もないし、これなら大丈夫か?)


 イリアスは少し警戒を解き、暫くは軽い様子見に留めておくことにした。


 それを後悔するまで、そう長くはかからなかったが。




ダリア宮でやった唯一用心棒らしい行動。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ