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(6)召喚

 怖くはないけれど結構な圧がかかっていたので、異世界に行く前に死亡するなんて言う前代未聞の状況にならなくて良かった!


「では、参りましょう!」


 トリシアさんの言葉の直後に景色が一瞬で変わった。


 ここが異世界なのだろうと思いつつ自分の状態を確認すると、今まで着ていた学生服ではなく、何と言ったら良いのか、少し薄手の柔道着?の様な格好だった。


 そうなると気になるのは……ロングスカートにキュっとしまったウエストにベルトを巻いて、上半身の二つの山が程よい大きさで主張している美しすぎる僕の横にいるトリシアさん。


 その長い金髪は正に神を彷彿とさせる……って、実際神じゃないか!!


 落ち着け僕。


 で、その金色の目から感じる熱い視線に即ノックダンしてしまう情けない僕。


 ハッキリ言って、真面に目を見る事が出来ません。


……ムギュ……


「とーとととと、トリシアさん?」


「フフ、私はそんなに長い名前ではありませんよ?静流様」


 僕の右腕に抱き着くようにしてくるものだから、その、何と言うか、素敵な感触が伝わって来るので、僕の薄っぺらい防御なんて一撃で貫通して致命傷を与えて来る。


 知ってか知らずか、より一層力を込めて来るトリシアさんは心なしかより嬉しそうにしつつ、僕の進むべき道を示してくれる。


「あちらに見えるのが、今回の召喚者達の皆様が生活している町です。お一方以外は貴族として元からここで生まれ育ったかのように歴史が改竄されております。最初の願いを叶えた方は普通の人、今は冒険者として活動するために動いている事でしょう」


「そうだったのですね。でも……」


「静流様!これから私達はかけがえのないパートナーとして行動します。それに、静流様は私の恩人でもあります。そのように他人行儀では、正直少し悲しいです」


 出てしまいました!再びのウルウル攻撃……もう僕の防御力は無くなっているので素直に従いたいのですが。


「気持ちは分かりますし嬉しいですが、いつもこんな感じなので……良いですか?」


「仕方がないですね、静流様!」


 うっ、ますます腕に絡みつく魅惑……ではない、神の感触が……


「それで、あの方達にも何かアドバイスをするべきなのか……どう思われますか?静流様」


「……僕のイメージでは貴族とはそう簡単に話せないイメージですけど、違いますか?」


「あっ、そうですね、そうでした。フフフ、これは失敗しました。では、岩井様に接触してアドバイス致しますか?」


「う~ん、正直、余計な知識は入れたくないと思います。何かあった時に言いがかりをつけられそうで。でも勝手に魔王討伐に向かって糧になられても困りますから、そこだけは注意してもらいたいですね」


 僕の表情を真横からジーッと見上げているトリシアさん。


「静流様!私、これでも一応神です。何か隠されていませんか?」


 と言われても……隠しているつもりはないけれど、やっぱり日本での扱いからか、彼らには良い感情はないからね。


 そこを読み取られたのかな?


「隠している訳ではないのですが、きっと僕の日本での扱いが原因だと思います。実は……」


 一応包み隠さずに全てを正直に話してみた。


 もちろん田舎の高校に行ってからの話だけだけれど。


「本当ですか?岩井程度がそのような態度を静流様に?他の四人もですか?許せませんね!わかりました。アドバイス等と言う丁寧な対応は一切無しに致しましょう。勝手に魔王討伐に向かった場合、糧になる前に私がこの手で仕留めますのでご安心ください!」


 恐ろしい事を言うのでちっとも“ご安心”できないけれど、取り敢えず僕の為に怒ってくれている所は本当に嬉しかった。


「ありがとう、トリシアさん」


 思わず漏れた言葉に、トリシアさんは顔を赤くして僕の胸に顔をスリスリしてくれている。


 何ですか?この可愛い人は!!……女神ですね。


 と、自己完結している場合じゃないよ。これからどうすればって、眷属!そう、眷属だよ!!


「トリシアさん、あんな連中の事よりも僕は眷属が気になります。会えますか?」


「もちろんですよ、静流様。ささ、こちらです」


 町の真逆の位置にある森に向かい、鬱蒼と生い茂る木々によってできた闇の中、森の奥に僕を誘導するトリシアさん。


 僕、このままトリシアさんに食べられないよね?


 女神であるトリシアさんにならこの場で食べられても悔いなし!なんて思っていたけれど、もちろんそんな訳もなく……少し歩くと開けた場所に出て、そこにいたのは小さな子犬。


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